2015年11月27日
やろうと思えば誰でも出来る勉強法
どうやったら歯医者さんになれるんですか?
小児以上大人未満の子ども患者さんにたまに訊かれる質問です。頑張ればなれるよ、親も歯医者だったから、本当はお笑い芸人を目指してたんだ…etc。
わりと答える先生のセンスが出ちゃうと思います。
歯科大学を卒業して国家試験に合格すればなれるよ、が正解ですが、きっと、これを訊いてきた子ども患者さんには正解ではない。天上天下唯我独尊的解釈をするに、この質問に対して、暗に期待する返答は、「どうやったらいい成績を取れるんですか?」に他なりません※。
私が一浪して歯科大に入学したとき、同級生には年上が多かった。現役生だらけだろうと思っていただけに呆気に取られました。これが大学か!
医学部受験の滑り止めで歯学部転向方もおられましたし、一度社会人になったけれども、歯医者になるために入学されてきた20代後半の方もおられました。30過ぎている方もわずかに。私のように第一志望で入学しているものはわずかでした。少なからず、もっと上の大学や、とくに医学部を狙っていた連中が主だったのです。彼らは、ずっと雲の上だったような人種であります。というのは、私は受験優等生たちが目指す医学部を受験できるほどセンター試験の点数なんて取れなかったからです。足切り要員であります。センター試験で点数を取れる人を私は尊敬していました。それを吐露すると「あんなの、点とれて当たり前だぞ」とか言われたりするわけで、私は「うわぁ、凄いトコ来ちゃったなあ…」と興奮したのを覚えております。
医学部を狙っていただけあって、彼らは試験勉強に対するテクニックを持っていました。感嘆することしきりでした。試験というのは、決められた範囲内のルールに従って点を取れば良い、極めて平等な制度であるので、点数を取るには明確にテクニックが在るわけです。こんな気持ちの良い、頭のいい連中が受からない医学部ってなんだろうと思ったものであります。
この時に教わったテクニックの中には、やはり共通点があったりするものです。学問に王道なしとはいうものの、試験を突破するための勉強には王道はあるのです。
あー、これが大事なのね、と印象深かったのは、おおよそ、以下の点です。
1.普段の講義を大切にし、重要な点を自分でまとめる
2.その日に習ったことは、その日のうちに復習する(これは面倒だが、ボディブローのように後で効く
3.積極的に他人に教える
4.過去問は極めて重要である
5.早寝早起きを習慣にする
1.は、講義中にノートを取りながらやるのではなく、講義が終わって、まだ頭がホットなうちに一気呵成に仕上げます。分からんことは、当然、先生に訊いて誤りがないようしておきます。これをしておくと、あとで読み返した時に記憶が速やかに鮮やかに蘇り、記憶に定着してくれます。安くもない年間授業料は無駄にできません。
2.これ面倒だけれども、ボディブローのように後で効く素晴らしいテクニック。…テクニックというか、本来、当たり前のことのような気もしますが。これを小学生ぐらいの時からやっていれば、学業成績優秀なのは当然です。
3.人に教えるには、自分自身が充分に理解していなくてはならない。教えること自体が、理解の把握と記憶への固着にたいへん、有利に働く。他人に教えることは自分のためになる大きなチャンスである。なので、出し惜しみもなく、気前よく相手に説明しよう。あいつはいいやつだ!好感度アップ。
4.過去問は未来問でもあって、試験で問われる内容が大きく変わることはあり得ない。出題者の気持ちになれば分かる。なので、試験を攻略するためには、まず過去問を解くことである。また、知識をモノにするためには、実際に問題で解いてみることが近道だ。
5.寮生活をしていた人の殆どが実践。講義に遅れることもないし、余裕をもった行動ができるし、日常生活の均一化が計れる点で素晴らしい。健康にも良い。いいことずくめ。過去現役問わず、優等生連中はだいたいこれ。
こういったことをトライアンドエラーして、自分なりの勉強法を確立させていきました。早寝早起きだけは無理でしたが(今思えば、実に愚かだった)、留年せずにストレートで突破できたのは、この恩恵によるところが大きいです。無勉で試験をパスしたり一夜漬けで突破できるほど私は本番力も頭も良くなかったからです。4年生ぐらいから、国家試験の過去問を始めました。電車での移動中に実践とかいう過去問を開いていたのを思い出します。強制勉強時間です。
歯科医師国家試験と高校受験や大学受験を同列に語るのは乱暴な話です。…が、私は子どもに勉強のアドバイスを求められたとき、以上の体験談を掻い摘んで述べます。「え、そんな当たり前な…」みたいな反応をされることはしばしばだけれど、なにいってるんじゃい、そんな当たり前のことの少しでも、君はやっているのか?といえば黙ります。
しかしまあ、子どもに勉強させる近道ならぬ前提条件は、(その子の)周りの大人が勉強している姿を見せることでありましょう。子どもはなんだかんだで大人を見ているものです。そして、親の真似をするものだからです。
※自虐的精神になって「札束用意して名前を書けば受かるよ」は申し訳ないがNG。子どもからすると歯医者さんは医者とならぶ高学歴ホルダーなのです。夢を打ち砕いてはいけません。
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微笑ましいお話ですね。
私は保育園時のときに、将来の夢は道路工場のおじさんですと答えました。形あるものを作るのが好きだったのでしょうか。子ども心にあまり父が好きでなかったので、歯医者になりたいと言わなかったのかもしれません。お嬢さんは真っ直ぐに育っておられますね。
頭の賢さは、持って生まれたもの云々よりも、常にインプットとアウトプットをして脳を動かしてるかどうかがキモだと思います。昔は学年トップだったんだとか自慢げに話すおっさんも、テレビとパチンコと低俗な雑誌しか読まない日々を送っていれば頭が錆びつきます。Nohara先生はそのような人種ではありませんし、歯科医を現役でいる限り勉強し続ける姿勢でございましょう。娘さんもそんな先生の姿を理解しておられるのです。
国家試験の夢、といえば、研修医のときに研修先の院長に「国家試験の夢、見ないか?」と言われたのを覚えてます。その頃は見なかったんですが、数年後にたまに見るようになりました。試験前の、寄る辺のない緊張感に常に支配されているような、重苦しい当時の試験直前の不安な心理を夢でフラッシュバックさせられるので嫌な夢です。歯医者の95%は開業医にならざるを得ないような状況を野放図にしている一方で、新卒の歯学部卒業生の未来を一方的な合格率で調整する厚労省の方針の外道っぷりには乾いた笑いしかでません。
こんな場末のブログのコメント欄で愚痴をいうほど情けないこともありませんが、国家試験の時期になると怒りが沸くもので。すみません。
私もぎゅんた先生とほぼ同じ方法で勉強してたと思います。
でも友人にK高校をでた人がなんでここに?というくらいできるのがいました。
授業中にノートはきっちりかいているんですが、ほとんどそれで終わり。遅くまでクラブとかやっていてそれで試験前に一緒に勉強する?というので彼のうちにあがったら、なんと1教科でわら半紙1枚に何も見ないで授業の内容を一気に書き出して終了(。。;;えっ
それでなにを聞いても完璧に答えられる・・・
頭の出来が違いすぎてああ、こんな人がごろごろいるんだから東大とかばんばん受かって当たり前やなと納得しました。(^^;)
彼も開業して今も仲良しですけど、目に見えるものが違うんだな、と悟りましたね。
そういえば国家試験の夢、見ますよ、たまに。みんなみるんですね。
国家試験の夢をみるか見ないかは、特に歯科医側の間で話題になることはないみたいですが、多かれ少なかれ、夢にみられる先生は多いのかなと思います。若かりし頃に人生を賭けるようなプレッシャーある試験なわけですから、インパクトありますものね。
二日目の試験が終わって、試験会場から帰る時に、入口付近にたむろしていた出会い系業者に手渡されたチラシビラを茫然とした気持ちで目を通したのを思い出します。いまも出没してるんですかね。