2017年09月12日

使わなくなる手用ファイル

hand-failes.jpg

SEC1-0とNiTiファイルを用いて根管の攻略をすすめるスタイルになってから、手用ファイルの使用が激減していることに気がついた。ネゴシエーションとグライドパス形成を終えたら、NiTiファイルを用いて根管拡大形成(Shaping)を仕上げてしまうプロセスを終えるだけなので、手用ファイルはリカピチュレーションぐらいしか出番がなくなるのである。

手用ファイルはネゴシエーションとグライドパスの確認とリカピチュレーションに用いるのみで、NiTiファイルはグライドパス形成とShapingで使用する 。これは、根管の走行を可及的に損なわないようにしつつ、根管にヒポクロを満たすことと根尖部を化学的に洗浄するふたつを可能とする器を得るためである。単純な根管であれば極めて短時間にこれを達成できる。操作に慣れてくると根尖部を閉塞させたりジップを形成したりPatencyが阻害される嫌なアクシデントに見舞われることが少なくなる。もし生じたとしても、(あまり望ましいことではないにせよ)SEC1-0でリカバリーできる。


用いる手用ファイルは08Kと10K、15Kの三種がほぼ全てであって、それ以外のファイルはベンチを温めている存在に過ぎない。NiTiファイルのラインナップから外れた号数での形成を要求される場面で用いることがあるかもしれないが、そのような場面はとんとないのである。あったとしても、手用ファイルで望ましい形成ができるとは思えないから、使用する意義が薄い気がしている。太い号数の手用ファイルで直線化させてしまうぐらいなら、根管本来の走行を逸脱せずに根尖1/3の形成を(45/.05)程度に仕上げ、根尖部のdebrisを徹底的に洗い流し、ヒポクロで時間をかけて消毒する方が予後が良さそうな気がするのである。このことを裏付ける論文や記述があると心強いのだが、杳として知れない。どこまで拡大形成すべきかは「ホワイトデンチンがファイル先端に付着した号数から三サイズ上まで」と学生時代に習ったアレぐらいしかない。


いずれにせよ、在庫のファイルたちの多くは出番がなくなってしまった。新たに購入することがなくなるのはコスト管理の面からもありがたい(NiTiファイルの購入費用にまわせる)けれども、ずっと減らないままであろうと考えると不憫な気持ちになる。父が使用していたヨシダのジロマチックも大量だ。こんなに在庫があっても俺は使わないし、どうしろっていうの状態。
 
posted by ぎゅんた at 08:48| Comment(11) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
NiTi使うようになると細部は違えどやはり同じような考えになってきますね。
自分のところでもステンレススチールの手用ファイルは同じく08K、10K,15Kだけ。
例外的に、根尖がすでに大きく破壊されている症例で、確認のための大きなファイル等はまれに使います。

>「ホワイトデンチンがファイル先端に付着した号数から三サイズ上まで」
もちろん文献上、拡大すればするほど根管の細菌数は減少するそうです。
ただ生体の許容範囲や埋葬の話もありますので、歯の上部に多い細菌数を減らせれば拡大サイズってのは重要ではないと考えています。
・・・感染源を残さないと考えると抜歯になってしまうため、まあそれはおいといて。

>使わない在庫
うちにも使わなくなった在庫がかなりあります(苦笑
ライトスピード、K3、プロテーパー、#25−#100のKやHファイルたち。かと言って捨てるに捨てられず・・・な状態です。
Posted by ShinyaM at 2017年09月12日 10:32
同じく06.08.10.15以外のハンドファイル、エンドウェーブ、k3の在庫を抱え込んでいます。ついでにntコンデンサー、ホットスポット等々。使わないです。
Posted by トリ at 2017年09月12日 22:37
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。
使わないけど捨てられないファイル、やっぱりあるんですね。

多くの根管に最大公約数的に通用するであろうテクニックを採用すると、使用する器具が限られてくるものなのだと思います。私が学生のとき、エンドに出会った時は膨大な量の器具を前に茫然自失(しかもそれらの名称や使い方を覚えて怖いライターの前で説明しなくてはならなかった)になったのを思い出します。

考えやテクニックが整理されて、いまのエンドは随分とシンプルになってきたのではないかと思います。若い先生方や学生たちは当たり前のようにNiTiファイルを使用するはずですから、なんとも凄いことです。

感染根管で拡大してホワイトデンチンが出てやったぜと悦に浸っていたらメタルコアで破折をきたしてトドメを刺してしまった経験は誰しもがあるはずで、機械的拡大の限度に線引きが必要なのかと感じます。たぶんそれがウェーブワンゴールドのラージ(45/.05)であったりレシプロックR50(50/.05)だったりするのでしょう。
Posted by ぎゅんた at 2017年09月13日 09:51
トリ先生 コメントをありがとうございます。

NTコンデンサーは欲しいかな。閉鎖根管に限定して、オブチュレーションガッタソフトでサーモメカニカル法で根充することがあるので。パックマックだと微妙にテーパーがあってしならないんですよね。意外に高いですしね。

メルカリとかヤフオクとかに出品して二足三文で処分するとよいとアドバイスされたことがありますが、出品なんてそんな面倒なことしてまで売る気がないままです。

使わないファイルは友人のドクターにあげたりすることもありますが、意外にもらった方も使わなかったりするもののようで、要するにどんな先生も、自分が気に入っている材料や器具に固執しちゃう向きがあるようです。

使わなくなった器具の里親探しというか、物々交換サイトでもあればいいのですが、医療器具ですから法的にまずいのかな。廃院した歯科医院のユニットやら機材は海外に中古品で流れていくそうですし。捨てるぐらいなら使う先生に有効活用してもらったほうが器具も嬉しいと思うんですけどね。

RPGの道具屋みたいに、歯科でディーラーがなんでも買い取ってくれると嬉しいのですけれども、聞いたことありませんね、
Posted by ぎゅんた at 2017年09月13日 10:08
ぎゅんた先生 ありがとうございます。どうも私は、サーモメカニカル法と相性が悪いようです。スカスカアンダーになることが多いので嫌いになりました。笑
元はと言えば、エンドウェーブで拡大したのに、エンドウェーブ用のガッタパーチャーが引っかかって適合しない。悩みに悩みました。そんな時、ネットで検索で、ぎゅんた先生のサイトを見つけ、そこで紹介のあったサーモメカニカル法をに興味を持ち、これならいける、とntコンデンサーに手を出したのですが、難しくて駄目でした。
でも今は、ぎゅんた先生に教えていただいた、ウェーブワンゴールドを使って、ウェーブワンゴールド用GPポイント、cwctとの組み合わせで大満足の治療にたどり着けました。もちろん発展途上ですが。多分、サーモメカニカル法が上手くいかないのは、形成がスムースに出来てないのが原因だったのではないかと今更ながら思っています。今ならできるかも?です。
Posted by トリ at 2017年09月13日 20:55
トリ先生 コメントをありがとうございます。

サーモメカニカル法を習ったのは4年ぐらい前だったかと思いますが、講師の先生は「NiTiファイルでテーパー形成をするが、その際に根管壁をとにかく綺麗に仕上げることが大切。これは垂直加圧で根尖部に圧を正しく加えるためである」と説明してました。海外の文献だと「Shaping」と表現されていることがしばしばですし、平坦平滑な根管壁に仕上げられていればウォームガッタがピシャッと充填されることになると思います。髄床底をサンドポリッシュするテクニックや根管口付近をバー状の超音波チップで綺麗に仕上げるテクニックやら色々習いましたが、いやまあ、うんそれは実践していません。講師の先生ごめんなさい。

そんなことはどうでもよくて、根充が苦手で嫌いだった私はいまはウェーブワンゴールドとそれ用GPでCWCTをする手法に落ち着きました。

過去の自分のNTコンデンサーやパクマック法の根充経過症例では、ダメになってるやつと全く問題ないやつが綺麗に別れてます。ダメなのは、結局は拡大のしすぎやらそれだけ拡大したのに根尖部を中心とした根管内の消毒が不十分だったのだろうというところです。

結局は根充前の根管がどれだけ綺麗に清掃と消毒がなされたかが重要なのであって、根充方法で予後はそれほど左右されないのではないかと思われます。

あと、サーモメカニカル法は根充後にカッチョいい写真が得られることがおおいですが、抜去歯牙で根尖部を輪切りにしてその充填の質を確認すると案外に隙間だらけだったと報告する論文もありました。本当に上手にやればそういうことはないのでしょうが、スキルがないと隙間を残してしまうようです。

自分が根充まで行った歯を不幸にして抜歯することになったら、根尖部を剖検できる良い機会ですね。

Posted by ぎゅんた at 2017年09月15日 10:18
ぎゅんた先生 ありがとうございます。
Shapingがキーワードですね。もう少しntコンデンサーを手元に置いておきます。いつか使う日が来るかな?なんて思っています。根治の予後には消毒がとても大切という事を教えていただいてからは、ヒポクロで一生懸命洗浄しています。それまでは、エアースケーラーにuファイルをつけてゴシゴシして終わっていました。最近31Gをフィードから購入して細い根管はこれで頑張っています。でも、ヒポクロの一生懸命の洗浄は恐ろしいです。毎回緊張しています。
Posted by トリ at 2017年09月16日 16:59
トリ先生 コメントをありがとうございます。

31Gの洗浄針はすごいですね。25号の根尖に届くはずです。私は安いディスポの30Gを基本に使用しておりますが、ヒポクロに関しては30Gだと根尖への漏洩リスクが怖いので27Gを使用しています。

洗浄針でヒポクロ用いた根管洗浄をする際は、とにかく強圧操作を避けることと、根管壁に針が接触した状態での液の注入を避けることとだと思います。根管内にヒポクロを移送して、それからアピカルの合致したGPのポンピングで根管内にヒポクロを満たすみたいな使い方をしています。ヒポクロ以外の洗浄液を用いる場合は、ここまでの繊細で緊張感のある操作は要求されないので、多少、気は楽で、30Gの洗浄針を用いています。

より能動的な根管洗浄のためにはエンドアクティベーターを購入する準備をしています。また貯金がすっ飛ぶ悲劇
Posted by ぎゅんた at 2017年09月19日 10:33
ぎゅんた先生 ありがとうございます。
31Gは結構先まで入ることが多いので、いいのか悪いのか?緊張することだけは間違いありません。
エンドアクチベーター私も欲しいです。高いです!またレポートお待ちしています。
ぎゅんた先生のレポートを見るときっとまた欲しくなるかも。
Posted by トリ at 2017年09月20日 08:27
31Gは素晴らしいです。
半径の4乗に比例して液体の流量が多くなるので、細いほど安全性が高まると考えています。
あとストッパーですね、作業長以下をしっかり守るのは大事です。



液体流量については
小林千尋先生著「根管洗浄、よりよい治療を目指して」
ハーゲン・ポアズイユ流れ、より
流量は半径rの4乗に比例する。
Posted by ShinyaM at 2017年09月20日 11:38
ShinyaM先生 いつもアドバイスありがとうございます。
「流量」という考えは私の頭の中に全くありませんでした。根尖近くに届く否か程度の考えしかありませんでした。勉強になります。とりあえず、31Gで作業長マイナス2ミリ程度で洗浄を行っています。ラバーストップをつけるか、マジックでマーキングしています。特に根拠はありませんが、やっぱり怖いのでこの辺の長さで行っています。昔むかし3年生の時、臨床実習のモルモットになった事があるのですが、その時インストラクターにヒポクロを注射された事があります。頭の前が真っ白になるくらいの激痛で、思わずチェアーの上で本当にうめき声を上げ飛び上がった事がありました。その時のことを思い出すと、やっぱり洗浄は緊張します。
Posted by トリ at 2017年09月20日 21:51
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