2017年02月03日

上顎第二大臼歯は稀に1根管かなって


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こうやって写真で見ると軟象の取り残しが分かりやすい(3流)


3根管か2根管がほとんどな上顎第二大臼歯であるが、10%の確率で1根管のものが存在するそうである。根管が少ないとやったぜラッキーってなもんで喜んでしまうが、「本当の本当に1根管なの?」と不安に苛まれるのもまた事実。

例えば上顎第一大臼歯の髄腔整理後、ヒポクロによる有機質溶解作用で白く明るくなった髄床底を眺めながらウムこれは3根管である、と判断し、意気揚々と根充まで終えて、その確認写真でどう見てもMB2が存在する近心頬側根が写っていた時ほど無力感に打ちひしがれる瞬間もない。実際はMB2が存在しない読影ミスかもしれないし、完全閉鎖で発見できなかったのかもしれないが、それはさておき、平然と見逃したままで根充まで終えてしまった自分を許せないし、信じられなくなるのである。こういう経験があると、hidden-canal の存在にいつまでもビクビクするようになるし、腕を振り回して窓から飛び出したくなる自分を押さえ込まなくてはならなくなる。


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デンタル写真で見ると2根管かなと思うのだが、実際の髄腔をみると、太い管が中央にズーンと存在していて、あたかもそこには、「キミちょっと太ったんじゃない」的な単根管の下顎小臼歯が鎮座しているようである。髄腔に満たしていたヒポクロを吸引除去(byクイックエンド)後、1根管にみえてどうせ2根管あるんだろカマトトぶりやがってコノヤローというようなことを、もうちょっとお上品な態度で反芻しながら、#10Kでネゴシエーションする。次に、狭窄部の根尖孔の太さを図るべく#15Kを挿入していったところ、抵抗なく通過した。見た目通り太めの根管である様子。#20は通過せず。排膿や出血所見もみとめず。ひとまず#15Kが楽に根尖を通過して交通が確保できるようにしてから、ウェーブワンゴールド:スモールで拡大し、次にレシプロックR25で拡大。太いもんだからすぐ終わる。要するにあまり根管壁に触れていない。ファイルに付着してくる削片は割りかし綺麗なそれだが、感染根管でレシプロックR25で終えるのは拡大不足だろうとR40→R50でも拡大形成。アペックスは手用ファイルでバランスドフォースで仕上げる。45号→50号。EDTA→ヒポクロ→EDTAを、各洗浄液が混ざらないように注意して交換洗浄する(ヒポクロもEDTAも、お互いが触れ合うとその効力を失うから)。クイックエンドが忙しく活躍する場面でもある。

#50のマスターポイントが作業長通りにアピカルシートに位置したので、側方加圧プラスダウンパックで根充。これは要するにフツーに側方加圧なポイントの充填を行った後、スーパーエンドαなどの加熱加圧器具を用いて根管口部でスカッと切断し、剣山みたいになったポイントを除去して、手用プラガー(大)で切断面をコンデンスして、そのあとにダウンパックを加える手法である。

Camera_20170124_2jpg.jpg

早口で喋ったみたいな文章記述はさておき、確認デンタルでこうなった(写真)。ダウンパックの深さが不足しているのが一目瞭然だが、これは私がヘボでビビりだからである。シーラーはMTAフィラペックスである。抜髄根管の根充ではAHプラスを、感染根管の根充の時はMTAフィラペックスをと使い分けはしているが、意義はあまりなさそうだ。MTAフィラペックスが切れたらシーラーはAHプラスだけにする予定である。造影性が微妙に弱い点ご強気な値段が引っかかるのである。それにMTAは、シーラーに混ぜて使うよりもズバリそのまま使う方が良い材料であろう。自費の根充になるからやったことないけど。

なんの話だったっけ。あ、そう1根管の第二大臼歯は低い確率ながら存在するって話でした。



写真 2017-01-24 14 24 43.jpg
※例によってこれは「ENDODONTICS PRINCIPLES AND PRACTICE (5th edition)」からです。
posted by ぎゅんた at 13:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
某先生から、根管で考えるのでなく根管系と考えると理解しやすいですよ、と言われてなるほどと思ったことがあります。

自身で経験して珍しかったのは、左下2の3根管ですね。ぎゅんた先生に参考文献提示していただいて、あの時はお世話になりました。
Posted by ShinyaM at 2017年02月04日 11:48
上顎7番は単根から4根まで振れ幅が大きく、時に5根ある時まであって、カオスに満ちてます。
アタイはややこしそうな時はCT撮るからアレだけど(自慢気)、デンタルだけを頼りに7番のエンドするのは本当に不安なものです。
エンドはやはり道具でそれなりに結果が決まるのは仕方ない現実であって、気合いだけではどうにもならず、そこらへんをどう乗り越えていくかが、ぎゅんた先生の今後を占う鍵ではないかと・・・・
健闘を祈ります。Good luck!
Posted by 奈良の変態紳士 at 2017年02月04日 21:34
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。

私も前歯部の複根管の存在を勉強させていただきました。

下顎前歯の根治は、もうルーチンに切端アクセスをする様になりました。根管を見落としたくないのそうですが、この方がエンド処置が手早く確実に終えられるので。歯冠側側からのアクセスが容易であるほど攻略が楽になることを身体で理解できる好例だと思います。
Posted by ぎゅんた at 2017年02月05日 14:24
奈良の変態紳士先生 コメントを有難うございます。

CTは、現代エンドを追求していくと必須の読影器なんですが、流石にまだ手が出せません。なおりが悪い根管とか、CTで断層撮影できれば必殺診断できるのですが、スペースと値段が当院の障壁。

ハードルが高くても目標があれば超えられるものですから頑張ります。
Posted by ぎゅんた at 2017年02月05日 15:49
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