新しいNiTiファイルを試せば毎度のように「これは良い」と節操なく言っている気がするが、このXP-endo Shaperは本当に良いのである。
見た目はアレでとっつきにくいが、折れないし、ワッシャワッシャと根管壁をシェイピングしてくれるし、なによりGP除去能がゴイス。
欠点は値段が高いこととフィニッシャーとの外見上の区別がつきにくいことである。
いつどのタイミングでこいつを使うの?
今のところ、主に三つの使い道である。
1.従来のNiTiファイルで拡大形成した後の「仕上げ」として
2.イスムスのある根管の拡大形成
3.再根管治療時のGP除去
本来的に拡大形成後の「仕上げ」には、シェイパーではなくフィニッシャーを用いるべきなのであろうが、フィニッシャーを使ってみた感じあまり感触が良くなかった。シェイパーで最終拡大時の作業長までサッと到達させるだけも良さげな感じだ。
私は根管の仕上げを、17%EDTAと5%ヒポクロを『エンドアクティベーター』を用いて行っている(ラドル先生が言うところの「3D-disinfection」を期待している)ので、目下、フィニッシャーは要らないかな……と考えているところだ。使うべきではあるのだろうが、エンドアクティベーターを買って使い慣れてきたところでもあるので、フィニッシャーの採用はひとまず様子見なのだ。
GP除去は、まさにXPエンドシャイパーの独壇場かも知れない。
とはいえ万能選手ではないから、GPの詰まった根管にシェイパーを突っ込んでも除去はしてくれない。グライドパスが形成された後に使用することで根管内のGPをかなりの信頼性の上で除去してくれる。ネゴシエーションできていない根管でも、ゲイツバーなどで大まかにGPを除去した後に用いれば根管壁のGPを、ファイルが接触する範囲で除去しようとしてくれる。
海外では、このステップでラバーダム下でクロロホルムを併用することで徹底したGP除去を実現しているようだ。
私はクロロホルムは所有していないので、GPソルベントを用いてみたが、溶液中にGPが溶け出すように除去できることを確認した。上手に使えば、根尖からGPを溢出させることもないように思える。
その他……
推奨されない種のコメントになるが、XPエンドシェイパーは実に破折しにくい。
破折するまで使ってみようと抜去歯牙30根管以上で使用していたが全く破折してこないので、使っていて怖くなる始末である。根管内で使用する変形疲労とオートクレーブ滅菌の熱疲労があるのに、なんという頑健さであろうか。セーフティメモディスクを2枚使ってのカウント管理でも問題なく耐え抜いてくれそうだ。
ラベル:XP-endo
XPエンドシェイパー、欲しくなってきてしまう記事で大変参考になりました。
もしよろしければ、GPの詰まった根管の穿通をどうやって行っておられるか、ぎゅんた先生の方法、ご見解をご紹介くださるとうれしいです。
GPの詰まった根管のネゴシエーションは、まず根管口付近のGPをロングネックのスチールバーで大まかに除去し、エンジンリーマーをGPに食い込ませて「引っかかり」を設け、そこにゲイツバー#2-3を挿入する形で使ってGPを機械的に除去していきます。ここで欲張って根尖まで攻めるとエンジンリーマーが破折したり人工根管を作ったりするんで控えめにやります。少なくとも根管口から肉眼で覗ける範囲に存在するGPを除去します。
だいたい、除去が達成できたところでSEC1-0にマニー10Kを装着して、穿通を狙います。EMRと連動させているので、穿通しそうになった瞬間にファイルを引き抜き、一度根管内を吸引洗浄して、GP片をできる限り除去して、それから穿通させます。
穿通したらまた根管洗浄して、12Kファイルがストレスなく通過することを確認し、プログライダーやエッジグライドパスでグライドパスを形成してます。
ウダウダと記述しましたが、キモはSEC1-0だと思います。昔はここの作業を指でやっていたのでシンドかったのですが、最近はSEC1-0のおかげで本当に楽になったことを実感しています。
折れにくい上に、折れても取れやすい、いいものですね。最近GPソルベント使い始めたんですが余り操作性の差が無いかな、ってのが現時点での感想です。retreatmentも前より時間がかからなくなったってのはすごいメリットと思います。
GPソルベントを入れてもいれなくても、なんとなく同じように除去してくれますね。最近は面倒臭いというか、根尖からの溶解剤の溢出が嫌でソルベントは併用していません。機械的にワシャワシャと除去するのみです。
GP除去の確認のためのデンタル撮影で、過去に比べて明らかに効率的に除去が達成されているのを実感します。
XPエンドシェイパーとフィニッシャーの論文をネットで探して読んでいると、フィニッシャーはスメア層を有意に除去できるとかあった困惑中です。そのメカニズムについては書いてありません。おいこらー。私の読み間違いかもしれませんが。
根管の湾曲はアピカルサードの根尖側4mmぐらいから多くなるという解説を受けたことがあるのですが、大体根尖から何oぐらい手前からSECをご使用になると考えておられますでしょうか?
また、大まかなGP除去のため、太い号数のファイルをSECにつけて使用する事はしませんでしょうか?
大まかな除去に成書ではHファイルの使用を進める場合もあったのですが、ぎゅんた先生のHファイルに対するご見解もご教示いただけると嬉しいです。
>>穿通しそうになった瞬間にファイルを引き抜き、一度根管内を吸引洗浄して、GP片をできる限り除去して
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この細やかなテクニック最高ですね!
どの成書にも載ってないオリジナルメソッドですね
ぎゅんた先生のサイトの更新に影響を受け10年ぶりぐらいに透明根管模型を引っ張り出し、形成→根充→除去を繰り返しております。いろんな発見があって楽しいものですね。
取り急ぎ、ご質問の回答です。
Sec1-0に切り替えるのは根尖から3mmぐらい手前からです。とはいえ、あまり正確に意識はしていません。
SEC1-0でのGP除去を目的として、号数の大きなファイルを使用することはありません。また、Hファイルも使用しません。
これはまず、根尖は、壊したか壊れてもいなければ12Kファイルを通過させる程度の侵襲に止めるよう意識しているからです。大きく壊れていたら12Kだろうが30Kだろうがスッカスカだったりもしますが、それでも意図的に根尖を触る場合は12Kまでです。
再根管治療などで根尖部が大きく壊れていることからMTA根充やむなし、と言うケースには、XPエンドフィニッシャー(30/.04)を一瞬だけ根尖まで通して意図的に拡大することもありますが、不退転の決意でやる行為ですからイレギュラーです。
Hファイルは、根管壁に縦方向の亀裂の禍根となりうる傷をつけそうなので使用しません。21mmの08Hをもちいて、根管口の探索をするときには用いますが、Hファイルに本質的に求められる拡大の用途では用いません。根管の拡大形成は、ネゴシエーションとグライドパスを形成した後のNiTiファイルの仕事であり、更なるクオリティのためにXPエンドシェイパーとフィニッシャーが使えるようになってきた、と言うところです。
参考になるところがあれば幸いです。
大変参考になりました。日々の日常臨床に生かしたいと思います。
あれから除去実験を続けまして、
プロテーパーF2(♯25 8度テーパー)まで拡大し、根充した透明根管模型でガッタ除去をやってみると、F2が作業長に達しても除去できていないガッタが大量に根管壁に付着しており、結局大まかにガッタ除去できたのが50号2度テーパーでした。
リトリートメントになった時点で、ある程度の拡大とMTA根充を視野に入れないといけないのかもしれないですね。
今度はSECを用いた場合の時間短縮を図ってみたいと思います。
良い機会を与えてくださり、誠に感謝しております。