2023年12月23日

今度はオーラスター1.8Sをデモ機で借りる

アネジェクトUの修理期間(いつまでかかるんだ?)に使用する電動注射器の確保もかねて、デンタペン返却と入れ替えるようにオーラスター1.8Sのデモ機を借りる流れになった。ありがたいこってす。

オーラスターは、私の記憶違いでなければ古参株の電動注射器のはずである。見た目にも「ちと古いデザインやな」という印象を受ける。目立ったバージョンアップもないまま、いまだに市場に存在し続けているということになる。日常臨床で現役で使用されている先生も多いのではないか。

これはつまり、オーラスターが小手先の改良を必要としない完成されたプロダクトであること意味するのではないか。
まさか「メーカーがこの商品の存在を忘れている(放置されている)」なんてことはあるまい。


歯科材料業界は、歯医者が新しい物好きなのでとかく新商品ずくめになりがちである。
厳密に言えば、核となるプロダクトができるとその派生や改良版が発生し続けるのだ。

特に接着系にセメントやCRまわりは材料ありすぎてもうわけわかんない。材料オタクでもなければ把握しきれるものではない。
いつも使ってる「アレ」がいつのまにか名前・姿・形を変えていたりする。臨床の長期評価に支障をきたしかねない。特に接着系材料は数年単位での評価が必要になるので、処置後の追跡、予後評価は欠かせないから由々しき問題かもやしれぬ。

歯科材メーカーが「歯科材料も日進月歩、マーケットは国内だけではない。1日の遅れは即ち日本の遅れにもつながる!」との認識のもとでビジネスの荒波を懸命に泳いでいることは承知なので文句をつけるのは野暮な話だし、オーラスターを見習え!とも言えないけれど、もう少しシンプルな製品展開をしてくれてもいい気がしている。


話が脱線したのでオーラスターに戻ろう。


感想としては、まず古臭い。
器具はデカくて存在感がある。手に保持した際の取り回しが悪いとは言えないが、重量感が気になる。丸みのあるデザインで、横にして置くと場所をとるし安定しない。使用場面以外は常にスタンド兼充電台に置いておくというスタイル。迂遠して考えれば、これは余計な事故を減らす工夫とも言える。こういう、設計に見えてくる「割り切り感」は好みである。

電動注射器を使うにしろ、注射針の刺入時の痛みの軽減をはかることに変わりはない。

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このオーラスターは、通常の持ち方(説明書にある「一般的な把持方法」)だと、粘膜刺入時に針先のブレが生じやすい気がしている。せっかく無痛で刺入できるチャンスを得ておきながら、刺入時に針先のブレで台無しにされることほど腹立たしいものはない。防止策や解決策はないものか。

自分が取り扱う器具の細かな振動を取り除くには、狙った瞬間の直前に息を止めるという手法がある。しかしスナイパーの狙撃じゃあるまいし、大仰だ。私は持ち方を工夫して針先にブレが生じやすい、というか、いつものアネジェクトUを扱うような感じに近づけて解決した。

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中指をカートリッジホルダーに添え、人差し指の第二関節の腹あたりでスイッチを押す


電動注射器には、注入速度を決定することができる機能が備わる。
このオーラスターも同様で、Low⇔Mid⇔High の3段階が選択できる。
こうした速度の「High」は、せっかちな歯医者に合わせた速度になりがちで、概ね注入時に痛みを訴えられることが多いのだが、本オーラスターのHighはちょうど良い塩梅の速度であるように思う。Midの速度なら、注入を終えたら処置に移ってもいいほどの速度であるのも都合がよい。
注入圧も頼もしい根性があり、注入時に勝手に動作を中断することもない。歯根膜注射もなんのその。こういうので良いんだよ。


日常臨床でルーチンに用いる医療器具に求められるものは、故障知らずでメンテナンス負担が小さいものである。YDMのインストツルメント類などはまさしくこれで、値段は張るが納得の性能を示す。大切に使えば子の代、孫の代まで使用できそうな信頼感さえある。

オーラスターが子の代まで使えるとは思えないが、しかし、頑健な筐体に充電式バッテリーを備えているので日々の繰り返し利用には安定して耐えてくれそうだ。こういうのが良いんだ

もしアネジェクトUの修理が不可能だったり、修理費がアホらしい値段だったらこのオーラスターを購入しようと考えている。
というか修理の見積もりはいつ届くんだよえ──っ



オーラスター1.8S公式サイト
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