2015年07月27日

(Zetadental)SKLR超音波スケーラーK7 LED

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以前、記事にした修理に出したK7LEDが、本日、帰ってきました。発送したのが5/14ですから、2ヶ月半ぐらい要したことになります。

これを長い(遅い)と感じるのは、物流サービスに恵まれた日本人だからなのか。
それとも、修理など依頼せず同じものを買えという企業姿勢なのか。

思えば、有名な中国の通販サイトDX.comで腕時計(仕事用)を購入した時も商品到着までフツーに2ヶ月ぐらいかかっている。送料無料だったのであまり文句をいう気にもならなかったが、米国企業Amazonと比べると遅すぎるのは確かである。金にならない仕事は中華タイムと観念するほかあるまい。



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ポンプが修理されて注水機能が復活ばんざーい


Zetadentalの利用を考えておられる方に進言するとすれば、

・注文した商品はすぐ届きます
・値段は安いです
・性能は、やはり値段なりの域をでませんが、所詮安物、と唾棄するほど酷くもありません
・保証内なら修理を受け付けてくれるようです
・しかし、その際は、かなり長い時間がかかることを覚悟しましょう
・サポートは、なんとなく怪しい日本語かもしれない


こんなところ。

以前、南極老人星先生がコメント欄で
中国のZetaDental、当方も当初は懐疑的でしたが、問合せにも直ぐに丁寧な返事がきたりして結構良心的です。安価ですが、意外にモノは良いですよ。修理の際の返送は面倒かもしれません。

と述べておられた通りなのであります。bull's‐eye!
 

2015年07月19日

感根処の拡大清掃と、伏兵のガッタパーチャさん

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ガッタパーチャポイントが塊っぽく取れると気持ちいい(ですよね?

まとめ
再根治時のガッタパーチャの除去は、ゆめゆめ油断ならぬ


感染根管治療における除去の対象が感染有機質であることは論を待たない。従って、徹底した感染象牙質の除去を行うことになる。一方で根管充填材の除去も並行して行われる。その大部分はガッタパーチャとシーラーが対象となる。

…と頭では理解していても、なんとなく取り残してしまいそうな不安がつきまとう。絶対に完全除去を目指す気持ちに勢いがないというか。取り残しがあったとしても「まあ、やむを得んか…」と妥協してしまう自分がいるといおうか。

エンド自体が見えないところの手探り作業であるし、マイクロスコープは持ってないので根管内に取り残しがないかどうかの目視判断が困難だ。そして、ガッタパーチャを充填材として用いていることから、頭の中に「根管内に置いておくモノ」的印象がどうしても強い。いきおい、再治療となったら是が非でも完全除去しなくてはならないと頭で理解していても、わずかな除去があっても黙認してしまいそうな「甘さ」が生まれる結果となる。私だけの心理であることを祈るばかりだ。


そんなんだで、感根処時のガッタパーチャの除去は油断ならないステップである。昔から再治療時のガッタパーチャの除去は勘案されていたから、溶剤に始まり専用除去インストゥルメントが色々と登場してきた。それでも、完全除去を目指すのはいまだ容易ではないようだ(「これしかないぜ!」というテクニックがない。あったら知りたい)。ポイントを一塊で、ピンセットで引き抜けるようなケースだと楽で気持ちもよいが、現実はそんなに甘くない。


まず、ガッタパーチャを溶かして除去する方法には、溶剤か熱を用いる方法が存在する。


溶剤は

GPソルベント(ニシカ)
ユーカリソフト(東洋化学)

が一般的だと思われる。
昔は使っていたが、いまは用いることはほとんどない。それは、溶けた溶剤が根尖から漏れたら刺激が強そうなのと、「あんまり溶けない」使用感にある。※1

熱を用いる方法は、非注水の超音波チップやエアスケーラーのチップによるもの、ヒートエキスカやプラガーを用いる方法が考えられる。機械的除去の側面が強いと思うが、ヨシダのGPXやマニーのGPRもここに含めよう。


感染根管治療においては、まず根管にファイルを突っ込む前に、歯冠部・髄腔・根管口周囲といった目視可能ゾーンの清掃が優先される。入口が汚いままファイルで根尖をいじっても仕方が無い。食渣・プラーク・う蝕象牙質を徹底除去する。そして、根管口を明示して、ガッタパーチャの除去を開始する。

根管口が確認できるとファイルを突っ込みたくなるものだが、ここはグッと我慢の子である。ファイルを突っ込みネゴシエーションを狙うのは、根尖部まで可及的に綺麗にした後にしないと、根尖に無用な感染を送り込むリスクが高いからである(ガッタパーチャがリッチに詰まっている状況では、どのみちネゴシエーションも困難だが…)。

私個人の方法を述べると、まずゲイツグリデンドリル#2で少しズボッと穿つように食い込ませて取っ掛かりを設けたあとにGPX(#30)で大まかに除去を狙う。
少なくとも肉眼で覗ける範囲のガッタパーチャを徐々したのちに、マニーの#15Kを挿入して錐揉み運動で根尖部までファイルが食い込んで進むかどうか確認する。同時に、EMRがメーター値でいう3.0以下に触れていくかも確認する。食い込んで進んでいくならネゴシエーションが狙えるし、メーター値3.0以下なら閉鎖していないだろうと推測する。おおよその長さが分かれば、その長さの範囲でGPXやNiTiなどの機械的インストゥルメントで更に除去が狙える。
ネゴシエーションを狙う直前に充分に根管洗浄する。ネゴシエーションを狙うファイルはマニー#10Kか#15Kを用いる。※2
穿通した後にコスモデンタルサージ「根尖滅菌」を一回、通電しておく。

穿通できたら、長さを確認し、松風のMtwo10/.02及びデンツプライのプログライダー※3 を一回通し、グライドパスを形成する。

ここまでの作業が滞りなく達成できれば一息つける。慎重にNiTiファイルで拡大していくと根管壁にへばりついたガッタパーチャの除去が効率よく可能になるからだ。
ゴリゴリと取れて頼もしい一方で取り残しの多さに愕然とさせられることがしばしばである。

ガッタパーチャの除去だけでなく、根管内の機械的清掃の様子をマイクロスコープ下で録画しておき、術後説明時に患者さんに見せるたらインパクトがありそうだ。患者さんに安心を与え信頼を得るツールとして、マイクロスコープが在るのである。
…と、マイクロエンドのセミナーで教わったことを偉そうに述べるわたし。おわり。


最近の一例
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根面キャップのまま自然提出してきたっぽい犬歯。

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「ある程度、除去できただろう」の段階で撮った確認デンタル。
…。
穴があったら飛び込みたい心境にならざるを得ない。
両隣在歯相当部の歯槽骨に見られる影はボーンキャビティかもしれない。

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徹底して拡大したあとに根充。ぽるけった先生に教わったFPコアキャリア法で行った(フレックスポイントネオ#60/東洋オブチュレーションガッタソフト/MTAフィラペックス)。
側枝っぽい部分にシーラーが充填されていないのが不満だが、根尖外への過剰な溢出はなく安堵。



※1
とある先生が「クロロホルムに比べると溶解作用が弱すぎる」と発言されていたのを思い出す。そんなに溶けたのだろうか?

※「2ファイルは食い込んでいるけれども、それ以上、進まない、穿通出来ない」場合に、マニーの#15リーマーを錐揉み運動で用いると穿通できることがある。不思議。

※3
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新潟県胎内市新栄町歯科医院の佐久間先生より。抜去歯牙で心行くまで練習できました。本当にありがとうございました。愛してます
posted by ぎゅんた at 16:16| Comment(3) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月12日

伝統食の確かさ〜棄てるべからず絶やすべからず

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患者さんから頂いた食事内容のメモ。「いい食事をされている」と感じないだろうか?


「年齢の割に若い」とされる人たちがいる。

たいていは

・歯が残っている
・歯周組織が頑健だ
・服用している薬剤がない。しくは極めて少ない
・身体の自由が利いている
・矍鑠(かくしゃく)としている

こうした共通点がみられる。

なにより、食生活に乱れがない。

・間食をしない
・外食もしない
・その土地の伝統的な食事をしている

のである。

良い食事をされていますねと伝えると、おしなべて「粗末な食事で…」とか「おババの古臭い料理でして…」などと述べられる。人柄が謙虚なこともあるが、まず、健康に良い食事を摂っている自覚がないのである。言い換えれば、「たいした食事などしていない」のだという。
しかし、これこそがたいした食事なのだ。

私の勘違いだろうか?
とても、そうは思えないのである。

虫歯も歯周病も、健康であれば罹患しないとする考えがある。
いかに感染症とはいえ、頑健な身体であればそれを跳ね除けられるのである。加えて、そのような頑健な身体を持つ人は、健康に良い(健康であることの足を引っ張らない)食事をしている。よく体を動かしている。

虫歯や歯周病になる人は、まず食事内容が悪いとか、栄養不足に陥っているとか、要は、不健康であることが認められる。食事内容を是正し、運動不足を解消して行くと、虫歯や歯周病にかかりにくくなる。治りやすくなる。

これは、乱暴な考えかもしれない。
しかし、私はこの考えに賛同する。

一介の歯科医にできることは多くない。専門知識と技能を活かして歯科治療を患者さんに提供し、良好な結果に導けるプロフェッショナルであればいいのかもしれない。

しかし、患者さんごとの生活背景をも考慮した治療(健康へ導くための介入)の重要性が、これまで以上に増していると感じている。口腔内の状態が全身の健康に密接に関係していることは明らかである。そして、口から食べて生きている以上、食べ物とその栄養が歯や歯茎に影響しないわけがない。


なにを食べれば良いのか?という問に対して、明確な答えを打ち出すことは難しい。歯が不自由な人は、それだけで食事内容に制限がでる。また、年齢によって食べられないものもある。究極的には口を介さず、水分と栄養を経管で摂ることで生きていくこともできるのだろう。食べる、という行為は、運動と並び極めてアナログである。

私なりのひとつの回答を述べるのであれば、”迷ったら、伝統食へ回帰しましょう”、になる。

伝統食ほど地域に根ざした実績ある食事もないし、遺伝的に合致した食事もないと考えている。つまりは、健康を害する食事ではない(その地域以外の人や人種にとっては有害かもしれない点では注意を要する)。

地球上には様々な地域と人種が存在している。
ここに於いて私は、「それら全てに共通する相応しい食事」はないと思う。

いわゆる現代食(西洋的文明食)こそがそれだろうとする向きもあるが、驕りにしか感じない。文明食とされた精製砂糖や小麦等が大海嘯のごとく先住民を飲み込んだ結果、それまで確認されなかった著しい虫歯や歯周病、現代病をもたらすことになった事実を看過することができない。私は、作為的な意図を感じる。人道的支援の顔をして精製砂糖小麦を輸出して、非健康な状態に陥れてたのではないのか?つまりは、西洋人による食を利用した冷酷な植民地支配としか思えないのである。邪推であることを祈るばかりだ。


ここにきて私は「年齢の割に若い」人が口にしている伝統食のレシピを集めようと考えている。
これほど確かなレシピもないだろうし、必ずや、受けがれていかなくてはならない文化だからである。


現代のレシピ集、といえば「クックパッド」である。お世話になっている人も、多いだろう。
しかし、クックパッドに登録されたレシピが如何に膨大であろうとも、利用者数が多かろうとも、地域密着型の「伝統食」レシピが豊かになっているとは言えない。

「伝統食」のレシピを公開して欲しい人に限って、その意識は希薄である。他人に褒められる立派な食事などしていないとしか考えていないからだ。こうした人々はクックパッドを利用することはあっても、普段、自分が食べている料理を登録することはない。勿体ないことだと感じる。

一人でも多くの人から、有益なレシピを集められるよう頑張っていきたいところだ。
 
posted by ぎゅんた at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月07日

ゴールド、といえば


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出入りの業者さんに「デンツプライの商品と相性がいいのかも」という話をしたら、デンツプライの営業マンをつれてきた。ウェーブワンとXスマートプラスのデモはあったが、実のところはほとんど雑談をしただけである。プロテーパーネクストは売れているらしい。良かったね。ウェーブワンの方は知らん。

雑談を通じて、ウェーブワンゴールドなる存在を知った。プロテーパーネクストのような柔軟性とデブリ排出能が付与されたウェーブワンらしい。見た目もゴールデンだそうな。薬事かなんやらの認可は通っているので、いずれ市場に姿を表すようである。


ウェーブワンは、レシプロックと同時期に日本市場に現れた(はずの)新世代シングルファイル。発売当初にデンタルショーのデモで触れた感じでは、プロテーパーネクストの方が感覚的に自分に合っていたので導入を見送った経緯がある。というよりも、そもそもNiTiファイルを使いこなしているわけではなかった(いまもそうだ)。そんな自分が使うなら、古典的なロータリー運動のNiTiファイル(評価の高いもの)を使うことこそが、何かと無難で安全であろうと判断したのであった。
なんだかんだでプロテーパーネクストは、値段はさておき、そのクオリティに満足している。

ウェーブワンゴールドに鞍替えする気はないが、どのようなものか興味はある。
訊くと手持ちの資料はナイデス、とのことだったので検索エンジンさんに祈願したら直ぐに出た。

調べた限りのこのファイルは以下の特徴をもつようだ。

・ファイルの種類は3種類から4種類に(先端径とテーパーが異なる)
・強度と柔軟性の向上
➡m-wireではない?
➡ウェーブワン Primaryに比べ繰り返し疲労の抵抗が50%改善
➡ウェーブワン Primaryに比べ柔軟性が80%向上
・横断面が平行四辺形になった
➡切削効率の向上
➡「ねじ込み」作用が弱くなった
⏩ファイルに掛かるトルクの減少

横断面が平行四辺形であることはプロテーパーネクストと同じである。レシプロケーティングモーションであっても、デブリ排出に有効だと思われる。個人的にプロテーパーネクストの気に入っている点は柔軟性とデブリ排出にある。これが確かならウェーブワンゴールドは期待が持てる。浮気心が発動して使ってみたくなる。

とはいえ、現時点の私のエンド臨床は、根管洗浄や根充を含めて修練と検証の課題が山積している。使い古された言葉だが、最新の機器が常に最良の結果をもたらすとは限らない。既に自分にあっている器具・材料があるなら、それを極限まで使いこなすことを最優先させるのが良い。ある程度の欠点は修練と習熟が補うだろうし、そうした積み重ねが、術者を練りあげていくものである。


と、
格好いいことを言っているが、ホンネのところは、新しい器具・材料を買い試せるような台所事情でないだけである。



おまけ

ウェーブワン ウェーブワンゴールド
small #21/.06 #20/.07
Primary #25/.08.   #25/.07
Medium #35/.06
Large #40/.08 #45/.05

根管を手用ファイルK#10で穿通後、ウェーブワンゴールドを根管に適応させる前にプログライダー(#16/.02-085)でグライドパスを設けるべきとの記載がある。地味だが、縁の下の力持ち的ファイルである。持ってないけど。


(iPadから送信)
posted by ぎゅんた at 08:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ニッケルチタンファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする