2014年09月21日

金属系修復物を除去するときに痛いの怪

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金属系修復物除去する時、麻酔をかけていてもピクピクと痛みを訴えられる患者さんに遭遇する。インレーの除去しかり、除冠しかり。
とんでもなく痛いわけではなさそうだが、額にシワを寄せて目元が緊張しているのをみると辛くなる。

この場合、考えられる原因は、除去に伴う唐突で瞬間的な振動が患歯に伝わることであろう。もしくは、実際の痛みは感じてないにしても、過度の緊張と恐怖で、精神的に張り詰めた生理状態であるとも考えられる。単に麻酔が奏功していないこともあるかもしれないが、それは術者の技量不足である。

私は根管治療で、根管内や根尖部の消毒にコスモデンタルサージ(テルテック扱い)をルーチンに用いている。ファイルを通じて根管内に高周波を通電させる器具であるから、場合によってはピリッとした痛みを感じることになる。
金属修復物除去時に訴えられる痛みは、どうも同じような、弱電気的であるように思えてならない。子供の頃、アルミホイルを奥歯で噛むとビリっとする遊びを経験している人は多いが、除去時には、あれと同様の、ガルバニー電流が流れるのだろうか?
真偽のほどはさておき、我々は除去すると決めた修復物があったとき、それを手品師のように鮮やかに瞬時に除去できる技量を有するべきであるし、また常に探求せねばならない。これは確かなことである。

posted by ぎゅんた at 23:32| Comment(0) | 根治(考察) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月19日

衣類を漂白〜ヒポクロリットはヒヤリハットを超えて

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まとめ
ヒポクロの取り扱いには充分に注意しましょう

当院では5%濃度のヒポクロを二プロシリンジにて用いているのだが、チップ(ビタペックス用チップ)側面に穴が空いていて、ヒポクロがピューっと弧を描いて飛んでしまった。量はたいしたことはなかったし、幸いにして目に入ったわけではなかったが、患者さんの衣服に飛んでしまった。これはつまり、点状の脱色につながるのである。衣服の弁償だけで済む事故であったのは不幸中の幸いである。

ヒポクロに伴う事故は昔から報告されている。
取り扱いには注意していながらも、予期せぬ事故は起こりうる。これは怖いことだ。
ヒポクロは劇薬で取り扱いにシビアだからと、ヒポクロに代わる根管洗浄液が求められる時代もあったが、結局はヒポクロほど安価で確実な有機質溶解作用を有する洗浄液はないようだ。実際に、ヒポクロはいまだに世界中のエンドドンティストが信頼して用いている洗浄液として君臨し続けている。


飛沫したヒポクロが衣類についちゃうと.jpg
パーカーとズボンに点状の染み
なお、紙エプロンをしていても染み込んで衣服に達する模様。もとよりエプロンの範囲は衣類すべてを覆うほど広くはない。これから寒くなるので、膝掛けで足元もすべて覆うのも事故対策に有効かもしれない。

漂白事故を抜本的に防ぐには、ヒポクロを用いないことが全てである。だが、根管内の確実な有機質溶解を考えると用いないわけにもいかない。多少のコスト増はやむなしだが、操作性と安全性を向上させたキャナルクリーナーに切り替えるべきかもしれない。それか、根管洗浄は全てエンドチップによる超音波洗浄で根尖側debrisを洗い流すことのみに単純化してしまうのも、案外に、安定した臨床結果をもたらしそうな気がする。


とりあえず私は

1.根管洗浄はエアスケーラーとエンドチップによる(多量の水を用いた)洗い流しがメイン
2.ヒポクロは根充前にのみ使用する

ことを徹底しようと考える。

根充前に、根管内をEDTAで洗浄したあとにヒポクロを応用するが、このときに、「ヒポクロに浸していたマスターポイントを拭き取らずに根管内に運び、ポイントを上下させて攪拌する」ことを繰り返す。これは今までルーチンに行ってきたものだが、まずまず安全である。

posted by ぎゅんた at 21:50| Comment(4) | 根治(未分類) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月13日

最近のホームホワイトニングから

ホームホワイトニング(術前)_01.jpg
術前:ベースシェードA3.5

ホームホワイトニング(術後一ヶ月)_01.jpg
術後(約一ヵ月後)

こうしてBefore/Afterで比較すると、歯牙漂白によるコントラストの低下と明度の上昇が明らかとなる。
患者さん本人はあまり白くなったとの実感はなかった*ものの、こうして術前写真とシェードガイドを用いると変化の程度がはっきり分かる。
正中のブラックトライアングルの出現と、下顎前歯部の歯間乳頭部のクレーター状歯肉の変遷が気になるところだ。

漂白の効果が得られやすいA系統の歯であったことが良好な結果につながった。
また、幸いなことに知覚過敏の出現も無かった。
患者さんは「限界まで白くしたい」とのことで、もうしばらくホームホワイトニングを続けるとのことである。


*人間は突然の色の変化にはすぐに気づくが、暫時的な変化だと気がつきにくい。だから、ホームホワイトニングで毎日、歯の色調をチェックするようになると変化に気づきにくくなる。考えを変えれば、ホワイトニングを開始した人が、第三者に「歯が白くなったね」と言われれば、漂白が奏効して歯の明度が上昇しているのは確実だといえる。
posted by ぎゅんた at 23:35| Comment(0) | 根治以外の臨床 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月08日

根管に運ぶよRc-Prep

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Rc-Prepを使用する時、直接シリンジから根管に注入するのですか?

と質問を頂いた。
Rc-Prepにはシリンジに入ったタイプとポンプに入ったタイプがあるが、私が使い続けているのはシリンジタイプであり、それを前提い説明を…しかし、あらかじめ述べるが、全く対した返答ではない。

まず、Rc-Prepのシリンジから直接、根管にペーストを注入することは推奨されない。患者毎にチップを交換しなければ感染の問題があること。そして、ペーストが多量に出てしまうからである。尿漏れに嘆く中年男性諸氏の悲哀な姿が脳裏に浮かぶ瞬間でもある。

そんなわけで難しく考える必要はない。
使用したい量のペーストをファイルに採って根管に持っていくのが都合が良い。左手の甲にペーストを出しておいて、そこから都度、ファイルに採ればよいのである。

…全然たいした内容でなく申し訳ないが、これが返答である。

posted by ぎゅんた at 23:11| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月05日

【浮気】プロテーパーネクスト X1 に手を出してみる【新し物好き】

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まとめ:ニッケルチタンファイルは必要だ。いま使用しているMtwoファイルをプロテーパーネクストに変えてみようと思う。


ニッケルチタンファイルによる根管形成には松風のMtwoファイルを用いている。世代的には古い製品だが、案外に破折しないし使い慣れてしまったのでずっと使い続けている。道具は、よほど品質が酷いものでなければ、自分に合った使いやすいものを選択して使いこなせばよい。Mtwoファイルは地味でマイナーな存在だが、総合的にみると良いニッケルチタンファイルである。なにより安価で使いやすいのが気に入っている。

一方で、私はもう少し弾力のあるニッケルチタンファイルを使いたいと思うようになってきた。Mtowファイルの弾力が硬く感じられるようになってきたのである。
そこでMtwoファイルを使用している場面から、別のニッケルチタンファイルに交代できないかを検討することにした。

ルーチンな術式として

#10Kファイルでネゴシエーション
下指差し
#10のMtwoファイル(25mm/.04)を使用してグライドパス形成(プレカーブが必要な場合は省略)
下指差し
#10Kファイルでリカピチュレーション
下指差し
#15Kファイルでアペックスの確保と作業長の確認(大きな抵抗なく、アペックスまでファイルが到達できること)
下指差し
#15のMtwoファイル(21mm/.05)を作業長まで

この後、手用ファイルにてアペックスを最低#35にする。そして根充を視野に根管形成を仕上げるが、その時に主に#25のMtwoファイルをアペックスまで一回通す。それだけでも根管には最低限のテーパーは付与され、根管壁が滑らかになるからである(なってなかったら困る…)。

ルーチンに用いているMtwoファイルのは

#10 テーパー4度
#15 テーパー5度
#25 テーパー6度

ということになる。このうち主力は#15/.05である。
悪くない使い方だと思っているが、個人的に気になるのが、Mtwoファイルの硬さだ。特に破折トラブルを抱えているわけではないから、これは贅沢な注文だろう。だが、個人的にはもう少し弾力があって欲しい。#15はともかく#25はかなり硬い気がする。

デンタルショーで様々なニッケルチタンファイルに触らせてもらったが、私の好みの弾力を有するファイルはプロテーパーネクストであった。それを思いだしたので、プロテーパーネクストのX1を注文することにした。X1は#17テーパー4度であり、Mtwoファイル#15/.05の交代要員に相応しいと考えたのである。また、同じくブラッシングモーションで使用する設計だからだ。

さて実際の使い勝手はいかがなものとなるのだろうか。


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posted by ぎゅんた at 01:42| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする