2014年12月29日

パックマックとNTコンデンサー

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 ここのところ一ヶ月以上、根充の殆どを垂直加圧で行っている。
シーラーにAHプラス、GPのコンパクターとしてパックマック(21mm)を用いている。色々と試した末に、最も安定して結果が得られると分かった組み合わせでもある。パックマック法とでも呼べばよいのだろうか。

 パックマック法の長所は、とにかく手早く根充できることである。全ての根管治療にラバーダムを用いることができない以上、根充は可及的に手早く済ませたいからである。また、側方加圧に比べて均質的であることも良い。側方加圧ではスプレッダー挿入で生じた隙間にアクセサリポイントを詰め込んで行くわけだが、アクセサリポイントの形状や大きさを様々に用意しておかないと満足に隙間を埋め尽くすことができない。これは私だけではないと思うが、細いアクセサリポイントはコシがないので、隙間に満足に挿入すらできず(ひしゃげてしまう)ポイントが曲がり破棄せざるを得なくなることがストレスになる。アクセサリポイントのコストが頭をよぎるからである。

 なお、パックマックは04テーパーが付与されているので、拡大が不足した根管では適応できない(GPに適切な圧をかけられない)ので、最低でも#25/.05以上のNiTiファイルでの最終形成が求められる。加えて、根管壁は規格的で平滑に仕上がっていないとGPに適切なフロー圧が加わりにくくなるようだ。

 パックマックに類似のコンパクターにNTコンデンサーが存在するが、こちらは02テーパーである。NTコンデンサーでも同様の根充が可能であるが、私はパックマックの方が使いやすいと感じる。

 パックマックかNTコンデンサーのどちらを選択するか。これは、単に術者に合った方を選択すればよいだけで使い分けが求められることはあるまい。使い分けといってもテーパーの違いでしかないし、まさか根充する根管のテーパーが2°だからNTコンデンサーを、というものではない。02テーパーの根管では根尖部の充分な洗浄が不可能だからである。

 今のところ感じている欠点は、作業長が25mmを超える根管や根尖部に強い湾曲のある根管では根充が難しくなることである。この場合は、ぽるけった先生に教えていただいたFPコアキャリア法を用いると安定する。フレックスポイントネオ自体のコストは高いのだが、パックマック法で用いるAHプラスとオブチュレーションガッタソフトがあれば施術できるので、実質的なコスト像はさほどでもないの魅力的だ。
 
posted by ぎゅんた at 17:23| Comment(3) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月11日

学校歯科医のターン

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まとめ
・「寝る子は育つ」は真理
・でも寝る前に勉強をしよう


 「学校保険委員会があるので来てや」と担当中学校(母校)よりオファーがあったので中学校へ。6月に学校歯科検診で訪れて以来です。

 議題は「睡眠について考えてインフルエンザを予防しよう」です。私の役割は、生徒の発表の講評と、学校三師のうちの学校歯科医として「睡眠と歯の健康について」を10分間、お話させてもらうことでした。

 私が中学生だった頃とは時代が違いますね。色々とジェネレーションギャップを感じました。何しろスマホ全盛期でありますから、友人との情報交換はLINE前提のメール飛び交う電脳社会。友人宅の電話番号を諳んずるのが前提だった宅電時代ではないのです。連絡の敷居が下がったことは喜ばしいけれど、一方で、四六時中、LINEやメールチェックを暗に強いられることもあるようで、学校教育で問題になっているのだそうです。

 生徒らの発表内容のなかに、電子画面から生じるブルーライトがメラトニンの分泌量を減らし睡眠不足を招く、とありましたから、寝る直前までスマホ類に触れている子たちが多いのでしょう。私が中学生の頃はせいぜいゲームボーイぐらいのもんですから隔世の感があります。

 生徒の発表を聞いていて、中学生だったときのとある記憶が蘇りました。それは、成績優秀な友人の話です。この男、ガリ勉タイプでもなく飄々と人当たりの良い好人物であるだけでなく、常にトップクラスの成績を保っていたのです。あるとき、私は彼にどのように勉強しているのかを訊きました。進研ゼミかマイコーチか、進学塾通いか家庭教師付きなのか…なにか特殊な勉強スタイルをとっているのではないかと思ったからです。彼の答えは、今にして思えば正統派王道路線なのですが、当時の私には衝撃でした。というのも、学校の授業で習った内容をその日のうちに復習して、寝る。というものだったのです。その日の授業の内容ですから、まだ記憶が新しく、そのままでは忘れてしまう。それをノートを参照して思い出し、授業内容に関連した問題も解く。それで、遅くとも11時前には寝ると語ったのです。今にして思えば、これは記憶のメカニズムに適った方法だとすぐわかる。復習して、脳に「これは重要な情報」と認識させて、さらに試験問題の形で解く。そしてすぐに寝ることで記憶を定着させるわけです。これの積み重ねです。記憶の筋道を設置してことになるので、試験前に再度復習すると効率よく記憶に定着させることができるわけです。また、遅くとも11時には寝てしまうので、心身共に悪いことがありません。睡眠不足とも無縁です。当時の私はバカだったので、このシンプルで優れた手法の凄さを理解しませんでした。早く寝ることだけは採用していましたが、その日習った授業内容の復習は微塵も行わなかったので、心身には良くても肝心の学力は向上しなかったオチがつきます。

 生徒の発表を聞きながら、私はこのことを思い出していました。高校受験だけでなく大学受験に望む子らも多いであろうから、参考になるかもしれないと、講評の時間にこの話をしました。完全アドリブだったのでどこまで伝えられたかは分かりませんが、何かしらのヒントや、「あ、(自分がやっていた方法で)やっぱり間違っていないんだ」と思ってくれる子がいてくれれば、とても嬉しく思います。この方法の良いところは、とにかく授業で習ったことをその日のうちに復習するというシンプルさと、毎日の積み重ねが複利のように返ってくる確実さにあります。華はありませんし、「毎日、復習する」ことが前提であるゆえに子ども受けしない方法ですけれど、この手法を体得した子は、かなり強い地力を得ることになると思います。
 
posted by ぎゅんた at 22:07| Comment(2) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする