「口臭ケアは見えないエチケット」と誰が言ったかは知らないが(マナー講師様か?)、口臭なんて、誰だって無い方がいいに決まっている。
歯科医師の考える口臭ケア(対策)は、少なくとも私が大学で習った知識を整理すると以下のようになる。
・口臭の原因の90%は口腔内細菌に賛成するVSC由来
・VSCに含まれる硫化水素は有毒である
・デンタルプラークの除去と舌苔の除去で解決する
しかし、これで口臭に悩む患者さんを救うことができるだろうか?
臨床経験のある先生方はお分かりであろうが、不十分と言わざるを得ない。
目下のことろ、概ね歯科で一般的に行われている口臭対策は
・徹底した口腔清掃
・齲蝕治療(軟化象牙質の除去)
・歯周治療
・口呼吸習癖をあらため鼻呼吸へ
・ブラッシング後にのマウスウォッシュの励行
・唾液量の改善のための口腔粘膜、舌、表情筋トレーニング
・プロバイオティクス
などではなかろうか。
こうした対策講ずることで病的口臭を生理的口臭のレベルに引き下げることはできる。
適切な効果があるし、善いことである。
しかし、なかにはそうならない人がいる。
口臭を減らすことはできても、一時的であったりする。齲蝕もないし、歯周炎も目立ってないし、唾液分泌にも異常がない。それなのに、全く「消えてくれない」種の、独特の口臭成分が残り続けたりするのだ。
現実的に歯科医師が悩むのは、こうしたケースであろう。私も、そうだ。
というより、実の娘がそうなのだ。
耳鼻科領域の話になるが、膿栓が原因なのだろうか?
と、扁桃腺んトコを覗いてみても存在するようには見えない……
ブラッシングをはじめとする口腔ケアでは、口臭の原因となる「なにか(分からない)」が除去しきれていないのではないか?
そう思って口腔清掃用スポンジで口腔前庭を含む粘膜面を拭いてみたり、PMTCの後にケア用ジェルを併用して歯肉マッサージをしたりと試行錯誤したが、確たる効果が得られたものかは曖昧であった。
そんな折、書店でみつけた『
歯科医が考案 毒だしうがい』を自分や患者さんで実践したところ、即効性には乏しいものの、口臭を減らせることを確認できた。水だけでこれは凄い。口腔周囲の筋を強く動かすのでアンチエイジング効果もある。口腔前庭部を含めたうがいの灌流と、意図的な運動で唾液分泌が促されることで口臭が減るのではないか。とくに後者は、サウナで発汗を促すことで毛穴から老廃物質を排出させるデトックス作用を彷彿とさせる。口腔内全体から唾液の分泌が促されることで、清流な唾液の流れが整って口臭が減るのかもしれない。毒だしうがいという名称はちとアレだが、知っておくべきテクニックであることは間違いない。私は嬉しくて小躍りした。
だが欠点があった。
患者さんが継続してくれないのである。幼い子も、無理だ。
お手軽に始めるられるテクニックとは言え、口腔前庭に水をブチ当てる続けるこのうがいは、実践してみれば分かるがかなりキツイのである。んなもん、普段から口周りの筋肉を使ってなくて弛んでるからだろ!と言われれば二の句が継げないが、いずれにせよ、毎度のうがいでコレをするのは高い効果を知っていても案外にシンドイのだ。ちょっとは加減したり、サボってしまいたくなる。歯医者側でもそう思うのだから、患者さん側がどう行動するか、その結論は言うまでもない。しかし、それを責めることは決してできない。
「目の前のニンジン」ではないが、歯科医師の立場から口臭対策を第三者に提言するのであれば、効果があることは当然として、即効性まで備わったものであった方が良いようだ。経験上、即効性のあるものは概ね見掛け倒しだったりマスキング(誤魔化し)である場合が多いのだが、さりとてそれを理由に即効性を考慮しないのも頑迷固陋である。
世の中には口臭対策をグッズが溢れていて、その全て調べることもできないし試してみることもできない。
その中で、あくまで私自身が実際に使ってみて、他人に薦められそうな効果のあるものが見つかった。
それがセラブレス(記事冒頭の写真)である。
セラブレスはアメリカ製のマウスウォッシュである。
娘の口臭を消したい歯医者さんが開発したらしい。私は、親近感が湧いた。
その使用方法は、説明文を読むと以下のようである。
・キャップ一杯分で60秒間ブクブクうがいをしてすすぐ
・新たにキャップ一杯分をとり、30秒間ガラガラうがいをする
・5分間は飲食をしないこと
海外製マウスウォッシュは、とかく刺激が強かったりミント臭が異常だったりして毒々しい液体であることが多いようだが、このセラブレスは「薄く薬っぽい味のついた水」のようなもので口当たりは良い。低刺激性をうたうマウスウォッシュでも「辛い」と原液での使用を嫌がる私の娘も、このセラブレスは嫌がらなかった。頑張って60秒間、ブクブクうがいをしてくれた。うがいをしている時は、当然、口を閉じなくてはならないから「鼻で息をするんだよ」と鼻呼吸への意識を促すこともできる。これは、ありがたいことだ。30秒にのガラガラうがいは、うがいの時と同量を使用すると
泡立ちが口から漏れて大惨事になるのでケチって半分量で良いと思う。
果たして、娘の口臭は劇的に減った。マスキングで誤魔化しているような効果ではない。気にならないレベルにまで口臭が「下がった」という感じだ。ちょっと驚いている。
幸いなことに、このセラブレスは通販で買える。
つまり、我々は口臭対策に悩む患者さんに「通販で買えるやつだけど〜」と紹介することができる。患者の目線からすると、普通に入手できる範囲のもので歯科医師のお墨付きがある製品を知ることができることは、嬉しいものなのだ。だから、感謝されるだろう。
注意しておきたいのは、使用法である。
私は最初、
iHerbというサイトで購入したのだが、次にAmazonで購入してみたものは日本語訳verのラベルが貼られていた。そのラベルに記載されている使用方法は、本来の使用方法と内容を異にしている。
抜粋すると、
<かんたんケア編>
オーラルリンス・キャップ約1/3でお口をすすいで吐き出します。
<しっかりケア編>
・タングクリーナー(別売)に歯磨き粉(トゥースジェル)を適量取り、舌の表面を奥から手前に優しく塗り広げます。
・歯ブラシにトゥースジェルを取り、歯・歯茎などを、丁寧にブラッシングします
・口内に残った余分なジェルを吐き出し、洗口液(オーラルリンス・キャップ約1/3)または水ですすいで吐き出します
と記載されている。
この方法は誤りとはいえないが、正規の使用方法を正確に伝えているとはいえないだろう。
そもそも、別売りのグッズの使用を示唆してくるあたりが抱き合わせ商法のようで気に食わない。なぜこのように改変したのか理解することができない。
中身は同じだと思うが、日本語訳版が気に食わないひとは
iHerbでお求めになるとよいだろう。
こちらは、本国で流通しているそのままのものが手元に届く。
iHerbでは一定額以上の注文で送料を無料にできるが、送料を気にされるかたは
Amazonで購入するのが楽で早いだろう。
ただし、こちらは日本語表記ラベルに差し代わったものが届くはずである。
肝心の中身は同じなので、使用方法だけに注意していただきたい。
先生方の口臭対策の福音になってくれることを願っている。
[Appendix]
ぎゅんたは
こんなもん使わんでも、もっとエエのあるで!
とか
口臭対策にはコレやで
とか教えてくれる
頼もしい先生をお待ちしています。