Q.プログライダーさんを折って泣かないためには?
A.使用しない
…だと話が終わるので
A.ルールを厳守して用いる
ことが重要です。当たり前っちゃ当たり前なのですが。
奇抜な答えを期待した人ゴメンナサイ。
NiTiファイルは突然、予兆なく折れるものである。
一方、ステンレススチールは、ファイル先端に疲労や捻れ、伸びがあれば即座に姿を現すので破折リスクを把握することは容易い。こうした所見が見られても、根管内で無理に回転させなければ案外に折れなかったりもする。NiTiファイル全盛のエンド事情にあっても、ステンレススチールファイルの野武士的魅力は失われていない。
プログライダーは、グライドパス形成用のNiTiファイルである。プロテーパーネクストと同じくM-wireを用いている。この素材がどれほどファイルの破折防止に有益であるかは分からないが、プロテーパーネクストを使用している個人的な経験に限って言えば、「折れにくい気がする」の事実である。
NiTiファイルは前触れなく折れるものだから、ステンレススチールファイルのように繰り返し使用するのはリスクになる。理想的には使い捨てであろう。勿論、それは流石に贅沢な話なわけで、現実的には数回使用したら後腐れなく破棄するルールを設けることになろう。その際は、Raceにあるような、セーフティメモディスクを用いると管理しやすい。私はGCのNEXセーフティメモディスクを使用している。ケチ根性が出ると、特にストレートの根管に使用した時にはノーカウントにしたくなるが厳密にルールを守るべきである。限界回数を過ぎたファイルは練習用ファイルに回せばよい。
なお、明らかな湾曲根管(ネゴシエートしたファイルの先端が直角に曲がっているような強い湾曲)に用いる場合はファイルへの疲労が予測もつかないほど大きいので、新品を使うべきである。セーフティメモディスクの花弁が3枚残っているの状態で破折したことがある。

プログライダーは、手用ファイルでネゴシエーションした後にグライドパスを形成するためのNiTiファイルである。
テーパーが2-8.5度で、なんとなく貧弱そう(ゴボウ男)な印象を受ける。
実際に使用した感触からいうと、セーフティメモディスクを用いたうえで、より厳密な回数コントロールをするべきである。なぜなら、プログライダーは、グライドパスを形成する前の根管に(グライドパスを形成するために)挿入するNiTiファイルだからである。
プログライダーを使用する時にはかなりの緊張が走るが、根尖まで到達し、破折することなく無事に取り出せれば、その後はかなり楽になる。少なくとも、プロテーパーネクスト:X1がすんなり使用できるからである。
現時点での、プログライダーを使用する時のルール
・ひとつの根管に一回、使用したらセーフティメモディスクの花弁を1枚、千切る。
・湾曲がある場合は花弁を2枚、千切る。
つまりは、
・「贅沢に使うもの」
・ここぞという時にのみ用いる
ことになると思う。
コストが高い!保険で使っていられるか!という場合はNEXの10/.04で代用することもできよう。
余談だが、このファイルを強い湾曲根管のグライドパス形成に用いた時、ファイルの先端が伸びたことがあった。流石にテトリスのL字ブロックみたいな直角に曲がる根尖部ではそうなるのもむべなるかな。

NiTiは、ロータリー・ムーブメントよりもレシプロケーティング・ムーブメントで用いる方が破折防止とレッジ防止に良さそうと思う今日この頃。