2014年07月30日

歯科材料と機器〜通販での購入がメインとなる時代か?

scams and fraud.jpg

安い歯科材料機器の通販のサイトがありますよと出入りの歯科業者から教えてもらった。
Ciメディ○ル同様、普通は目の敵にしているのではないのか?

http://www.zetadental.jp/

サイト内を閲覧してみると確かに安いのだが、不安の純・中国製のようでサポートの質も謎です。
外部注水超音波スケーラーや、波長域が紫外線よりのホワイトニング用照射器が魅力的だが、サポートが不安すぎてとても買えない。格安タービンもあるが、これ数年前にアポロニア掲載されていた、中国の使い捨てクラスのタービンではあるまいか。国産のタービン類もいい加減ボッタクリ価格だとは思うが、あまり安いのも不安で信用できない。安物買いの銭失いを数多く経験してきた私は不安で手が出せない。これを見越して私に紹介したのだろう。ディスポ品はともかく、医療材料なのだから、顔の見える相手から買うのが安全ではないだろうか。お世話になっている歯科材料屋とは懇意にさせていただきたいものだ。普段から付き合いがあるからこそ、もしものときにこちらの無理を聞いてくれるのだから。


2007年ごろ、オパールエッセンスエクストラブースト(オフィスホワイトニング用)を購入しようと輸入代行業者を利用したところ、代金を振り込んでもいつまで経っても商品が送られてこず、何度問い合わせても返事すら来ず泣き寝入りした経験がある(被害金額は13kほど)。輸入代行業者を利用する場合は、信頼できる業者か確実に判断しなくてはならない。

ガッターカットのモロパクリ品が安いので、それはお買い得かもしれない。
C-BLADE
買う勇気ないけど。
 
posted by ぎゅんた at 22:31| Comment(4) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月27日

除去、除冠時に目にする、濃緑色に変色したセメント

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歯科医師であれば誰しも、除去・除冠時に濃緑色に変色したセメントを目にしたことがあるだろう。なぜ色がつくのか?例え口腔内といえども、修復物・補綴物の下で硬化した合着用セメント色がつくだろうか?リーケージがあって、口腔内由来の何らかの着色因子の影響を受けたと考えるには、どこか判然としない。そもそも色が縁下歯石のような暗い色を呈していたりすることが多い。赤色や青色であったためしがない。決まって緑濃色である。

縁下歯石がなぜ濃緑色をしているのか。
歯周病の講義で「歯肉に炎症をきたして増加した歯肉溝滲出液と血液中のヘモグロビン由来である」とかなんとか習った気がする。違うかもしれない。というか、あまり重要でない知識の範疇である。学生時代に「なぜ縁下歯石が縁上歯石と色が異なっているか」的なレポートを書いた記憶もない。重要なのは「縁上歯石と縁下歯石の違い」的な、国家試験にいかにも出そうな知識であって、色の由来については問われなかったからである。臨床上も、色に違いがあろうがどのみち歯周病治療で除去されなくはならないものであることを認識していれば問題がなかったのである。だが、なぜ〜なのか?という問いを放棄して良いわけではない。我々は口腔内に関して最も詳しい職種であらねばならないからである。

除去時に目にする合着用セメントに、縁下歯石に酷似した色がついている。

実はセメントは縁下歯石に変化するんだよ!!
な、なんだってーっ!?

これは冗談だが、しかし、なぜ色が似ているのだろうか。
口腔内では、異物に緑濃色がつくのだろうか。飲食物由来の着色とは思えないから、何か色をつけている犯人がいるはずである。歯肉縁下や、修復物・補綴物直下だとすると、偏性嫌気性菌しか考えられない。偏性嫌気性菌と聞けば歯周病菌と脊髄反射で考えてしまうが、いずれにせよ血液や有機物をエサに利用した偏性嫌気性菌たちがいるから色素が発生して着色されるのではないか。修復物や補綴物直下のセメントの着色も同様で、セット時に歯質表面(おそらく象牙細管内)に潜んでいた偏性嫌気性菌が原因なのではないか。除去されきれなかった唾液や象牙質有機質成分をエサとして利用したのではないか。色がついていようがいまいが、あまり臨床的に重要なことではないが、でもまあ、ちょっとした疑問の理を(真偽はともかく)アレコレ考えるのはいいことですね、きっと。
 
posted by ぎゅんた at 21:43| Comment(0) | 根治以外の臨床 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月23日

即時決断 〜 きゃあ、根充が明らかに失敗しているわ之巻

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全く本編とは関係ない画像

ポイントトライをせずに急いて根充に踏み切ると、不満足な根充に陥ることがある。
拡大したところまでマスターポイントが充填されておらず死腔が見えたり、アペックスまでマスターポイントが到達していなかったりするのだ。側方加圧充填法では、作業長どおりの長さでマスターポイントが挿入できるかどうかを、根充前に確認することをルーチンにすべきである。「多分大丈夫だろう…」と過信すると思わぬ失敗につながるものだ。

ポイントトライはデンタルエックス線で確認するのが確実だが、マスターポイントに作業長の印をつけて根管内に挿入する簡易的な手法でもよい(やらないより遥かにマシだ!)。作業長の確認とマスターポイントへのマーキングは、SEC Length INDOCATOR
が使い勝手が良く気に入っている。マスターポイントが作業長通りであることが確認できたら、根管内にEDTAやヒポクロを浸し、マスターポイントを上下させて攪拌して根管洗浄させるテクニックに移ることができる。

さて根充後の確認デンタルでマスターポイントが作業長どおりで無かった場合は「写真上で確認できるほど大きな死腔があるのだから」根充のやり直しとなる。私はいつになっても根充後の確認デンタルの現像が怖い。

形成したアピカルのサイズと選択したマスターポイントが一致していなかったとか、スプレッダーを引き抜くときやガッタパーチャを切断するときにマスターポイントを引き上げてしまったとか、マスターポイントを正しく挿入させていなかったとか、失敗原因は様々であるが、ひとまずやり直しが必要であると判断したならば、それは直ぐに着手したほうがよい。面倒がって次回に回したくなる気持ちは痛いほど分かるが、根充直後はシーラーが完全硬化していないため、ガッタパーチャの除去が容易であることと、特にネゴシエーションがほぼ確実に行えるからである。一昔前に流行ったフレーズ「直ちに影響は無い」は、少なくとも根充後に関しては大嘘であるから、厭わずにやり直しに踏み切るとよい。

こんな偉そうに確信ありげに語るのは、私がしばしば失敗してやり直しを行ってきた経験が多いからであるのはいうまでもない。今でもやらかしていたりしますが。 ...グスン

posted by ぎゅんた at 21:43| Comment(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月22日

Why is sucralose used for Prodentis lozenge?

プロデンティスにはなぜ甘味料にスクラロースが使用されているのか。スウェーデン生まれのくせに、そこはキシリトールを使えや!と人工甘味料が嫌いな私は不満に思っていた。スクラロースだけでない。アスパルテームやアセスルファムKなど、頻用される人工甘味料に対して安全性に疑問を抱いているからである。そもそも美味しくないではないか。
自然な甘さであること、血糖値に影響を与えないこと、また継続摂取により虫歯菌を減少させる効果が期待できるキシリトールを、なぜ使用していないのか。
開発者らがこんなことを考えつかない訳がない。配合するとロイテリ菌に悪影響があり、不可能なのか。その理由が気になって仕方が無い。


この件についてバイオガイアジャパンに問い合わせたところ、

早速ですが、お問い合わせいただきましたプロデンティスに使用している甘味料スクラロースにつきましては、世界80カ国以上で添加物として認可がおりており、日本も1999年より厚労省より認可を受け使用が認めています。

また、現在までに50億食以上の摂取実績がございますが、副作用なども一切受けていないこともございますし、スクラロースは安全性機関のガイドラインに基づき、摂取して安全性と確かめた上で使用の認可がおりていますので、妊娠・授乳中の女性をはじめ全ての方に安心して摂取いただけます。

形体が違いますが、甘味料を使用していないプロデンティスリキッドのタイプもございますので、重ねて推奨いただきたいと思います。


との返答であった。どことなくテンプレっぽい。
スクラロースは安全性が認められている人工甘味料ですから気にする必要はありませんということである。予想通りの返答である。それはいいのだが、キシリトールが配合されていないことについてその理由の記載がない。どちらかといえば、私はなぜキシリトールを配合しなかったについての方が気になる。プロデンティスの一粒のロゼンジに含有されるスクラロースの量など微々たるものであるからである。もし、本当のところでスクラロースに毒性があったしても無視できる量にすぎない。

そこでバイオガイア本社の方に問い合わせてみることにした。
センター英語88点の私には難易度の高い行為だが、命を取られることはあるまい。

送った内容はこんなところである。
エキサイト翻訳っぽい文体であるのはいうまでもない。

Subject: why use sucralose in Prodentis lozenge.

Hi. I am a Japanese.Dentist.
I have a question.
Why is sucralose used for Prodentis lozenge?
Was xylitol not usable?
Best regards.


半日後に返信がきた。インターネットの恩恵は本当にすごいものである。

Dear Naohiro,

thank you for your mail and interest in our BioGaia Probiotics products. Due to holiday season in Sweden our answers could bee slightly delayed. We will however get back to you as soon as possible.

I will forward your questions to a relevant colleague and I am sure she will get back to you at her earliest convenience.

Best regards

Lina Strindlöv


スウェーデンはいま休暇の季節?夏休みのことだろうか。涼しそうなイメージ。外国人は休暇をたっぷり取るのが羨ましい。
答えることのできる同僚に質問を渡すから待っててねという内容のようである。

半日後ぐらいにまたメールが。

Dear Naohiro Tsukamoto,

Thank you for your question and interest in our BioGaia ProDentis Lozenges.
It is a good question and when developing the oral/dental products lozenges and chewing gum back in 2004/2005 we discussed thoroughly that we would not use xylitol as sweetener. This was due to possible difficulties to make and evaluate clinical studies with the products. Would the effects be due to xylitol or to L. reuteri, if xylitol was used? That is the main reason of not using xylitol as sweetener. The choice of using Sucralose as sweetener was due to that we saw it as a high intense sweetener with a very good taste, compared to aspartame or any other synthetic sweetener and also non-caries sweetener.

If you have any more question, please do not hesitate to contact me.

Kind regards,


甘味料にキシリトールを用いない第一の理由は、プロデンティス・ロゼンジのー臨床研究を評価するうえで、そのプロバイオティクスが、ロイテリ菌によるものかキシリトールによるものか、もしキシリトールを甘味料に用いたとすると判断が難しくなるから、と考えたためのようだ。そして、スクラロースはアスパルテームや他の人工甘味料に比べて優れた味を有する高いレベルの甘味料であることを知っていたし、非う蝕誘発性である。

開発者らはキシリトールの能力を高く評価していることが伺える。予防大国スウェーデンではキシリトールは日常的にありふれた甘味料であり、国民の多くが日常的に摂取しているのであろう。プロデンティスにキシリトールを用いることでロイテリ菌の効果を正確に評価することを避けたいということになったのだろう。あえてキシリトールを使用する必要性が低いのである。

とはいえ人工甘味料の嫌いな私は、いずれバージョンアップでキシリトールタイプのものが上市されることを待ち望むばかりだ。


スウェーデン(wiki)
ちなみに移民政策で大変な目に遭っている国でもある。
posted by ぎゅんた at 22:10| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月17日

ジルコニア冠の研磨に松風のジルコシャインキット

松風ジルコシャインKIT.jpg
キットで買うと予備のバースタンドがつく太っ腹っぷり。さすが松風やで

最近ホットなジルコニア冠。
当院では和田精密さん取り扱いのジルコニアクラウン(ジルライトクラウン、キャミレー)を使用しております。

ジルコニアはポーセレンとは材質が異なり、その研磨にはジルコニア用の研磨キットが必要です。
ポーセレン用は使えないのです。

ひとまず松風のジルコシャインキットを購入しました。
これは口腔内での研磨を想定しているのでコントラアングルで使用します。CRインレーやセラミックインレーのように、接着後に咬合調整と研磨を行う想定だからでしょう。

とはいえ、ジルコニアは削合除去に泣が入るぐらい硬いので、通常の金属冠同様、調整・研磨後を終えた後にセットして差し支えないと考えます。

咬合調整には、私はタービン・ダイヤモンドバーを非注水で用いております。
そして研磨に、ジルコシャインキットのポイントをストレートハンドピースに装着して行います。推奨される方法ではないのでしょうが、問題なく行えます。

ジルコシャインキットを使用しての所感ですが、まず形態修正用のビトリファイドダイヤは削合能力が低いです。口腔内にセットしたあと、これで咬合調整していたら日がくれるかもしれません。ほんの少し削りたい時や微調整、粗研摩に用います。
研磨は、ジルコシャインコースから行います。これで研磨面を撫でていくと面白いように綺麗になって行きますので、面を綺麗にしてジルコシャインファインで仕上げます。艶出し成分が含有されているようで、うっすらと光沢を放ち始めるでしょう。ジルコニア冠はそこまで美しい材質ではない(透明感に乏しい)ので、研磨は手を抜けないステップです。

キャミレーPPノンステイン研磨前.jpg
研磨前

↓↓

キャミレーPPノンステイン研磨後.jpg
研摩後

より積極的に艶ある光沢を得るためには、茂久田のジルコンブライトを使用するとよいのではないでしょうか。

松風 ジルコシャイン キット(CA)
posted by ぎゅんた at 22:46| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする