2017年02月28日

クイックエンドのスリムインサートチューブの代替品にPFAマイクロチューブ


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まとめ
PFAマイクロチューブ最高や!21Gのイリゲーション・ニードルなんて、最初からいらんかったんや!


クイックエンドのスリムインサートチューブは、使い勝手の良さがある一方、保険診療エンドではコスト泣かせであり、打開策を考えたのはこの記事で述べたとおりである。

21Gのフラットエンドニードルを加工じて代替チューブにする案は、極めて最低限のレベルの応急対策に過ぎなかった。コメント欄にてご指摘もあったように、金属チューブをヘッドのホールに挿入する行為がホールへのダメージとなることを避けれないし、なにより、加工の手間が面倒なのである。コスト的に安くつく点はメリットだが、総合的に評価すれば、決して及第点とはいかないレベルであった。

さて、同コメント欄にお寄せいただいた情報を読んで私の心は躍った。

「インサートチューブの代替えですが、「モノタロウ」でPFAマイクロチューブ0.5/0.7というのがあります。試した結果、適合は若干緩めかな?という程度で使えそうです。腰がなくふにゃふにゃしていますが、これだと2センチにカットすると一本10円です。」
「2人7根管使用しましたが、十分使えます。ちょっとふにゃチン気味ですが、一本10円だと思えば我慢できます。外径が0.7ミリなので抜けやすいかな?と思っていたのですが、全く問題ありませんでした。良いとこは透明度が純正チューブより高いので、デブリや出血がよく分かります。長さも好みで作製できます。カットはハサミで楽勝です。」

これが本当ならかなりいけるはずだ!と矢も盾もたまらず速攻で注文をかけました。
届いたブツはとぐろを巻いた細いプラチューブ。実験器具のようであります。点滴とかに使うヤツかな。

これを鋭利なハサミで適当な長さ(2センチ以下が妥当)に切り出し、クイックエンドのヘッドのホールに装着すると満足のいく維持で固定が得られた。あ、凄い。これは凄いフィッティングだ!

軟性プラチューブなので多少の振れが生じるのだが、狙った根管に運べないほどフニャ○ンではない。根管口にチューブ先端を押し付けたときに僅かに変形する程度の柔軟さがあることで吸引効果がより効果的に発現しているところもある。チューブが純透明なので、どのようなものを吸ったか一目で分かるのも素晴らしい。

フニャ○ンの解消と、より細いとこまで吸引口を持っていくことを望んだ場合は、25Gのイリゲーション・ニードルをチューブ内に通せば達成できる。当然のごとく、スリーブとして利用できるわけである。スリムインサートチューブの代替品としては、超理想的なマテリアルではないか。

加工の手間と、ホール部のダメージを気にしなくて済むようになっただけで本当にありがたい。

ぎゅんたはトリ先生に深く感謝しています。神すぎ。みんなでひれ伏そう!
 

2017年02月27日

乳歯の直接覆髄にセラカルLC


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小児の乳臼歯部の撮影って地味に難しいですよね(言い訳)

まとめ
・乳歯のう蝕で露髄は頻発する
・直接覆髄材にセラカルLCはベターな選択


とかく露髄をきたしやすいのが乳歯のう蝕であります。

外来侵襲に対するヘルメットたるエナメル質が薄く、そのエナメル質が保護している内部環境である象牙質には髄角が誇らしげに尖っているからです。この髄角とう蝕病巣は、お互いに惹かれ合うように接触しようとする。X線写真で読影できるう蝕病巣は、せいぜい実際のう蝕病巣の70%の大きさといわれております。ことに隣接面う蝕は周囲の歯質によって透過性が減弱されるので実際のう蝕病巣の大きさに比べて明らかに小さく見える。要するに、術前に確認したX線写真上のう蝕病巣はかなり小さいのであって、小さいから楽勝だゼと楽観して処置に当たると、思いのほか大きいう蝕病巣に翻弄され予定が狂ってしまう。結果、処置に焦り急ぐあまりに軟象を取り残した充填をしたり間接覆髄に切り替わったり露髄したりするのであります。

先述の解剖学的特徴のある乳歯では、耐酸性が永久歯に比べ低いことからう蝕の進行も早い。とくに乳歯のう蝕の好発部位である乳臼歯隣接面では、見た目に小さなう蝕病巣でも油断なりません。実際に手をつけるとやたら大きいう蝕だった、というのは歯科医なら誰しも経験しているはずです。そのとき、露髄を恐れた消極的なう蝕除去と充填の結果、根尖性歯周炎で頬側歯肉に膿瘍形成をきたすことがしばしばあります。充填処置で済んで良かったワイと胸をなでおろしている術者に「歯茎が腫れてきましたケド…」と、とんぼ返り的遭遇をきたすことになるのであります。


乳歯のう蝕の臨床経験が乏しいとベテランドクターがやたら乳歯の抜髄をする姿勢に見えたりするものですが、そこには道理と経験があるのです。X線写真上でう蝕病巣と歯髄とに一定の距離があるから露髄はしないだろう、と予想しても、実際には露髄する可能性がとても高いのです。既にう蝕病巣と歯髄は接触していたりするからです(仮性露髄)。間接覆髄で対処しようにも、既にう蝕病巣と歯髄がキスしていた段階では予後が悪い。いきおい歯髄感染が進行すると簀のような隙間まみれの乳臼歯髄床底から分岐部に炎症が拡大したりする。乳臼歯分岐部の炎症病変は後続永久歯の小臼歯歯冠部に部分的な脱灰ダメージを及ぼすし、歯胚回避がおこれば萌出位置がずれることになる。

乳歯の根管治療にはマニュアルが存在せず、どうしても永久歯との交換までもたせるための治療になる不安定な側面があるから、歯科医は、乳歯を感染根管にしないことを第一に考えることになります。

結論から申せば、乳歯のう蝕治療は露髄上等で挑む姿勢でかまわない。軟化象牙質を残しても緩慢と感染根管に移行するリスクが高いし、たとえ軟化象牙質除去の末に露髄してもラバーダム防湿下で手早く直接覆髄するなら予後は良好だからです。そして、直覆でダメなら早期に生切すれば根管の歯髄を保存できる可能性が残されます。直覆にしろ生切にしろ、少なくとも余計な追加感染をさせなければ予後が期待できます。乳歯歯髄の旺盛な生命力に助けられている歯科医は多いはずであります。



ようやくタイトルのセラカルLC
光重合型MTA系覆髄材の名目で売られていますが、操作性が改善されたMTAセメントと考えるのは早計です。MTAセメントの成分を含んだレジン系覆髄材であってMTAセメントの本来的な性質を期待できる覆髄材でもなんでもないからです。間接覆髄・直接覆髄のどちらも適応です。

従前の覆髄材にはダイカルやライフなどがありましたが、混和作業が必要で接着性がないことがデメリットでした。また、組織親和性があり水分存在下で接着性を発揮するスーパーボンドこそが理想の直接覆髄材だと脚光を浴びたことがありますが、最近はあまり報告を耳にしません。臨床成績が悪いわけではなく、MTAセメントのプレゼンスが相対的に高まったため日陰に入ってしまったものと思われます。

セラカルLCはこれらに比べて良好な操作性と最低限の封鎖性、そして健保適応材料であるところが長所です。狙った箇所にピンポイントに貼付できることは地味ながら成績を向上させます。光照射で硬化しますから、その後の作業で術者に気を使わせることがなくなるのもメリット。薬効は期待しない方がよろしい。重要なのは術野を隔離して追加感染させないことです。なお、間接覆髄では、私はセラカルLCではなくテンポラリセメントソフトを好んで使用します。



こんな感じかしら
軟化象牙質を除去していっての偶発露髄は、その露髄点がφ2mm以下のサイズなら直覆の適応である、と教科書にあった気がする。なぜ2mm以下なのか、その理由を教わった記憶がありません。露髄をきたす部位はまず髄角だろうし、ここが露出するとすれば三次元的に2mm以下になるからでしょうか。なお、露髄をきたした時点で派手な出血が見られる場合は不可逆性歯髄の示唆ですから覆髄は諦めなくてはなりません。

露髄点を含めて次亜塩素酸ナトリウム水溶液とオキシドールでケミカルサージェリーを行い、露髄点を含めた窩洞内を消毒し、露髄点にセラカルLCを貼付します(露髄点周囲に1mm以上の範囲で1mm以下の厚み)。これで直接覆髄が終了します。露髄点の止血と消毒にはケミカルサージェリーより歯科用レーザー照射の方がより効果的と考えますが、当院にレーザーはありません。喉から手。


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卑近な例
直覆後、手前の第一乳臼歯遠心隣接面部う蝕に合わせて同時に充填しています。直覆した右下EのCR充填は仮封扱いです。経過不良ならどうせ除去するし、そのときの隔壁にできるからです。

石塚式イージーマトリクスを使用し、メガボンドFA、SDR、チャームフィルフロー(B2)、アイゴスローフロー(A1)の順に充填しました。あ、窩洞辺縁に段差が(3流)。

次亜塩素酸ナトリウム水溶液で窩洞を清掃しているので接着操作をすぐにするのは不安な方はアスコルビン酸水溶液かスーパーボンド根充シーラーのキットにあるアクセルで窩洞を洗うとよいでしょう。ベースセメントで裏層してインレーにいくのも手です。
 
posted by ぎゅんた at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人体解剖学実習と頭頸部


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学生時代の学部教育にあって、個人的に思い出深いのが人体解剖学実習であります。

カリキュラムは各校によって様々ですが、私の母校では二年生になってからすぐに行われました。座学で総論と各論をザッと終わらせてから実習が始まり、夏休み前に終わるスケジュールです。

人体解剖学の講座は厳しいことで有名でした。出欠席の確認が…ではなく、暗記する量が膨大で試験勉強が大変という意味とお情けで試験にパスすることは決してない厳格さの2つがその理由です。伝統的な留年科目と評判だったのであります。「適当」にやっていては進級もままならぬ専門課程に足を突っ込んだのだと意識せざるをえません。そして、解剖実習を前に我々は不安を隠せないでいる。我々の前に姿をみせた教官たちも強面で(意を決して教室に質問に行くとすごくフレンドリーな態度に驚いたものです)ありましたから尚更のこと、緊張感が高まったものでありました。

実習は1班6人、頭頸部・胸腹部・下肢部の領域をペアで担当する決まりでした。
我々は歯学部ですから、どうみても重要なのは頭頸部であります。ただ、この領域の担当は責任が極めて重く、また実習中の口頭試問が集中すると事前情報で評判でした。加えて解剖実習を前に不安を抱いているわけで、頭頸部領域の担当になることに尻込みする心理がありました。学生のくせに泣き言を、と思ってしまいますが、すぐ先に解剖実習を控えている学生の特殊な心境は、これは医学生と歯学生ぐらいしか分からない気がします。

実習班の名簿を見ると、ちょうどその頃、親しくしていた友人と同じ班でした。一歳年上で、根暗ではないがどことなく陰があり、協調生がないわけではないが、同期たちとは常に距離を置いているタイプ。人物のイメージとしては南木佳士「医学生」にでてくる新潟県郡部の旅館の次男坊(実際の彼は道民で歯科技工士の倅でしたが)が該当しましょうか。当時、そんな彼と私はウマが合って親しくしていましたから、同じ班になれたことに喜びました。そして、どうせなら頭頸部の担当になって精一杯頑張ろうと誓いました。


人体解剖学実習の緊張のピークは、ご遺体を包んでいる黒いビニール袋のジッパを開ける瞬間までです。それ以降は肚が座りまして、緊張感で飯が喉を通らないなんてことはなくなります。平常心でご遺体とに触れることが出来ます。文章にすると非人間的ですが、これはご遺体を生命の抜けた亡骸(物体)と冷徹に認識する始まりでもあり、体験しなくてはならないステップです。治療に際して患部を前にした術者が冷静に対処するためです。忘れてはならないのが、治療の対象は生命ある人間であることで、これを忘れると往々にして患者をマテリアル化する医者特有の病に振れるようです。

解剖学実習は常にご遺体と向かい合って黙々と進めます。誰しも様々に哲学しながら作業を進めたのではないでしょうか。


頭頸部担当の重責感(下手な手技で解剖所見をダメにすると班員に迷惑がかかる)と口頭試問で指名されることは確かに事前情報通りでしたが、幸運なことに、熱意あるペアと実習に打ち込めた私は充実した時間を過ごせました。鮮明な解剖所見を観察できる剖検を遂げた頭頸部の班は、実習の時間を使って同期らに説明する場を突発的に与えられたりするのですが、私とペアが指名されたこともあります。これは正直シンドイのですが、これ以上ない名誉ある機会でもあります。

実習中にいつ質問されるか分からないし、試験勉強の負担を減らしておこうとばかり、ふたりで実習室に居残って解剖部位、所見、名称の確認、知識のすり合わせをしていたものです。様々なことを互いに語り合いながら、作業をすすめていたものです。このときのことを、私は鮮明に覚えています。

いま、解剖学の教科書や実習所を紐解いてみても、当時に覚えていたはずの知識がごっそり抜けてしまっていることに情けなさに落胆します(知識の確認が必要なときは口腔解剖学サイドリーダーを用いています)が、解剖学実習を過ごしたあの時間を忘れることはありません。

体づくで覚えた知識の大半を失っていても、経験がいまの自分の礎になっておりますし、体験が生涯忘れることのない思い出になって残り続けています。ときおりふと、あの頃の自分は幸せな時間を過ごしていたのだなと思い出すのであります。
 
posted by ぎゅんた at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月26日

使いどころが微妙なドックスベストセメント(間接覆髄)


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#26の脱離放置の咬合面齲蝕。覆髄かな抜髄かなと歯科医に緊張が走る瞬間

軟化象牙質を強力に再石灰化する夢のセメントがドックスベストセメントであります。本来除去すべき軟化象牙質を再石灰化することで保存できると聞いて心躍らぬ歯科医はいません。

このセメントの出自は、過去に米国で使用されていた合着用カッパーセメントのようです。にわかに本邦(の一部)で脚光を浴びたのは7,8年ぐらい前、3mix-MPが台頭した後になりましょうか。歯を削ることへの反省が過度に振れていた時期だった気がします。

ドックスベストセメントの使用は、3mix-MPと同じで保険が利かず自由診療扱いになるので、保険収入の減少に喘いでいた歯科医の心を掴んだ側面を否定できません。
私は3mixや3mix-MPは否定的なまま(だって保険で使えないし)ですが、このドックスベストは場面によって使える材料と考えているので、たまに使います。家族や友人の治療といった、保険診療ではない場面でですが。


リン酸亜鉛セメントと思いねえ
ドックスベストセメントは構成成分中に銅を含み、再石灰化のためのミネラルが豊富で、リン酸溶液と練り合わせることを特徴としていますから、使い方はまさにリン酸亜鉛セメントみたいなものです。ガラス練板で混和泥を用意しますし、硬化時間が長めですし、窩洞周辺がエナメル質で囲まれていないとリーケージを起こすだけになります(象牙質にリン酸亜鉛セメントは接着歯学的に否定される組み合わせだが、エナメル質とリン酸亜鉛セメントは最高の組み合わせ)。完全除去せずに残した軟化象牙質の上にこのドックスベストを敷設し、あとはエナメル質部の接着でシーリングすれば良好な予後が期待できます。「ほう、再石灰化を促す裏層用セメントか」と誤解してベースセメントの代わりに用いるとリーケージが生じて脱離や歯髄感染にコマを進めるだけの結末になります。


コレを使って象牙質のロスを最低限にして歯髄を保存しよう!
と、その性質を聞いた歯科医の誰もが意気込みを覚える魅力的なセメントなのですが、案外に使い所が難しいセメントであるのもまた事実。そもそも自費なら、現在はMTAセメントを用いる方が学術的にも確実性がありますし。ただ、ドックスベストセメントはMTAセメントより確実に安価で操作性がマシな点で優れています。

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ドックスセメントの上にベースセメント(赤)で仮封してあります

適応
窩洞周囲がエナメル質に囲まれている、打診痛のない深いう窩で使用を検討します。
ラバーダム下で歯冠部の軟化象牙質を完全に除去し、意図的に残した軟化象牙質の上に敷設します。硬化後のセメント体の強度に若干の不安を覚えますから、口腔内に露出する箇所はベースセメントやCRにしておくべきです。ドックスベストセメントと健全象牙質及び歯髄に挟まれた格好になる軟化象牙質は、セメントからのミネラル成分と象牙細管内液のサンドイッチによって石灰化(無毒化?)する転機を辿るようです。


まとめ
あまりハッキリしたことを述べられない立ち位置のセメントで、真面目に使いこなせているとは言えないセメントです。
直接覆髄には使用できませんし、間接覆髄にはテンポラリセメントソフトやセラカルLCが保険診療で用いることができますし、自費ならMTAセメントのが確実でしょうし。うーん、やっぱ微妙。
 

2017年02月23日

レシプロック専用ガッタパーチャポイントを用いた根充

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NiTiファイルで形成を終えた根管には適切なテーパーが規格的に付与されており、側方加圧にしろ垂直加圧にしろ、良好な根充を期待できる「器作り」を終えた根管の会得を意味している。

根充については様々な方法があり、このテクニックがベストと断ずることはできない。

紆余曲折あったが、私は今、テーパードGPを用いたCWCT(もどき)をメインの根充法に据えている。使用しているテーパードGPは、レシプロック関連製品のR25専用GPとR40専用GPである。アペックスへのアジャストは、ポイント先端をガッタゲージでトリミングすることで行う。

テーパードGPは、NiTiで形成した根管にジャストフィットする設計であるはずだが、奇妙なことに、形成後の根管に一致しないのが常である。例えば、25/.06NiTiで形成した後に、06テーパーの25号のGPを根管に挿入すると作業長まで達しない。根管口付近でポイントが壁と干渉していたりする。上顎中切歯のような根管がそもそも太いような根管を除けば実に使用しづらい。結局、ラテラルの変法で、根管口直下でポイントの束をスカッと切断したあとに電熱式根管プラガーでダウンパックすることになる。これはこれでいいのだけれども、やはり形成した根管に、テーパー通りのポイントがメインコーンとして使用できる状況が欲しい。


こうした中にあって、デンタルショーの茂久田ブースにあったレシプロック用GPは、形成後の根管に満足のいくフィッティングをみせた。おりしもレシプロックは、ウェーブワンゴールドを動作させるエンドモーター(Xスマートプラス)で使用できる。私はこう考えた。ウェーブワンゴールドプライマリ(25/.07)で拡大形成を終えた後、レシプロックR25(25/.08)で根管形成を終えてR25用GPでCWCTをすればよいのではないかと。NiTiファイルを破折させないコツは、拡大に使うのではなく形成に用いることだからだ。この原則は、どんな最新のNiTiファイルであっても変わらない。

NiTiファイルを根管の形成だけに用いるとなると、時間と手間がかかる(シンプルな術式でなくなる)。メーカーもその辺は分かっているので、NiTiファイルの弱点は使用中の破折だが、新品で用いればまず破折もしないだろうという設計で拡大と形成を同時に行うプロトコルを設ける。これでシンプルで手軽で手早く規格的な根管形成システムを可能とする製品だと胸を張れるからである。意地悪く言えば、ファイルを贅沢に使い捨てることを前提とした、メーカーウハウハ設計である。常に新品なら切れ味抜群で安全性もダンチだ!

揶揄はともかく、根充の話に移ろう。
レシプロックR25で形成を仕上げた根管の作業長を手用ファイルで再確認し、その長さにほぼ一致してR25GPがフィットするかを確認する作業に入る。ポイント先端をガッタゲージで確認し、オーバーしていればトリミングする(ポイント先端のサイズのバラツキは想像以上に多い)。もし0.5mmほどポイントがアンダーだったりしても、構わない。そしてそのままポイントトライも行う。ラバーダムをしているとこのポイントトライの写真が撮りづらく難儀するのが困りどころだ(折りたたみ式のフレームを使用すべきか?)。わずかにアンダーでも、電熱式プラガーでダウンパックすることで補正が利くので心配無用である。オーバーさえしていなければよい。そして根充(CWCT)に移る。

さて、R25で根充するということは、アペックスの拡大が25号であるから、これは拡大が不足していると考えられる。アペックスは35号以上の拡大がないと確実な根管洗浄の効果が期待されないからである。私も、そう思う。ただし根尖孔のサイズが0.15mm以下の細い抜髄根管ならば許容されるとも考えている。Patencyを確保して、根尖部の触知が硬質で、吸引を併用した頻繁な根管洗浄を行ってあれば、R25GPで根充することが殆どである。根尖部が細ければ細いほど、根尖部に垂直圧を加えることができるし、従来が無菌的と考えられる抜髄根管の根尖部であれば、根尖部を大きく拡大しないほうが望ましいとも考えられるからである。今後の経過を注意深く負わねばならないが、今のところ、R25根充で目立った失敗例がない。もし明らかに間違っているのであれば、早晩、トラブルとなって跳ね返ってくるのでそうとわかる。


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感染根管ではレシプロックR25では拡大不足なのでさらなる拡大が必要になり、少なくともR40以上の根充になろう。手順は同じである。隙間が大きくなってくるので、アクセサリポイントの併用も必要になってくる。R40でAHプラスをシーラーにCWCTで根充すると、自己満に過ぎないが写りの良い確認デンタルが得られやすい。重要なのは根尖部の消毒が得られていることや根充後に根尖病変が治癒に向かうかである。見栄えの良い根充写真が良好な予後を保証するものでは一切ないことは忘れてはならないし誤解してはいけない。ただし、苦労して仕上げた根管が綺麗に根充されたことを嬉しく思う気持ちを否定するほどスパルタな臨床である必要もない。
 
タグ:根充
posted by ぎゅんた at 01:26| Comment(5) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする