2019年09月03日
根管洗浄にEDDYをルーチンで用いてみる
エンドにおける根管洗浄のステップは 、地味ながら予後に影響を大きく及ぼすと思われる重要なステップであろうと思います。しかしながら、案外にその評価下すことは難しいものです。「多分、できているだろう…」と根管洗浄のステップを盲目的に行うのが常ですし、さりとて根管洗浄前の根管内の除去すべき debris の総量を我々は知ることができない。「(このような洗浄を行うと)debris の効率的な除去ができることを根管治療用模型や抜去歯牙で確認済みである」という意識が、術者の根管洗浄のステップに迷いを生ませない確信になっているわけですが、やっぱまあ、なんというか、盲目的だよね、ということは否定できません。もっとも、イチイチ瑣末な迷いを持って根管洗浄している方がエンドの質の面でマイナスですから、迷いなく、「まず確かな」根管洗浄をルーチンに行う手技を有し実践するのがトータルで見て正解なのでありましょう。
適当なタイミングで交互洗浄用の(あの太い)ピペット先端を根管口に突っ込んで洗浄液を出してから3wayシリンジの水を患歯にぶっかけて「根管洗浄」と自信を持って答えるドクターはもはやいないと思いますが、ではその先はどうか?を考えます。
おそらく現状、25-30Gのイリゲーション用ニードルを根管に挿入して液体をゆっくり出しながらニードルを上下に攪拌させる陽圧根管洗浄が主流になっていると思います。用いられている根管洗浄液は、低濃度ヒポクロと17%EDTAが主流でしょう(IRRITOLやQMIX2IN1といった面白そうな根管洗浄液も登場しているようですが、最近の私は不勉強でそこを追っかけていません。明るい先生はコッソリ教えて下さい!)。
さてタイトルにある通り、最近の私は根管洗浄にEDDYを意識的に用いるようになっています。イリゲーション・ニードルと洗浄用シリンジ、そこにヨシダのクイックエンドとエンドアクティベーターのふたつがあれば、根管洗浄に関してさしたる不満を感じずに来ていました。このスタイルを導入する前に比べて予後が悪いということは全くなかったからです。
あるとき、下顎第二小臼歯の再根管治療の症例でエンドアクティベーターの代わりにEDDYを用いてみたところ、(あくまで感覚的な話ですが)、予後が良かったことがありました。根充後の写真でも、根尖のみならず根管中央部の側枝にシーラーパフが認められ「三次元的な根管清掃を実現する根管洗浄としてEDDYは確かな有効性がある」と実感混じりの手応えが得られました。
「確認デンタル上で根充した患歯にシーラーパフが存在する=良い根充である」という単純な結論は出せませんが、少なくとも根管の十分な清掃が得られていないと側枝のような細い管にシーラが圧に押されて入ることはないと考えられますから、良い根管洗浄は達成できたと捉える向きは肯定されると思います。ときおり、根管の中央付近傍に透過像初見があって根充後にその病変に繋がっていたと思わる側枝にシーラーパフが認められ、病変が縮小していくケースが報告されたりしますね。ひとまず、良い根管洗浄は良い結果を約束してくれると考えればよいです。
EDDYはエンドアクティベーターと同じく、根管の清掃に寄与する器具だと思います。
エンドアクティベーターの方がコスト面と取り回しの面で有利かな?と思いますが、うーん、どうだろ。
EDDYと根管洗浄に関しては、色々と知見を積んでいきたいところですね。
自分は今のところ、ヒポクロ、EDTAってところです。最近新しいのも出ているのは知っているんですが、保険では使えなさそうですし、導入はまだまだ後になりそうです。ただやはり洗浄って重要ですね。うーんもっと勉強したい。
僕も根管洗浄においてそこそこマニアックだと思ってたんですが、世界レベルにおいては知らないことが満載で、現在、自分のシークエンスを激変させるべく、てんやわんやの状態です。
例えば、ヒポクロにおいては低濃度では明らかにその有機質溶解において有意差が出るため、洗浄能力に劣るというエビデンスが確定しており、低濃度でヒポクロ洗浄することのエビデンスが完全にひっくり返されておりました。
EDTAの使用の仕方においても、自分の目を疑うような実験結果とエビデンスが出ておりまして、衝撃でした。
さらに、近いうちにバイオフィルムさえ殺菌出来るペプチドがもうすぐ発売されます。
器具に関しては・・・
エディも含めて、根管洗浄の器具も色々かなり広い範囲ですべて網羅し、その比較と利点欠点も学びましたが、そこらもかなり面白かったです。
この辺、また来年に僕が講演で自分なりにまとめて喋りますんで、よければご参加を(笑)
この記事をアップしてからも、EDDYはルーチンに用いています。今のところ良好な結果につながっているかな、という感じです。
根管洗浄溶液に関しては、とりあえずはEDTAと(奈良の変態紳士先生にいただいたコメントより)低濃度ではない(3%〜?)ヒポクロのコンビを頑なに用いています。
イリゲーション・ニードルの陽圧洗浄に加えて、積極的な攪拌を行うだけでも及第点な根管洗浄は達成できうるのではないかとも考えています。「いや、そうであって欲しい」というポジション・トークな面もありますが…でも、目下のところ、この手法で根尖部の側枝にシーラーの入り込みが確認できていたりするので、根尖部の洗浄は低レベルかもしれませんが「至って」はいるはず。
最新の根管洗浄グッズを用意してラバーダムなにそれ?で唾液根充していたら意味もなさそうですしね
1DというSNSは初耳です。ちょいチェックしてみます
根管洗浄の最先端に触れておられて素晴らしいです。ヒポクロの濃度に関してはスカンジナビア・エンドを参考に0.5%以下の濃度で使用しておりますが、既にエビデンスとして低濃度が否定されたのであれば変更を考えないといけませんね。論文で発表されていそうなので探してみます(最近、論文査読をサボっているので反省・・・)
先生の講演、是非とも拝聴したいです。満員御礼で会場は立錐の余地もない熱気で窒息死するような状況になるのは必定。