2017年05月27日

(短評)SEC1-0

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「生まれきてよかった。」は、『崖の上のポニョ』のキャッチコピーであるが、「買ってよかった。」は、このSEC1-0のキャッチコピーである。

SEC1-0は東海林芳朗先生がご考案なされた由緒ある機器であり、手用ファイルを上下往復(ストローク幅 0.4mm)させるものである。世界に冠たる清水藤太先生ご推薦器具でもある。知っている人は絶対に知っている(所有している)、そんな器具。

手用ファイルはヘッド部にチャック式で固定するが、マニーのファイルと相性が良い。私は手用ファイルにマニーのものを愛用しているので、ことさら都合が良い。本来は注水機能がつくはずだが、それを望むとKAVO製となり、ブランドと耐久性に期待はもてるもののゴイスな値段となる。私は値段を考慮し、注水機能は諦めてナカニシの方を選択した次第。

購入に用するのはヘッドと等速コントラのVM-YとEC-30である。合わせて22000円也。ナカニシ最高や!と快哉を 叫ばざるを得ない。


どの場面で用いるのか?
・イニシャルトリートメント根管の、ネゴシエーションで
・開かない根管を開けたいとき
・ファイリングで機械的拡大したいとき
・閉鎖根管の機械的拡大

この器具の隠された長所は、ファイルを上下運動させることであり、パワーを上げた状態で動作させると、ファイルに自然な回転力が生じることである。この回転力にはさしたるトルクはない。あくまで、上下運動によって生ずる振動によって向きを変えていく感じのものにすぎない。しかし、この余計なトルクのない自然な回転こそが重要なのである。

ファイルが根管壁と接触して規制されないフリーの状態でこのSEC1-0を用いると、ファイルは根管内を自然回転することになる。開かない根管は、プレカーブを付与して根尖を攻めると、本来の根管にファイル先端が落ち込むことで根管を発見し、ネゴシエーションできることがある。つまりは、SEC1-0にプレカーブを付与したファイルを装着して「開かない根管」を開けることが期待できる。

根尖までファイルが壁と干渉せず到達できるような根管で、プレカーブを付与したファイルを挿入し、根尖部で動作させると、本来の根管にファイル先端が落ち込んだ瞬間に根尖まで クカッ とネゴシエーションすることがあるのである。

閉鎖根管と判断していた根管の機械的拡大を目的に#15のHファイル(微妙にプレカーブが付いていた)を装着してガガガとやっていたとき、わずかに「もっていかれる感じ」がコントラ越しに伝わってきて、患者の眉間に皺が寄った。え、あいたの?と#10Kを挿入すると、開いているのが確認できたのだった。その後、同じ患歯の他の根管も同様の手法で開けることができた。なんの嫌味もない上下運動だけで開けてくれるので、ファイルが破折することも余計なジップを形成することも予防される。

開けられたのは、購入直後のビギナーズラックであっただけかもしれないし、更なる検証が必要である。
だが、SEC1-0によって開かない根管を開けられる確率が高まるなら、これほどありがたいことはない。閉鎖根管を開けられるかもしれない希望を手元に所有できることは心強いことだからだ。
 
ラベル:SEC1-0
この記事へのコメント
ついに導入ですね、おめでとうございます。

「もっていかれる感じ」「根尖を穿通した感じ」ってのが伝わってくるのがsecの良い点と思います。
同じく清水先生の話ですが、回転させるより上下運動の方がレッジ等を作る危険性は減るらしいです。(のでトライオートより優れてるのかな?と)
あとお勧めの使用法としては、根管内は滑りをよくするため液体で満たしておく(次亜塩素酸でもEDTAでもアシスタントに水をかけてもらうでも)。#8のKファイルを使い、apexより2〜3mmオーバーさせて穿通性を確保しておく。
東海林先生はHファイルをつけて形成されてたようですが、清水先生は削れ過ぎる事から使用は推奨していませんでした、ご参考になれば。
Posted by ShinyaM at 2017年05月27日 10:07
いつもブログ更新楽しみにしております。

22000円はすごい安い!良い買い物されましたね。
ハイフレックスの続報もお待ちしております。
Posted by s at 2017年05月27日 10:35
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。

とりあえず実践導入しているところです。
ファイルのファーストチョイスは、先生のおっしゃる通り#08Kです。フニャフニャなんで、根尖から2-3mmオーバしようが、程度は知れています。それよりも、そのことによるPatencyの確保の方が重要です。この作業をいままで手でやっていましたが、SEC1-0を用いることで安定した結果を容易に求めることができそうです。電動麻酔注射と同じで、術者の疲労の軽減は徒や疎かにできないメリットがあります。

SEC1-0は、ネゴシエーション、グライドパス形成の補助、根管内の撹拌、閉鎖根管をあけるための秘密兵器あたりを目的として使用することになりそうです。根管の拡大と形成は、SEC1-0でははくNiTiで達成することになりそうです。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月27日 11:40
s先生 コメントをありがとうございます。

ハイフレックスについてはまだお待ちを。

在庫のMtwoファイル、NEX、プロテーパーネクストがまだ余っていて、最近、それを使っているのです。

ロータリーも案外いいな…ハイフレックスは期待ができそうだなと思い至っている次第です。浮気性なのです。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月27日 11:51
僕の言いたいことはShinyaM先生が全部言っちゃったので、というか、僕がSEC習ったのはShinyaM先生からですからもう何も言うべきことすらないです(笑)
ShinyaM先生にウチのオフィスで直接ハンズオンまでしてもらったのは、2年前かしら?
とにかく、僕はもうこの頃は外部注水がかったるいのでKavoのを買おうかとひそかに企画中であります(ぐへへ)
Posted by 奈良の変態紳士 at 2017年05月27日 17:49
私も使い始めました。すごく良い仕事をしてくれます。こういう凄い機械があったとは。アナログ的な魅力があります。ポルシェでいうと空冷フラット6のような感じです。ただ♯06とか08ファイルはほぼ使い捨てで先っぽが延びて帰還します。それでも全く破折しません。根管中央で70度くらい曲がった上顎7番の近心頬側根管も穿通できました。ただ問題なのは、その後、拡大する技術がありません。直線化するとき外側削ってパフォたらどうしようとか、ゲーツドリルを入れて曲がり角でステップ作ったらとか、考えると恐ろしくて、それ以上進むことができません。楽しいけどエンドは難しいです。
Posted by トリ at 2017年05月27日 18:16
ぎゅんた先生初めまして。先生のブログをずっと愛読している勤務医です。個人的にsec1-0を購入しようと思っているのですが、EMRがないとRCTできないヘタッピなので、そのあたり何か勘所があれば教えていただきたいです。初めてのコメントで図々しくすいません。
Posted by 勤務医J at 2017年05月28日 15:28
奈良の変態紳士先生 コメントをありがとうございます。

エンド器具は、もう欲しいものや使ってみたいものがあったら、とにかく所有したくなるおそるべき金食い蟲じゃなかったエンド治療のパートナー候補なので悩ましいですね。

クイックエンド、セーフリムーバー、SEC1-0ときたので、ラスボスのマイクロに挑む時がいよいよきたようです。腎臓いっこ売らなくてはならんです
Posted by ぎゅんた at 2017年05月29日 09:06
トリ先生 コメントをありがとうございます。

空冷ポルシェのフラット6の例えがピンとこなくて申し訳ありませんが、機械式スロットルのような、電スロとはちがう誤魔化しのないダイレクト感が塊のように詰まった器具である気はします。上下0.4mm運動しかしないのを術者が使いこなすだけの器具ですしね。

細いファイルでネゴシエーションすると、ファイルに根管の走行が印象されるらしいので、扱いに慣れてくれば湾曲の有無と程度を診査できるようです。

根管口のフレア形成は、地味に緊張しますね。私は苦手です。ゲイツは最近、あまり使わず、エンドウェーブの35/.08かNEXの35/.08で根管口の拡大と直線化を狙っています。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月29日 09:17
勤務医J先生 コメントをありがとうございます。

私もEMRがないと根尖部を攻めるのが怖いので(我々世代の先生は、たいていそうでは?)、SEC1-0を用いようとした先生のご不安が大変わかります。

FEEDのカタログにある「エンドミニ」という器具を用いると、SEC1-0とEMRを連動させることができます。このエンドミニは、NiTiを用いる時にも使用しています。個人的には私のエンド臨床には欠かせないアイテムになっています。

どうぞお試しください。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月29日 09:37
ご返信ありがとうございます。早速エンドミニ購入してみようとおもいます。先生のブログは本当に勉強になりますし、何よりぎゅんた先生の臨床の喜びや苦悩が感じられて楽しいです。これからも陰ながら先生の更新を楽しみにしております。
Posted by 勤務医J at 2017年05月29日 12:36
最近の投稿でもだいぶ使いこなせているようですね、さすがです。自身はinitialなら最近手でファイルを持つことがほとんど無くなって楽してます(笑

>奈良県先生
奈良県で勉強もしましたねえ・・・懐かしい。
でもKavoはエンジンもいるし高いんですよねえ。うらやましいです ̄− ̄)


あと2,3コツとか使い方を。
根管口のフレア形成は自分はゲイツです。アンチカーブファイリングを意識してやっています。湾曲の手前、根上部半分を形成であればそこそこ安全かと。根尖下部の湾曲はNiTiに頼ると。

EMRは、自分はファイルにそのままつけたり、作業長計測後に使用していますが、基本2〜3mm根尖から出しています。
根尖から細いファイルを出す事については、いろんな論はありますが、問題ない論文もあります。レッジを作れない等メリットもありますし、#15を3mm出すぐらいなら問題ないかと。
Posted by ShinyaM at 2017年05月29日 14:33
勤務医J先生 ご返信をありがとうございます。

先生のエンド臨床に、本ブログがなんらかのお役に立てる情報をご提供できれば嬉しいです。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月29日 18:24
ShinyaM先生

その昔、#15根尖から突き出すと根尖孔から亀裂が入るから良くないとの報告があった気がします。が、グライドパス形成用NiTiファイルを根尖まで通すと、それだけで#15を突き出したのと同じになりますし、経過を追う限り「別にどうということもない」ので、#15以下の号数のファイルは必要であれば突き出しまくってます。

ただこれが抜髄根管で#20以上を勢いあまって突き出すと急に予後が悪くなってくる感じです。生理学的根尖孔から解剖学的根尖孔までも汚染されている感染根管ではその限りではないのですが。

使いこなせているものか分かりませんが、SEC1-0については今後も記事にできればと思ってます。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月29日 18:33
わたしもVM-YとEC-30、購入しました。カタログには最高回転数4000回転と書いてありましたが
メーカーに問合わせたところ8000回転だそうです。

ところで、SECの最大回転数は3000回転と書いてありますが先生はどのぐらいの回転数でお使いですか?私は初期のSECを使っていて重宝してましたが、壊れてしまい現行のSECを3000回転で使っているのですが今ひとつパワー不足な気がするのですが。
Posted by はぎちゃん at 2017年06月09日 15:38
はぎちゃん先生 コメントをありがとうございます。

3000回転だとちょっとパワー不足のように思えます。

正確な回転数は分かりませんが、等速で、かなりハイパワーでもちいています。20000回転ぐらいはでてるはず。

動作時には結構ビビる音が出ます。振動は大したことはないのですが、音が凄いので、使用する際は患者さんに声かけをしています。

まだ記事にしていませんが、閉鎖根管や開けられそうな根管をSEC1-0で攻略する際は、根管内を湿らせた状態でハイパワーで用いています。パワーの加減をフットペダルで行いますが、肝心の場面はやはりハイパワーです。
Posted by ぎゅんた at 2017年06月10日 16:37
自身はエレメントモーター使用し減速なし20000rpmで使用しています。

メーカーカタログにはたしかに4000rpmと書いていますが、ヘッド部にしっかり注油をすれば20000rpmでも数年持っています。根管のやすりがけと考えると結構パワーいりますね。
Posted by ShinyaM at 2017年06月12日 12:26
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