2013年03月05日

根充〜考察〜側方加圧

根治っぽい.jpg

ここの所、それなりに満足いく根充の感覚が得られてきた。側方加圧である。
今回は、現時点で私が行っている根充について思うところや、具体的な術式についてを記載したい。

主に用いている器材
・EMR(ROOT ZX)
・Kファイル(マニー)
・Rc-Prep
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.5%に希釈している)


not uplifted in the slightest
過去の記事にあるとおり根充は苦手だったのであるが(かと言って現状、得意なわけでもないのだが)、なぜ苦手であったかを考えたい。
以降、とても恥ずかしいことを記載するが、ネット上で隠し立てをすることに意味はないのでありのまま記載する。反面教師にしていただければ欣快の念にたえない。


根充は嫌いだ!苦手だ!
なぜなら

!ポイントの挿入や側方加圧がシンドイ
!なんとか根充を終えたものの、確認デンタルでアンダーになっている
!数ヶ月でper症状を起こしてくる
!真面目にやってこれかよ!

だからである。
ずいぶんと感情的だが、人間は感情に支配される動物、案外に相応かもしれぬ。歯科医は常にイライラしている人種なのである。


さて、考えてみよう
1)なぜポイントの挿入や側方加圧がシンドイのか?
これは単純に根管の拡大が不足しているのである。テーパー不足なのである。手用ファイルだけで根尖部にのみ注意を払って仕上げるとこうなりやすい。なぜなら、一般的な手用ファイルのテーパーは2°だからである。アピカルに注意して壊さないように、突き出さないように、そのことにばかり注意して仕上げたら根管は、大概がテーパーが小さく窮屈なものとなる。この場合は、マスターポイントがアピカルまで到達し辛くアンダーとなりやすいだけでなく、スプレッダーの挿入すら難しい。結果、アクセサリーポイントが殆ど入らないことになる。これではシングルポイント根充である。いまでも注意しないとこうした根管にしてしまう。簡単にいえばこの場合は明らかな拡大不足であり、有機質の取り残しがある。また、根治で重要な根管洗浄も、テーパーが4°以下ではアピカルの洗浄がなされないの報告があるし、それは真実だろう。結果、例えペーパーポイントに出血も何もなく、打診痛や違和感など認められないうえで根充しても、後々に根尖病変を作ってくる根管となるのである。こんなケースは意外に多いのではないか。わたしだけかもしれないが…

2)確認デンタルでアンダー?
学生時代、「…ファイルとポイントはISO規格でサイズの統一が図られているから、例えば30の号数で仕上げた根管は30の号数のマスターポイントが一致する…」という風に聞いて、ほー、うまく考えられているものだな〜、と感心したのであったが、実習や実際の根管に触れて同じことをしようとするとできない。形だけはできたと思ったら、確認デンタルでどアンダーになったものである。
どういうこったい、らっしゃい
規格されてるんじゃないの?やり方が悪いのか??俺は胃が痛くなった。

以来、ファイルとマスターポイントの号数不一致問題は、私の中で常にダークマターのようにしこりのように燻り続けていた。成書を渉猟したり根治の得意な先生に意見を聞いたり抜去歯牙で色々と試したりして、ようやく自分に向いている満足のいく方法が得られてきた。

その方法は、

手用Kファイルでアピカルを仕上げた最終ファイルの号数の、ワンサイズ下の号数のマスターポイントで根充する

というものである。
リーマーでアピカルを仕上げる方法や、ニッケルチタンでアピカルではなくテーパーで器を形成する方法も試してきたが、上記の方法が最も自分にシックリくるものであることが分かってきた。
これに加えて心がけなくてはならないのが、1)でも述べたが、根管の拡大である。十分なテーパーをつければ自動で達成されるわけではないので、Hファイル(勤務先では先端に凸のないO-ファイルをHファイルの代替にしている)で全集ファイリングをしている。作業的にシンドイので、この段階で楽をするなら、Sec1-0やジロマチックなどの機械を用いることになるだろう。ニッケルチタンファイルは、根管形成(根充前の器作り)であり根管拡大ではないので使用しない。根充するに十分な拡大が終わった後になら使用できる。その場合はニッケルチタンファイルのテーパー(多くは06°)に合わせた、規格化されたテーパードGPで根管充填することもできるがアピカル号数は一致させなくてはならない。私はニッケルチタンは破折が怖くて仕方がないので、最近はなんだかんだで使わなくなってしまった。「根充前にニッケルチタンで気持ち拡大」をすることはあるが、ニッケルチタンファイルで根管壁が平滑になればいいなあぐらいの気持ちしかない。除去することも考慮した破折のリスクと保険診療点数からは、とてもニッケルチタンファイルを使っていられない気がする。
ニッケルチタンファイルを用いるなら、使い捨て前提で、拡大から形成までほぼ全てをニッケルチタンファイルで手早く仕上げる使い方をするぐらいがよいのだろうと思う。おそらく、早く楽に根充までいけるだろう。

話が脱線したが、いまの私は「根管の拡大をきっちり行うこと」を強く意識することを心がけているのである。だが、そんなことは学生時代に習っていることのはずなのだ。基本中の基本なのだ。情けないことこの上ない。タイピングしていて恥ずかしさにピクピクする。
しかし、こんなネット上で見栄を張ることはない。
拡大が常に不足していた、それで不具合が生じていたのではないのか、ならば拡大を心がければよい。

思うに、患者とファイルとEMRを与えられて根治バタケを歩み始めた私にとって、まずはファイルを根尖まで通すこと、それが始まりであった。
そして、ファイルを通したあとは根尖から突き出ないようにアピカルシートを形成する、そのことに尽力してきた。実習のように作業長を決めたあとはストッパーで長さを固定して…という手法はとらず、ファイルは常にEMRとつなげてきた。ファイルを通すこと、根管を開けること、根尖を壊さないこと…いつしか根管を拡大する念が薄れたのであろう。ファイルの動かし方にはとても重要だが、エンドの基本があるわけではない。「作業長を決めたらあとは拡大する(そうして感染源を機械的に除去する)」ことこそが基本なのだ。

アピカルがどの号数になるのか。それは術者が歯科医学的見地と感触で決めるものだが、最低#35以上にはなるのではないかと思っている。特に大臼歯遠心根や口蓋根、上顎前歯は最低#45になるのではないか。アピカルの扱いついては様々に議論のあるところだろうし、私自身、根尖部はなるべくいじりたくないと考えているが、拡大不足からくるperは御免蒙る。そんな理由から根充のポイントは目下、最低35号になっている。

アピカルの号数が決まったら、根充にうつることにしよう。

まず、術式はラテラルである。バーティカルではないのである。私はバーティカルを殆ど行ったことはない。いままで出会ってきた師や先輩や同僚、後輩に至るまで、皆ラテラルで根充していた。バーティカルは講演や成書のなかにいる、いまだ遠い存在なのである。
ところで、著名なエンドドンティストたちは例外なくバーティカルで根充している。だからと言ってラテラルが劣っている理由にはならないし、バーティカルを選択しなくてはならない理由にもならない。クラシカルながらもラテラルがいまだに現役で採用されている方法であるのは、必ず理由がある。それは、ラテラルがバーティカルと差のない満足のいく充填結果が得られるからである。そうでなければラテラルはとっくに廃れて無くなっているだろう。ラテラルの欠点は、X線的に格好いい写真なり辛いこと、スプレッダーの加圧によるマイクロクラック発生のリスク、適当にやると死腔だらけになる、などだろうか。写真写りの悪さはバーティカルに比べると明らかだが、しかし根充後に重要なのはperを予防する安定した根管が長期に渡って維持されるかどうかであり、写真写りの悪さは臨床的に問題にはならない。とは言え、写真写りが悪い根充は、概ね拡大不足とGPによる閉鎖不完全であることが多いものであるが(しかし不思議なことに、酷い根充と分かる根管なのに全くperを作っていないことも多いのである…)。

