2020年11月18日

(書籍紹介)『自費診療が激増する10秒間の声かけ』


「指導・監査100%合格のカルテ」の著者であられる小出一久先生の最新作です。(→過去の紹介記事

小出先生のファンなので速攻で買いました。買ってよかった
皆さんもご一読ください。私のグダグダとした愚見など不要なのであります。



ホケンじゃない!
歯科医であれば、おそらく誰もが自費診療を増やしたいと考えているものです。それは、歯科医師として働いて10年近くにもなれば、保険診療だけは自分の考える理想の治療ができないことを悟るからでもありますし、保険診療という厳格なルールより外れて自分の腕ひとつで評価される仕事をしたいという果てなき挑戦心があるからです。

自費は保険診療と違って儲かるから、と考える歯科医師も多数存在しますが、それは実のところは評価の低すぎる保険診療に対する不満の裏返しに過ぎません。

保険診療で立派に治療結果を出しておられる先生が、現行の保険診療の点数に対し「もう少し高く評価してくれてもエエんちゃう?」と不満を抱かれても当然でありましょう。私もそう考えることがあります。

もし第三者に訳知り顔で「(そのような姿勢は)医療人にあるまじき自己犠牲の精神の放擲である!」とか口を出されても私は苦笑いしかできません。どうぞご自身の赤ひげ先生をお探し下さい。もっとも、赤ひげ先生は保険診療ではなく患者の金銭負担がゼロに近い自費診療をされると思いますが。




本書の副題にある「10秒間の声かけ」は、本当に10秒で済みます
世の中にはキャッチーさ最優先で中身を伴わないタイトル詐欺のクソ本がビジネス新書界隈を中心に氾濫しているものですが、この本は違います。マジで10秒の声かけだからです。

タイトル通りに自費診療が「激増」するかどうかは先生方の医院次第かな…とも思いますが、少なくとも当院のような保険診療が99.5%の歯科医院にとっては月にひとつでも自費の冠が制約するなら「激増」の福音となるわけでありまして、タイトルに偽りなしなのであります。

ネタバレになるので具体的なことは書けません。コストパフォーマンスがハイパー高い自己投資だと思って本書を購入して読んでみましょう。本のお値段3700円(税別)は直ぐに回収できます。いえ本当、その通り。私でもできました。エヘン。


私見ですが本書は、自費診療バリバリの先生向けではなく、保険診療であれ患者さんに良い治療を提供したいと考え日々の歯科診療に従事しておられる実直な先生に向けられた応援のように思います。そのような先生こそ、本書に書かれている手法がストレートに発揮されるようになっているからです。たとえ自費診療の提案が断られても、いつもどおり笑顔で実直に保険診療の治療を完遂することでしょう。そういう先生って本当に格好いいし、なにより患者さんからも信頼されるので、本書の手法がダイレクトに利くことになるのです。

さあ、腕を磨こう!

posted by ぎゅんた at 21:09| Comment(0) | 書籍など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月09日

届いたぜEdge V-FILE HT

Edge V-file HT.jpg

Edge Taper Encoreが発売中止になってこれから困ったなあ、という経緯は記事にしたとおりである。

この記事では、グライドパス形成から最終拡大までの間の根管の予備拡大としてEdgeTaperEncoreのX1とX2を使用し続けてきたが、ここにきてNiTiファイルを入手できなくなってしまったことを記した。まさか突然にして販売を修理するとは予想だに出来なかった。

そんな折にコメントにて存在を教えて頂いたのが、Edge V-FILE HT(以下、Edge-V)である。いつお世話になっているスマイルUSで買えるのである。果たして、このファイルはEdgeTaperEncorenoの代わりを務めてくれる存在となり得るのだろうか?



答え:なった。でも、操作感は違う

EdgeTaperEncoreの魅力は、なんといっても優れた抗破折性があり適度な柔軟性とソコソコの切れ味にあった。タフなファイル、という評価がしっくりくるのであった。

一方でこのEdge-Vは、ビジュアルが田舎臭くイケてるようには思えず、ファイルは柔軟で切れ味が優れているようには触れてみた限りでは思えない。

うーんハズレだったか…と落胆しつつ抜去歯牙で試用してみたところ、フニャではあるのだが、キッチリと狙った拡大は達成してくれるのであった。Edgeendoらしく抗破折性も高いと思われる感触である。EdgeTaperEncoreと絶対的に違うのは、術者がファイルに負荷をかける使い方できないことである。

どういうことかというと、EdgeTaperEncoreでは(推奨される使い方ではないのだろうが)動作中に根尖方向に力を加えることで根管形成を能動的にコントロールすることが可能であった。これに慣れると、他のNiTiファイルを使用すると根管の拡大形成時に手間と時間がかかって鬱陶しいと思うほどになる。NiTiは本来的にコントラヘッドの重みを利用した自重とファイルのキリ揉み推進で根尖方向に移動するものであるが、これはNiTiファイルの操作の安全上の絶対ルールと理解していても、実際にはまどろっこしく感じる。歯医者とは、とかくせっかちな生き物なのである。

Edge-Vでこの方法を適応しようとすると、柔軟性に負けるように急にファイルが自体がクタってしまい、そもそも根尖方向に進まなくなるようだ。これはNiTiファイルを安全に使わせるセーフティを兼ねている。EdgeTaperEncoreで少々ヤンチャな使い方をしていた先生は、頼りなく感じだろう。

とはいえ、ファイルの切れ味が悪いわけではない。根管壁に接して切削しつつ根尖方向に進んでくれるので落ち着いて使えば全く問題ないのである。セーフティメモで使用回数のカウントをして使用する限り、破折ともほぼ無縁であろう。今のところ、乗り換えにストレスもなく、継続的に使用していく気持ちである。破折も生じていない。コスト的にEdgeTaperEncoreよりも安いのでありがたい限りだ。

本当のところ、予備拡大にはXP-Endo Shaperを使いたい気持ちがつよいのだが、お財布と医院財政がそれを許してくれないのであった。

ラベル:Edge V-FILE HT
posted by ぎゅんた at 22:43| Comment(0) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする