2017年12月06日

コメディカル向けな糖尿病の勉学の勉強会




平日夜、その地域の中核病院の会議室の一角にて研修会および勉強会が行われていたりするものです。学会のような本格的な学術研鑽の場ではありませんから、簡単な症例発表や、対象とする疾患についての医学的対応について医療従事者が知っておくべき知識の共通化を目的としたものが多いです。製薬会社が主催する製品プレゼンも含まれます。

歯科医師がこうした場に参加するのは、やはり限られたことであります。口腔外科を有する病院でもなければ、歯科医師という存在は病院の外の人にすぎませんから、え、誰?みたいな疎外感を回避することはできません。

さてそんな扱いの歯科医師ですが、総会屋よろしく場を滅茶滅茶にする役割が期待されているわけではなく、歯科的アプローチと関連ある疾患の場合に「参加して一緒に勉強せえへんか?」と招待されるにすぎません。たいてい、地域の所属する歯科医師会経由で案内がきます。もしくは、その病院に勤務されている看護師さんからお誘いがきます。看護師さんはおしなべて勉強熱心なのであります。

そんなかんだで参加してきた糖尿病協議会主催の研修会は、しかし、参加している歯科医師は誰もいませんでした。医師の姿が数人、ほとんどは看護師さんで、次いで薬剤師さんと行政の健康課職員さんらが席を埋めているのでありました。

研修会のお題目は「糖尿病性腎症の重症化予防を目指して」でした。糖尿病の恐ろしいところは、つまるところ合併症をいかにして防ぐかであり、ことに人工透析一直線となる糖尿病性腎症をいかに防ぐかは、高騰し続ける医療費問題の観点からも極めて重要であります。ちなみに糖尿病の医療費よりも人工透析患者にかかる医療費の方が大きく(糖尿病が約1.1兆円で人工透析が約1.5兆円。歯科の規模は相変わらず約2.5兆円で、保険改正があろうともこの範囲に収まるような調整になっている)、加えて透析患者の数は年々増加しています。糖尿病によって人工透析になる患者さんの数を減らすことは喫緊の課題と言えるわけです。

糖尿病は「インスリンの作用不足よる慢性高血糖を主徴とする疾患群」であり、そのインスリンの作用不足には、特に2型糖尿病において炎症性サイトカインによるインスリン抵抗性の増大が大きく関与していることは歯科医師なら誰でも知っていることです(この辺の理論は西田亙先生の『内科医から伝えたい歯科医院に知ってほしい糖尿病のこと』に詳しい)。

従って多くの歯科医師の先生方は「よっしゃ俺たちに任せろ!歯周病や根尖病変といった慢性疾患を口腔領域から取り除いて血糖値を下げるアシストをするぜ!」と俄然やる気になるわけです。歯周病の治療や予防が糖尿病を完治させたり発症を防ぐことに直結はしないにせよ、無用な炎症を口腔領域から追い出すことは全身の健康のために欠くべからざるアシストになるからです。

おおかた、話のオチが読めてきたと思いますが、この研修会で歯科についての言及は殆どありませんでした。腎症についての高度に専門的な話が主体でした。少し舟を漕ぎました。「歯周病治療を行うことによって血糖値の改善が図られるから、歯周病の有無の確認のみならず歯科医院への定期的な受診を促すよう指導が必要云々」程度の発言があるかと思っただけに意外です。

「どうして患者さんに歯周病の治療を薦めないんですか?」と空気読めない電撃発言をしてやろうと思いましたが勇気がないのでできませんでした。ぼくは鉄の心臓が欲しい。

歯周病と糖尿病の関係について、歯科医師以外はあまり明るくないのかもしれません。歯科領域と全身とは、どうも切り離されて捉えられている気がしてなりません。

コントロール不良の糖尿病患者さんの初診時の随時血糖値を簡易血糖値測定器で記録し、歯周初期治療後の随時血糖値と比較するだけの簡単なデータでも集めてみると面白いかもしれません。なんだかんだで数字のデータがモノをいうからです。HbA1cとCRP値の変化はみてないの?ときついツッコミが来るのが目に見えてますが……

posted by ぎゅんた at 16:16| Comment(2) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月03日

【オーラルID】口腔がん早期発見セミナー【株式会社NDC】


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購入して独学だけで使用し続けるのもアレなので公式セミナーに参加してきました。

世界に誇る大都会は東京の八重洲です。北陸新幹線で一発アクセスができるのはとてもありがたいことです。移動時間の大部分を読書に充てられるのでお気楽この上ありません。しかしハンカチも持たない鼻垂らした田舎のおっさんにとって都会は人が多すぎて気圧されっぱなしで道の隅をコソコソ歩くネズミみたいな存在で、逃げこむように入ったセブンイレブンの店員さんが中国人のねーちゃんで片言会話にドキドキさせられたりと気が休まることがないのが泣き所。東京駅とかダンジョンです。頭おかしい。

そんなことはどうでもよくて、オーラルIDは感度が高く特異度が低く、口腔がんのスクリーニング機器としてバランスよく仕上がっている機器であることが分かり、また、口腔外科医がどのように用いて診査しているかを学べました。やはりこういうのは、独学だけでは知り得ない知見ですから参加して良かったと思います。NDCの担当者に懇願してA4サイズのビラもいただきました。ぜいたくを言えばリーフレット形式の方がコンパクトで洒落てますし、歯科医師も馴染みがある媒体ですから扱いやすいのですがないものは仕方がありません。今後、作成されるかどうかはわかりません。


液状細胞診
さてオーラルIDを導入して、「や、これは怪しい!?」粘膜病変と遭遇した場合には、液状細胞診を行える体制も整備されています(有料)。気になるのは、もし液状細胞診を行なって扁平上皮癌だという病理診断が下された時に治療までできる開業医は残念ながらまずいないと思われることです。こうなると最初から、信頼できる口腔外科医に紹介する方が早くて確実な結果につながるのではないかと考えてしまうわけで、液状細胞診の使い所は少し難しい気がいたします。

ところで、開業医が液状細胞診を行うことには保険点数の評価があります。

細胞診(穿刺吸引細胞診/体腔洗浄等):190点
口腔病理学判断料:150点 ←病理診断を担当する歯科医師が勤務していないから「診断料」ではなく「判断料」

幸いにして赤字にはならないのはうれしい限りです。

液状細胞診は、患者さんと強固なラポールがあり、細胞診を行うことを理解・希望された患者さんに限定して行われるべきかなと勝手ながら考えます。

ウーム果たして当院で実施される日はくるのだろうか。

ラベル:Oral ID
posted by ぎゅんた at 18:25| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

メディナプレミアムセミナー 口腔ケア&口腔リハビリの2日間コース


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高齢者や要介護者口腔ケア咽頭ケアの必要性を痛感したので参加。
会場が新横浜という大都会の一角。田舎モンの私は群衆と高層ビル群に気圧され、道の隅を歩くのであった。

加藤武彦を教祖とする宗教集団みたいな独特の雰囲気があり、進行がグダグダだったりアレ感が漏れていたものの、口腔と咽頭のケアに対する真摯な情熱に溢れているセミナーであった。


口腔ケアの真髄は、ことに咽頭ケアにあるのだが、それに必要なファンファンブラシなるアイテムが必要なようだ。しかしこれは、別途、販売の資格を得るために必要な実習やセミナーに参加しなくては購入できない。販売元のオーラルケアに問い合わせたら「素人がいきなり使うには危険すぎるから、許しがないと販売できない」という。そして本セミナーはその条件を満たさない。ふぁっきん!


本セミナーを受講してなんとなく得られた知見はいくつかある。
咽頭ケアは極めて重要で、歯科医療と介護の領域における盲点であり続けているし、その解消は喫緊の課題である。しかし現実的に、まず我々歯科医に求められることは、使用中の義歯の不満点を即日に解消できる知識と技術があること、「噛める」義歯を提供できること、患者に寄り添った診療のために犠牲的精神を発揮できること、である。

口腔ケアにしろ咽頭ケアにしろ、やはり歯科医師が(自院で)待ちの姿勢ではなく、外へ出かけて行く積極的な姿勢の中で実施されるものであろう。往診ならびに訪問診療でこそ活躍してくる毛色が強いものだ。その場合に避けられないのが義歯である。使用中の義歯に悩む患者さんは想像以上に多い。日本の歯科医師の義歯の腕が落ちたこともあるし、昔と違って歯を抜かず限界まで保存することから、義歯が入るタイミングには顎堤が失われている(理想的な条件で義歯を作成しにくい)ことも考えられる。こうしたこともあって、義歯の悩みをたちどころに解決できる歯科医師は、すべからく貴重な人材である。一方、いかに良好な義歯といえども良好な口腔内環境が必要だ。口腔ケアと咽頭ケアは、ここに関与してくる。どちらも重要なのである。もっとも現実的には、まず良好な義歯を実現できる腕をもつ歯科医師であることが優先されるだろう。耳が痛い人は私を含めて多いかもしれない。

そんなわけで、訪問診療だ口腔ケアだといきり立つ前に、まず自分自身が「義歯の良き担い手」となることがなによりも先決であると強く認識させられた2日間コースであった。なにもかもが、足りんなあ……



セミナー中に登場した論文
脳卒中後嚥下障害のリハビリテーション 水飲みテストだけで評価し,起立訓練により改善
セミナー中に登場した本
間違いだらけのリハビリテーション

 
posted by ぎゅんた at 23:23| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月13日

骨粗鬆症エキスパートセミナーとポジションペーパー2016

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ビスホスホネート製剤「ボナロン」の製薬会社である帝人ファーマ主催のセミナー。骨粗鬆症治療の現在の解説とボナロンがいかに優れた製剤であるかのポジショントークが混じった講演になるのかと思って参加したが、それは杞憂であった。参加して良かった。現状が知れたからである。また、デノスマブ(骨粗鬆症治療で「プラリア」、悪性腫瘍で「ランマーク」)でもBRONJと同様の顎骨壊死(DRONJ)を起こすことも明らかされた。なお、BRONJもDRONJ も破骨細胞による骨吸収抑制をターゲットとした薬剤に起因することから、両者を総称してARONJと呼称するようです。


BRONJが歯科界で報告されトピックとなった時の歯科医たちの間走った戦慄を今も覚えている。「ビスホスホネート製剤(以下、BP製剤)を服用している患者さんの歯を抜歯すると顎骨壊死を起こす」との報告によって歯科界がパニック状態に陥ったのである。当時の歯科医のほとんどは骨粗鬆症の治療についても明るくないしBP製剤ってなによ?みたいな状況でしたから、「抜歯によって顎骨壊死が生じる」激烈なインパクトもあってパニックに拍車をかけた。

その後、BRONJに関する報告と周知の徹底によって自体は沈静化し、現在に至っております。

私を含めて、市井の開業医のBRONJへの対策はどのようなものかを考察いたしますと、以下に述べる点でまとまっているのではないでしょうか。

1.BP製剤を三年以上服用している患者さんでは、抜歯をしない(保存処置で対応)
2.抜歯する場合は、3ヶ月の休薬を行う
3.ビスホスホネートの注射を受けている患者さんは年数に関係なく抜歯できない

頷かれる方もおられましょうし、否定される方もおられましょう。
結論から述べると、三年以上の服用既往があっても抜歯できますし、休薬させる必要性もありません。感染に充分に配慮して抜歯し、創部を縫合で閉鎖させればBRONJを予防できることが確立されたからです。



本態的には感染による骨髄炎が主体
そもそも「顎骨壊死」の言葉が一人歩きしたばっかりに、歯科医が抜歯に及び腰になってしまっているのが実情のようです。実際は外科処置後の創部の感染修飾による骨髄炎が主体で、その結果、腐骨形成といった顎骨壊死が生じるのです。ここまで「広まってしまった」以上の、いまさら名称の変更はできないそうです。

結局のところ、抜歯など観血処置の後に感染させなければ良いようです。
口腔ケアを含めた口腔内の清掃の徹底と、術前の抗菌薬投与、抜歯直前に患歯周囲の歯石除去を行い、抜歯創を縫合によって閉鎖させることで、たとえBP製剤を三年以上にわたって服用している患者さんであろうがBRONJを確実に予防できることが分かっているようです(N数の多い信頼できるデータが集積されている)。休薬によって骨粗鬆症の人が骨折するリスクと不利益を無視できないことと、休薬によるBRONJを予防できる確たるエビデンスがないことがこれを後押しします。

勿論、すべての場合でこのような単独対応ができるわけではありません。医科-歯科連携の上での対処が求められます。抜かなくてはならない歯があれば、抜かなくてはならないのです。

10年以上の経過の中で集積されたデータを元に明らかにされた事実の蓄積が、BP製剤に対する現場の恐怖と混乱を払拭しはじめています。口腔外科医であれば、ARONJの知識は最新のものにアップデートされているので、自院での対応に不安があれば、口腔外科に紹介することなるでしょう。だからと言って、最新の知識を知らずにいてよい道理はありません。少なくともポジションパーペーを一読しておくべきです。極めてコンパクトにまとまっていると思います。

ポジションペーパーはここでPDFで読めます。ええ時代やで
顎骨壊死に関するポジションペーパー(日本口腔外科学会)
『骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016』
 
posted by ぎゅんた at 14:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月18日

な、なんじゃこれはーっ!!

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終了証とステッカーが届きました。

日歯の生涯研修にソコソコ参加してることを実績として評価してくれたようです。小学校5年生のときに飼育委員を少し真面目に活動したら表彰されたのを思い出す。単に無料だから(会費の)元を取ろうと参加できるもんはしていただけなのだが、まあいいか。

しかしこんな丸シールをもらってもどうしろと。
表彰状の方は額縁で武装すればサマにもなろうが、シールは使い所が難しいやね。

自動車のヒュエルリッドに貼り付けたらエエかもしれんと試してみた。
写真 2016-08-02 12 58 53.jpg
しかしサイズと形状が不一致で断念。美しくない。
ヒュエルリッドに貼り付けた車で歯科医師会に乗り付け、先生方から羨望の眼差しをもらう野望は潰えてしまった。残念無念。
 
posted by ぎゅんた at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする