2017年12月26日

ラバーダムシートの色はどないしょ〜ブラック ラテックス デンタルダム


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私が初めて触れたラバーダムシートの色はライト(肌色みたいな色調)であった。学生実習の時のラバーダムシートは、いつもこの色なのであった。つまり、当時を思い出してゲロを吐きそうになるので、金輪際、私はもちいることはない。

研修医であった時分に、ロエコ社の蛍光パープルな、やたら大きくて進展性のある「洋モノ」なラバーダムシートを愛用していた記憶がある。あるときフロアを取り仕切る歯科衛生士長に「先生、そのシートすごく高価なんですよ」と耳打ちされたことはあるが「誰もラバーダムしてねえじゃねえか」というようなことを、もうちょっと紳士的な表現で返答した記憶がある。今となって、私は彼女の気持ちが理解できる。当時のペーペーな私のような「張り切ってラバーダムしている以前の状態」な歯医者には過ぎた代物だったことが明らかだからだ。ラバーダムをかける行為に満足して、肝心の、術野-患歯における軟化象牙質除去を等閑にして「治療」したいたのだから……。「ラバーダムをかければ意識が患歯に集中するのだから、軟化象牙質を取り残すなんてとんでもない!」と甘く考えていた私がとんでもないのである。

目下、私が愛用しているのは昔からFEEDで取り扱っているデントレックス・デンタルダムの中厚5インチ(青色)である。もうちょっと安いサンクチュアリのラテックスデンタルダムの中厚5インチ(緑色)も購入してみたが、なんとなくシートが硬い感じがで、デントレックスのシートの方が好みである。意外と操作感に差があるのだ。



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神経質な感染根管治療のお供に


いつもお世話になっているFEEDで「黒色ラバーダムシート(サンクチュアリ)」の存在を知った。

ラバーダムシートの色に求められるのは、患歯への集中のためにコントラストをつけることである。薄い色のラバーダムシート用いるとコントラストが弱いのがわかる。なるほど黒色のシートであれば、白色基調の歯牙と対をなすコントラストではあるだろう。ダイレクトボンディングにおける修復後の「美術品」的写真を撮影するときには、黒色の背景を用意してブラックフォトにするものであるが、黒色のラバーダムシートには、そのような「魅せる」要素も込められているのだろう。

ラバーダムシートといえば、ライト(肌色)か青色か緑色が普通のように考えていただけに、黒色のラバーダムシートはユニークさを覚える。黄色のスイカがあるんだから黒色のラバーダムシートがあってもいいじゃないかと、ユニークな人が考案したのかもしれぬ。しばらくしたらコントラストを捨てて透明に近いクリアなラバーダムシートが登場するかもしれない。サランラップでやれという無慈悲なツッコミは不可。


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シェードのアンマッチもバレます


取り寄せたサンプル品が届いたので早速、使ってみよう。
シートの厚みは0.2mmであり、気持ちの良い進展性がある。6インチのシートはGAIJIN規格っぽい大きさであるが、シートをフレームに張る作業に余裕が出る面で楽である。

「黒は女を美しく見せるのよ」は、『魔女の宅急便』に登場するオソノさんの有名なセリフだが、黒色ラバーダムシートは歯を美しく見せはしない。コントラストがハッキリして、存在感の増した患歯が真顔で佇んでいるだけである。つまりは黒色のラバーダムシートによるコントラスト効果は抜群なのであって、患歯に意識をこれ以上なく集中させることができる。

作業野が黒色の世界になるから、あたかもゴミ袋の中で探し物をしているような妙な心境になるが、自分の治療の足を引っ張る因子ではない。患歯を綺麗に仕上げたい気持ちを後押ししてくれるアシスト効果が期待できる上に25円/枚程度のコストなので、臨床をより楽しくするためのアイテムのひとつに加えて良さそうだ。6インチのものしか選べないのはやむなし。

 
posted by ぎゅんた at 12:47| Comment(2) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月13日

(所感)ニシカキャナルシーラーBG


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赤色だったら『ウルトラマン』みたいなセンスのパッケージング


在庫が切れるAHプラスの代わりに購入(新発売セールで安くしてくれたから👈重要)。
いつもセール価格なら相当に魅力的なシーラーだ!日本製ですしね。


根充は、シーラー併用でガッタパーチャを加圧根充しておるのです
用いるシーラーによって予後の成績に有意差はでないと考えているが、もどきとはいえCWCTを意識したダウンパックを行うと、側枝や根尖部にシーラーが飛び出ることがある(X線写真上でPUFFとして認められる)から、シーラーに生体為害性がない方が良い。

垂直加圧法を採用することになって以来、シーラーにAHプラスを採用してきた。

その理由は、

・世界的にメジャーであること
・練和後の操作時間に余裕があること
・稠度が丁度よいこと(☃️)
・造影性が良いこと
である。

レジン系のシーラーということで最初は身構えていたのだが、一回、使用しただけでその使用感に虜になり、愛用し続けてきた。根尖部の清掃が良好でPatencyが確保されており根管充填材に適切な加圧が加われば、側枝や根尖部にパフが明瞭に出るのが心を鷲掴みにしたのである。これは本質的には「だから何」程度のことなのだが、根充が嫌いで上手になりたいと今も悪戦苦闘する私にはご褒美に等しいフィーチャーなのだった。

それから、MTAが40%含有されていることがウリのMTAフィラペックスも採用した。MTAの性質への漠然とした期待感があったからである。およそMTA根充の代わりになるわけがないので気休めであろうが、硬化後にわずかに膨張する性質は嬉しいところ。感染根管治療の根充にはこのMTAフィラペックスを、という漫然とした使い分けがなされるのであった。

AHプラスもMTAフィラペックスも、生体為害性は同様に有することを報告する論文がある【1】。また、硬化反応が異なることから、根充直後の封鎖性に差があると報告する論文もある【2】。

どちらも総合的に考えれば使いやすい、臨床医が求める範囲の落とし所に収まった優れたシーラーであろう。実際にどちらも使用してきた限り、致命的な欠陥は感じ取れない。MTAフィラペックスはAHプラスより操作性が悪くて造影性が低いところが気になる、ぐらいである。強いて軍配を挙げるならMTAフィラペックスだろうか。

ニシカキャナルシーラーBGは、シーラーは今後MTAフィラペックス一本に絞ろうと考えていた矢先に現われたのであった。さて、どのようなものか。



結果
・造影性はMTAフィラペックスと同程度だが操作性が良好
・そろそろシーラーを新型に変えようかなあ……と思った先生はどうぞ!
・生体為害性がないシーラーを所望する先生も、勿論、どうぞ!
・AHプラスで問題ない先生はAHプラスで
・MTAフィラペックスで問題ない先生はMTAフィラペックスで
・AHプラスかMTAフィラペックスか迷っちゃってる先生はコレで
・MTAフィラペックスを使い切ったら、コレ一本かなあ…
・冷蔵保存がちとメンドイ


卑近な根充例(要するにさしたる意味がないもの)その1
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「知覚過敏が治らんから抜髄したって」と不名誉な依頼で回ってきた#13。咬耗のToothWearが目立つ。こういうケースでは生活歯髄切断で満足のいく除痛効果と、歯根側歯髄を保存することで保存を図るのが良いと考えているが、少なからず打診痛があったので素直に全部抜髄。

SEC1-0:マニー10Kでネゴシエーションしてプログライダーでグライドパス形成して、#15Patencyを確保してから根管形成(ウェーブワンゴールド:スモール➡︎プライマリ➡︎ミディアム)を終え、ウェーブワンゴールドGPミディアムで即日根充。何も目新しいことはない。

ShinyaM先生にヤキを入れられることを覚悟の上でラバー装着をサボって、オプトラゲートを装着して口唇圧排して簡易防湿下で処置を行っている。


卑近な根充例その2
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#44の根尖性歯周炎が気になって仕方がない写真であるが、#45での食事時の違和感を主訴に来院。自発痛(±)打診痛(+)。叢生で強く舌側傾斜している。

SEC1-0:マニー10Kでネゴシエーションしてプログライダーでグライドパスを形成し、#15Patencyを確保してから根管形成(ウェーブワンゴールド:スモール➡︎プライマリ)を終え、ウェーブワンゴールドGPプライマリで根充。

ちょっとオーバー気味に見える。ウェーブワンゴールドで形成後に手用NiTiファイルでアピカルシートを付与するべきかも、とちょっと思った。



【1】Bin, Claudia V. et al. Cytotoxicity and Genotoxicity of Root Canal Sealers Based on Mineral Trioxide Aggregate.
【2】Asawaworarit W. Yachor P. Kijsamanmith K. Vongsavan N. Comparison of the Apical Sealing Ability of Calcium Silicate-Based Sealer and Resin-Based Sealer Using the Fluid-Filtration Technique.
posted by ぎゅんた at 13:47| Comment(4) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

結合性シーラーに『ニシカキャナルシーラーBG』ちゃん!


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出入りの歯科ディーラーに「先生、新しいシーラーです(買えやオラァ!)」と紹介されたのがニシカの「キャナルシーラーBG」である。キャナルシーラー・シリーズの最新作のようだ。"BG"はBioactiveGlassを意味するようだ。分類的にはMTAを40%含有する『MTAフィラペックス』と同じ結合性シーラーに属するようである。グラスアイオノマーなシーラーとか、フィラーを含むシーラーとか、ブルガリアとかいう意味ではないのである。11/24(Fri)から発売するらしい。

頂戴した抜粋資料より、シーラーが「密着性シーラー」「接着性シーラー」「結合性シーラー」3つに分類されると改めて知った(不勉強)。ひとまず私が使っているシーラーは『AHプラス』と『MTAフィラペックス』の2つ。どちらも普通以上に高価なので、代替品に変えるか、どちらかひとつに絞るかを考えていたところである。

代替品としては、(多分)AHプラスのライセンス品もしくはパクり品っぽい『Ci キャナルレジンシール』を、どちらかひとつに絞るなら『MTAフィラペックス』でエエかなぁ……と漠然と考えていた。そんなところのキャナルシーラーBGちゃん登場だったので、キャンペーン価格でディスカウントされるとの甘言もあって購入することにした。



MTA-Fillapex & AH-plus
MTAフィラペックスに関しては、造影性がちょい低いことと、生体親和性が低いと報告されている点が気にかかる。シーラーを根尖から押し出す意図はないにしても、ダウンパックによる根尖部GP加圧することで、シーラーが側枝に入り込んだり根尖部でパフを形成することはあり得るからである。材料に細胞毒性がない方が良いに決まっている。MTAフィラペックスの名の通り、「MTAな」シーラーを想像してしまうことから無条件に生体親和性が高いシーラーであると思いがちだが、報告を信じる限りそれは否定されている。ついでにAHプラスも生体親和性が低いシーラーであると述べられている。これは、困ったものだ。

シーラーに備わる物性によって根尖病変が治癒に導かれるとか良好な根充が約束されるわけではないことは自明であるが、操作性が良好で生体親和性が高くてコスト的に許容できるシーラーがあるなら、それに乗り換えれば良いのだろう。このキャナルシーラーBGが使いやすい満足のいくシーラーであることを願うばかりだ。




Claudia V. Bin, Marcia C. Valera, Samira E. A. Camargo, Sylvia B. Rabelo, Gleyce O. Silva, Ivan Balducci and Carlos Henrique R. Camargo : Cytotoxicity and Genotoxicity of Root Canal Sealers Based on Mineral Trioxide Aggregate.J Endod,38(4):495-500,2012

posted by ぎゅんた at 18:38| Comment(2) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月20日

テーパーのついたGPに『SPガッタパーチャポイント』


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Ciメディカルで購入可。60本で680円。韓国製はなぜにこうも安いのか


たとえ「もどき」であろうとも、根充法にCWCTを採用すると必要になるのがテーパーのついたガッタパーチャポイントであります。従来のラテラル根充に細工する感じで、ポイント束を根管口直下でヒートカット後にダウンパックでも良いのですけれど、気兼ねする心理的理由が2つあります。ひとつは、プラガーをメインポイントにのみ当てて根尖側へ加圧したい気持ちがあること。ふたつめは、根充操作という繊細で無防備な時間を可及的に短くしたいことです。根管形成後の器に「根尖側も含めてバッチぐう(死語)」なカタチに収まるテーパーのついたメインポイントはありがたい存在だからです。根充が苦手で好きでないから、なるべく楽したいというのがホンネだったりしますが、それは内緒。

さていつもお世話になってるCiメディカルにさりげなく登場したのがSPIDENTのテーパーガッタパーチャポイント『SPガッタパーチャ』です。.04と.06の、テーパーの異なる2種類がラインナップ。おそるべき値段ですが、大事なのは「自分の根充」とのマッチング。さてどうなるか。



結論
君は悪くないし、使いたけれど、ごめんよ……

「バカ正直テーパー」で、作業長のアペックスに達する前に根管口付近で引っかかってしまいます。

現在、採用している『ウェーブワンゴールドガッタパーチャ(Primary)』との比較エックス線写真を撮ってみました。

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『SPガッタパーチャ』は頭部でふとましくなっています。

造影性は似たような感じで、取り回しや使用感そのものはリンカイのダイアデントガッタパーチャポイントと大差ありません。頭の部分が太すぎてエンド用ピンセットで把持が難しいのも同じです。あいや困った。

ひとまずウェーブワンゴールドで形成した根管に挿入しても引っかかってしまうので、フレア形成が元々しっかり付与された感染根管の根充時にポイント先端をルーラーでアジャストして使用するぐらいしか使えなさそう。アクセサリポイントの併用を前提で.04テーパーのものを使用するとちょうど良いかも。
 
posted by ぎゅんた at 18:23| Comment(1) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月10日

【デンツプライ】X-スマートIQ と ウェーブワンゴールドグライダー


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X-Smart IQ
いつもお世話になっているデンツプライの営業マン(いい男)が新製品で出ますよ〜とデモ品をもってきてくれました。お借りして使うことはできませんが、実機に触れれるのはいいところ。X-SmartPlusがコードレスになり、プログラムの切り替えをiPad miniで行う未来的インターフェースに仕上げられています。ちょいと重めだが、実際に使用すると「このズッシリとした重たさが無骨な頼り甲斐を感じることができてクセになると評判」らしいです。ほんとかそれ。

洗練された見た目、ビジュアル面で有利な患者説明用ツールの内臓、NiTiファイル掛かったトルクデータの集積などをiPad miniとアプリで管理する設計です。うまり、iPad miniを用意しないとコードレスのエンド用モーター(動くだけ)が真顔で鎮座するだけの結果になります。いまどき、歯科医ともなればiPad miniぐらい持ってるやろという、グローバルな電子デバイス事情に合わせたプロダクツであって抱き合わせ商法ではないのであります。確かに私みたいなガラケーおじさんでもiPad miniぐらいは持っていたりますけどね。EMRとの連動はまだないそうです。なくても別にエンドミニ(西連寺トレーディング・FEEDでお求めになれます)で力技で連動させられるので、私にとっては気になりません。とはいえ購入する予定はありません。いまあるXスマートプラスで事足りているからです。勤務医や代診の先生がいたり、訪問診療でエンドもやるぜな先生にはいいかもしれませんが、当院ではまだそれもありません。



WaveOneGold Glider
ところでグライドパス形成用NiTiファイルといえばプログライダーやHyflexEDM_GlidePathファイルがありましたが、レシプロケーティングのグライドパス形成用NiTiファイルが出たようです。いずれ出るだろうと思っていたので、特別に驚きもありませんし、『レシプロック』の方で先に同等品が出ていた気がします。

グライドパス形成用NiTiについては、色々と試した結果、「なんだかんだでプログライダーか……」に落ち着いています。太く直線的な根管ではNEXの15/.04を用いて、湾曲や細い根管でプログライダーを用いています。ウェーブワンゴールド・グライダーが果たしてプログライダーに代わる存在になるかは分かりません。レシプロケーティング・モーションは、ロータリー・モーションに比べて根尖側へ debris を送ってしまうことを避けられないようなので、無為な術後疼痛の発生を予防するうえでは、グライドパスをNiTiファイルで形成するならロータリー・モーションのものが良さそうに思えるし、そこまでレシプロケーティングに拘らなくても……とも思えるからです。

でもまあ、新しいモノ好きなので発売されたら試すことになるだろうと思います。



レシプロケーティング系NiTiファイルを用いた拡大形成では、根尖に debris を有意に押し出すのか?
posted by ぎゅんた at 16:37| Comment(1) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする