2016年12月09日

「根貼」どうでしょう

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根管貼薬剤に何を用いるかを考えるとき、頭の中にたくさんの選択肢が登場する。学生時代のころは、FC、FG、JG、クレオドン、メトコール、ペリオドン、クロラムフェニコール、テラ・コートリル軟膏、カルシペックスらが使用されているのをよく目にしたので、印象深く頭に染み込んでいる。根管貼薬剤についてのレポートや口述試験、筆記試験にてそれぞれの特徴などを求められた記憶も強くあるので、少なくとも当時は、根貼に何を使用すべきかは臨床医が当然のように具備すべき知識として重きがあったのだろうと思う。今は水酸化カルシウムを用いることが殆どで、根管貼薬剤の使い分けはあまり重きを置かれていないかもしれない。それよりは根管内の感染源の徹底除去が重要で、根尖孔外=生体に薬剤のみならず異物を押し出すべきではないことを強く教育されているのだろう。

目下のところ、私は根管貼薬に薬効を期待していない。昔は色々と使い分けたり専門書や講演で言われていた通りの真似をしたが、とくに手応えはなかった。やはり感染源の除去が全てなのだと思い至った(気持ちだけで、感染源の除去ができていたわけではない)。そのうち、根貼は、形式的な、仮封の前の儀式程度の存在に落ち着いていった。

薬効を期待していない、とはいえ空っぽで仮封というのも乱暴である。根管に仮封材料が落ち込む可能性があるからである。

使用するのはカットした滅菌ペーパーポイント(ドライコットン代わり)のみか、それにグアヤコール(クレオドン)を僅かに染み込ませて用いる。グアヤコールを選択する理由は、個人的な好みの域を出ない。根管口直上にキャナルクリーナーをちょいとつけた滅菌綿球を置いて仮封することもある。

過去、水酸化カルシウムとプロピレングリコールを混和して根貼に用いていたものだが、現在は長期の仮根充でもなければ使用しなくなった(仮根充を行う場面もさしてないので本当に影の薄い子になってしまった)。除去が面倒なのと、根尖外に押し出すと危険だからである。

根尖性歯周炎の治療と予防がエンドであるが、その眼目は感染源の除去にある。結局は機械的拡大と化学的清掃(根管洗浄)が第一であって、根貼がそれに代わるわけがないのである。根貼に頭を悩ますより先に、軟化象牙質除去が完全に達成されているかどうか、防湿のための隔壁ができているか、根管の見落としがないかの確認、根管の走行を損なわないよう拡大形成を達成できるかどうかなど、もっと大切な事項を確認するべきであろう。

posted by ぎゅんた at 13:03| Comment(3) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
その通りですね。カルシペックスの押し出しについては添付文書の「禁忌・禁止」に書いているので押し出す事はもちろん論外です。リーケージ予防と、次亜塩素酸ナトリウムの効果を高めると言う論文も見たことがあるので自身は水酸化カルシウム入れるようにしています。
Posted by ShinyaM at 2016年12月10日 10:54
ShinyaM先生 コメントをありがとうございます。

カルシペックスの根尖孔外への押し出しはかなり危険で、メーカーもシリンジ容器に「根尖への押し出しは禁忌」と赤字警告シールを貼ってる始末です。押し出してはいけない薬剤だからです。

水酸化カルシウムは優れた薬理作用を有していますが、その点が強調されて水酸化カルシウム「系」製剤であるカルシペックスが安易適当に使用された結果が根尖孔への押し出し事例だと思います(水酸化カルシウムは覆髄剤に使われてもいますから、まさか根尖から押し出しても「まいいか」って歯科医が思っても仕方がない?)。


水酸化カルシウムは強アルカリ性ですから、それが粘膜に接触し続ければどうなるかは自明です。目に入れば失明するレベルですし。根尖孔外にだすと術後に激痛をきたすのも当然です。


少量の水酸化カルシウムであれば根尖外にでても炭酸カルシウムに変化して無害化されるとはいえ、あくまで少量ならの話であって、生体に処理を押し付ける危険な行為に他なりませんから、やはり根管内という閉鎖空間に限局した使用を厳守しなくてはなりません。

私がここでこんなコメントを書き殴るまでもなく、ShinyaM先生が以前より警鐘を鳴らしておられたとおりです。

カルシペックスはシリコンオイルという更なる異物が混じるものマイナスポイントですね。良好な操作性の確保のためにやむをえない配合物なのですが。

なぜかビタペックスは根尖孔外にだしても痛みを誘発しませんが、あれも水酸化カルシウムなんで根尖孔に出すのはペケですね。ビタを永久歯の根尖に出す手法は昔やっていたことがあるので猛省の至りです。乳歯の根充で頼らざるを得ない薬剤ではありますが、尻が引け気味な今日この頃です。


>リーケージ予防と、次亜塩素酸ナトリウムの効果を高めると言う論文

読みたいので、論文のタイトルを教えていただけると嬉しいです。
Posted by ぎゅんた at 2016年12月11日 00:11
すいませんちょっと書き間違いみたいなものですが、正確には「自身はリーケージ予防できたらいいなで使っている」「論文でNaOClの組織を溶解する効果は術前の水酸化Caによって高められるのを見たことがある」です。

論文はこの論文です。
Effects of Calcium Hydroxide and Sodium Hypochlorite on the Dissolution of Necrotic Porcine Muscle Tissue

Gunnar Hasselgren,DDS,PhD,Berit Olsson,DDS,PhD,and Miomir Cvek,DDS,PhD
Posted by ShinyaM at 2016年12月12日 00:03
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