2014年04月24日

キシリトールは「歯医者さんが作ったチョコレート」におまかせ

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キシリトールを定期的に摂取し続けていれば口腔内の虫歯菌の数を減少せしめることが可能です。これは過去にも記事にしたとおり。ひととき流行ったキシリトールも、最近は沈静してしまいましたが、その有用性は確かなものとして残っていると考えます。

昔からカリエスと歯周病の予防として甘味制限の指導をしております。単純に、プラークが砂糖からくるミュータンス菌の不溶性グルカンにあるからです。プラークの機械的除去が必須であることは勿論ですが、プラーク自体の量を減らす根本的な対策として、砂糖を摂取しない策があるのではないか。これは名著「トータルから口をみる」(谷口威夫・著)にも記載があり、初めて読んだ時に膝を打ったものです。

小児・成人に限らず、カリエスの多い人は食生活に問題があることがほとんどですから、そこを是正して初めて治療しなくてはなりません。また、砂糖を積極的に摂るメリットもあまりないように思います。甘いものを意識的に避けていても、現代の食生活事情においては、すべからく砂糖が加工食品の名の下に含まれているわけで、積極的に甘いものを口にする必要がないことになります。と同時に、プラークが産生されるので、これはブラッシングにより除去を図らねばならない。何れにせよ、砂糖を意識的に摂ることは避けるぐらいが、現代人にはちょうどよい落とし所になるのではないか。

砂糖は中毒性があるようですから、摂取が習慣になっている人はなかなか摂取制限が困難です。咄嗟に甘いものを口にしたくなると訴えるも少なくありません。こうした人へのひとつの救済策としてもキシリトールが利用できます。タイトルにある「歯医者さんが作ったチョコレート」は、キシリトール100%でありながら普通のチョコレートと遜色のない味に仕上がっています。寝る前に歯磨きをしたあとに食べても大丈夫という点が実にユニークで、小児に「よく頑張ったね」とプレゼントすると喜ばれます。

チョコの代替品としても、キシリトールの定期摂取用としても、ジョーク的なお菓子(贈り物)としても使えるので気に入っている商品です。


【余談】
キシリトールの摂取でお腹が緩くなるのは、水分を吸い取ったキシリトールが腸内で水分をリリースするため。大量摂取しない限りは身体がすぐに順応するので心配無用。

むし歯を予防するキシリトール入り | 歯医者さんが作ったチョコレート
 
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2014年04月19日

Mtwoファイル〜湾曲根管模型

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・シングルレングステクニックに向いた設計
・ブラッシングモーションで用いる
・単価が安め(6本で7000円)
・個人的には「折れにくい」と感じるニッケルチタンファイル
・なんだかんだで重宝している


全てのニッケルチタンファイルの使用法に共通する事項であろうが、ストレートラインアクセス形成とネゴシエーションを終えてから初めて用いる。X線写真と手用ファイルから作業長を決定して使用する。Mtwoファイルはクラウンダウンではなくシングルレングスで用いる設計であり、15/.05、20/.06、25/.06と号数をあげていく。このうち、15/.05はグライドパスの拡大に相当する。20/.06、25/.06は側方への拡大となる。

実際にMtwoファイルを用いると、15/.05は適度な弾性があり、扱いやすい感じがする。手用ファイルでネゴシエーションまでしたあと、一回だけでいいので15/.05をアペックスまで到達させるだけでも、その後の手用ファイルの操作が楽になることに気づくだろう。手用ファイルでのエンドに慣れているのなら、15/.05だけの使用でも大きな恩恵が得られる。その後の拡大操作が格段に楽になることに気づくはずだ。手用ファイル操作が楽だということは、治療時間の短縮とファイルへのストレス軽減からくる破折予防となるため、患者・術者ともに恩恵が大きいわけである。

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これはプラスチックの練習用根管模型で#10でネゴシエーション後に15/.05、20/.06、25/.06で形成をしてみたところ。
湾曲根管でファイルを回転させれば、ファイルの弾性により外湾が削られレッジを形成するが、それはニッケルチタンファイルも同じように起こる。この練習用根管模型では、アペックス付近の外側が削られすぎて胃袋のような形になっているのが確認できるだろう(ファイルは素直に穿通するのでレッジというよりはジップか)。模型で練習された先生方はお分かりだろうが、これは往々にして起こりうる。このあと側方加圧充填をするとすれば、根尖部の封鎖が不十分になる可能性が高い。この形成を避けるように形成するには、操作に熟達するか、湾曲根管に向いた設計のニッケルチタンファイルを用いるかであろう。個人的には、湾曲のある部分の外側が削られがちになるのは不可避であると思っている。製品パンフでは湾曲根管模型や湾曲根管が綺麗に滑らかに形成され充填さえているが、あれは平均的な術者が容易に達成できるものではない(そんなに簡単ならもっとニッケルチタンファイルは世の中に広まっている)。

我々術者は、根管内での器具の動きを熟知し、器具の限界を知っておかねばならない。少なくとも、湾曲根管は外側を削りすぎてしまうきらいがあり、側方加圧充填では根尖に緊密な封鎖が達成できなさそうだと認識するべきである。ニッケルチタンファイルは湾曲根管に強いと言われても、限界があるのだ。そして、側方加圧充填よりは垂直加圧充填のほうが根尖の閉鎖(根尖周囲組織と根管の交通の遮断)の面で有利だろうと推察できる。垂直加圧に必要なのは滑らかな根管形態と形成面とテーパーであるが、これらはニッケルチタンファイルを用いれば(手用ファイルに比べれば)達成できるだろう。


今後しばらくはMtwoファイルを使用する予定なので、なにか思うところがあれば記事にしていきたい。
 
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2014年04月18日

茂久田さんちのレシプロック

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茂久田商会様よりメールがあり、レシプロックに関する文献を頂くことになった。この記事の「茂久田に問い合わせたが返事がない」箇所を読まれたのであろう。本ブログは電脳虚数空間(ネット)の隅っこで細々と続けているに過ぎない規模のものだが、私が想像する以上に読まれているのかもしれない。嬉しい気持ちよりも恥ずかしい気持ちが勝る。

レシプロックに関しては、デンタルフェア・企業ブースにて製品の説明とデモンストレーション・ハンズオン・カタログの拝受と至れり尽くせりであり、また、こちらの質問に丁寧に答えて下さった担当者のおかげで瑣末な疑問も氷解している。

現時点で私がレシプロックを採用することはなさそうなのであるが、「基本は一本」コンセプトはシステムの単純化とファイル着脱の手間の軽減が図れるうえで大きなメリットだと考える。プロテーパー、エンドウェーブ、Mtwoファイルに触れてきた私にとっては、ロータリー型のファイルにこそ慣れ親しんでいるので、急いで飛びつく気持ちはない。しかし、これからニッケルチタンファイルを自分のエンドに導入したい人にはユーザーフレンドリーで良さそうだなと思うのである。そして、ニッケルチタンファイルで根管を仕上げることのみに躍起にならず、手用ファイルの操作を楽にするために利用するぐらいの、少し肩の力を抜いた使い方から始めるぐらいがいいと思うのである。

ちなみに送られてくる文献は英語だという。なんのいやがらせ第一線の情報はやはり英語なのである。頑張って読むことにしよう。茂久田商会様にお礼申し上げます。


茂久田商会
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2014年04月14日

出入りの技工所さん

当院には連携している技工所さんの営業の方が訪れます。院内技工で対応できない技工物の制作を依頼するのです。いわゆる外注です。

私が診療中のときに来られるタイミングが殆どなので、会話を楽しむ余裕はあまりありません。彼らは色々と有益な情報をもってきてくれますが、そんな時は、こちらの手が空くまで待っててくれたりします。

そんな彼らに仕事の関係以上に気に入られることは、より有益な情報を得るために欠くべからざる重要事項です。また、こちらの不手際で無理な技工指示を出してしまうこともありますから、お互いの関係は常に良好でなくはなりません。結局は人間関係でありますから、感情的になると仕事の質が濁ってしまい、いきおい、先生も、技工所さんも、患者さんも不利益をこうむってしまう。これだけは避けなくてはなりません。

さて技工所さんとの良好な関係を気づくには
・こちらの形成と印象が綺麗である(テクニシャンが仕事がしやすい模型を提供する)
・値切りや無理強いをしない
・注文が多い(お得意様)

などが挙げられましょうが、もっともっと、先生も、技工所さんも、患者さんも幸せになれる簡単なポイント(テクニック?)を紹介いたしましょう。

それは、営業の方に「この間、作ってもらった補綴物、キレイに入りましたよ」と伝えることです。ただし、タイミングが重要で、自分が診療中のそばを挨拶に来られた営業さんに笑顔で伝えるのです。こうすると、伝える自分も、営業さんも気持ちが良いですし、患者さんも悪い気がしないでしょう。好きなワードではありませんが「Win-Win」です。

勿論、これに至るは最低限の形成と印象・模型が必要であることは言うまでもありません。テクニシャンは基本的に提供された模型以上の補綴物は作れません。

我々は第三者に自分の形成を模型でチェックされています。
テクニシャンに仕事のしやすい綺麗な模型を提供することを追求するべきでしょう。それは、歯科医師としての見栄もありますが、最終的は自身のスキルアップになりますし、技工所さんからみた医院のイメージアップとなって返って来るからです。狭い業界ですから、小さな評価は大きな評価になって跳ね返ってくることを意識するべきです。その逆もしかりであります。


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posted by ぎゅんた at 22:40| Comment(0) | 根治(回想) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月11日

エッセンシャルオイルを利用してみよう

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このところ、空き時間には実家と医院の整理整頓(内実は「要らない物を捨てる」だけの作業)をしているのであるが、色々と懐かしいアイテムが出てくるものだ。つい作業の手も止まるというものである。

研修医時代の臨床メモや形成の練習した支台歯や模型など、ゴミに等しいものもあるが、研修先やバイト先スタッフや後輩の学生たちから贈り物や寄せ書き、写真などはゴミではない。想い出に仕舞い込むにはまだ早いような相応しいような、子供っぽくいえば甘酸っぱい気持ちにさせてくれるアイテムたち。これを私にくれた彼らは、私のことをもう忘れてしまったかもしれないが、私は、彼らを忘れることなく憶えている。

さてその中にエッセンシャルオイルの詰め合わせがあった。
これは、後輩から「実家で使わなくなったものなのでどうぞ」と貰い受けたものである。当時の私がアロマテラピーにハマっていたからではない。診療の際、患者さんの顔にかけるタオルの間にエッセンシャルオイルを一滴垂らしたガーゼを挟み込んでリラクゼーションを狙っていたのだが、その話を知った後輩が善意でプレゼントしてくれたわけである。エッセンシャルオイルは何気に値段が高いので、薄給の私にとって実に有難い、天からの恵みであったことは言うまでもない。地元に帰ってくる時のゴタゴタの中で喪失してしまったものと肩を落としていただけに、棚からぼた餅ならぬ「天から恵み」である。

なお、エッセンシャルオイルを垂らしたガーゼをマスクの内側にセットすると気分転換や臭いのマスキングに利用できる。マスク内側に直接垂らすと肌に接触したりマスク表側に滲み出ることがあるので、一手間だがガーゼに垂らして利用しよう。
 
posted by ぎゅんた at 22:14| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする