ホームホワイトニングは、10%の過酸化尿素を含有するジェルをカスタムトレーを利用して歯面に密着させて漂白効果を発現させていく術式が一般的である。ジェルの作用時間は一日2時間を上限として1ヶ月の期間を要する。
実は、この方法で患者の求める漂白効果を得るのは難しい。効果が得られないわけではないが、弱いのである。少なくとも漂白期間中は、着色をきたしやすい飲食物の摂取を完全禁止するぐらいの厳しさが求められるであろう。修行僧じゃあるまいし、一般人が水と豆腐だけみたいな食生活を1ヶ月も継続できるはずがない。
1ヶ月でホームホワイトニングの結果を確実に出したとしたら、どうすればよいのか?
その要諦は、過酸化尿素10%のジェルを就寝時に適応することである。
つまりは1日5〜8時間の適応をすることである。こんなことは、ホームホワイトニングを手掛ける臨床医の先生方には常識であろうと思われる。メーカーの指示通りに「1日に2時間」の用途を守っている限り、目立った漂白効果は得られないのである。過酸化尿素の濃度が35%ぐらいなら2時間の適応で漂白効果が期待できるかもしれないが、国内ではそこまでの高濃度のジェルは流通していない(海外から個人輸入することで入手可能)。
ホームホワイトニングのジェルは、色々なものを試してきた。
最近ずっと使用しているのはオパールエッセンスPF15%である。
同製品には10%濃度、15%濃度、20%濃度、35%濃度のジェルがラインナップされている。
私が試したところ、10%と15%では知覚過敏様症状の程度に差がなかった上に15濃度の方が漂白効果が確実に速く得られると思った。20%では知覚過敏様症状の発現が有意に増す一方で漂白効果が15%の場合とそう変わらなかった。35%は漂白効果が速やかに発現するが、濃度が高すぎることから就寝時に用いることができない。日中2時間までを上限に使用するか、ホームホワイトニングに慣れた患者さんのタッチアップ用に用いる。案外に35%濃度のジェルは人気がない。
畢竟、15%のジェルを使用するのが当院でのスタンダードになった。
オパールエッセンスPFは、ジェルの容量が微妙に少ないことを除けば優れたホームホワイトニング用ジェルだと思っている。
果たして今回、アンジェラスのホームホワイトニングジェルが発売された。しかも3g大容量の16%濃度。
一本当たりの価格も約800円なので材料費に悩まされる臨床家の強い味方。
オパールエッセンスとの差異は、ジェルの稠度や顔料、知覚過敏防止のための添加剤の有無などであろうか。
ただこれは、漂白効果に有意な差をつける因子とは思われない。
いま在庫にストックしてあるオパールエッセンスPF15%を使い切り次第、さっそく使用していきたいところだ。