2017年03月15日

コア除去のお供にSafe Relax Removerはいかが?


写真 2017-02-28 15 47 08.jpg

感染根管治療で我々の前に立ちはだかるのが「除去」である。

わけてもメタルコアやメタルポストは、X線写真で示す峻厳な存在感を裏切ることなく、除去に難儀させられることが多い。二次カリエスで緩んでいてポロっと取れるならラッキーだが、そうした場合はたいてい、残存歯質も乏しくなり根管治療と歯牙保存に窮することになりがちだ。

いずれにせよメタルコアやメタルポストの除去は、その後の歯の保存を考えたときに健全歯質の無用な切削をさけて行うべきであることから難易度が高い。そして、保険点数や患者の苦痛を考えると、除去に要する時間はごく短時間にしなくては色々とマズイ。適当に扱えばよい相手ではない。


コア除去に関しては、私はコア除去鉗子とダブルドライバー法で戦い続けてきた。
コア除去鉗子を使用するときはコアと歯質の境界に鉗子が掛かるための溝が必要となり、少なからず歯質を犠牲にした切削を要する。

コア除去鉗子は、うまくいけば鉗子に力を込めた瞬間にプッと浮くようにコアを外すことができる。しかし、そう上手くいかないケースが大多数である。そうした場合、さらなる歯質切削と時間を要することになる。患者と術者にとってストレスはいかほどであろう。


もっといい除去方法はないものかと悶々としていた頃、世界の佐久間利喜先生にセーフリラックスリムーバーの存在を教えていただいた。昔はモリタが扱っていたらしいが、売れないからと発売停止になった経緯がある器具という話だが、SmileUSで購入できるようになったということである。

Safe Relax Remover

歯科の治療用器具に限らない話だと思うが、器具というものは数万円の出費を覚悟しなくてはならない。セーフリラックスリムーバーは650ドルである。いまでこそ「買ってよかった」と満足しているが、購入するかどうかを1ヶ月以上逡巡したことは告白しておかねばなるまい。これぐらいの出費など屁でもない豊かな財政が欲しいものである。

さて到着したブツはおフランス製であった。色々と仰々しいアタッチメントが付属しているが、殆どのケースは爪型アダプターで対応できるので、見た目に反してシンプルな器具。

使い方もシンプルである。
除去する冠でもコアでも、引っかけられるところに爪を引っ掛けて動作させて脱離させるだけだからである。動作は、爪を引っ掛けて引っ張った状態でペダルを踏むことで実行させる。爪が引っかかっていて引っ張られた状態でなければ作動しないセーフティ設計であり、また、爪が確実にかかれば高確率で除去できることを意味している。

瞬間的な連続振動でセメント層を破壊して着脱方向に脱離させるメカニズムなので、コアやポスト除去時につきものの「破折」をかなり予防できる意味でも優れる。

欠点があるとすれば、作動時の振動が強いことである。これは動作前に必ず患者に伝えておかなくてはならない。急性化膿性根尖性歯周炎で歯根膜症状が強い患歯では、除去時に麻酔が必要になろう。そして、重度歯周炎等で動揺の著しい患歯でのでの使用は危うい。



【購入後の実例】
ちょっと長いポストも
ポストコア除去.jpg
20秒ぐらいで除去

FMC、メタルコアも
FMC+コア除去.jpg
10秒ぐらいで除去

FMC+コア除去_2.jpg
どちらも5秒ぐらいで除去

写真に撮っていないので提示できないが、片方の支台歯で脱離した状態にあるブリッジを意図的に脱離させるためにも使える(非脱離側の支台歯にかかるポンティックの下に鎌型のアダプターを引っ掛けて作動させる)。


このセーフリラックスリムーバーを用いなくても容易に除去できたであろう冠やコアであっても、明らかに短時間で除去できることは変わらない。だから、使用して損をすることはない。そればかりか、歯質の保存と口腔内でメタルの切削を可及的に減らせられることで患者さんの身体負担の軽減に寄与し、回収メタルの増加すら見込めるのである。これに比肩する除去用器具があるだろうか?



コア除去やポスト除去を前にした時のストレスが軽減したことで、私はこの器具の存在をとてもありがたく感じる。コア除去やポスト除去にストレスを感じておられる先生は購入を検討されてみてはいかがだろう。また、たいていの患者さんは冠やコア、ポスト除去でシンドイ目に遭われているものなので、手早く除去を終えられることで無言の信頼感が得られるようである。
 
この記事へのコメント
素晴らしい!!(ФωФ)
Posted by ボクちゃん at 2017年03月16日 08:54
ボクちゃん先生 コメントをありがとうございます。

これで冠やコアを除去するようになってからストレスが軽減されたようです。決定打となりうる有効な手法を自分が有しているというのは、診療に良い余裕をもたらしてくれます。

素晴らしい
ただひたすらに素晴らしい
Posted by ぎゅんた at 2017年03月16日 23:46
素晴らしい
今はダブルドライバーテクニックでやってますが、これ見てると欲しくなります。でもたぶん買います。また出費が・・・。
Posted by ShinyaM at 2017年03月17日 11:24
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。

午前中にインレー除去が必要な患者さんがいらっしゃいまして、側室二次カリエスのところからインレーの端部分に爪を引っ掛けてガガガッとやったら4秒ほどで除去できました。金属と歯質の切削を一切せずに除去できました。ごいすー

全ての除去のケースに対応できる万能さはさすがにありませんが、除去のための一手として所持しておくと良い器具だと確信しております。値段がネックですが、こればっかりはどうにも…。欲しい器具に限って良いお値段がする悲劇。


ハァー宝くじでも当たればなあ
宝くじ買いませんけど

Posted by ぎゅんた at 2017年03月17日 14:25
いつも参考にさせていただいております。
クラウンブリッジオートマチックリムーバーをいつか試したいと考えておりました。モリタでは確かに販売停止されていますね。

ネットでも使用感が非常に良いという評価になっているようですが、ぎゅんた先生の使用感もとてもよろしいようで、参考までにお教えいただきたいのですが、単なる通常の手用リムーバーを頬側あるいは舌側にひっかけて力いっぱい引っ張るのとどのように違うのでしょうか。
どうしても力が強いようだと歯根破折の恐れがあるような気がしてしまい、躊躇してしまうのですが。また、タイトに入っている臼歯部のメタルコア除去にも使えたりするのでしょうか?
Posted by アイテムおたく at 2017年03月30日 11:25
アイテムおたく先生 コメントをありがとうございます。

ご質問におこたえします。
引っ張るだけデしあら、通常の手用リムーバーととくに変わりありません。修復物やかんむりが緩んだ状態であれば、爪を引っ掛けて、引っ張っただけで取れてきます。この場合は、手用リムーバーでも取れるはずだからです。引っ張って取れない時に、ペダルを踏んで振動を発生させることになります。

歯根破折は怖いのですね。
除去のための力を発揮させる方向に注意をするしかありません。要するに脱着方向に力を発揮させればよいのです。

身も蓋も無い話ですが、このリムーバーで除去して歯根破折をきたしたなら、他の方法でもダメだっただろうと諦めがつきます。力をかける方向に注意するだけです。

4壁の凹みに埋まったメタルコアはまだこのリムーバーで除去したことがありません。

タイトに入ったコアであっても、爪を引っ掛けられる箇所を設けられれば除去ができるのではないでしょうか。

まだ使い始めて日が浅いので、除去ケースを増やして続報の記事がかければなあと思っています。

Posted by ぎゅんた at 2017年03月31日 11:57
初めまして。
いつも勉強させていただいております。

最近safe relax removerを購入しました。
しかしながら連戦連敗の毎日です。
出力は3くらいでやっているのですが、、、
メタルコア除去の時はもっと出力を上げるべきでしょうか?
なかなかいい音がするので上げるのに躊躇します。

先生はどのくらいの出力でやっていますか?
よろしければ教えていただけると幸いです。
よろしくお願いします。
Posted by 北の開業医 at 2017年04月13日 10:03
北の開業医先生 コメントをありがとうございます。

結構、音と振動がありますよね。キツツキかよ、みたいな。

私はいかなる除去も出力MAXでやってます。パワーで使い分けするほど器用でないからです。出力が最小なら痛みと振動が少なく除去できるなら嬉しいのですが、この機器は、除去への作用機序上、振動は避けられませんから、それならMAXでええのではと考えた次第です。振動で強い痛みやがあったり、動揺歯で患歯へのダメージが危惧される場合は使えません。

私もこの機器を使い始めて日が浅いので、経験を重ねているところです。試行錯誤してます。「こういう場合や、こう使うと除去がスムーズだ」と確信が持て始めてきたら、それを記事にしようと考えています。

頼りない返答になってしまい申し訳ありません。
Posted by ぎゅんた at 2017年04月14日 09:22
早速のお返事ありがとうございます。

出力maxでトライしてみます。

ありがとうございました。
Posted by 北の開業医 at 2017年04月14日 13:31
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