出入りの歯科ディーラーに「先生、新しいシーラーです(買えやオラァ!)」と紹介されたのがニシカの「キャナルシーラーBG」である。キャナルシーラー・シリーズの最新作のようだ。"BG"はBioactiveGlassを意味するようだ。分類的にはMTAを40%含有する『MTAフィラペックス』と同じ結合性シーラーに属するようである。グラスアイオノマーなシーラーとか、フィラーを含むシーラーとか、ブルガリアとかいう意味ではないのである。11/24(Fri)から発売するらしい。
頂戴した抜粋資料より、シーラーが「密着性シーラー」「接着性シーラー」「結合性シーラー」3つに分類されると改めて知った(不勉強)。ひとまず私が使っているシーラーは『AHプラス』と『MTAフィラペックス』の2つ。どちらも普通以上に高価なので、代替品に変えるか、どちらかひとつに絞るかを考えていたところである。
代替品としては、(多分)AHプラスのライセンス品もしくはパクり品っぽい『Ci キャナルレジンシール』を、どちらかひとつに絞るなら『MTAフィラペックス』でエエかなぁ……と漠然と考えていた。そんなところのキャナルシーラーBGちゃん登場だったので、キャンペーン価格でディスカウントされるとの甘言もあって購入することにした。
MTA-Fillapex & AH-plus
MTAフィラペックスに関しては、造影性がちょい低いことと、生体親和性が低いと報告されている点※が気にかかる。シーラーを根尖から押し出す意図はないにしても、ダウンパックによる根尖部GP加圧することで、シーラーが側枝に入り込んだり根尖部でパフを形成することはあり得るからである。材料に細胞毒性がない方が良いに決まっている。MTAフィラペックスの名の通り、「MTAな」シーラーを想像してしまうことから無条件に生体親和性が高いシーラーであると思いがちだが、報告を信じる限りそれは否定されている。ついでにAHプラスも生体親和性が低いシーラーであると述べられている。これは、困ったものだ。
シーラーに備わる物性によって根尖病変が治癒に導かれるとか良好な根充が約束されるわけではないことは自明であるが、操作性が良好で生体親和性が高くてコスト的に許容できるシーラーがあるなら、それに乗り換えれば良いのだろう。このキャナルシーラーBGが使いやすい満足のいくシーラーであることを願うばかりだ。
※
Claudia V. Bin, Marcia C. Valera, Samira E. A. Camargo, Sylvia B. Rabelo, Gleyce O. Silva, Ivan Balducci and Carlos Henrique R. Camargo : Cytotoxicity and Genotoxicity of Root Canal Sealers Based on Mineral Trioxide Aggregate.J Endod,38(4):495-500,2012