マスターポイントは、先述の通り、アピカルを仕上げた最終Kファイルのワンサイズ下の号数のものを用いる。
ここでは上顎1のケースを例にとって具体的に説明したい。

最終拡大号数が#60と想定
#60のKファイルをEMR上で0.5のところまで到達させる。このファイルは抵抗があっても構わない。あまりキツキツでは困るが、ウォッチアンドワインディングやバランスドフォース法でEMR0.5までファイルが無理なく届かせられればよいのである。そして先端に牙質が着くことを確認する。
この後、ワンサイズ下のファイルに戻りアピカルシートを形成するイメージで、ファイルを回転させる。回転の方向は時計回りであるが、当然、この動きはファイルが根尖方向に進もうとするので、ファイルを歯冠側方向に引きながら回転させるのである。ファイル先端の位置はEMRで判断する。

ファイルを回転させることによる破折が心配だと思われるだろうが、ファイルの回転時の抵抗が小さい場合は破折しない。これぐらいで破折するようなら、ファイル挿入前のチェックが不十分であるか、ファイルの抵抗が強いことを無視したかである。

アピカルの形成は、アピカルシートの概念にとらわれて躍起になってまで作るほどのものではないが、しかし、ファイルを360°回転させてマスターポイントの先端がストップするようなシートを形成させんとする操作はおこなう。根管の先端が曲がっていれば、ファイルを回せばレッジを作るといわれるが、一回や二回ファイルを回してできるものではない(ハズ)。

根管内を洗浄。勤務先では希釈した次亜塩素酸を用いている。交互洗浄はしていない(いまでは否定された方法なので)。根管内吸引洗浄が出来れば素晴らしいことなのだろうが、その器材はない。
次亜塩素酸による根管の洗浄で大切なのは、常に新鮮な溶液で十分に作用させる時間を確保することである。仄聞では、海外では40分作用させるとか。そこまで時間を確保することは本邦の保険診療では無理であるが、できる限りのことはしたい。

(このケースでは)マスターポイントの号数は55になる。EMRで0.5の所でとった作業長と、マスターポイント試適時の長さが一致していることを確認する。タグバックはないか乏しい場合が多い。しかしタグバックがあってもドアンダーになってはいけない。マスターポイントがアピカルにジャストに到達して、オーバーしなければよいのである。ファイルの操作次第で、長さピッタリタグバック有りのアピカルには仕上げられるハズだが、それは理想であって、常に目指せる領域とは思えない。しかし到達を諦める領域でもない。

ポイントの試適が終わったらいよいよ根充である。
長さは確認できているのだから、このステップで大切なのは確実な防湿と洗浄と根管の乾燥の三つである。どれも疎かには出来ないが、防湿が不完全なら洗浄も根管乾燥も台無しにされてしまうから、やはり防湿が重要である。

根充操作の難しくなる大臼歯ではラバーダムの使用をオススメしたい。ラバーダムなんて使ってられるか、でも防湿はしたい…とお考えの先生にはZoo(mini)という開口器兼防湿器具を紹介したい。最近でいうイソライトプラスの簡易版だと思えばよい。ただし、下顎第二大臼歯部では器具が指に引っかかって操作がしにくいので、個人的には小児と第一大臼歯までの使用にとどまっている(使い方のコツをご存知の先生は是非、ご教示下さい!)。

防湿をしたら、次は根管の洗浄である。
洗浄は基本、しすぎてもしすぎることはない。様々な方法があるが、根管内吸引洗浄が最もよい方法ではないだろうか。根管内の汚れ(拡大時生じるdebris)はマイクロで確認するとわかるが、少しの洗浄操作ではあまり除去できていない。エンドチップによる超音波洗浄でも除去できるが、時間がかかるようだ。debrisだけでなく拡大時に生じたスメア層も除去しておきたい。勿論、有機質も。

確実性と効率を考えると、EDTA溶液(スメアクリーン等)を満たした根管内を非注水エンドチップで超音波振動をかけ、その後に次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄することになる。現在はこの方法が主流のようだ。そして、より高次の洗浄を求める時は根管内吸引洗浄が使用されるのだろう。

