始めて献血に行ったのは大学一年生の時である。
献血を通じて社会貢献をしようというような崇高な精神があったわけではない。
元来自分は血を見るのも苦手だった。けれど、歯医者を目指す以上、いつまでも血の苦手意識があってもいけない。献血することで、少しは血に慣れるだろう、と考えてのことであった。忘れもしない、札幌駅近くのアスティ献血ルーム。優しいナースのお姉様方のおかげですぐに血に慣れることができた。
それからは、献血ルームの近くにいく用事があったり、自動車運転免許センターやら学祭やらで献血バスが来ている際、可能であれば献血をしてきた。献血マニアではないので、まだ通算で20回ほどでしかないのだが、自分の血液が献血に貢献できるうちは続けていきたい。
また治療上必要であるとはいえ、歯科医師は患者の身体に注射針をルーチンに刺しまくっている存在でもあるから、別に贖罪の意図もないが、自分も身体に針を刺されるという感覚を常に養っておくべきとは考える。
献血をすることで、なにか大きな名誉やインセンティブが得られるものではない。昔は図書券がもらえたらしいが、売血行為が横行して廃止になったそうな。その代わりでもないが、献血ルームでは軽食をつまめたりドリンクのサービスがあるし、小さな洗剤をもらえたりする(今もあるよね?)。採血中は快適なベッドでドリンクを片手に雑誌を読んだりテレビの視聴ができたりと至れり尽くせりである。
その意味ではバス献血はちょっと不遇で、ドリンクはもらえるが飲み放題とはいえない。また、広いとはいえないバスの中での採血になるので快適度も落ちる。あまり要求するのも不躾な話であるが、この辺を心得ている人は献血ルームで献血をすることを希望するのである。