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私のエンドモーターの遍歴は、まず白水のエンドミニに始まる。
それから、レシプロ系ファイルの導入に伴いデンツプライのXスマートプラスに移行した。
その後、コードレスのエンドモーターとしてEighteeth のE-CONNECT S を導入して、現在に至るも愛用し続けている。
エンドモーターのなにが怖いかって、それはやはり故障である。動かなくなったら大ピンチだ。動いても、ヘッド部のチャックが緩んでNiTiファイルの把持に問題が出たらマズイ事態だ。
これはつまるところ、私はもうNiTiファイルなしにエンドできない体に調教されているからである。
気づけばE-CONNECT Sを愛機にして2年は経った。
堅牢で故障知らずで取り回しも良好。素晴らしいエンドモーターだ。それだけに、もし故障したらと考えると背筋が凍る思いだ。
慌てた私は、Xスマートプラスがスペア機としていつでも使えるよう確認しなくてはならないと考えた。
埃を被ったままのそれの動作確認をしようと電源を入れたが、起動しなかった。
バッテリー切れに違いないと通電状態で電源ボタンを押したが、なんど試しても反応がなかった。
こいつ、使わずにいただけで故障したのか?
ラチがあかないので、材料屋を通じてメーカーに原因を調べてもらうことにした。
その結果、「修理に16万円かかります。新しいものを購入されては?」という返事が来た。私は失望した。
そこで現行の、国内で入手できるエンドモーターを簡単に調べ直してみた。
ひそかに購入を考えていた白水のエンドミニは既に販売を中止していた。私は落胆した。
さて目下、エンドモーターも進化を続けておりコードレスタイプが主流になっているようだ。
各社から色々と出ているのが、新型コロナのせいでデンタルショーがない昨今のおかげで実物に触れずにいるままだ。日々のエンド診療で自分の掌に預ける器具は、パンフで相性を図れるものではない。ある程度の確信があるのだが、E-CONNECT Sを超えるクオリティのコードレス・エンドモーターは存在しないのではないか、とも思う。
それならE-CONNECT Sを新たに買いなおせばよいのである。
と考えて、前回に購入したルートで打診をしたのだがうまくいっていない。
電話番号を教えてくれればディーラーからそちらに連絡が行くようにする、という流れはいいのだが、肝心の連絡が来ないのだ。
E-CONNCT Sはいまや世界で売れまくっているので、もう個人に個別に売るようなステージは超えてしまったのだろう。日本のような窮屈で自由のない歯科市場は、世界で歯科器具を売っている新興メーカーからすればリスクがあってツマラナイだろうから、E-CONNECT Sが日本で購入できる日は将来的には来ないだろう。
もしあったとしても、既存メーカーを介しての販売になるかもしれないから高価になる。日本製を謳うエンドモーターよりも高いプライスになるだろうから、どこも発売はすまい。そうでなければ、海外製品での勝機に目ざといCiメディカルやFEEDが目をつけないはずがない。いやまあ、私の邪推かもしれないが……
こうなってくるとクオリティに多くは求めず「スペア機」として、
ゼータデンタル あたりから半分シャレのつもりで安価なものを購入して備えるのも良いかもしれない。
ただし、あまり食指が動くような製品はなかった。
私が個人的に欲しいなと思ったのは、Woodpecker社の「T-model of Black Ai-Motor」である。Woodpecker社の既存のエンドモーター「Ai-Motor」の、寺内吉継先生モデルという触れ込みのようだ。塊感のあふ黒色のルックスはシャープで格好良い。現代風のエンドモーター然としている。
紹介動画を拝見したかぎり、機器内部に用いられている電子システムがE-CONNECT Sのそれを流用しているように思われたので、これを後継機にできれば、と思ったのだ。
Woodpeckerに入手の可否について問い合わせたところ「登録の関係上、日本では発売できない」との返事であった。薬事法とかあのあたりで引っかかるのであろう。
Woodpeckerの製品は日本でも歯科材通販で姿を目にするので、このBlack Ai-Motorを入手できる日が来るかもしれない。けれども、価格はおそらく安くはない。「相対的であれども、日本は本当に貧しくなった」という厳しい現実を、海外の歯科材料の入手を介して突きつけられる ことになりそうだ。