2017年05月04日

HyFlex EDM GlidePath File


HyFlex EDM Glidepathfile.jpg


結論:なかなか頼りになる(採用!)

ISO規格に基づいたNiTiファイルを用いて根管の拡大形成を行うということは、様々な形態にあるintact-canal を規格的な器の形に仕上げる役割を担う。ある程度の「決まった形」に落とし込むことまではできるが、それで充分なのかどうかは議論と考察の余地がある。おそらくは「不充分と言わざるを得ない」レベルなのだろうが、従前の手用ファイルのみに依存した形成に比べれば切削形成の面での確実な確保と予後不良因子となる根管走行を逸脱したエラーを起こしにくい面で圧倒的に有利なために、モダンエンドのスタンダードな術式に組み込まれたのではないかとおもう。様々である根管形態は承知の上で、一定の規格的な形態に落とし込んで行く形成スタイルは乱暴な話に違いないが、少なくとも抜髄根管では、ファイルメーカーの指示通りのこと(25/.08で根管を仕上げて根充)をすれば臨床的に問題は生じないのも確かである※1

そんなNiTiファイルは、ネゴシエーション後にグライドパスを形成してから適応するべきである。破折の防止の意味からは、「拡大」よりも「形成」として用いる姿勢が重要であり、その最低限の保障としてグライドパス形成の必要が挙げられる。ファイルへの負荷をなるべく回避し、NiTiファイルで手早く形成を終えようとする上で有効だからである。


このグライドパス形成、以前はデンツプライのプログライダー用いていたのだが、ゴボウのような虚弱さが気になっていた。これと似た感じの使い勝手で破折に強そうなものか、レシプロケーティング用のグライドパスファイルがないものかと思っていたところに出会ったのがHyFlexEDM GlidePath File である。

グライドパス形成用NiTiファイルであり、プログライダーと同じくロータリー・モーションで用いる。ファイルには形状記憶性があり、オートクレーブ滅菌で元の形に復元される性格がある。つまりは、繰り返しの使用を容認しているのであり、実際に破折抵抗性も高いようだ。これが本当なら、かなり頼もしい存在になると考えた。


さて入手したブツを確認すると、プログライダーに比べて僅かに肉厚な印象。曲げると、ファイルが曲がった状態となり、形状記憶嘘でないことがわかる。ロータリー・モーションで用いるファイルは、適当に扱うとレッジを形成してしまうが、根管の走行がファイルに反映されることになる形状記憶性はレッジを防止する上では有利と思われる。

実際に#10Kをネゴシエーションした根管に用いてみると、プログライダーよりも僅かに抵抗感があったものの、問題なく根尖まで穿通してグライドパスの形成を達成できた。テーパーがやや強いのかもしれないが、その後に用いるウェーブワンゴールド・スモールの使用感は同じであった※2。プログライダーから切り替えても大丈夫そうな手応えを得たので、これからしばらくはグライドパスの形成にこのHyFlexEDMを用いようと思う。

なお、HyFlexEDM GlidePath Fileは、三本セットで5800円ぐらいである。高いけど長持ちしてもらうことでよしとしよう。  いややっぱ高えわ…



※1
根尖部の拡大が25号で充分な洗浄ができているかは疑問だが、もし不充分でも臨床的に問題を生じないなら、生体の免疫力でカバーできる範囲に根尖の状態を落とし込めたことを意味する。抜髄処置とは、つまるところ感染させないことが至上であって最大の留意点なのだろう。余計な感染さえなければ、綿栓根充だろうがどアンダー根充だろうが別に問題なく経過したりする。しかし感染根管はこの限りではなく、それをして感染根管治療の難易度が極い理由になっている。

※2
グライドパスの形成後は、プロトコルではウェーブワンゴールド・プライマリを用いてよいことになっているが、それは切れ味の鋭い新品ファイル持ちいることが前提になっているからだ(新品なら、そうそう破折しない)。私はウェーブワン・スモールをプライマリの先に用いて根管形成の下準備をする。手間はかかるが、ファイルへの負荷を少しでも減らすための「急がば回れ」策である。素直な直線的な根管であればNEX20/.04で代用も可。今後はこのウェーブワンゴールド・スモールとNEX20/.04の統合を図ってHyFlexCMの20/.04を採用してみるつもり(ファイルの在庫が切れ次第)。

タグ:HyFlex
posted by ぎゅんた at 10:14| Comment(8) | TrackBack(0) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお、第6世代のニッケルチタン投入ですね。
僕はまだこれ使ってませんが、そんなにイイなら一度使ってみます。僕はSECを使ってのゲイツが主流なんですが、こちらでスルリとグライドパスが出来るならありがたいですし。
メインファイルはプロテーパーネクストからエッジエンドファイル(スマイルUSにて絶賛発売中)に変更しましたが、マルテンサイトのニッケルチタンは確かに折れにくくて、イイですね。Mワイヤーのものよりは確実に耐破折性は上がってるようですし。Hy-Flexも確かマルテンサイトはずですね。
ニッケルチタンは技術革新とともにどんどん変わっていきますが、ついて行くこちらも大変。
エンドに興味ない先生なんかは結構混乱してるんではないですかね。またぎゅんた先生のニッケルチタンの総論なんかも期待してます〜。
Posted by 奈良の変態紳士 at 2017年05月06日 08:01
奈良の変態紳士先生 コメントをありがとうございます。

SECをお持ちであれば、グライドパスファイルよりも早く安全に形成してくれるはずなので不要ではないかと思います。SECでグライドパスを形成して、更にグライドパスファイルで道筋を整理するように用いるのは丁寧で好ましいと思いますが、スカスカでヒュンと終わっちゃうのではないでしょうか。

グライドパスファイルとSECとで、どちらが安全かといえばSECでしょうから、セコセコと「器具買うぜ貯金」を膨らませているところです。

この記事には書き忘れているのですが、グライドパスファイルはそれまでのつなぎかなと。


NiTiは昔の接着システムが各社からたくさん出たあのムーブメントとそっくりで、「結局、どれを使えばいいの?」的混乱はあると思います。

結局のところは、実績と使いこなしにあるので、もう古いと言われるエンドウェーブでも素晴らしい成績を出す先生もおられますし、レシプロケーティング系に移行された先生もおれます。ますます混乱しそうです。実際、とある場で「エンド好きです」と発言したら「どのNiTiをどう使えばいいの?(メーカーはいいことしか言わないからわからん)」と質問にあいました。この質問に即断を下すのはちょっと難しいですよね。私も色々使ってきましたし使っていますし、組み合わせていたりしますし。

エンドに興味ない先生はNiTiすら興味がないです(マジ)。

興味はあるけど、どうしたらいいものか分からない・自信がない、どうやれば術後疼痛を減らせられるのか分からない、いままでのやり方を改善していくべきだと分かっているが、変えようとすると途端に成績が悪くなるから変えられないとか、そういった切実な思いを抱かれている先生が多い感触です。

NiTiファイルの総論はさておき、HyFlexを使用して思うところがあれば記事にしてみたいです。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月06日 10:29
前々からぎゅんた先生のブログに登場してくるsecに興味を持っています。と言いますか、ディーラーで見積もり取ったら来週なら3割引で出すと言ったのでkavoを即決しました。
ところで使い方ですが、グライドパスに使用するのは分かるのですが、ネゴシエーションにも使うのでしょうか?そうするとEMRはいつ?という疑問が湧きました。やはりネゴシエーションはメーターを引っ掛けて手用ファイルで行い、その後でsecの登場でしょうか?
Posted by at 2017年05月11日 16:00
すみませんsec即決のポストは「トリ」です。
Posted by トリ at 2017年05月11日 21:55
トリ先生 コメントをありがとうございます。

SECは、上下運動のみなのでネゴシエーションにも使用できます。

パワフルなんでEMRは併用できないと思いますし、ネゴシエーション用に用いる08や10号であれば、根尖より数ミリ突き出ても根尖孔をさして破壊もしないと思われます。

SEC1-0は指先の感覚が掴めると使用される先生がおっしゃているので、ネゴシエーションした瞬間をコントラ越しに感じ取ることができるのではないでしょうか。

…早く買わねば
Posted by ぎゅんた at 2017年05月12日 12:34
ぎゅんた先生コメント有り難うございます。
EMRが出来ないなら、手指の感覚とデンタルでやるしか無いですね。またこの辺の部分の記事をお待ちしています。
買え〜買え〜買え〜買え〜
Posted by トリ at 2017年05月12日 13:39
いつもお世話になっているディーラーさんがお見えになったのでSEC1-0を注文しました(笑)

ナカニシのやつなんで非注水仕様でござんす。
Posted by ぎゅんた at 2017年05月12日 17:39
やった!術式レポート早めにお願いします!笑
Posted by トリ at 2017年05月12日 21:05
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