私の勤務先には根管内吸引洗浄を行える器具もないし、スメアクリーンもない。エンドチップをつけての超音波洗浄も行えない(根管内異物除去用の細長いチップならある)。スメア層とdebris、有機質の除去洗浄をどうしているかというと、Rc-Prepと次亜塩素酸ナトリウム溶液で行っている。過去のRc-Prepも記事にもあるとおり、Rc-PrepはEDTAを含む根管内潤滑材であると同時に、次亜塩素酸ナトリウム溶液と触れると発泡作用を生じる特徴がある。この時、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高いほど発泡作用が著しい。根管拡大に伴う削片はRc-Prepの基質内に閉じ込められ、次亜塩素酸ナトリウムとの発泡作用により根管外に吐き出されてくるのである(抜去歯牙で実験してみるとよい。溢れ出てきた泡をダッペングラスに集めてみよう)。Rc-Prepと次亜塩素酸ナトリウム溶液の洗浄は拡大形成時に常に行っているので、この方法で酷く洗浄が不足することはないと思っている。そして、防湿後の根管洗浄は、試適したマスターポイントと次亜塩素酸ナトリウム溶液で行う。これは、根管内に次亜塩素酸ナトリウム溶液を満たし、マスターポイントを挿入して上下運動させるものである。これでアピカル付近まで次亜塩素酸ナトリウム溶液を届かせる算段である。地味ながら有効な方法。この方法は小林千尋先生の新 楽しくわかるクリニカルエンドドントロジーに記載があったものである(本来は45分かけるらしいが、流石にそれは無理だ…)。
この後に、滅菌ペーパーポイントをこれでもかというぐらい用いて、ペーパーポイント先端に濡れ跡がなくなるまで乾燥させたことを確認する。シーラーは長期的には吸収と縮小により死腔を発生させるので正しく使うしかない。油性であるシーラーは乾燥させた根管で硬化・固定させなくてはならないから、乾燥が重要である。ブローチ綿栓で乾燥させるよりも手早く楽で衛生的である。根管内バキューム乾燥が出来るならもっと手早くすませられるだろう。

次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬しておいたマスターポイントを拭き、シーラー(キャナルスN)をタップリとつける(エビフライの為の衣のように)。それを根管内に、ユックリと上下させながらアピカルまで到達させる。こうしないとシーラーの塗布が不十分になる恐れがある。少なからずシーラー溢出による痛みがあるので、ポイントを挿入する際には「少しチクッとするかもしれません」などの声かけを忘れずに。スプレッダーをアピカルの手前まで挿入して側方加圧を行う。この時点でスプレッダーがあまり挿入されなければ根管の拡大不足が疑われる。スプレッダーが挿入されること自体が側方加圧なので、額面通りに側方に圧をかける必要はない。そんなことをするとマイクロクラックを生じるリスクが跳ね上がりる。アクセサリーポイントを順次充填していく。それなりの本数を要するので、剣山のようになるかもしれない。ガッターカットを用いて根管口直下で切断する。その後にプラガーで加圧するが、ポンポン叩くのではなく、グッ…と根管尖方向に加圧させる。これでオーバーになることはない(この時点でコアの印象が採れるのが理想的である。コアプレ時にGPは更に除去される運命にあるが、GP除去の機械的操作そのものが根充の封鎖を少なからず破壊していると考えられるからである)。

これで、確認のX線写真上ではアンダー所見(根尖ギリギリまでポイントがあるのではなく、拡大した所全てをGPが埋めているということ。つまり、マスターポイントの先端に拡大した空間が認められない)のない像が得られるはずである。


歯科治療は、煩雑なステップを着実こなすことの積み重ねで仕上がる。根管治療もしかりである。
診査・診断から根管充填、歯冠修復までへの全てに手を抜ける所などありやしない。狭くて不潔な口の中でこうも緻密な作業を行うなど正気の沙汰とは思えないが、それでも我々はやらなくてはならない。この心を支えるのは根気と職業倫理とプライドであり、挫くのは保険点数である。


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posted by ぎゅんた at 00:48| Comment(7) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぎゅんた先生

突然失礼いたします。
卒後数年目のFMと申します。
某大学の口腔外科に所属しており現在大学院生です。
恥ずかしながら卒直後より現在の医局に属しており根管治療も含め歯科治療全般につき日々難渋しています。
(現在臨床を行うのは、週に1〜2日関連病院の病院歯科でのバイトのみです)
書籍等も手にしてみましたが、自分の知りたいことがあまりに基本的なこと過ぎて見当たらず、困っていたところに先生のブログを拝見しまして、目から鱗が落ちました。

スプレッダーで側方加圧する際に、壁に押しつけない、垂直方向へ入れることで側方加圧されている、というのは理解できるのですが、スプレッダーの外し方が難しく困っております。
左右に揺らしながら外すようにしているのですが、たまにポイントが一緒に外れてしまうことがあります。。。
スプレッダー挿入時に力がかかりすぎている?のかなとも思うのですが、先生はスプレッダーを外すときにイメージされていること、気を付けられていることはありますでしょうか?
Posted by FM at 2013年10月04日 15:15
FM先生
コメントありがとうございます。
ほとんど思いつきで始めたに過ぎないこのブログが先生のお役に立てるところがあったのなら、とても嬉しく存じます。


スプレッダーの外し方
挿入したスプレッダーは、その位置で左右に揺らすのではなく、歯軸を中心に半円弧運動させ緩ませてから抜くとよいと思います。マスターポイントがアペックスに達しており、アクセサリーポイントが入る空隙が十分にあれば、それで一緒に抜けてくることはないと思います。タグバックがあればより心強いですが、なくてもそう抜けてくるものではありません。臼歯部では難しいですが、利き手のの反対側の手の指でマスターポイントを上から押さえつけながらスプレッダー操作をするのも良いと思います。

もしこれでもマスターポイントが抜けるなら、以下の原因が考察されるのではないでしょうか。
・スプレッダーが曲がっている、傷だらけ
・根管内の乾燥が不十分(シーラーが水で分離させられている)
・アクセサリーポイントが全く挿入できない根管(アクセサリーポイントを挿入すると、それが楔の効果をもたらしてマスターポイントが強く固定される)



スプレッダーの挿入について
まず、スプレッダーの形状が一般的なもの(ポケットプローブのような形)で、フィンガースプレッダーではないとの前提で進めます。私はフィンガースプレッダーを使用したことがありません。

ラテラルでの根充だと思います。
マスターポイントのサイドの、拡大して得られたスペースにスプレッダーを根尖側に挿入します。これが側方加圧になります(釈迦に説法だと思いますが、挿入した後にスプレッダーを左右に広げて、歯根に側方圧をかけるものではありません)。挿入には、特別に力を入れる必要はないと思います。スプレッダーの圧力云々よりは、スプレッダーを「正しく挿入できるか」が重要だと思います。

成書によればスプレッダーはアペックスから2mm程度歯冠側の位置まで到達させるべしとありますし、私もそれを目指しています。これを達成するのは、挿入圧ではなく、十分な拡大と形成がなされた器のような根管です。付与テーパーでいうと6度以上の形態になっています(ニッケルチタンで思い切って根管を形成するとこのような根管が規格的に得られます。ただ、その場合は、従来のラテラルでRCFをするよりもテーパードGPでシングルポイント根充するのが簡便で一般的なようです)。手用ステンレススチールファイルだけで仕上げると、どうしてもテーパーが不足しますので、Hファイルによる全周ファイリングが必要になります。ただ、この操作は削片がたくさん出て根尖を詰まらせるリスクがあるし、規格的なスムースな根管壁は得難いので、最終の根管の形成にニッケルチタン用いるのが手早くて良い方法だと考えています。何れにせよラテラル根充で重要なのは、根管がきちんと拡大・形成されていることです。スプレッダーがあまり入らないとか、アクセサリーポイントが入るスペースが全然ない、というときは、拡大不足の根管であることの明確な証拠となります。

…と、偉そうなことを書いていますが、私自身、大臼歯の根充では毎回、拡大不足を自覚させられております…(´・_・`)
Posted by ぎゅんた at 2013年10月07日 08:54
蛇足で…

根管充填が上手になる、好きなるコツがあるとすれば、とにかく成功例を増やして行くことだと思います。

成功例とは、
・自分が拡大したところまでGPを充填できていること(デンタルで確認できる)
・シングルポイント根充のような細長い根管ではなく、拡大されテーパーが付与された根管にアクセサリーポイントが密に詰まっている(デンタルで確認できる)

という意味です。
デンタルで見る分には、根管の無菌化など判断できませんが、少なくとも、少なくとも自分が狙って拡大できた根管にGPを充填出来たこと確認できます。そういう場合は大抵、予後もよいものです。

慣れないうちは、とにかくオーバー根充にならないよう、マスターポイントの試適を(面倒でも)行うことです。ファイルの使い方にムラがなくなってくると、一号下のマスターポイントを挿入してもオーバーにならないことが体感として理解できるようになると思います(最初はオーバーしそうで怖いと思いますから、長さの確認と試適を忘れずに)。


週に1〜2回の、関連病院歯科でのご勤務であれば、症例を重ねる機会が少ないと思いますから、抜去歯牙での練習も強くオススメします。


蛇足でした。
Posted by ぎゅんた at 2013年10月07日 09:41
ぎゅんた先生

御礼が遅くなってしまい申し訳ありません。
見ず知らずの私に、これほどまでに御丁寧かつ素晴らしい御返答を頂きまして誠にありがとうございます!
感激しました。
自分では思慮に欠けているポイントがたくさんありました。(お恥ずかしい限りですが、知らないこともありました)
やっぱり手間を惜しんではいけないのですね…。
早速抜去歯で練習をしてみます!
(歯には事欠きませんので汗)
本当にありがとうございました!!
Posted by FM at 2013年10月28日 18:43
FM先生
コメントありがとうございます。

最近は私も怠け癖が湧いて怠慢となり、抜去歯牙での練習はしていないのですが、ビギナーの頃の抜去歯牙での練習はかなり実りあるもので、若い先生方にオススメしたいと考えております。まずは、抜髄に臆することなく当たることができるようになるかではないでしょうか。若いうちは失敗しても許されますから臆さず遠慮せず、チャンスを逃さずトライしてください。こりゃもう老婆心です。


…根充について色々と偉そうなことを言っているくせに、昨日、オーバー根充を一根やらかして凹んでいるわたしです( ; ; )


ところで口腔外科に在籍されているのなら、麻酔科と仲良くなって全身管理に強くなっておくと良いと思います。歯科麻酔を専門とする歯科医師が麻酔科医の代わりになる時代は来ないでしょうが、全身管理に長けた歯科医師は少ないからです。
Posted by ぎゅんた at 2013年10月30日 08:55
先生のHP拝見しました。
根管充填をいつも垂直加圧で行ってきたのですが新しい職場で側方加圧を行わなければならない環境になりたどり着きました。
とても分かりやすく、難儀していた箇所(スプレッダーの使い方)への明確な解答をいただきレスポンスしないではいられなくなりましたためコメント残しました。
大変勉強になりました。
Posted by ブルージャイアント at 2020年02月01日 13:31
ブルージャイアント先生 コメントをお寄せいただきありがとうございます!お返事が遅れてしまい申し訳ありません。

今読み返すと懐かしい記事です。勤務先で、診療中の隙間時間にシコシコと文章を書いてたのを思い出します。

現在の私はあまり側方加圧は行なっていないのですが、側方加圧が垂直加圧に比べて劣っているとも思っていません。エラーが少なく、汎用性に長けた根充法だと思います。

最終拡大のNiTiファイルの規格に合致するテーパードGPを切らしている場合は側方加圧を行なって垂直加圧用ヒートプラガーで切断後に加圧を掛ければよいですし、GPを根充材に用いる限り、これからも必要とされ続けるテクニックだと思います。
Posted by ぎゅんた at 2020年02月22日 13:20
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