2017年08月10日

ウェーブワンゴールドGP


うぇーぶわんごーるどがったぱーちゃ.jpg
ケースのパッケージに漂うバタ臭いお洒落感はご愛嬌


まとめ
レシプロックGPから乗り換えました。1000円安くなるぞ!


根管の拡大・形成にNiTiファイルを用いるようになって数年が経った。ネゴシエーションして、根管口明示をして、グライドパスを確保して、根管の走行を逸脱せぬよう器を作り上げる。器は、理想的な根管洗浄と根管充填を実現するために必要だと理解している。最近では、根充に際してどれだけ根管内を「根管洗浄」のステップで清掃できるかどうかが、基本的な根管治療における要諦でないかと考えている。「ヒポクロが効かせられる根管」にできるかどうか、というところか。

ウェーブワンゴールドGPには スモール/プライマリ/ミディアム/ラージ のラインナップがあり、これが各ファイルのテーパーとサイズに一致させたものになっている。ひとまず私が購入したのはプライマリとラージの2種類である。これは、いままで用いていたレシプロックGPのR25とR40の代わりを兼ねるためである。プライマリのそれをガッタパーチャゲージで先端を調整すれば25-45までを(おおよそ)カバーすることができる。45号以上はラージのGP先端をガッタパーチャゲージで調整すれば間に合うだろうと考えている。レシプロックGPはウェーブワンゴールドやレシプロックで拡大形成後に満足のいくジャストフィットを示して以来、比肩するものが他にないため愛用し続けてきた。我慢がならなかったのはコストがバリ高であることだ。幾ら何でも60本で4800円は高すぎる。ウェーブワンゴールドGPはそれに比べれば60本3800円であるから、決して安くはないが歓迎できる値段だ。レシプロックのは60本4800円である。



レシプロックGPと比べてどうか?
使用感はまったく同様なので互換性が高い。造影性も似ている。弾性は、わずかにウェーブワンゴールドGPの方が柔らかめか。

違うところで述べることがあるとすれば、ポイント頭部のカラーコード処理である。レシプロックGPのそれはペンキみたいなカラーが塗抹された感じだが、ウェーブワンゴールドGPだとカラーが薄く染み込んだようになっている。レシプロックGPにしろ、テーパーのついたマスターポイントはGP用ピンセットで把持しにくいきらいがあると過去に述べた。これはウェーブワンゴールドGPでも同様なのであるが、気になるのは、レシプロックGPのカラーコードの部分の塗装が、ピンセットでの把持操作に伴う機械的接触で剥がれえることである。剥がれた破片が根管内に落ち込んでしまうリスクが常々、気になっていた。ウェーブワンゴールドGPではカラーがポイントに染み込んだかのようになっているから、この問題は生じない点で安堵できる。



【チンケな根充例】
RCF-WG_Large_01.jpg
ウェーブワンゴールドラージで拡大後に、ウェーブワンゴールドGP(ラージ)で根充。シーラーにAHプラスを使用。アペックスの位置はROOT ZXの〔1.0〕の値点。

RCF-WG_Large_02.jpg
抜髄即根充。アペックスの位置はROOT ZXの〔1.0〕の値点。 #31のシーラーが線状なのが気になる…SEC1-0で穿通して組織間に隙間が生じた?GPのオーバーはないにせよ、あまりよろしくあるまい。



そんなわけで根充に使用するテーパードGPはウェーブワンゴールドGPに変更を決定。
あともう一声、安くなってくれれば言うことなしなのだが天下のデンツプライ様なんで値下げは期待できないだろう。ぐぬぬ。ディーラーに泣いてもらえば値下げ可

posted by ぎゅんた at 18:36| Comment(7) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月01日

(所感)コミック版 はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術



欲しいと思った本はすぐに買おう
世界中を席巻した、起業に関するベストセラーである「はじめの一歩を踏み出そう」のコミカライズ版。この本のタイトルを目にすると、私は悔恨の念に駆られる。

それというのも、私が大学院生だったとき、中古の本屋でこの本の原著である「はじめの一歩を踏み出そう」が100円で売られていたのだが、「来週に来た時に売れ残っているだろうから、そのときに買おう」と棚に戻したことがあった。こんないい本が破格のプライスタグであって売れないわけがない。案の定、翌週には売れてなくなっていたのだった。本を買うとき、私はいつもこの出来事を思い出す。それは「良い本だと思ったら買わなくてはならないのに、買わなかった」ことを後悔しているのではない。「破格のプライスで売られていたのに、それを見逃した」ことを悔いているのである。正確に分析すれば、私は「なるべく安く買いたい/損をしたくない」気持ちがやたらに強いことが分かるのである。女々しい吝嗇家といったところだ。ただし、必要だと思った本は、予算に余裕があれば即座に購入する人間には育った。本というのは、買おうと思ったら買わなくてはならない。そして、縁があるものだ。

さてこのコミック版はじめの一歩を踏み出そうは、世界の佐久間利喜先生がご紹介なさっていて存在を知ったもの。この本とはやはり縁があるのだと脊髄反射で注文した次第である。



読んで思ったことをタラタラ
開業歯科医というのは、院長だぞと威張ったところで所詮は中小企業の社長のようなものであり、基本的にブルーワーカーである。歯科医師は職人気質が強く、経営の勉強など習っていない。勤務先/修業先/バイト先の運営スタイルを真似するのがせいぜいだ。そして、個人開業医院というのは、結局は院長が存在しないと立ち行かないところがある。これは、あたりまえのようでいて重要なところだ。いつまでも第一線で働き続けられる喜びが保証されている一方、隠居することが難しいのである。そして、患者の数は先細りになる。患者も、老医よりは若手中堅を求めるからである。畢竟、後継者がいない医院はひっそりと閉院することになるのが普通である。第三者への医院の売却は、あまり聞かない。居抜き開業は、多いようでまだ少ない。嫁と畳と新車みたいなもので、新規開業のスタンスを選ぶ歯科医師が多いためか。やるなら、自分のカラーを前面に打ち出した医院にしたいのである。

開業歯科医は起業家でもあるが、起業した末に自院を第三者に売却することを念頭に置く歯科医師は少数派であろう。「自分が現場で働かなくても医院が回る」ことを実現する歯科医師もいるが、これはより少数である。できなくはないが、歯科医師という職業を考慮すると難しい話に違いない。実現できたとしても、完全引退する先生ももまた、少数であろう。もう働きたくねーなんて言いながら、本音のところでは歯科治療という仕事が好きな先生が多いからである。そうでないとしても、政治家になったり別の分野での起業をはじめるものである。仕事をしなくなることはないのである。

この本に書かれているのは、「正しい起業」術である。仕事するのが好きなのだと熱意と情熱があふれんばかりの逸材であっても、起業したとなれば経営からは逃れられない。スタッフを雇うにしても、自分ほど仕事に熱意を持っているわけではない。ただ目の前の仕事に没頭していればうまくいく現場ではない。資金繰りも予想以上に大変だ。理想と現実との間の大きなギャップが目の前に立ちはだかる。自分さえ頑張れば、現状を打破できると信じて懸命に仕事をし続けるも一向に改善の兆しはない。そのうち、仕事のことを考えると精神と肉体が硬直して事業を継続できなくなる……。

起業するからには、事業を継続させられるシステムを作らなくてはならない。それがないと、仕事の遂行上のアナログエラーが出やすくなる。ひいては、仕事に従事する人間のストレスになる。

フランチャイズのなにが優れているかを考えるのは良い課題だ。従業員にとって、いかに考え尽くされた優れたパッケージングであるかが分かるはずだ。自分の医院をフランチャイズ展開することまで考える先生は少ないだろうが、従業員がとにかく働きやすい仕組みを設けることは導入すべきだ。

同僚の些細な行動が生理的に我慢がならず仕事自体が嫌になることがあるように、人間というのは極めてアナログで感情に左右される生き物だ。パフォーマンスも当然、大きな影響を受ける。業務内容をマニュアル化したりシステム的に整理していくことは、言葉尻を捉えると衆人管理的でつまらない印象を覚えるものだが、なんらかの目的を持たせるために作成されたマニュアル化には従業員に心地よさと成長性を与える。少なくとも、確固としたマニュアルがなく、「各自のやり方にお任せ(しかし、責任はとってもらう)」な、自己判断に困る場面に頻繁に遭遇するストレスから従業員を解放させられる。なにかあった場合は、マニュアルに基づいた問題点の抽出もできる。業務内容を常に一定的に安定させることが第一である。

この本は歯科医師が読んでも参考になるところが多いだろう。歯科開業医もまた起業家だからである。開業していなくとも、経営上でなにが重要であるかを常に意識して診療に従事することは勉強として有意義だ。どんなに準備していたとしても、いざ開業してからは「経営」に悩まされることは必定であるにせよ、できる限りの予習と備えをしておくべきであることはいうまでもない。

偉そうなことを述べている私はいま現在、「経営」に四苦八苦していたりする。実家の医院に帰って跡を継ぐだけだからとあまりに思慮浅薄で準備不足だったことが露呈した。今更ながら恨めしい。若い先生の反面教師になることを願うばかりだ。準備はしすぎてもしすぎることはない。



It is very important that
表紙の萌え絵風味の漫画を期待すると裏切られる。
本編はちょっと古いタッチの少女漫画風味である。表紙詐欺。

 
posted by ぎゅんた at 08:50| Comment(2) | 書籍など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする