2024年02月18日

やったぜ16%のホームホワイトニング・ジェル


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3gの大容量。10%もラインナップされているぞ


ホームホワイトニングは、10%の過酸化尿素を含有するジェルをカスタムトレーを利用して歯面に密着させて漂白効果を発現させていく術式が一般的である。ジェルの作用時間は一日2時間を上限として1ヶ月の期間を要する。

実は、この方法で患者の求める漂白効果を得るのは難しい。効果が得られないわけではないが、弱いのである。少なくとも漂白期間中は、着色をきたしやすい飲食物の摂取を完全禁止するぐらいの厳しさが求められるであろう。修行僧じゃあるまいし、一般人が水と豆腐だけみたいな食生活を1ヶ月も継続できるはずがない。

1ヶ月でホームホワイトニングの結果を確実に出したとしたら、どうすればよいのか?

その要諦は、過酸化尿素10%のジェルを就寝時に適応することである。
つまりは1日5〜8時間の適応をすることである。こんなことは、ホームホワイトニングを手掛ける臨床医の先生方には常識であろうと思われる。メーカーの指示通りに「1日に2時間」の用途を守っている限り、目立った漂白効果は得られないのである。過酸化尿素の濃度が35%ぐらいなら2時間の適応で漂白効果が期待できるかもしれないが、国内ではそこまでの高濃度のジェルは流通していない(海外から個人輸入することで入手可能)。

ホームホワイトニングのジェルは、色々なものを試してきた。
最近ずっと使用しているのはオパールエッセンスPF15%である。

同製品には10%濃度、15%濃度、20%濃度、35%濃度のジェルがラインナップされている。
私が試したところ、10%と15%では知覚過敏様症状の程度に差がなかった上に15濃度の方が漂白効果が確実に速く得られると思った。20%では知覚過敏様症状の発現が有意に増す一方で漂白効果が15%の場合とそう変わらなかった。35%は漂白効果が速やかに発現するが、濃度が高すぎることから就寝時に用いることができない。日中2時間までを上限に使用するか、ホームホワイトニングに慣れた患者さんのタッチアップ用に用いる。案外に35%濃度のジェルは人気がない。

畢竟、15%のジェルを使用するのが当院でのスタンダードになった。
オパールエッセンスPFは、ジェルの容量が微妙に少ないことを除けば優れたホームホワイトニング用ジェルだと思っている。


果たして今回、アンジェラスのホームホワイトニングジェルが発売された。しかも3g大容量の16%濃度。
一本当たりの価格も約800円なので材料費に悩まされる臨床家の強い味方。

オパールエッセンスとの差異は、ジェルの稠度や顔料、知覚過敏防止のための添加剤の有無などであろうか。
ただこれは、漂白効果に有意な差をつける因子とは思われない。

いま在庫にストックしてあるオパールエッセンスPF15%を使い切り次第、さっそく使用していきたいところだ。
 

2024年02月11日

オフィスホワイトニングはいまだに苦手意識


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オフィスでこんなに白くならないと思うのだが


歯の漂白は、私はオフィスホワイトニングから臨床経験を積み始めた。

私が研修医だった当時は、歯の漂白といえばWalking-Bleachingを指したし、それを超えたところにある術式としてのオフィスホワイトニングはといえば松風ハイライトが唯一存在していた頃だった。ホームホワイトニングは、メジャーではなかったはずだ(記憶にない)。

その松風ハイライトは、歯牙表面を脱灰させて白くしているだけで歯質へダメージを与えているだけだ(それに、思ったより白くならない)という臨床評価が定まっていた。Walking-Bleachingは安定した漂白効果を示すが、オフィスホワイトニングは結果が不安定なのだ。だから、人気がなかった。結果が出にくい処置を自費診療で行うのは心理的にストレスが大きく楽しくないものだ。

保存科に在籍していたこともあって、歯の漂白は周囲の人たちから確かなニーズがあったし、個人的な関心もあった。なんとか歯を白くしたい。そういう気持ちがあった。しかし、どうすればいいのか。ホワイトコートとかいう、歯塗る白いマニキュアみたいなアプローチはとりたくなかった。

その後、ピレーネという商品がモリタから発売されていた記憶がある。こちらは歯質ダメージを抑えつつ歯を漂白させる設計を謳っていた。欣喜雀躍、大期待のマインドで使ってみたが、全く漂白効果は得られなかった。私は胃が痛くなった。俺は臨床センスがないのではないか?

オフィスホワイトニングには、メーカーが指示する手順の中に、なにか臨床的なヒントが隠されており、それ見つけないと結果をだせないのではないか。私はそういう仮説をたてて、自身や同僚を被験者にしてオフィスホワイトニングを繰り返して施術経験を積むことにした。

ピレーネ10分x3回を1セットとして3日に分けて3セット行うと、歯はわずかに明度を上昇させる漂白効果(第三者の目見て白くなったことが分かる)を見せた。しかし、漂白効果の範囲は上下3-3に限られるし、なにより労力の割にこれではコストパフォーマンスが悪すぎる気がした。それもこれは、普通の光照射器ではなく、波長を紫外線領域に近づけた特注の光照射を用いての結果であった。得られた結論は、光照射の波長は紫外線領域に近づけた方が結果が出るということであった。ただし、皮膚にあたると日焼け効果がでるリスクがあったので取り扱いは慎重になる。

その後、漂白ジェルに触媒の二酸化チタンを加えたり、化学反応を増強させるために温度を上げる工夫をしてみたりしたものの、目立った改善効果の手応えがなく、落胆してしまった。

海外の歯科材サイトを利用して、高い効果が期待できるオフィスホワイトニング用材料(ブライトスマイルとかオパールエッセンス・エクストラブーストとか)を取り寄せる手もあったが、使用材料を海外製に変えて有意な改善を期待する熱意もなくなっていた。というか、オフィスホワイトニングに飽きてしまった。

そして、当時は入金しても商品が届かない悪質な詐欺サイトが横行していたので購入にはリスクが伴った。実際、私は数万円をフイにしてしまった経験がある。爾来、海外の歯科材料を買うのは信頼のおけるスマイルUSしか利用していない。


現在のところ私にとってオフィスホワイトニングは、ホームホワイトニング前の「助走」として用いるものになった。これは、短時間での歯の漂白を特に期待するものではない。漂白対象とする歯牙に過酸化水素の漂白効果を与えることで、ホームホワイトニングの効果発現を少しでも早くするためのものである。幸いして、これは効果がある。
 
posted by ぎゅんた at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 根治以外の臨床 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月01日

うおおアネジェクトU最高!


これが一番いい.jpg


修理に出していたアネジェクトUがようやく帰ってきた。二か月ぐらいを要した気がする。コノヤローこいつ〜

使い込まれていない中古品のような外観になっており、ぶっ壊れて滲んでいた液晶部は鮮明で、スイッチのセンサー感度もばっちぐう(死語)である。小さすぎず大きすぎず、重すぎもしない慣れ親しんだ重量感が掌から伝わってくる。

早速、局所麻酔で役立ってもらった。かつての使い慣れていた感触がフィードバックしてくる。気分が高揚する。やっぱこいつは診療のパートナーって感じなんである。



さてこのアネジェクトU、もう新品で購入することはできない。
修理対応も、もうサポートが切れてしまうようだ。
次に壊れてしまったらどうしたらいいのだろうか?

そこは心配無用で、同じデザイン思想を受け継いだペン型の電動麻酔注射器をモリタが用意してくれているのだった。

ニプロジェクトペン

ちなみに音楽は鳴らないようだ。
不評な機能だったのだろうか?俺は気に入っているのだが…
 
posted by ぎゅんた at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする