エンドにおける根管洗浄のステップは 、地味ながら予後に影響を大きく及ぼすと思われる重要なステップであろうと思います。しかしながら、案外にその評価下すことは難しいものです。「多分、できているだろう…」と根管洗浄のステップを盲目的に行うのが常ですし、さりとて根管洗浄前の根管内の除去すべき debris の総量を我々は知ることができない。「(このような洗浄を行うと)debris の効率的な除去ができることを根管治療用模型や抜去歯牙で確認済みである」という意識が、術者の根管洗浄のステップに迷いを生ませない確信になっているわけですが、やっぱまあ、なんというか、盲目的だよね、ということは否定できません。もっとも、イチイチ瑣末な迷いを持って根管洗浄している方がエンドの質の面でマイナスですから、迷いなく、「まず確かな」根管洗浄をルーチンに行う手技を有し実践するのがトータルで見て正解なのでありましょう。
適当なタイミングで交互洗浄用の(あの太い)ピペット先端を根管口に突っ込んで洗浄液を出してから3wayシリンジの水を患歯にぶっかけて「根管洗浄」と自信を持って答えるドクターはもはやいないと思いますが、ではその先はどうか?を考えます。
おそらく現状、25-30Gのイリゲーション用ニードルを根管に挿入して液体をゆっくり出しながらニードルを上下に攪拌させる陽圧根管洗浄が主流になっていると思います。用いられている根管洗浄液は、低濃度ヒポクロと17%EDTAが主流でしょう(IRRITOLやQMIX2IN1といった面白そうな根管洗浄液も登場しているようですが、最近の私は不勉強でそこを追っかけていません。明るい先生はコッソリ教えて下さい!)。
さてタイトルにある通り、最近の私は根管洗浄にEDDYを意識的に用いるようになっています。イリゲーション・ニードルと洗浄用シリンジ、そこにヨシダのクイックエンドとエンドアクティベーターのふたつがあれば、根管洗浄に関してさしたる不満を感じずに来ていました。このスタイルを導入する前に比べて予後が悪いということは全くなかったからです。
あるとき、下顎第二小臼歯の再根管治療の症例でエンドアクティベーターの代わりにEDDYを用いてみたところ、(あくまで感覚的な話ですが)、予後が良かったことがありました。根充後の写真でも、根尖のみならず根管中央部の側枝にシーラーパフが認められ「三次元的な根管清掃を実現する根管洗浄としてEDDYは確かな有効性がある」と実感混じりの手応えが得られました。
「確認デンタル上で根充した患歯にシーラーパフが存在する=良い根充である」という単純な結論は出せませんが、少なくとも根管の十分な清掃が得られていないと側枝のような細い管にシーラが圧に押されて入ることはないと考えられますから、良い根管洗浄は達成できたと捉える向きは肯定されると思います。ときおり、根管の中央付近傍に透過像初見があって根充後にその病変に繋がっていたと思わる側枝にシーラーパフが認められ、病変が縮小していくケースが報告されたりしますね。ひとまず、良い根管洗浄は良い結果を約束してくれると考えればよいです。
EDDYはエンドアクティベーターと同じく、根管の清掃に寄与する器具だと思います。
エンドアクティベーターの方がコスト面と取り回しの面で有利かな?と思いますが、うーん、どうだろ。
EDDYと根管洗浄に関しては、色々と知見を積んでいきたいところですね。