NiTiファイルはたくさん存在するが、そのほとんどは根管の拡大形成を目的として設計されたものである。
一方、その中には再根管治療用としての、リトリートメント用NiTiファイルも存在する。
しかし、これらを活用されている先生はおられるのだろうか?あまりおられないのではないか。
というのは、私は全く使用していないからである。自分がそうだから、他の先生もそうだよねという自分勝手な考えなのである。
再根管治療用、というからには、これはガッタパーチャの除去を想定して設計されたNiTiファイルだと考えられる。
ちょっと言葉遊びのようになるが、日本では保険用語での「感染根管治療」があるために、再根管治療=感染根管治療と考えられているように思われる。まあたとえそう考えたとしても致命的な陥穽であるとも思えないが、やはり言葉の意味としては意識上の区別があった方がよろしかろう。
さて、その再根管治療はといえば、治療に際して除去するべきものは除去してPatencyを確保し感染有機質の機械的除去を行なって根管の洗浄・消毒をしていくのが基本的な考えである。結果として、患歯が根尖歯周組織に対し無害化することで炎症が消退し、生体治癒力が発揮されることで根尖部歯周組織の治癒となり、再び「噛める」状態に歯を戻していくことができる。見えないところで起きている事象なのでイマイチ分からないが、エンドというのは極めてダイナミックでバイオロジカルなメディカル・ヒーリングに触れる*yvことができる一分野である。カタカナばっかでスミマセン。今までに何度か述べてきたが、「根管」は歯科医師だけが触れることのできる聖域なのである。
再根管治療、いわゆる感染根管治療は髄腔内の軟化象牙質と根管内GPの徹底除去が基本となる。前者はスチールラウンドバーや手用エキスカ等で直視下にて達成できうるものだが、後者は直視が途端に困難になってくる部位であるから何を用いるかは術者それぞれで違うはずである。
とりあえず私はロングネックのスチールラウンドバー、マニーGPR、エンジンリーマー、ゲイツバー、手用GPリムーバースピアーを主に使用して根管口〜根管1/3あたりのGP除去を行っている。この時点でGPがマスターポイントごと一塊で気持ちよく取れることもある。ネゴシエーション後のグライドパス形成および根管の予備拡大のステップでマスターポイントがされることも多い。
リトリートメント用NiTファイルは、形状的にテーパーが大きく短いが、ネゴシエーション前後のタイミングで用いる設計なのだろうか。少なくとも私は、あまり必要性を感じていない。
つまるところ再根管治療時の根管の拡大形成に用いるNiTiファイルは「普段通り」なのであるが、個人的拡大時のNiTiファイルはレシプロックが良いのではないか?と考えている。
というのは、他のNiTiファイルと違ってレシプロックには明らかなGP除去能が付与されているからである。もう根管内のGPはおおかた除去できたかも、という時点で敢えてレシプロック用いるとGPがゴソッと取れたりするのだ。レシプロックは歯質切削能力が高いようだが、それがGP除去に効果的に作用するのかもしれない。これは、私の気のせいではないはずである。加えて、レシプロックはR50まであるのでGP除去のことを考えればお誂え向きでもある。
そんなわけで私は、NiTiファイルは整理してなるべくシンプルにするべき、と偉そうにうたいながら、レシプロ系NiTiファイルをウェーブワンゴールドとレシプロックの2種類を用意し続けている。幸いなことにレシプロックの出番は少ないので、それほどコスト面での逼迫がないのはありがたいところだ。
ラベル:レシプロック Re-treatment
レシプロックに関しては、京都の山田邦晶先生がガッタパーチャ除去”には”おすすめとおっしゃっていました。
それ以降僕もレシプロックとウェーブワンゴールドの2本柱で診療するようになりました。
おお、同様にお考えの先生がおられてとても嬉しい!
レシプロックは高価なんですが、GP除去を兼ねたシェイピングの際に限定して使用するなら消耗も激しくないので良さげですね。
XP-ENDO SHAPERもGP除去ならびに高速シェイピングの面で素晴らしいパフォーマンスなんですが、更に高価なんですよねぐぬぬ