2018年02月17日

(論文紹介)"ENDODONTIC DISINFECTION THE SONIC ADVANTAGE"Clifford J.Ruddle,DDS


【要約】
「disinfection:消毒、殺菌」ということで、根管の消毒についてのReview論文。根管の消毒とは、つまるところは感染源の除去と洗浄であり、著者のラドル先生は可聴域振動(ソニック)根管内洗浄装置である『エンドアクティベーター』を考案し、それを用いた根管洗浄である"3D disinfection"を提唱し、長年にわたって実践されている。

根管は、解剖学的に湾曲や側枝などを有する複雑な「根管系」であり、それが理由で根管洗浄不足や側枝由来の病変が出現したりする。

本論文は、根管治療の良好な成績を獲得するために、これらの存在を考慮した三次元的な根管洗浄が必要であることを説くものである。



【感想】
読むとエンドアクティベーターが欲しくなる論文。いや、注文した

エンドアクティベーターは一昔前に登場した根管洗浄のための器具のひとつであるが、さしたる評価を得なかったようで、日本で購入するには輸入業者を頼らなくてはならない。

優れた根管洗浄とは、適切な根管洗浄行なった後に超音波吸引洗浄を行うべきであると思うが、今のところ簡便で安価な製品が登場しているとは言い難いままである。昔から効果的な根管洗浄として、エンドチップを用いる超音波洗浄があるが、私はこの手法は好きではない。

洗浄効果は、確かに高いであろう。しかし、術者として器具の用意が面倒であること、エンドチップの破折が怖いこと、チップ形状はストレートであるから、少なからず湾曲を有する根管根尖部を洗浄しようとすると根管壁にチップが接触して削ってしまう(無用な根管壁のダメージになりそうだし、スメア層だって生じるののでは)ことが気になるからである。

エンドアクティベーターのチップは医療用ポリマーから成り、弾力があり、少なくとも根管壁に切削的なダメージを与えるものではない。根管内の液体を振動させるだけが目的の非侵襲的なチップになっている。

エンドアクティベーターを用いるタイミングは、根管形成のステップが終わった後であり、本論文によれば、

1.6%のヒポクロで根管内を洗浄する
2.(そのヒポクロを)吸引して除去する
3.17%EDTA溶液を根管内に満たして、エンドアクティベーター60秒間作用させる
4.(そのEDTA溶液を)吸引して除去する
5.6%ヒポクロを根管内に満たして、エンドアクティベーターを30秒間作用させる

とある。

エンドアクティベーターを用いただけでスメア層は除去できないため、EDTA溶液を用いる。スメア層を除去した後にヒポクロを作用させて、三次元的な根管洗浄を終了させていることになる。

私は根管内感想と洗浄液吸引のためのクイックエンド(ヨシダ)を有しているし、根管洗浄に採用している Irrigants もヒポクロとEDTA溶液であるから、エンドアクティベーターの導入はまことに容易いのである。



はやく現物が届くのを待つばかりだ。
ちなみに購入にあたっては、スマイルUSを利用した。いつもお世話になってます。
 
posted by ぎゅんた at 16:41| Comment(0) | 根治(未分類) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

Q.「自然閉鎖かしら 根管口が見つからないわ」


SEC1-0.jpg
A.「どうだ 明るくなったろう」 〜閉鎖根管について SEC1-0


initial treatment canal にしろ retreatment canal にしろ、一見して根管口を見つけられない「閉鎖根管疑惑」の根管と対峙することがある。「きっと自然閉鎖だろう。無理に探索しないで触れない方がいいんじゃねーノ?」なんて構えていても、実際に臨床で直面した時には緊張感を覚えるはずで、嫌なものなのである。エンドに手をつけることになった患歯を前に、意図的に触れない根管を設定することは気持ちが悪いし、予後に不安を覚えるからである。

自覚症状や打診痛がない initial treatment canal なら、最悪、見つけられなくてもなんとかなりそうな気がするが、明らかな感染状態にあったり、その根尖部に病変を抱える根管であれば看過することはできない。根管の中に感染が必ずや存在するために、後々に根尖性歯周炎を惹起してくることが明白だからである。


卑近な例でいえば、このようなケース
うぎゃー閉鎖根管_01.jpg
4根管のようだが、特に近心根の根管が閉鎖しているかのように見える。そしてまた、近心根に根尖部に病変が存在する。根尖病変があるということは、どこかにファイルが通過する道筋があるはずである。

根管口を見つけるために髄腔を整理していったところ、果たして、近心の根管は頬側も舌側も発見できなかった。慢性う蝕の長期的な存在が、第三象牙質となって髄腔から根管を閉塞させていったものと思われる。

さて、どう攻めるか?
Dr.Kimヘッドランプとx2.5ルーペで根管口が存在するであろうエリアを観察しても見つからない。超音波チップで見当をつけて慎重に探索するべきだろうか?この方法は無難な方法だが、集中力が切れると乱雑な操作に化けて穿孔につながりやすい(少なくとも、私は)。

こういうシチュエーションにおいて、目下、私が採っている手法はマニーの21mmの08HファイルをSEC1-0に装着して見当をつけた根管口の入り口付近をノックするものである。うまくいくとプフっとファイルが根管内に入ってくれる。そうしたら08Hの出番は終わりで、Rc-Prep等の拡大補助剤をコートした06Kや08Kに切り替えてネゴシエーションを狙う。SEC1-0の働きは素晴らしく、キツキツで辛そうな素振りをしながらも根尖まで穿通してくれるのである

この後はより慎重に10KをSEC1-0で用いて再び穿通して根管の交通をより確固にし、12KでPatencyが取れることを確認してグライドパス形成に移ればよい。

21mmの08Hを用いるのは「単純に、それで私が上手くいったから」というチンケな成功体験に基づいた理由でしかない。ノックすることで根管見つけてくれればいいだけなので、別のファイルでもできると思う。


卑近な例 その2
うぎゃー閉鎖根管_02.jpg
写真撮影具合がアレで申し訳ないが、MBの根管口を見つけられなかったのでこの手法で探索できた#16抜髄症例。この患歯は第一大臼歯だが、上顎第二大臼歯と第三大臼歯にて稀にみられるタウロドント(広髄歯)と思われる。なんとなく「いつもの大臼歯の髄腔な感じ」と異なっていたのが、発見のし辛さにつながっていた気がする。

SEC1-0+08Hで根管口があるであろう位置をノックしていたらプフッとファイル先端が見つけてくれたので、無事発見とネゴシエーションを達成できた。あとは通常通り、根管を仕上げていくステップになる。




根管口が見つからない場合に根管を探索する場面において、この手法が正しいものか確たる自信はありませんが、紹介まで。

なおSEC1-0についてはこの記事も参照にしていただけると幸いです。いい器具だと思います。



※その昔、生田図南先生がセミナーでSEC1-0について「手で根管拡大をできる先生にとってはスーパーマンになる感覚」と説明されていたのを思い出す。正鵠を得た表現である。当時の私はアホ面を引っさげて「フーン」で済ませていたのであった。なぜ俺はあんな無駄な時間を……
ラベル:SEC1-0
posted by ぎゅんた at 16:50| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月13日

ファッ○ン歯科材料通販会社(泣


IMG_4561.JPG


今日はみなさんにとても残念なお知らせをしなくてはなりません。

ホワイトニングの材料の購入のために、数年前からたまに利用していた通販会社から、入金60日が経過しても商品が送られてきません。あまつさえ、問い合わせの連絡を入れても返事がこない状態です。

最近ホットな(死語)仮想通貨の件じゃねえのか大袈裟な、といえばその通りですし、金額も4500円ですから、ネット通販時代における瑣末な事故みたいなモンで片付けられる案件でございましょう。されど4500円というのは、決して安い値段ではありません。漫画本を何冊も買えるんだぞ!

今まで普通に使ってきただけに、今回は「たまたま」の事案なのかもしれません。詐欺サイトだコンチクショウと断言もできません。いずれにせよ問い合わせの返答待ちなのですが、最初に送って20日、追加で送って1週間が経ってもなしのつぶて。ワタシ悲しい

4500円は勉強代。一応は諦めのつく値段。だからこその所業なのかもしれませんが。

詐欺師は、少額のお金を借りて返すことを繰り返して信頼を得て大きいお金を借りてドロンするもの。数回は普通に取引をして「このサイトは大丈夫」と思わせてドロン作戦なのかしら。しかし4500円でドロンする方もする方だが。分からんなあ……

posted by ぎゅんた at 16:55| Comment(2) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月09日

豪雪でいやんバカ


雪まみれやないか.jpg
もし雪が黒色だったら、圧迫感と閉塞感が更に凄そう


北陸を襲った今回の大雪。

ニュース番組でクローズアップされましたのは1000台以上の車が立ち往生した、福井県坂井市の国道8号線でありますが、そのすぐお隣の加賀市もまた同様に雪でメチャメチャになっていたのであります。そして当院はその加賀市にあります。ニュースに流れていた国道8号は、しばしば利用することのある、馴染み深い道路だったりします。

金沢県ならぬ石川県金沢市もまた、勿論の大雪だったのですが、それでも加賀市よりは積雪量は少なかった。加賀市は、ここ数十年に渡ってさしたる積雪もなかったので油断していたところの不意打ちを喰らったかたちです。先人たちの言葉、「災害は忘れた頃にやってくる」はけだし至言であります。2014年の山梨県の大雪は「たまたま起こった」他人事ではなかったわけです。

日常生活遂行が極めて難しくなる災害時には、たとえば学校なんかは休校になります。仕事も、休みになったりします。そんな中でも休みを取りづらい職種もあるわけで、医療機関はその1つでありましょう。

こんな大雪で患者さんも来られんだろうと思っても、心理的に休診にし辛いのが開業医というもの。今回の大雪は、駐車場に雪が一晩で高さ80センチぐらいが積もるクラスでしたから、それに気づいて除雪に入ったところで出来ることは限られています。それは市内の交通路や住宅地に至る全ての場所に平等でありますから、たとえ自分の活動範囲内の除雪が達成できたとて、他の場所からのアクセス自体が改善されるわけではない。交通麻痺が起こるのであります。クルマ社会の田舎においてこれは致命的です。

果たして、スコップ片手に除雪を開始して駐車場を確保したはいいものの、患者さんは殆どが来院できませんでした。後で知ったわけですが、本当に想像を超えた大雪で市内が雪で埋まっていたのですから当然のことです。そもそも道路まで出られないのです。

患者さんが来院されないのをいいことに雪かきばかりをしていました。診療がないならないで暇で気が狂いそうになるからです。患者さんが来院されないことは、開業医の多くにとって収入を絶たれることに他なりませんから、これまた気が狂いそうになります。

「金銭収入をひとつだけにするべからず」とは、どんなビジネス本やビジネス誌にも常態化して記載されている常識なのだと思いますが、まさにその通りだと思います。「患者さんが来てくれないと始まらない」というのは、冷静に考えると結構なリスクです。多くの先生方が心がけておられることと思いますが、歯科医業を収入の一本柱とせず、不労所得のルートを開拓しておくことは不可欠のように思います。インカム面で常に余裕のあることが、術者の心理的余裕をサポートし良好なパフォーマンスを発揮することにつながるのであれば、そうしておくべきです。

しかしここで焦ると詐欺師に引っかかってクソマンションをクソローンで購入させられたり、手数料ばかりがクソ高い「毎月分配型」の金融商品を買わされたり、ア○ウェイのセミナーに連れて行かれたりするのであります。

少なからず世間知らずなところのある歯科医師にとって不労所得のルート開拓は一大タスク。自著の出版や勤務医を雇っての医院の拡張や分院展開あたりが手堅いところだろうと思います。

雪かきの話をしてたのに、なんでこんな話になってんの。

とりあえずキャンセルラッシュで開店休業状態でしたので、根治にして余裕綽々の時間で処置ができました。点数はさておき、「1時間に1人」の診療は心理的余裕があって、(たまには、の条件付きであるが)いいものです。

処置時間を長くとることが良好な治療結果に直結するものでないことは自明ですが、無用に焦らされる心理的緊張がないことが術者の良好なパフォーマンスにつながることはあると思います。
 
posted by ぎゅんた at 16:02| Comment(0) | 歯科医院について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月05日

こ、これは……ターナーの歯?


エナメル質形成不全.jpg

6歳の男の子の下顎中切歯唇面にこんな所見が!

当然、保護者に説明を求められる。さて、これはなんだ。

学生時代に得た拙い知識を絞り出すと、「ターナー歯(Turner's tooth)」かなと候補が出る。

とはいえ、これは下顎中切歯である。

ターナー歯は、乳歯に生じた急性根尖性歯周炎が、後続永久歯歯胚に炎症性の障害作用を及ぼすことで歯の形成不全を起こしたものである。

ということは、その好発部位は、齲蝕に離患しやすい乳臼歯の後続永久歯である小臼歯ということになる。実際に、学校歯科検診で小臼歯のターナー歯と思しきエナメル質の形成不全を目にする機会は、多いはずだ。

下顎前歯は、乳歯であれど、最もう蝕になりにくい部位のはず。それをして著しいう蝕と急性根尖性歯周炎でターナー歯を発生させることがあるとすれば、口腔内は「お前それ よっぽどやぞ」みたいな事態のはず。

ターナー歯は炎症による後続永久歯のエナメル質形成不全であるが、外傷によってもエナメル質形成不全は生じうる。記事冒頭の写真は、下顎乳中切歯の外傷に起因したエナメル質形成不全ではなかろうか。母親に訊いたところ「記憶にない」とのことであったから、想像するしかないが。


まとめ
永久歯にエナメル質形成不全が存在した場合、ターナーの歯を疑うあまりに乳歯に虫歯があったハズだと疑う姿勢でいると、保護者を不愉快にさせてしまうことが生じうる。

DMF指数が高い口腔内で小臼歯にエナメル質形成不全があるような場合ならターナー歯である可能性が高くなるが、それでも「お子さん、幼い頃に歯を強く打つことはありませんでした?」と訊く方が良いだろう。
 
posted by ぎゅんた at 12:34| Comment(0) | 根治以外の臨床 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする