2017年06月03日

抜髄後根充後の根尖性歯周炎を形成した症例


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数年前、NTコンデンサーとAHプラスを用いての垂直加圧根充を行なっていた時代があったが、その経過が冒頭の写真。根尖病変の形成が明らかである。いまの私はオーバー根充はよしとしておらず、この手法の根充法を選択することはない。

Q.なぜ病変ができた?
A.細菌がいて活動しているから。これだけのことである。
根充法が悪いというよりは、感染源の取り残し及び根充時に感染をきたしていることが原因であろう。こうしたとき、根尖よりオーバーさせてしまった根充は明らかに再治療の面で不利である。シーラーやガッタパーチャがそうだが、根尖に溢出したマテリアルに生体為害性がなければ吸収されると説明されるが、異物だと認識されているからこそ吸収されるわけで、それはそれで為害性があると考えて良さそうなものだ。また、根管を通じて根尖に溢出されることでマテリアルに細菌が付着することが考えられることから、やはり溢出させるのはよくなかろう。根尖部に封鎖のための加圧が適切に加わることでシーラーが側枝や根尖に流れる分には許容されるであろうが。

予後不良で根尖病変を形成したら、それはそれで歯根端切除すればいいのではという考えもあるかもしれないが、許容すべき考えではあるまい。再根管治療を最初から考えた術式をとるのも及び腰な姿勢であるが、仮にそうなったとしても、再度根管よりアクセスする再治療が可能で、なおかつその治療に悪影響を及ぼす因子が最小限となる根管充填法を採用しておくべきと考える方がベターだろう。無論、再根管治療になるなどあり得ん!と自信をもって断じられる責任あるエンドをする姿勢がベストである。しかし、エンドという盲目的な外科処置にはつねに陥穽が潜んでいるものであり、100%の成功率は理想であって現実ではない。


“I put my sole trust in my own strength of body and soul.”
エンドでは神様の導きも悪魔の妨害もなく、ただ術者の力量だけが反映される。奇跡は起きない。起きて欲しいけど、悲しいけれども、本当に結果はドライである。


まとめ
良い根充とは、根尖性歯周炎の治療と予防を約束する根充のことである。
根充直後の確認デンタル写真の見栄えではないのである。
 
posted by ぎゅんた at 21:13| Comment(4) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回の内容、誠に100パーセント同意であります。
リトリートメントの難易度を上げてしまうこと、根尖への踏み込みが常に根尖破壊のリスクを孕むこと、マテリアルの噴出、そういったリスクを考えれば考えるほど、僕も根尖ギリギリに根管充填することを意図的に避けるようになりました。
おそらく僕のケースアップを見る方たちは、以前の僕の仕事を支持される方が多かろうと考えるのですが、ええい、そんなこと知ったことか(笑)
確かにデンタルの見栄えなど関係ありません。肝心な事は、いかに長期的に良好な予後を維持し、万が一にはどれだけ速やかに次の1手を打てるかです。それは外科でないに越した事はない。
となると、やはりワーキングショートが基本になってくるんですよね・・・・。
Posted by 奈良の変態紳士 at 2017年06月04日 20:45
根尖破壊を行わない事、retreatmentを行う確率を下げる事については同意です。外科をしないに越したことはないんですが、やらざるを得ない事もあります。

根充に関して自分はもっと緩く考えていて、極端なアンダーやオーバーでなければ病変や症状がなければどっちでもいいんじゃない?派です。奈良県紳士先生が前に書かれていた通り、感染予防と根尖破壊しない事の方が重要と考えています。
その理由としてリクッチのエンドドントロジーからの引用ですが、病変ではなく異物反応の可能性もあるかと。透過像がある=病変がある、感染がある=根管治療の失敗、と言うのも一概に正しいと言えないのかなと思っています。
Posted by ShinyaM at 2017年06月05日 12:22
奈良の変態紳士先生 いつもコメントをありがとうございます。

信念がないのかお前はと自責しちゃうぐらいアレコレとスタンスが変わる私のエンドですが、ようやく腰が座ってきたかなと思う今日この頃です。

昔から歯科医が口角泡を飛ばすトピック『オーバーかアンダーか』は、こりゃもう確信をもってアンダーを支持する立場です。ガッタパーチャポイントと根尖の間に死腔があるのは嫌だなとか、オーバーしても生体親和性の高いマテリアルなら根尖歯周組織が処理してくれるから大丈夫とか、様々な考えがいまもありますが、患者さんゴメンナサイ症例を振り返れば、やはりアンダーがベターであり、オーバーに絶対がないというところにきています。

私に完璧超人な腕前やスキルがあればオーバーでも問題はなさそうに思いますけれども、それはもう、全ての医者が意識すべき箴言「Never say never」(絶対、と言うな)に背く姿勢に他なりませんから、手前の未熟さをして、アンダーを支持する立場に落ち着きました。少なくとも抜髄根管は意図的に根尖ギリギリは避けてます。再治療の感染根管治療では感染源の除去を追求するあまり根尖を機械的に拡大することで攻めるものになるときもありますが、それでも根尖ギリギリであってオーバーは避けます。

Posted by ぎゅんた at 2017年06月06日 15:24
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。

異物反応によって、根尖病変と思われる根尖透過像を生じている可能性について念頭にもありませんでした。しかし、確かにその可能性を考慮することはできます。

とっととリクッチのエンドドントロジーを学ばなくてはなりません。時間はともかくお金が欲しいところです。私はヒモになりたい。
Posted by ぎゅんた at 2017年06月06日 15:30
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