2014年08月28日

ぼくはデモ機のエアーソルフィー ちゃん!

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論旨
モリタのエアーソルフィーがなかなか良い感じ

ソニックフレックス2000だとエンドチップが折れる!
根管象牙質を削りすぎちゃう!
これじゃ根管洗浄どころじゃねえ!
と、パワー調整のできないエアスケーラーは色々と難儀であることを身を持って知った。そんな私にTi-MAX S970がいいですよと有難いコメントを寄せてくださった先生に感謝しつつ見積もりを出すことにした。

実際に購入される前にデモ機に触れてみるのが確実です、との佐波さんの意見に従い、デモ機を持ってもらうことにした。さて、やってきたエアスケーラーはモリタのエアーソルフィーであった。NSKのTi-Max S970のデモ機は5人待ちだそうである。大人気やな。

どちらも同じように使用できるようだが、振動周波数には差がみられる。
カタログを参看すると
Ti-Max S970:5.8〜6.2kHz
エアーソルフィー:5.0〜8.0kHz
になっている。
単純に数値から判断するとエアーソルフィーの方がカバー範囲が広く汎用性が高そうだが、どんなものだろう。カタログ数値が優れていても実際の使い勝手(ハンドリングや堅牢性)に問題があれば良い道具とは言えない。デザインも少し異なる。

とりあえずV-チップのエンドチップ(#15)を装着して根管洗浄してみよう。


結果
実に手軽に根管洗浄が可能になった。これはいいものだ。
根尖部を多量の水でジャボジャボ洗い流す洗浄をしたいと考える私にとって非常に有難いエアスケーラーである。パワーを絞ることが出来るから、ソニックフレックス2000のような、チップが振動で暴れ馬になる粗相は起こさない。また、V-チップをつけたエンドチップは、エンドチップに沿った注水がかなり正確に行われるのも有難い。EDTAやヒポクロで洗浄したい場合応用も簡単。根管内にEDTAやヒポクロを満たして、チップを挿入し非注水で振動させれば良い。これをソニックフレックス2000でやると、過去の記事に述べた通り暴れ馬なのでヒポクロが飛散していたのであった。

P-MAXと違ってタービンホースに接続すれば直ぐに使用可能という、そのフットワークの軽さは重要だ。音が煩いのはエアスケーラーの弱点なのでこれは致し方ないところだが、パワーを絞ることでかなり小さく抑えることができる。少なくとも、エンドでの使用はパワーは最小なので小さな音で済むのは有難い。


その他
ポケット洗浄用チップがラインナップされていないのは残念だが、歯間ブラシや舌苔ブラシがあるのは興味深く、嬉しいところだ。歯間ブラシは、支台築造時のポスト清掃用ブラシとして応用ができるだろうし、舌苔のプロフェッショナル的除去を可能にするアイテムが舌ブラシ以外に用意できるからである。

付属のスケーリング用チップや歯間清掃ブラシの使い勝手も試してみよう。
Ti-MAX S970とも比較も楽しみだ。チップは流用できるはずなので、好みのエアスケーラー本体とチップを購入することになりそうである。

posted by ぎゅんた at 20:37| Comment(3) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月24日

ダイレクトクラウンさんいらっしゃい

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まとめ
・3Mのダイレクトクラウンは講習会を受けないとお買い求めできません。
・「白い臼歯を安価に即日に」を可能にするが、コンセプトをハッキリさせないとプチ自費としての導入が難しくなる


3MのダイレクトクラウンハンズオンセミナーでTKP大阪御堂筋カンファレンスセンターにやってきました。同フロアでは河合塾の模試が開かれています。各自が辛い受験時代を思い出したのか雰囲気に気圧されたのか、セミナー会場は実に殺伐としておりました。大阪の先生方が多いだろうから、もっと陽気な、例えていえば「バッキュ〜ん!」「ウギャ〜やられた〜っ!」よろしく和気藹々と笑顔横溢した会場であろうと予想していただけに意外でした。なので、相席になった先生と懇意になったり有益な意見交換・情報交換はなされなかったのであります。

これはつまり、

某「お、先生、どっからきたの?」
ぼく「石川県からです。先生は大阪の方でしょうか?」
某「せやで」
ぼく「いつきても大阪の人は893さんにみえます」
某「せやろか。みんな情に厚いから怖がらんでええんやで」
ぼく「そんなこといって、先生も893さんなんでしょ?」
某「お前ええ度胸してるやんけ」

という高度に知的な会話はできなかったわけで、かえすがえす残念であります。大阪は人情の町ではなかったのか。

かのように雰囲気は殺伐としていたものの、内容はオマケと特典に溢れた実にお得なセミナーだったのであります。お得じゃないと大阪の人はセミナーに参加しない石川県にいると、セミナーは東京か大阪に限られるわけで、そうなると飛行機と乗り換えが面倒で嫌いな私は特急一本でいける大阪のセミナーは実にありがたいけで、今後も足繁く通うことになる場所であると思います。始発の特急に乗ったら寝てるなりフルーツバスケットをしていれば着くので安楽だからです。

聞いた話、東京のセミナーの場合は、羽田空港からタクシーで会場まで行っちゃうのが楽で(意外にも)費用も高くつかないとのことです。が、貧乏性の私には心理的にもとても無理な行為です。羽田空港からは電車で移動すれば安く確実だろうと思うとタクシーに乗り込めません。自分の投資のためにセミナーに出かけているのだから、移動手段に要する費用も投資と考えるべきなのでしょう。そういうのに抵抗なくお金を使えるビッグな男になりたいものです。

話がそれましたが、ダイレクトクラウン、模型の実習では最低限の手応えしか得られないので実際に臨床で何回か使ってみないと自分の臨床への導入の可否が決められそうもありません。友人なり家族なり、ボランティア精神に溢れた優しい人で練習させてもらうことにしよう。そうしましょう。

posted by ぎゅんた at 23:51| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月23日

書評「人を動かす火事場の鉄則」率先垂範


米国では、職業:消防士はとても人気がある。市民のヒーローなのである。勇敢で賢く自己犠牲も厭わない男の中の男といった、マッチョイズムとヒーローイズムに溢れたキャラクタ像が米国民の琴線に触れるからだろう。とりわけ彼らの人気を押し上げたのは、皮肉にも9.11テロの悲劇があったようである。

「人を動かす火事場の鉄則」はリーダーシップを説く隠れた名著のひとつである。
原本は、ジョン・サルカなるニューヨーク市消防局(FDNY)のリーダーが執筆した『First In,Last Out』で、その翻訳と解説がなされたハイブリッド本である。解説はコンサルティングで著名な道幸武久氏が手がけている。

外国人の著した本は、我々が手にする範囲では基本的には日本語訳版である。言語版を自分で読破しない限りは、翻訳者の訳した内容がそのままである。つまりは、本来の言語で語られていた内容に差異が生じることを織り込み済みで読まなくてはならない。自己啓発書に目立つが、どうにも読みづらく理解しづらい内容に感じた場合は、原著の言語が日本語と相性が悪く翻訳者が難儀したり、日本人との文化的な違いから理解しづらさにつながることが背景にあることが多いようだ。世界的名著だからと手を出して、どうにも理解しづらく読むのを断念してしまった経験のある人は多いだろう。原著はそれが書かれた言語で読めるのがベストである。しかし、そのような人は相当に限られてしまうだろう。我々は日本語訳されたものを注意しながら読むのが現実的だ。

話がそれてしまったが、本著は、原文の訳と道幸氏の解説が章ごとになされている形式をとっている。原著の内容と翻訳の質が高いのだろう、(ジョン・サルカの記述した)原文訳は読みやすく、すんなり頭に入ってくる。ただし、米国の消防士の視点からなので、日本人からすると受け止めにくかったり、アダプトしにくいところがあることは否めない。そこを道幸氏が解説で要約しているのだが、これが実に分かりやすく理解しやすい。ジョン・サルカ同様、巧みな例や経験談を織り交ぜながら、我々にアダプテーションしやすいよう噛み砕いてくれている感じだ。これは名コンサルタントならではの仕事である。

リーダーシップについて学びたいと思っている人であれば、苦もなく読めるし、読み返したくなるだろう。優れた本は、一回の読破に終わらず、何度も読み返すことで更に良い結果をもたらすものだ。貴方にとって有益な内容であるなら、それは何度でも反芻あうるべきであるし、其れこそが優れた本が優れている所以である。いつまでも自分の本棚に置いておきたくなる本は、実際にはそう多くはないものだが、本書はそれに値する内容ではないだろうか。

2007年出版であり、目下、ブラック企業で悪名高いワタミの渡邉社長が登場するあたりは時代を感じるとともに説得力への違和感を覚えてしまうところもある。しかし、だからといって本著の価値がスポイルされることはない。正直なところ、私はワタミはブラック企業だと思うが、いつの世も有名人には揣摩臆測がつきものであり、所詮は他人にすぎない無関係の人間が当人を世評で判断するのは筋違いで非礼な行為であることは確かだからである。

世にリーダーシップについて説く書は数あれど、理解しやすく実践的な本がどれだけあるだろうか。組織のリーダーであろうが、一介の被雇用者であろうが、すべてに人にリーダーシップは必要である。部下を持つような立場になってから、慌てて山本五十六の訓示をロッカーに貼るようでは遅きに失していると言わざるを得まい。

posted by ぎゅんた at 22:46| Comment(0) | 書籍など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

マニーの31mmKファイルさん

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「続くときは続く」のが臨床である。
ダツリ、抜歯、抜髄、P急発…思い当たる先生も多いのではないだろうか。

ここのところ、やたらと長い歯根のエンドが相次いだ。基準点を削合調整しても28mmKファイルがアップアップになるのだ。犬歯はともかく大臼歯で28mmのファイルが通用しないとはどれだけ長いんだ。

在庫には31mmのファイルがあったが謎メーカーのリーマーしかなかった。
普通に使えるのではあるが、学生時代から使い慣れたマニーのKファイルでないと指にしっくりとこないのであった。

これは、YDM製品に慣れていると、他社の類似品を手にした時にその品質の低さと使い回しの悪さから、YDMの器具設計の緻密さに驚愕するあの感覚に通じるものがある。

注文した31mmのマニーKファイルはラバーストッパーがブラック、ファイルの長さ自体と合間って実に精悍な印象を受ける。まるで盆栽みたいである(雰囲気が)。

多くの医院でも同様のことと思われるが、手用ファイルは25mmto28mmのKファイルで揃えておけば、対峙する根管の90%に対応できる。しかし残りの10%はに対応するには、21mmと31mmのそれも必要である。号数は06〜120までは必要だろう。同様のHファイルもあることが望ましい。ファイルは使い捨てだから躊躇することなくプレカーブを付けろ!先端のピッチが延びているのが観察されたら、それは破折を知らせるサインだ即廃棄せよ!手用ファイルだけでなくロータリーファイルも必要だ。拡大清掃補助剤も根管洗浄の器具も要るぞ。根充にもたくさん器具と材料が要るぞ。

安い点数を承知でここまで器具をそろえさせる保険のエンド。31mmのKファイルにEMRのクリップをかませ根管内に挿入したとき、私はふと「まったく、マゾじゃないとやってられないね(ニッコリ)」と語った恩師の顔を思い出すのである。
 
posted by ぎゅんた at 20:19| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月08日

セミナー「自然に自費が生まれる、○○マーケティングをご存知ですか?」

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ねんがんの サインをてにいれたぞ!

浅野歯科産業 福井支店にて
講師は「加速成功」で有名な道幸武久氏。今年3/2のADIデンタルショーでお会いして以来である。今回のセミナーは浅野歯科の担当者から二週間前に知らされた。ご縁があるのである。

セミナーを受講することの肝要は、これはいいと感じたアイデアを即断実行することにある。初めの一歩を踏み出そう、である。「参加することに意義がある」受講マニアになってはならない。貴重な時間と費用がかかるのだから、セミナーの選定とその受講は、今の自分に本当に必要かどうか慎重に吟味されなくてはならない。

懇親会を含めて、とても実りあるセミナーであった。
50を過ぎてなお、セミナーや勉強会に参加される先生方のバイタリティは素晴らしいものがある。臨床にかける意識と熱意が違う。私も将来はこうありたいと強く思わせてくれる尊敬できる先輩方である。


ぼやき
酒の席で某先生がタービンを滅菌にかけているコストがない、数を用意できないと言ってるくせに新車の外車に乗ってる若いやつとか信じらんないとこぼしていたが、全く同感である。自分へのご褒美に高い車を買う。それは結構なことだが、その行為が仕事を新たに加速させるかといえば、コストパフォーマンスは悪かろう。経費で落ちるといっても、大金が出て行くことに変わりはない。車は金を産まないのである。高級車を買う前に「仕事」に投資すべきである。散々仕事に投資して結果を出して、サテちょっとひと息つけようかぐらいのタイミングで初めて自分へのご褒美を考えるぐらいが、力が抜けた程よいバランス感ではなかろうか。いえ借金で首が回らない男の妬みじゃありませんよ。
 
posted by ぎゅんた at 01:04| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする