2024年02月01日

うおおアネジェクトU最高!


これが一番いい.jpg


修理に出していたアネジェクトUがようやく帰ってきた。二か月ぐらいを要した気がする。コノヤローこいつ〜

使い込まれていない中古品のような外観になっており、ぶっ壊れて滲んでいた液晶部は鮮明で、スイッチのセンサー感度もばっちぐう(死語)である。小さすぎず大きすぎず、重すぎもしない慣れ親しんだ重量感が掌から伝わってくる。

早速、局所麻酔で役立ってもらった。かつての使い慣れていた感触がフィードバックしてくる。気分が高揚する。やっぱこいつは診療のパートナーって感じなんである。



さてこのアネジェクトU、もう新品で購入することはできない。
修理対応も、もうサポートが切れてしまうようだ。
次に壊れてしまったらどうしたらいいのだろうか?

そこは心配無用で、同じデザイン思想を受け継いだペン型の電動麻酔注射器をモリタが用意してくれているのだった。

ニプロジェクトペン

ちなみに音楽は鳴らないようだ。
不評な機能だったのだろうか?俺は気に入っているのだが…
 
posted by ぎゅんた at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月27日

上顎結節伝達麻酔(後上歯槽枝伝達麻酔)のススメ

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卒後に購入して、いまだに愛用している本

局所麻酔で重要なのは「痛くなくてよく効く」浸潤麻酔である、と我々は考える。その通りである。痛くない麻酔は、望まれる歯医者のひとつの条件であることは間違いない。歯科医師は、その職業人生の中で常に「痛くなくてよく効く麻酔」を追求していべきであると思う。効くのが当たり前になったら、次はより少量の注射量で効かせられるように、という風に。

その一方で、伝達麻酔がおろそかになっている歯科医師は少なくないのではないか、とも思う。卑近な話で恐縮だが、私の母校や研修先、関連バイト先の医院など、あらゆる臨床の場で伝達麻酔を行なっていたドクターの姿を見ることはほとんどなかった。理由を訊けば、浸潤麻酔で十分に麻酔効果が得られるし、伝達麻酔は偶発事故のリスクがあるから、と判で押したような返事であった。しかし私は見たのだ。局所麻酔効果が満足に得られず、何本ものカートリッジを浸潤麻酔に費やしていたドクターの姿を…。後輩の手前、「伝達麻酔はあまり経験がないから、効かせられる自信がないんだよね(テヘ)」とは言えなかったのだろうと述懐するのである。もしそうなら、伝達麻酔に興味を示しているその後輩と一緒になって伝達麻酔の習得に励めば良いだけなのに、とも私は図々しく思う。

いずれにせよ伝達麻酔は、我が母校では(今は知らないけれど)不人気なテクニックだったことは間違いない。外来で下顎孔伝達麻酔をしていると「アイツいつか事故をおこす」と陰口を叩かれる始末だった。テメエの母校の口腔外科の実習で習ったんだろうが


さてその伝達麻酔、われらが歯科業界では「伝達麻酔≒下顎孔伝達麻酔」と捉えられるきらいがあるのだが、歯科における伝達麻酔は他に眼窩下孔伝達麻酔やオトガイ孔伝達麻酔や切歯孔伝達麻酔に大口蓋孔伝達麻酔、また頬神経伝達麻酔や上顎結節伝達麻酔らが存在する。

その中でも私が今回の記事でお伝えしたいのは、上顎結節伝達麻酔(Posterior Superior alveolar nerve block)についてである。

このテクニックで得られるのは、上顎大臼歯歯髄、同部の頬側歯肉と骨膜、歯槽骨に局所麻酔効果である。注意したいのは、上顎第一大臼歯のMB根が中上歯槽枝の支配下にあることから追加の浸潤麻酔が必要となる場面があり得ることであるが、少なくとも上顎7番であれば、修復処置から抜髄をこの伝達麻酔だけでまかなうことができる。

そんなら浸麻でいいじゃん。
と、あなたは思うだろう。実際、下に比べ上顎の歯槽骨は大臼歯部も多孔性で局所麻酔薬が浸透しやすいことから浸潤麻酔の効果は得られやすい。初心者の頃に上顎智歯の抜歯で、ビビりながら浸麻をして、無事に無痛的に智歯を抜去できて「俺って麻酔も上手じゃん!」と小鼻を蠢かせた先生は私を含めて多いはずだ。あれは、智歯の遠心あたりに注入した局所麻酔薬が患者を水平位にした際に重力によって上顎結節→歯槽孔に至り伝達麻酔効果が発現したからである。

まずお伝えしたいのは、この上顎結節伝達麻酔は浸潤麻酔の拡張版と捉えればよいことである。つまりは、先生方が普段に習熟されている浸潤麻酔の延長線上にこのテクニックがある。難易度は高くないということであり、局所麻酔の引き出しを増やすことができる、ということである。

次にお伝えしたいのは、浸麻針の刺入点を歯肉境移行部に一箇所だけで麻酔が済むことである。これは、表面麻酔による針の無痛的な刺入を可能にしやすいことと、(浸潤麻酔時であれば)歯肉への新たな刺入と局所麻酔注入を必要としないことを意味する。特に後者は重要で、治療部位が刺入による出血の汚染を避けられるので、綺麗な視野で作業ができる気持ちの良さがある。含有エピネフリンによる歯肉貧血現象がないことから、「本当に効いてるのか?」と不安になったりもするが、それは術者側の一方的な認識にすぎない。局所麻酔というのは安全に無痛的に処置ができれば良いのである。


具体的な手技は、先生方の学生時代の教科書に記載があるとおもうのでそれらを参照にされたいが、私なりの手技としては以下のようになる。

1.施入部位を第二大臼歯DB根付近に求める(刺入したらそこに0.05mlほどを注入しておく)
2.刺入した先の方向は、まず咬合平面に対して45度さらに矢状面に対して45度の角度である
3.針は概ね15mmも刺入すれば十分である
4.注入量は1.8mlも要らない
5.2、3分待つ

効果の発現のほどは少し分かりにくいが、処置を行なって患者さんが痛みを訴えなければOKである。
もし痛みを訴えられたら、手順1で設けた浸麻ポイントを利用して浸潤麻酔に移行させればよい。

ちなみに上顎結節伝達麻酔は下顎孔伝達麻酔や眼窩下孔伝達麻酔とは異なり保険算定上の点数はない。
だからといってそのことに腐らず、先生の局所麻酔の手技のひとつとして習得していただきたい。上顎678部の急性炎症で苦しむ患者さんの局所麻酔や除痛に貢献する場面だって訪れようというものだ。



《参考文献》
処置別・部位別 歯科局所麻酔の実際
歯科診療で知っておきたい疼痛管理と全身管理の基本
posted by ぎゅんた at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月03日

凄いぞORA DENTAL TOPICS〜歯科麻酔の知識はこれで整理しよう

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歯学部5年生の頃、背伸びしてデンタルショーを訪れたことがあります。
広い会場には「世の中にはこんなに歯科材のメーカーがあるのか!」感嘆させられるほど多数のメーカーブースがあり、入場者数もトンデモナイ数での大盛況、まさに豪華絢爛、歯医者さんのお祭りフェスティバルここに極まれりと感慨深く思ったものであります。

そのなかで昭和薬品のブースで見かけたのが、今回ご紹介したいODTです。
オーラ注のパンフレットの横に置いてあった記憶があります。
どのバックナンバー出会ったかは忘れましたが、ちょうど臨床実習もあって局所麻酔に関心が強かったもので、私は思わずODTの冊子を手にとってしまった。熟読したくなったのであります。

ブースの担当者の方に歯学生なんですけれども・・・と尋ねましたところ、うちの製品に興味を持ってくれてありがとうございます。どうぞどうぞ!持っていって!と手渡してくれました。一介の歯学生にとって、こうした対応がどれほど嬉しいものであったでしょう。個人的に局所麻酔の分野が好きなのは、こうしたアナログな原体験が大きく影響しているのは間違いありません。


さてそんなODT、その後も次々と新しいトピックが登場していきまして、いまやNo.27まで刊行されております。嬉しいのは、このODT、昭和薬品さんに資料請求すればバックナンバーを読めることでありましょう。全てのバックナンバーを読破すれば、およそGPとして必要十分なだけの歯科麻酔の知識の整理ができるのではないか、と思います。

とかく歯科麻酔の分野は基礎っぽくて敬遠されがちですが、患者さんの安全にこれほど寄与する分野もありませんから、習熟しておくことは不可欠です。

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とりあえず昭和薬品のサイトのフォーラムからODTを図々しくも全冊の資料請求したところ、専用クリアファイル仕様で届きました。神対応すぎる。ぼく昭和薬品さんに一生ついてきます…。


もしこのブログを読んでいる現役歯学生諸氏がおられたら、是非、デンタルショーに足を運んでみてください。早く歯科医師になりたい!と新鮮な刺激が得られると思います。

新型コロナ騒動が去れば再びデンタルショーが開催される日が来るでしょう。楽しみです。


ぎゅんたは昭和薬品を応援しています。
 
posted by ぎゅんた at 08:43| Comment(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月31日

(続報)やっぱオーラ注やで!

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浸麻のカートリッジをエピリドからオーラ注に完全に切り替えて1週間が経ちました。
理屈は皆目わかりませんが、やっぱりオーラ注はエピリドに比べて麻酔の効きが良いです。
気のせいではないと思います。相性が悪いのでしょう。

とりあえず当院の浸麻のカートリッジはオーラ注とスキャンドネストの二本立てでいきます。

今までありがとうエピリド。
posted by ぎゅんた at 22:08| Comment(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月09日

エ、エピリドさんアンタ……疑惑

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まとめ
エピリドはオーラ注比べて効きが弱い気がするぜ!

ここ1年ほど、当院では主たる局所麻酔薬にエピリドを使い続けてきました。出入りの材料屋さんから「今お使いのオーラ注よりも、購入時の価格が100円以上安くなりますよ」という触れ込みがあり、切り替え採用した経緯があります。購入費が安い薬剤というのは、要はジェネリック品を意味するのであります。

オーラ注自体も、本来のキシロカインのジェネリック品のような存在だと思います。
このオーラ注、私の記憶違いでなければ、発売されたときの歯科医院の喜びは大きかったように思います。局所麻酔に伴う諸経費を軽減できる一手だったからです。実際に、殆どの歯科医院はこのオーラ注に切り替えたのではないでしょうか?

そんな中にあって「オーラ注よりもまだ安い」局所麻酔があるとなれば、更に乗り換えてもおかしい話ではありますまい。
ただしこれは、従来の局所麻酔と同様の取り回しと局所麻酔効果を有することが重要な前提となります。エピリドは、果たしてどうなのか?

果たして、今回の記事で述べる内容は、私個人の勘違いであることを祈るばかりですが、密かに同意を求めたい気持ちも込められています。

それは、エピリドはオーラ注に比べて僅かな差ではあるが、効きが弱いように感じる、という疑念であります。オーラ注の効きが100とすれば、同条件でエピリドは85-95、そんな感覚があるのです。

んなもん術者の浸麻技量がヘボだからだろう、と述べられたら「そうだよね、うん……」と同意せざるを得ないところがあります。歯科局所麻酔というGPにとってのルーチンワークとも言うべき臨床手技は、ともすれば自分の場合は漫然とした姿勢になっているのではないかといつも気がかりであるからです。そこまで私は自分の技量を信じていないところがあるのです。

オーラ注に戻してからは、局所麻酔の手技は同じでありながら効きが良いように実感しております。「こんな感じで効いてたよね」感があります。

ところでエピリドは、ニプロ輸入モリタ扱いの局所麻酔薬なのですが、記憶違いでなければ生産国は韓国だったはず。オーラ注は昭和薬品が自社製造しているようです。

韓国製の医療プロダクツは、超一流ではないかもしれません。けれども、Ciメディカルでも多く取り扱われているように、コストパフォーマンスに優れた2級品以上のクオリティを有するユーザーフレンドリーなものが多い印象です。エピリドは韓国製だから効かない、という浅薄な結論は出せません。値段なり、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが。

とりあえず現在、当院で採用している局所麻酔薬はオーラ注とスキャンドネストの2種類。
保険の改定に伴って、浸麻時に局所麻酔薬の点数を算定できる場面が増えてくれたのはありがたいところです。その点数差は1点ですが、それならもう、オーラ注に戻してもいいでしょ、という塩梅。
 
posted by ぎゅんた at 01:00| Comment(0) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする