2020年09月16日

なにっ EdgeTaperEncore 発売中止?

販売中止.jpg

EdgeTaperEncoreが、Edgeendo社が製造を中止したことで入手できなくなってしまった。

元々はスマイルUSで取り扱っていたNiTiファイルの中のいちシリーズであったが、試用してその性能に惚れ込んでからずっと愛用し続けてきた(過去に記事にしてきた通り)。

EdgeTaperEncoreは、自分のエンドの中心的な存在を果たすNiTiファイルなだけに発売中止は大事件である。ジェネリック・ファイルのくせに値段がわずかに高額なところが販売不振につながっていたのかもしれない。値上げしても構わないからずっと使用し続けたいのだが、もうどうしようもない。 


EdgeTaperEncoreが無いと、なにが辛いのか?

それは、グライドパス形成後の予備拡大のステップの(現時点における高い)信頼性が損なわれることである。

私のエンドの基本手順を端的に記すと以下の通りになる。

1 マニー10Kファイルでネゴシエーション
2 マニー12KファイルでのPatencyの確認
3 プログライダーでグライドパス形成
4 予備拡大として、EdgeTaperEncoreのX1-X2
5 ウェーブワンゴールドのプライマリ以上のファイルで根管形成を仕上げる
6 ウェーブワンゴールドガッタパーチャを使用して根管充填

一見して手順が多く見えるが、4のステップは極めて短時間に仕上がる。
そして、この予備拡大があるとウェーブワンゴールドでの仕上げもすぐに終わる。急がば回れなのである。
いずれにせよ根管は最低限25/.07に仕上がるわけで、このぐらいの形態になれば根尖部の効果的な根管洗浄が期待できるようになる。

余談だが、海外のNiTiファイルのプレゼンで17/.04や20/.06を最終拡大号数にして根充しているケースを目にしたことがある。これだと根尖部のdisinfectionが達成できず、いきおい、予後不良になるのではないかと考えられる。根管というのは、手をつければつけるほど機嫌を損ねる生き物なので、根充の可否の判断は慎重にならざるを得ない。「予後不良なら再根管治療すればいいじゃない」と甘く考えない方が良い。


EdgeTaperEncoreX1とX2の代替ファイルをどうするか?

簡単に考えれば、ウェーブワンゴールドのスモールを使え!ということになろう。プロトコル的には確かにその通りなのである。

しかし、レシプロケーティング系NiTiファイルは、メーカーが謳うほど根管の拡大形成がスピーディでないといつも感じている。だからこそ、X1–X2の予備拡大を採用していたのである。ファイル交換の手間はあれど、速いからである。そして、レシプロケーティング系NiTiファイルと比べた時にロータリー系NiTiファイルに懸念したファイルの破折やトランスポーテーションなどは特に生じなかった。

思えばウェーブワンゴールドが市場に出るか出ないかの時期に澤田則宏先生に「NiTiファイルはレシプロ系に切り替わっていくのでしょうか?」と質問したことがある。「(メーカーに)薦められて使用してみたけど、私は乗り換えないかな。今までのやり方とレシピは変わらずいきます」とのご返信であった。慧眼である。私はそのとき、レシプロ系に心が傾いていたので「じゃあ、自分はレシプロ系で突き進んでみよう」と誓ったものであったが、なんのことはない、いまの自分が使用しているNiTiファイルの殆どはロータリー系で、レシプロ系を使用しなくてはいけない道理は専用のGPとの規格合わせでしかない。

当面は、この考えに修正が加わらないのでレシプロ系に完全に切り替わることは無さそうである。いま必要なのは、EdgeTaperEncoreX1-X2に変わる存在のロータリー系NiTiファイルなのである。使用感が似ていて、シンプルで、コストの安いやつがいい。

EdgeTaperEncoreのX1は17/.04、X2は25/.06のサイズになっている。
折衷案的に20/.05あたりがあると個人的には嬉しいのだが、みたことがない。多分、ない。

目下グライドパス形成に用いているプログライダーが16/.02-08.5でウェーブワンゴールド・スモールが20/.07のサイズであるから、この間に収まるサイズであれば都合がよさそうだ。

となると20/.04や20/.06などおよそ普遍的なサイズのNiTiファイルが候補となろうか。目的はウェーブワンゴールド・プライマリの予備拡大であるので、どちらのサイズでも良さそうである。感覚的には20/.04を選んでみたい。

候補としては、Edgeendo社のEdgeSequel Sapphireの20/.04を考えている。
いま手持ちにはFANTA社製のAF F-ONEの20/.04(Facebookで募集してたコンペティションに参加したらご褒美にくれた)があるので、こちらの試用から判断しても良いかもしれない。
posted by ぎゅんた at 20:12| Comment(6) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
HyFlex EDMが20/.05テーパーありますがいかがですか?あまり切れ味はよくない感触ですが。後高いです・・・・
Posted by sb at 2020年09月17日 07:50
sb先生 ご無沙汰しております。コメントをありがとうございます。

そういえばHYFLEX EDMってありましたね……完全に失念してました。

日本での発売直後にちょいと触ってみて、
おお、これいけそう!

うーん破折…コスト高…

すまんな乗り換えできんのや

ってなったのを思い出しました


いま再び触れてみたら違う感想を抱きそうな気もしますが、縁がなかったNiTiファイル、ということで……
Posted by ぎゅんた at 2020年09月18日 16:21
私は同じ役割にE〇dentalの井〇先生の教えを守ってボルテックスブルーの15号06テーパーを使ってるのですが、これは高いんですよね。代替品見つけたら是非教えてほしいです。

私はEdgeSequel Sapphireはあまり削れない=時間がかかるタイプだと判断しているのですが、ぎゅんた先生はそのあたりのお考えはいかがでしょうか?最近のマルテンサイトのファイルはやわらかいけど削れにくいと感じてます。

後、BASSIファイルどうでしょうか?むっちゃ削れます。

Posted by sb at 2020年09月21日 15:38
ぎゅんた先生、いつも楽しく読ませて頂いております。

さて今回のEdgeTaperEncore販売中止は僕にとってもかなりショックでした。

ようやく辿り着いたNiTiファイルの組み合わせがこれにて終了、ああ、また色々と組み合わせの試行錯誤するのか・・・と呆然としながらもSmile USのサイトを眺めていたらなんとEdgeEndo社からEdgeV-File HTなる新製品(かなり強力なラインナップ)が出ているではありませんか。

もちろん、ぎゅんた先生の事ですので既にチェックされていらっしゃるかと思いますが、これはかなり期待できそうです。
Posted by jack at 2020年09月22日 21:35
sb先生 コメントをありがとうございます。

EdgesequelSappireは25/.06を試用した限りでは悪くないどころかむしろ良い、ぐらいの感触でしたが、Encoreに比べると劣るので乗り換えはしなくて良い、という結論でした。所詮はSappireもジェネリックファイルですが、削れないという印象はありません。VortexBlueの方は本家なだけあって凄く削れる、ということなのではないでしょうか(使ったことない)。

BASSIは、世界の佐久間先生よりご推薦いただいたNiTiファイルなのですがテーパーが1度?とか先鋭的すぎて今んとこ「待った」の状況です。でも、凄く気になっているファイルではあります。
Posted by ぎゅんた at 2020年09月23日 09:49
jack先生 コメントをありがとうございます。

> EdgeV-File HTなる新製品(かなり強力なラインナップ)が出ているではありませんか

えっと思ってアクセスしたら本当!情報をお寄せいただきありがとうございます。

17/.04がありますね。Encoreの後継のような気もしますが、Edgeendoは海外ではEdgeTaperEncorePlutinumを売っているみたいなんで、多分、違うのでしょう。いずれにせよ、これは真っ先に試してみたいファイルです。
Posted by ぎゅんた at 2020年09月23日 10:09
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