2017年09月22日

「い〜パークの営業さんが来たけど帰っていった」の巻

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歯科医院の電話機は、思えばいつもコールでリンリンと鳴っているものであります。

電話が大嫌いな私なんかは「受付業務でなくて良かった」と心の底から安堵しながら、疎ましくも嬉しくも不思議な心理でコール音を耳にしている毎日です。

電話をかけてくる方は、ほとんどの場合、患者さんやお世話になっている業者さんからでありますが、ときにそれ以外の場合があります。間違い電話や営業電話であります。間違い電話はさておき、営業電話は業務の妨げになることがほとんどです。そんな儲かるなら他人に教えてないでアンタがやれや!とガチャ切りしたくなります(しませんが)。

営業電話がかかってきても、「先生は処置中で手が離せません」と受付が断りアタックを入れてくれて終了するものですが、根性のある業者はこちらの手が空く時間を訊いてきてかけ直してくるアグレッシブさをもっていたりします。「営業は押しやで!」と考えているのかどうか分かりませんが、少なくとも診療時間中の歯科医院に営業電話をかけても無下に断られるだけで、通話料の無駄に他ならないとおもうのですが、理解しておられないようです。世の中には、こうした電話にお付き合いする人の良い先生が多いのかもしれません。邪に思惟すれば、歯科医は彼らにカモにされているだけのような気がします。バカだから、儲け話を振れば乗ってくるだろう、と。

根管治療やら抜歯中やらカルテの打ち込みやらに忙殺されているときに限ってこうした電話がかかってくるので、今の所ほとんど相手にもせずにきていたわけですが、ついこないだ、突然のキャンセルで空白時間が発生したときに営業電話が掛かってきました。隙間な空白時間には、私はiPad mini のメモ帳でブログの草稿をメモのように書き込んだり編纂したりしているのですが、気分が乗らないときも多々あるもので、電話にでることにしました。

果たして、電話が遠くて相手が何を言っているか聞き取れなかったのですが、どうやらインターネットを利用した医院の予約システムの導入でどうのこうのという趣旨の様子。センター試験の英語のヒヤリングじゃあるまいし、なにをいっているのか皆目分かりません。ようやく聞き取れた言葉が「ぎゅんた先生の医院につきましては、◯◯先生からのご紹介で……」のくだり。今までに二回ほど、数年前のセミナーであったっきりの懐かしいお名前を耳にしました。人からの紹介とあれば悪い気はしないのが甘いところでもあり人情でもあります。相変わらずなにを言っているものか正確に聞き取れませんが、マークシートであれなんであれ解答欄は空白にはできませんから答えを出さねばなりません。医院を訪ねて良いか、とのことが聞き取れたので、診療後の時間にきてもらうことにしました。電話で説明内容が分からんなら直接聞くしかないし、◯◯先生のご紹介がとあれば、無碍に断ることもできますまい。


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さて約束の時間に当院を訪ねてきたのは株式会社ITFのEPARK営業部のお方。要するにEPARK歯科の営業です。EPARK歯科っつったらおまえ、石川県の歯科業界内で「ちょっと気をつけてください」とお達しFAXが某機関から届いちゃうアレだったり、友人の先生が「契約してみたけど、対応があまりにも杜撰だったから速攻でやめた」と吐き捨てたアレじゃないの。

その昔、新患の患者さんに「おたくのホームページに木曜日は診療しているとあるのに、休みだったじゃないか」とお叱りを受けたことがありました。事情を訊いてみますとなんのことはない、それはEPARK歯科のサイトの当院の情報記載が誤っていたことに起因していたのでした。知らんがなと言いたいところですが、電話をかけて「記載が誤っているので訂正してほしいです」と伝えたことがありました。サイトに掲載されているということは、当院が情報登録をリクエストしたものと思われますが、まったく記憶にありません。みると、医院の画像がsampleで謎の口コミが三件ついています。契約してお金を払うと医院の掲載情報が豪華バージョンになり、予約システムが稼働するものと思われます。お金を払わないと制限かかっちゃうのはソシャゲと同じです。多分。デジタル音痴のおっさんにはこれ以上は分からん。


営業マンに◯◯先生のご紹介だそうですが…と訊ねると、そこには確かに昔に参加したセミナーの先生の名前がありました。話を総括すると、EPARK歯科の予約システムの導入が全国で急増中で、その◯◯先生も導入されています、みたいな感じ。ちゅうか私のような腐敗雑魚のことなんて数年の経過で綺麗さっぱり忘れているに違いないわけで、わざわざ紹介するようなことがあるだろうか?「いや、ない」わけでありまして、考えられることは「歯科医師がどのようなセミナーに参加したか、その情報が業界内で流通している」「◯◯先生が、セミナー参加者の情報を売った」のふたつであります。いやそんなことはない、と思いたいものですが、なにぶん世知辛い世の中ですゆえ、どうなんだろうなあ……。
 


結果
申し出を断り、おかえりいただきました。

予約システムがどうのこうのより、受付でカード決済できるようにするほうが優先度(患者さんが求める意味で)が高そうに思っています。日本国内もこれからはキャッシュレス化していくであろうことは想像に難くないからです。ただ、カード決済できるようにするとカード会社に結構なお金を払わなくてはならないらしいところが癪です。
 
posted by ぎゅんた at 20:40| Comment(7) | 歯科医院について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月14日

買っちゃたよオーラルID

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ラミネート加工された掲示用ポスターをサービスしてくれますが、どことなく洗練されてない感…


この記事でも書きましたがオーラルIDです。
色々あって、購入の運びとなりました。口座の数字が吹き飛びました。サヨナラ万円

実物は懐中電灯にしかみえませんが、実際に懐中電灯そのまんな感じです。
アメコミのヒーローみたいな見た目の特殊ゴーグルを装着しながらの使用します。

スイッチをいれると青色の可視光線が出るので、その光で口腔粘膜を照らしてゴーグル越しに観察します。扁平上皮癌などがあると、光の吸収や反射の差異があるために暗く見えることで存在を示唆してくれるのでスクリーニングに用いることができます。

オーラルIDはあくまでスクリーニング用であって、診断用ではありません。それでも「悪いヤツがあるかないか」を1分足らずで判定してくれるのは有益です。市の検診業務があれば活躍できそうです。スマホ等のカメラで撮影するためのクリップ型フィルターもあるのもいいですね(「こんなんよ」と撮影動画を見せたり、写真を撮ったりできる)。

確定診断は病理診断にてなされますから、生検や細胞診を行うことになります。
オーラルIDでは細胞診検査キットが別途に用意されています。細胞診ではなく生検を希望する場合は、組織片を採取して固定液に漬けて口腔病理医のいる施設に依頼することになるでしょう。歯科における病理組織検査は保険請求(算定)が可能です。ただし、一般開業医がここまでカバーできるかどうかは現実的に難しいところがありますし、治療が必要になった場合のことを考慮して口腔外科に紹介する流れになるものと思われます。


提言?
ポスターもいいんですが、患者さん向けのリーフレットがあれば開業医の先生がより使いやすいアイテムに化けると思います。「次回から作っていく予定の保険の白い被せ(硬レハイブリのCAD/CAM冠)は、こういうものです」とリーフレットを渡すことがあるのですが、意外に喜んでくれますし、待合室のホワイトニングのリーフレットなんかは気づいたら数が減っているものです。オーラルIDのリーフレットがあったら、少なくとも私は嬉しいのですが。



おまけ
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学生時代に病理学の講義で「開業医がちっとも検査依頼を送ってこないのは寂しいにもほどがある。お前らは送ってこいよ!」と、開業医の先生向けのマニュアルを学生に配っていたのを思い出したので学生時代の教科書類の中を漁ったら出てきました。やったぜ。

しかし母校とはいえ北海道に送るのはちょいと遠いような。そもそも、いまもこれやってるのだろうか?いや口腔病理学教室なんだからやってるはずだけど、大学から物理的に大きく離れるちゃうと、ほんとに、すべてが疎くなるものです。
 
ラベル:Oral ID
posted by ぎゅんた at 00:11| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

【論文紹介】ウェーブワンゴールドに関するもの

SINGLE-FILE SHAPING TECHNIQUE ACHIEVING A GOLD MEDAL RESULT

ウェーブワンゴールドの開発に携わっている(ハズ)のRuddle先生のポジションペーパー的論文。
いつもながら副題が洒落ている。ウェーブワンゴールドの特徴や見解、使い方が述べられております。

「多分ココは重要っぽい」と思うことをピックアップしていきましょう。


重要そうなこと
1.
レシプロケーティング・モーションは根管壁マイクロクラックの原因になるというのは誤報である。根管象牙質にマイクロクラックを発生させるとするならば、ファイルのデザインやムーブメントに原因があるのではなく、常に術者の使い方に起因するのである。

2.
ウェーブワンゴールド・スモール(20/.07)は「橋渡しファイル」 。グライドパス形成後にこのスモールを作業長まで到達させておくとよい。その次にウェーブワンゴールド・プライマリ(25/.07)を用いることになるにせよ、単純な2つのシークエンスであり、作業長までの拡大も早く安全に達成できる。

3.
なにはさておき、グライドパス形成が不可欠だ。少なくとも0.15mmのPatencyが欲しいが、不変の2度テーパーのすぎない15Kファイルではなくプログライダー(16/.02-08)を用いることが望ましい。

4.
ウェーブワンゴールド・プライマリは、6%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で満たされた根管で、根尖方向に押すような力を加えず使用する。根管から、抵抗と湿地に沈むような感覚があったら根管より引き抜き、ファイルを点検しよく清掃する。(ウェーブワンゴールド・プライマリに限った話ではないが)機械的拡大用ファイルを根管から引き抜いた際に、根管をまず洗浄し、10kでリカピチュレーションしてdebrisを搦め捕りつつグライドパスを確認して(Patencyの確保)また洗浄することは賢いことだ。


5.
ウェーブワンゴールド・プライマリが作業長に達したら根管から引き抜くわけだが、ファイル先端に牙粉が付着していれば、拡大の終了と判断する。根尖部の確認のために、25/.02のステンレススチールファイルを挿入して作業長にピッタリ合致するなら拡大が達成されたとみる。もし長さがオーバーするのなら、根尖部が25号以上に大きいことを意味する。30/.02のステンレススチールファイルを挿入してピッタリ合致するなら、拡大は達成されたとみなす(先端を30号にアジャストして根充すればよい)が、長さがオーバーするのなら、ウェーブワンゴールド・ミディアムでの拡大に移る(もし必要なら「ラージ」も)。



まとめ
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なお、ウェーブワンゴールドが世界的に売れているビッグウェーブ的NiTiファイルかどうかは分かりません。「グローバルエンドにおける人気のNiTiファイルランキング」とかあったら面白そう。

実際のところはどうであれ、当面のところはウェーブワンゴールドを主軸にしていく所存です。
グライドパス形成用NiTiファイルは、プログライダーさんはお暇をとらせ、目下、NEX10/.04と在庫のプロテーパーネクストX1を使用中です。やっぱHyFlexEDM -Glidepath Fileが一番ええんかなあ…


C.J.Ruddle:Single-file shaping technique: Achieving a gold medal result.Dent today .January 2016
posted by ぎゅんた at 08:51| Comment(0) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

使わなくなる手用ファイル

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SEC1-0とNiTiファイルを用いて根管の攻略をすすめるスタイルになってから、手用ファイルの使用が激減していることに気がついた。ネゴシエーションとグライドパス形成を終えたら、NiTiファイルを用いて根管拡大形成(Shaping)を仕上げてしまうプロセスを終えるだけなので、手用ファイルはリカピチュレーションぐらいしか出番がなくなるのである。

手用ファイルはネゴシエーションとグライドパスの確認とリカピチュレーションに用いるのみで、NiTiファイルはグライドパス形成とShapingで使用する 。これは、根管の走行を可及的に損なわないようにしつつ、根管にヒポクロを満たすことと根尖部を化学的に洗浄するふたつを可能とする器を得るためである。単純な根管であれば極めて短時間にこれを達成できる。操作に慣れてくると根尖部を閉塞させたりジップを形成したりPatencyが阻害される嫌なアクシデントに見舞われることが少なくなる。もし生じたとしても、(あまり望ましいことではないにせよ)SEC1-0でリカバリーできる。


用いる手用ファイルは08Kと10K、15Kの三種がほぼ全てであって、それ以外のファイルはベンチを温めている存在に過ぎない。NiTiファイルのラインナップから外れた号数での形成を要求される場面で用いることがあるかもしれないが、そのような場面はとんとないのである。あったとしても、手用ファイルで望ましい形成ができるとは思えないから、使用する意義が薄い気がしている。太い号数の手用ファイルで直線化させてしまうぐらいなら、根管本来の走行を逸脱せずに根尖1/3の形成を(45/.05)程度に仕上げ、根尖部のdebrisを徹底的に洗い流し、ヒポクロで時間をかけて消毒する方が予後が良さそうな気がするのである。このことを裏付ける論文や記述があると心強いのだが、杳として知れない。どこまで拡大形成すべきかは「ホワイトデンチンがファイル先端に付着した号数から三サイズ上まで」と学生時代に習ったアレぐらいしかない。


いずれにせよ、在庫のファイルたちの多くは出番がなくなってしまった。新たに購入することがなくなるのはコスト管理の面からもありがたい(NiTiファイルの購入費用にまわせる)けれども、ずっと減らないままであろうと考えると不憫な気持ちになる。父が使用していたヨシダのジロマチックも大量だ。こんなに在庫があっても俺は使わないし、どうしろっていうの状態。
 
posted by ぎゅんた at 08:48| Comment(11) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

メディナプレミアムセミナー 口腔ケア&口腔リハビリの2日間コース


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高齢者や要介護者口腔ケア咽頭ケアの必要性を痛感したので参加。
会場が新横浜という大都会の一角。田舎モンの私は群衆と高層ビル群に気圧され、道の隅を歩くのであった。

加藤武彦を教祖とする宗教集団みたいな独特の雰囲気があり、進行がグダグダだったりアレ感が漏れていたものの、口腔と咽頭のケアに対する真摯な情熱に溢れているセミナーであった。


口腔ケアの真髄は、ことに咽頭ケアにあるのだが、それに必要なファンファンブラシなるアイテムが必要なようだ。しかしこれは、別途、販売の資格を得るために必要な実習やセミナーに参加しなくては購入できない。販売元のオーラルケアに問い合わせたら「素人がいきなり使うには危険すぎるから、許しがないと販売できない」という。そして本セミナーはその条件を満たさない。ふぁっきん!


本セミナーを受講してなんとなく得られた知見はいくつかある。
咽頭ケアは極めて重要で、歯科医療と介護の領域における盲点であり続けているし、その解消は喫緊の課題である。しかし現実的に、まず我々歯科医に求められることは、使用中の義歯の不満点を即日に解消できる知識と技術があること、「噛める」義歯を提供できること、患者に寄り添った診療のために犠牲的精神を発揮できること、である。

口腔ケアにしろ咽頭ケアにしろ、やはり歯科医師が(自院で)待ちの姿勢ではなく、外へ出かけて行く積極的な姿勢の中で実施されるものであろう。往診ならびに訪問診療でこそ活躍してくる毛色が強いものだ。その場合に避けられないのが義歯である。使用中の義歯に悩む患者さんは想像以上に多い。日本の歯科医師の義歯の腕が落ちたこともあるし、昔と違って歯を抜かず限界まで保存することから、義歯が入るタイミングには顎堤が失われている(理想的な条件で義歯を作成しにくい)ことも考えられる。こうしたこともあって、義歯の悩みをたちどころに解決できる歯科医師は、すべからく貴重な人材である。一方、いかに良好な義歯といえども良好な口腔内環境が必要だ。口腔ケアと咽頭ケアは、ここに関与してくる。どちらも重要なのである。もっとも現実的には、まず良好な義歯を実現できる腕をもつ歯科医師であることが優先されるだろう。耳が痛い人は私を含めて多いかもしれない。

そんなわけで、訪問診療だ口腔ケアだといきり立つ前に、まず自分自身が「義歯の良き担い手」となることがなによりも先決であると強く認識させられた2日間コースであった。なにもかもが、足りんなあ……



セミナー中に登場した論文
脳卒中後嚥下障害のリハビリテーション 水飲みテストだけで評価し,起立訓練により改善
セミナー中に登場した本
間違いだらけのリハビリテーション

 
posted by ぎゅんた at 23:23| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする