2017年09月13日

【論文紹介】ウェーブワンゴールドに関するもの

SINGLE-FILE SHAPING TECHNIQUE ACHIEVING A GOLD MEDAL RESULT

ウェーブワンゴールドの開発に携わっている(ハズ)のRuddle先生のポジションペーパー的論文。
いつもながら副題が洒落ている。ウェーブワンゴールドの特徴や見解、使い方が述べられております。

「多分ココは重要っぽい」と思うことをピックアップしていきましょう。


重要そうなこと
1.
レシプロケーティング・モーションは根管壁マイクロクラックの原因になるというのは誤報である。根管象牙質にマイクロクラックを発生させるとするならば、ファイルのデザインやムーブメントに原因があるのではなく、常に術者の使い方に起因するのである。

2.
ウェーブワンゴールド・スモール(20/.07)は「橋渡しファイル」 。グライドパス形成後にこのスモールを作業長まで到達させておくとよい。その次にウェーブワンゴールド・プライマリ(25/.07)を用いることになるにせよ、単純な2つのシークエンスであり、作業長までの拡大も早く安全に達成できる。

3.
なにはさておき、グライドパス形成が不可欠だ。少なくとも0.15mmのPatencyが欲しいが、不変の2度テーパーのすぎない15Kファイルではなくプログライダー(16/.02-08)を用いることが望ましい。

4.
ウェーブワンゴールド・プライマリは、6%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で満たされた根管で、根尖方向に押すような力を加えず使用する。根管から、抵抗と湿地に沈むような感覚があったら根管より引き抜き、ファイルを点検しよく清掃する。(ウェーブワンゴールド・プライマリに限った話ではないが)機械的拡大用ファイルを根管から引き抜いた際に、根管をまず洗浄し、10kでリカピチュレーションしてdebrisを搦め捕りつつグライドパスを確認して(Patencyの確保)また洗浄することは賢いことだ。


5.
ウェーブワンゴールド・プライマリが作業長に達したら根管から引き抜くわけだが、ファイル先端に牙粉が付着していれば、拡大の終了と判断する。根尖部の確認のために、25/.02のステンレススチールファイルを挿入して作業長にピッタリ合致するなら拡大が達成されたとみる。もし長さがオーバーするのなら、根尖部が25号以上に大きいことを意味する。30/.02のステンレススチールファイルを挿入してピッタリ合致するなら、拡大は達成されたとみなす(先端を30号にアジャストして根充すればよい)が、長さがオーバーするのなら、ウェーブワンゴールド・ミディアムでの拡大に移る(もし必要なら「ラージ」も)。



まとめ
wave.jpg

なお、ウェーブワンゴールドが世界的に売れているビッグウェーブ的NiTiファイルかどうかは分かりません。「グローバルエンドにおける人気のNiTiファイルランキング」とかあったら面白そう。

実際のところはどうであれ、当面のところはウェーブワンゴールドを主軸にしていく所存です。
グライドパス形成用NiTiファイルは、プログライダーさんはお暇をとらせ、目下、NEX10/.04と在庫のプロテーパーネクストX1を使用中です。やっぱHyFlexEDM -Glidepath Fileが一番ええんかなあ…


C.J.Ruddle:Single-file shaping technique: Achieving a gold medal result.Dent today .January 2016
posted by ぎゅんた at 08:51| Comment(0) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

使わなくなる手用ファイル

hand-failes.jpg

SEC1-0とNiTiファイルを用いて根管の攻略をすすめるスタイルになってから、手用ファイルの使用が激減していることに気がついた。ネゴシエーションとグライドパス形成を終えたら、NiTiファイルを用いて根管拡大形成(Shaping)を仕上げてしまうプロセスを終えるだけなので、手用ファイルはリカピチュレーションぐらいしか出番がなくなるのである。

手用ファイルはネゴシエーションとグライドパスの確認とリカピチュレーションに用いるのみで、NiTiファイルはグライドパス形成とShapingで使用する 。これは、根管の走行を可及的に損なわないようにしつつ、根管にヒポクロを満たすことと根尖部を化学的に洗浄するふたつを可能とする器を得るためである。単純な根管であれば極めて短時間にこれを達成できる。操作に慣れてくると根尖部を閉塞させたりジップを形成したりPatencyが阻害される嫌なアクシデントに見舞われることが少なくなる。もし生じたとしても、(あまり望ましいことではないにせよ)SEC1-0でリカバリーできる。


用いる手用ファイルは08Kと10K、15Kの三種がほぼ全てであって、それ以外のファイルはベンチを温めている存在に過ぎない。NiTiファイルのラインナップから外れた号数での形成を要求される場面で用いることがあるかもしれないが、そのような場面はとんとないのである。あったとしても、手用ファイルで望ましい形成ができるとは思えないから、使用する意義が薄い気がしている。太い号数の手用ファイルで直線化させてしまうぐらいなら、根管本来の走行を逸脱せずに根尖1/3の形成を(45/.05)程度に仕上げ、根尖部のdebrisを徹底的に洗い流し、ヒポクロで時間をかけて消毒する方が予後が良さそうな気がするのである。このことを裏付ける論文や記述があると心強いのだが、杳として知れない。どこまで拡大形成すべきかは「ホワイトデンチンがファイル先端に付着した号数から三サイズ上まで」と学生時代に習ったアレぐらいしかない。


いずれにせよ、在庫のファイルたちの多くは出番がなくなってしまった。新たに購入することがなくなるのはコスト管理の面からもありがたい(NiTiファイルの購入費用にまわせる)けれども、ずっと減らないままであろうと考えると不憫な気持ちになる。父が使用していたヨシダのジロマチックも大量だ。こんなに在庫があっても俺は使わないし、どうしろっていうの状態。
 
posted by ぎゅんた at 08:48| Comment(10) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

ウェーブワンゴールドに付着する削片の除去について

ネットからパクってきたWG画像.jpg

根管内から取り出したファイルを食器用スポンジに突き刺して削片を除去していたが、Gambarini先生の「MIMERACI」に関する論文【1】を読んで思うところがあった。そこで、ファイルに付着してくる削片の除去について見直すことにした。この論文では使用するNiTiファイルがTFアダプティブであるが、およそ全てのNiTiファイルを使用する際に応用が可能な考えであろう。

こういう場合、手技を増やしたり内容に変更を加える前に「実際に発生している」削片を目で確認して現実を認識することから始めるべきである、と考え、根管から抜き出してきたファイルを水を満たしたボトルに浸けてみることにした。ちっぽけな単根の形成拡大に用いたウェーブワンゴールドのスモールとプライマリを、根管から取り出すたびに水に浸けてシャバシャバと洗ってみた。すると如実にファイルに付着した削片が水の中を舞う姿が認められるのであった。

file with debris.jpg

クソ写真で分かりにくいが、白い削片が沈殿している。この削片は根管内より取り出せたもの相当するが、当然、根管内に取り残された削片や根尖から押し出されてしまった削片が少なからず存在するはずである。

NiTiファイルを根管より引き抜いてから根管口を2.5x程度の拡大ルーペで観察すると、根管壁に湿潤して泥のようになった debris が確認できたりするものであるが、少なくともこれらを根管内より洗い流さないとNiTiファイルを再び根管に挿入することは根尖への debris の押し出しの要因となる。NiTiファイルでの拡大形成時にRC-Prep等のEDTA含有潤滑剤を用いているのであれば、ヒポクロとの接触で発泡するので根管内の debris の排出に有効かもしれない

根管洗浄のステップでは様々な手法が考えられるが、最近の私はヨシダのクイックエンドで注水洗浄してからイリゲーション・ニードルを根尖部に運び、根管壁に接触させない状態でヒポクロを滴下するように出し、クイックエンドで注水洗浄、そして手用10Kでリカピチュレーションすることをルーチンに行っている。エンドチップ等を用いた超音波洗浄はしていない(根管壁に接触したら削ってしまうハズだから)。これでも根尖部の側枝が綺麗になるのか、根充後の確認写真で根尖側枝にシーラーが入り込んでいる像が得られる。

apex_delta.jpg
バックフィリングを失敗しているので気泡がある(AHプラスとウェーブワンゴールドGPプライマリのコンビ)



まとめ
NiTiファイルに付着してくる削片を除去することは、根尖部への debris の溢出(術後疼痛の原因)の面から徒や疎かにしない方が良いようである。スポンジへの抜き差しだけで除去しきれるかは分からないので、
水で洗い流す⇨スポンジ抜き差し⇨アルコールガーゼ清拭
ぐらい徹底しても良いかもしれない。




古典的手法であるオキシドールヒポクロの交互洗浄による相乗的化学効果ならびに発泡効果による削片の物理的除去能は現在は疑問視されている【2】。一方、RC-Prep等のEDTA含有根管清掃補助剤はジェル内部に削片を溜め込む形になるので、ヒポクロとの反応で発泡すれば debris の物理的除去に有効かもしれない、とも考える(過度の期待はできない)。根管洗浄をテーマにした論文はままあるが、EDTA含有根管清掃補助剤とヒポクロとの反応について詳述する論文はまだ探し当てられていない。スメア層除去のための17%EDTA溶液とヒポクロは混ざったら効果がないので、それぞれを用いる際はキッチリ洗い流してから用いることが絶対か、混合すると化学的効果がないばかりか有毒ガスを出すとか、そうした報告はあるので(仄聞)、きっと存在するはずなのだが。

余談だが、RC-Prepとヒポクロで根管洗浄した直後はレジンの接着強さが有意に低下することが知られている(次亜塩素酸の酸素が重合阻害をおこすから、だったような)。とはいえヒポクロを用いない根管洗浄は現実的ではないので、根管充填後に接着操作を行う場合は還元剤としてアスコルビン酸水溶液(サンメディカルの「アクセル」)の適応が推奨される。




【1】Gambarini G,Di Nardo D,Miccoli G,Guerra F,Di Giorgio R,Di Giorgio G,Glassman G,Piasecki L, Testarelli L. The influence of a new clinical motion for endodontic instruments on the incidence of postoperative pain. Clin Ter 2017; 168 (1):e23-27.
【2】Schäfer Edgar.Irrigation of the root canal. ENDO 2007;1(1):11-27
 
posted by ぎゅんた at 08:36| Comment(7) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

レシプロケーティング系NiTiファイルを用いた拡大形成では、根尖に debris を有意に押し出すのか?


W_Primary.jpg

A.「押し出しやすいもの」と考えて使いましょう


根管治療後の術後疼痛に関する論文を適当に渉猟すると、概ね結論は一致している。
それは、根管の拡大形成時に生じる debris が根尖外へ逸出すると術後疼痛が生じるということである。機械的操作である根管の拡大形成の操作によって、少なからずdebris は根尖から押し出しているようだが、術後疼痛出現の有無と出現した場合の程度は、その debris の量と debris 中に含有される細菌の種(炎症を惹起しやすいタイプかそうでないか)に影響される。

根管の拡大形成は、手用ファイルで行うか、ロータリー系NiTiか、レシプロケーション系NiTiかのいずれか、もしくはそれらのハイブリッドで達成されるが、いずれにせよ、いかなる手法においても根尖からの debris の押し出しを避けることはできない。NiTiファイル用いた場合であれば、押し出す量を有意に少なくできることが分かっているが、ロータリー・モーションとレシプロケーション・モーションでの場合に有意差があるかどうかも検証されてきた。

Sebastian らは、in vitro の実験から、レシプロケーション系NiTi(レシプロックとウェーブワン)は、ロータリー系NiTi(プロテーパーとMtwoファイル)に比べて根尖から押し出しす debris の量が多かったと報告している【1】。一方、Gustavo らはレシプロケーション系NiTi(レシプロックとウェーブワン)とロータリー系NiTi(プロテーパー)との間では、ロータリー系NiTiの方がdebrisの量が多かったと報告している【2】。Gambariniらはクラウンダウンで用いるTFファイルとTFアダプティブは、ウェーブワンと比べて術後疼痛の面で優秀な成績を見せたことを報告している【3】。

個人的な感覚では、ロータリー系NiTiとレシプロケーション系NiTiを用いた拡大形成後の術後疼痛は、レシプロケーション系NiTiの方で目立つ印象がある。推測から断定しても仕方がないが、ロータリー系NiTiの方が根尖部に debris を押し出しにくいのではないか。根尖部方向に debris を移動させるのは、ファイルに反時計回りの動きを与えた場合に認められるからである。根尖部の debris のマネジメントの面で、レシプロケーション系NiTiは不安定さがあると考えて良さそうだ。

ロータリー系NiTiの中でもプロテーパー・ネクストは、debris を歯冠側に吐き出すように排出してくる点で際立った存在だ(高価なだけのことはある)。TFファイルやTFアダプティブは使用したことがない。TFアダプティブが高い評価を得ていることは知っている。



私は現在、ウェーブワン・ゴールドを主体に拡大形成をしている。術後疼痛の発現については、生じたにしても鎮痛剤を一回服用したかしないの痛みがせいぜいで、フレアアップは今のところ経験していない。

フレアアップはどんなに注意していたとしても数パーセントの確率で生じるとされる【4】が、データの蓄積と器材の進歩とテクニックにより根尖部のマネジメント手法が確立されてきた現在では、より確率は下がっていることであろう。根尖部に触れる前にいかに上部を清掃しておくか。そして、根尖部からいかに debris を押し出さないように根管の形成を終えて化学的洗浄を達成できるかが肝要である。私個人に限っては、いま述べたことに加えて、ラウンドエンド処理がなされたダブルホールのイリゲーション・ニードルを用いた根管洗浄とヨシダのクイックエンドを用いた吸引洗浄を取り入れるようになってからフレアアップは縁遠いものになったことを実感している。

いずれにせよ、NiTiを用いた機械的拡大形成によって少なからず根尖から debris を押し出してしまうのであれば、可能な限り debris を押し出さない配慮が求められることになる。

Gambarinirらは、TFアダプティブを用いた報告から、NiTiファイルを用いる際に推奨されるテクニック「MIMERACI」を提案している【5】。もうひとつピンとこない頭字語であるが、その内容には着目すべきものがある。

簡単に述べると、根管にNiTiファイルを挿入して1mm根尖側に進んだら根管より取り出してファイルに付着する削片をよく除去し、根管洗浄を行うこと。

である。

根管壁と接触して生じる削片(要するにdebris)は、根管壁とファイルのフルート(刃部の存在するピッチのところ)に挟まれることで、ファイルのフルートに押し込まれるように付着することになる。この状態で拡大形成を続ければ、溢れこぼれた debris が根管内に落とし込むであろうし、フルートに付着した debris を清拭等で除去しなければ、debris の排出能力が低下するだけでなく、根管内への debris の落とし込みにつながる。論文中では、取り出したファイルをスポンジで除去するよう記載されている。デンタルショーなどでレシプロックやウェーブワンのデモで、根管模型より取り出したファイルに付着する削片をスポンジに抜き差しをして除去した覚えのある先生も多いだろう。スポンジを用いる方がアルコールで清拭するよりも除去能力が高いのかどうかは分からないが、いずれにせよ、ファイルに付着してくる削片の除去のステップを安易に考えない方が良さそうである。



【1】Sebastian Bürklein,Edgar Schäfer. Apically extruded debris with reciprocating single-file and full-sequence rotary instrumentation system
【2】Gustavo De-DeusEmail authorAline NevesEmmanuel João SilvaThais Accorsi MendonçaCaroline LourençoCamila CalixtoEdson Jorge Moreira Lima. Apically extruded dentin debris by reciprocating single-file and multi-file rotary system
【3】Gambarini G,Testarelli L,De Luca M,Milana V,Plotino G,Grande NM,Rubini AG,Al Sudani D,Sannino G. The influence of three different instrumentation techniques on the incidence of postoperative pain after endodontic treatment
【4】Siqueira JF Jr,Rôças IN,Favieri A,Machado AG,Gahyva SM,Oliveira JC,Abad EC. Incidence of postoperative pain after intracranial procedures based on an antimicrobial strategy
【5】Gambarini G,Di Nardo D,Miccoli G,Guerra F,Di Giorgio R,Di Giorgio G,Glassman G,Piasecki L, Testarelli L. The influence of a new clinical motion for endodontic instruments on the incidence of postoperative pain
 
posted by ぎゅんた at 08:41| Comment(2) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月27日

グライドパス形成用NiTiファイルをどうするか


ProGlider_Graphic.jpg

「プログライダー」と「HyFlexEDM Glidepath File」は、グライドパス形成用NiTiファイルである。私は手用マニー10Kでネゴシエーションした後に、このふたつのどちらかのファイルを用いてグライドパスを形成してきたが、ふたつの不満を漫然と抱いていた。

1.コストが高くつく
2.破折が怖い

ことである。



コストはともかく、破折が怖いとはどういうことか?
手用10Kをマニピュレーションでネゴシエーションさせた程度では根管はまだ狭く細い。元々が太い根管であれば別だが、テーパーのついたグライドパス用NiTiファイルを用いると、抵抗が強いために一発で根尖まで達しないことがある。グライドパス用ファイルはなるべくスムースに、一発で根尖まで運びたいところだ。湾曲根管で根尖部付近でモタつくとレッジを作ってしまいそうで不安だからである。

そもそもNiTiファイルは、その最大の弱点である破折を防止するために、用いる際は拡大ではなく形成で用いるべきものである。キツキツな根管を削りまくって使用するのは、そりゃ最近のNiTiは破折防止を第一に謳うほど破折しにくい設計にはなってきているし、実際に、シングルユースで使う分にはまず破折はすまい。この場合のNiTiファイルは新品なのだから切れ味も抜群で、拡大+形成を破折しないまま同時に達成できる設計通りの働きをみせるだろう。しかし、破折しにくい材質になったのなら、滅菌して再び使用しようと考えるのは当然のことである。NiTiファイルは刃物だが、刃を研ぐことはできず、切れ味が鈍くなったら破棄するほかないが、それでも、数回の繰り返し使用はできるものだ(再根管治療用に「2軍落ち」させてもよい)。

また、NiTiファイルはグライドパスが形成された後に使用することが原則となっているので、グライドパス形成用NiTiファイルが適応された根管であれば、おおよその拡大がすでに確保された誘導路が用意されていることもあって、ファイルにかかる負荷が小さくて済む。セーフティメモディスクを用いて厳密な使用回数を遵守することは、破折防止により有効である。

グライドパス用NiTiファイルも同様であるはずだが、狭く細い根管に使用せざるを得ない立場上、破折防止を見越して早期破棄せざるをえない。



10KのネゴシエーションをSEC1-0で行うように切り替えてから
手でネゴシエーションを達成させていた頃に比べて余裕をもったPatencyが得られるようになった。従前、手用10Kでネゴシエーションしたあとに根尖より10Kを1mmほど出した状態でファイルを上下運動させてPatencyを確保していた。これと同様の操作を機械(SEC1-0)で行うようにしただけなのであるが、実に手早く楽に確実に達成してくれるようになった。場合によっては良好なグライドパスの目安である、「15Kが根尖までスーッと到達する」がほぼ達成される寸前までの状態になっている。ここまでくれば、グライドパス用NiTiファイルのサイズとテーパーにもよるが、一発で根尖まで到達させる理想的なグライドパス形成が容易になる。

プログライダーやHyFlexEDM_GlidepathFileの他に代替となるNiTiファイル候補は様々あるが、ひとまずGCのNEX 10/.04を用いている。これをROOT ZXと連動させて、メーター値0のところを超えて到達させ、クイックエンドで注水吸引洗浄し、センシアスフレクソファイル10Kでリカピチュレーションしてグライドパス形成を終える。そして15Kがスムースに根尖まで達するかをチェックする。



先端径(D0)とテーパー
プログライダーは16/02-08.5であり、HyFlexEDM_GlidepathFileは10/.05である。狭窄根管の場合、プログライダーの方がスムースに根尖に到達する感じがするが、これはテーパーの関係と思われる。プログライダーは可変テーパーで先端付近は細くしなやかである。GCのNEX10/.04は折衷案といえなくもない。

プログライダーのD0は16号であるから、根尖から通過させると、根尖孔を15号以上に拡大することになる。Patencyの号数はどうあるべきかについて定まった統一見解はないようだが、15号が根尖を通過する程度の侵襲は根管治療にさしたる影響を与えるものではないとPatencyやGlidepathに関する論文で述べられている。別に問題はないとしても根尖孔はなるべく触らないようにしようと考えることもできるわけであるから、D0が15号以上のグライドパス形成用ファイルを用いる場合は根尖から出さない方が良いだろう。根尖の拡大号数が大きなグライドパスである方がその後の拡大形成に用いられるNiTiファイルが根管の走行から逸脱しにくいメリットが得られるようだが、さりとて20号以上のPatencyはやりすぎの感がある。15号のグライドパス形成でさしたる不都合がないなら15号にとどめるべきであろう。根尖部を大きく拡大した場合、根尖部のdebrisの目詰まり防止や根尖部の洗浄効率の向上のメリットが得られるにせよ、形成用NiTiファイルを根尖から突き出してしまう不慮の事故が起こりやすくなる。こうなると根管の拡大修正が追加で必要となってくる。仮に25号以上のPatencyがあったとしても根管治療が失敗に終わるわけではないが、根尖付近のマネジメントがセンシティブさを増すだけなので、根尖部のバイオフィルムを感染象牙質の意図的拡大除去を必要とする場面を除いて、根尖孔を15号以上に大きくしない方が良いであろう。



拡大形成のステップへ
グライドパスが形成できれば、この後の拡大形成シークエンスはそう難しいものではない。やることは決まっており、やるだけの準備が整ったからである。慣れてくるとグライドパスの形成が終わったタイミングで気持ちが楽になり、緊張感から少し解放されて楽になることに気づくようになる。

拡大形成時に特に気を配るべきであろうことは、

根尖からNiTiファイルを押し出す誤操作を起こさないこと、
根尖部のdebrisを吸引を加味した根管洗浄積極的に排出根管より排出させること、
ファイルの交換の合間には10Kでリカピチュレーションをすること、
根管形成はヒポクロを満たすための器作りの側面があるが、そのヒポクロを十分に作用させる時間を確保すること、

ぐらいのものである。



※個人的な好みでリカピチュレーション用ファイルとして使用しているだけで特別な意味はない。センシアスフレクソファイルのヘッドのハンドルは大きめのシリコン製であり、SEC1-0に使用するころはできない。COOLな外見、シリコンハンドルのさわり心地の良さ、ファイルで煩雑になりがな作業スペース域で発見しやすい点がお気に入り。グライドパス確認用としての15Kを購入しようか思案中。


【参考文献】
Luciana Silva,Rodrigo Vance,Carlos Santos,Felipe Anacleto. Effect of apical expansion in decreasing micro organisms:a literature review.
I Cassim,P J van der Vyver. The importance of glide path preparation in endodontics:a consideration of instruments and literature.
Clifford J. Ruddle, Pierre Machtou,John D. West. Endodontic canal preparation:innovations in glide path management and shaping canals.
ラベル:HyFlex
posted by ぎゅんた at 22:07| Comment(4) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする