2014年03月30日

除冠には WAM key を使ってみよう

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以前から気になっていたインストゥルメント、それがワムキー。正体は除冠専用器具。
今も昔も除冠に関しては色々と思うところがあった。ありていに言えば苦手意識があり、楽に手早く達成できる道を常に探さねばならぬと考えていた。

つい先日のデンタルフェアで、45000円がDVD付で30000円の特別プライスだったので購入を決意。それでも高ぇよハゲな価格だが、えてして医療用品は高額なのである。

さて除冠について、私なりに思うところをダラダラ述べていこう。

補綴冠の除去は、基本的には冠を左右に押し広げて支台歯との間のセメント層を破壊することで保持を喪失させて達成するものと考える。お馴染みのマイナスドライバーやクラウンスプリッティング・プライヤーはこのため用いられる器具である。この従来の手法は、熟達してくると安定して早く除冠が達成できるテクニックであるが、除去された冠はひしゃげることが殆どだから仮歯には利用できなくなる。また、左右に広げる力が働くので、たいていは隣在歯に圧力が加わる。その時の感触は決してよろしくないし、場合によっては痛みを訴える。除冠時、冠をこじると患者さんは眉間に皺を寄せることを皆、周知のはずである。患者さんは訴えないだけで不快なのである。

タイトルにあるWAM-Keyであるが、冠にまず穴をあけるところから始まる。開けた穴にワムキーを差し込みひねることで冠に脱離方向への力が加わり、セメント層破壊と共に外れるものである。穴を開ける場所は頬側から、支台歯と冠とのセメント層を狙っておよその位置である。なので、支台歯の形態を予想して穴を開けなくてはならない。うまくいけば、キーを捻るとプッと冠が浮いて除去が可能であり、そのまま仮歯として利用可能である。加えて、隣在歯に特別な力が加わらないので、従来の方法に比べて患者さんは痛みを感じにくい点で優れている。

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土曜日、購入したWAMKEYを友人の歯科医院に持参して除冠実習を行った。
まずDVDの動画を再生してみたが、このような類のメディアの常としてサッパリ面白くない。なので早々に実習に移ることにした。技術色が強い場合は座学よりも体当たりで理解を得ようとしたほうが早いものである。

結論としては「あっても無駄にはならない器具であるが、予期していたほど簡単に除冠できない器具」というところ。練習でこれなので実際の除冠の場面ではどうなることか一抹の不安が残る。除去できる時はできるし、仮歯として再利用できるが、期待していたほど簡単に扱えるモノではない。

こじっただけでプッと浮いて除去が可能になることもあれば、何度もトライしなくてはならない場合と差が大きい。最初に冠に穴を開ける手順上、ワムキーで除去できなければ従来法に切り替えればいいだけであるから、まずはワムキーでの除去を試みるようにはできる。ワムキーでの手応えが悪ければ即座に従来法に移ればよいだけである。また、スーパーボンドで合着(接着)されている場合は、ワムキーでの除去は困難である。接着を引き剥がすように破壊するには最も力が必要だからである。この場合は従来法で接着を壊すようにして除去することになろう。ひとまず必要なのは、更なる練習と実戦導入である。実際の臨床に用いると嘘のように好結果を出す場合があるものだ。


余談-メタルコアの除去
コアの除去に関しては、私は兼松式のコア除去鉗子を愛用しているが、ワムキーも応用できそうだ。
メタルコアと歯質の境目にワムキーを挿入してこじるとテコの作用で除去が狙えるからである。
 
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2014年03月26日

今更ながらのフェイスブック

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Facebookであります。

新時代の名刺だとか必須のビジネスツールだとか、リア充自慢の社交場だとか言われているアレです。実名登録であり、迂闊な振る舞いをすれば即ネット上に晒し挙げられ炎上するSNS。たとえ自分がヘマをしなくても、やらかす人物とフレンド登録していれば有事の際は「お仲間」扱いで自分も被害を受けかねません。総じて、ネットリテラシーのない人は手を出してはならないものです。

さて、私もFacebookのアカウントは持っております。セミナーや旅行先で出会った人ともっと親しくなりたいときに有用なツールと考えたからであります。しかしコミュ障気質の私には持て余してしまい、結局は使いこなしているとはいえない状況です。死にアカウントともいいます。

とあるフレンドの一人は上手に使いこなしていて、いいね!やコメントの応酬がいつもアップデートされています。一方、私がなにかをアップしても特にそういうことはありません。反応があったから偉いとか火力が高いとか戦闘力の高い人物である評価につながるわけではありませんが、「レスポンスがない」ことが続くと心理的に堪え始めます。もっぱらフレンドの投稿をチェックしたり、ネット上で気になる記事をシェアしたりする程度。じぶんから何かアクションを起こすことは稀です。

死にアカウントの人は、飽きてやめた人もおりましょうが、私と同じような「レスポンスがない」ことに虚しさを感じ、フレンドの状況を確認するだけのツールに成り果てている人が多いのではないでしょうか。

アカウントを持ってはいれどサッパリ使いこなせていないFacebook。ネットの匿名性を尊ぶ日本人には、そもそも向いていないツールのような気もいたします。Facebookが誕生した理由も、ハーバード大の人脈ツールが発端のようですし、社交性と上昇意識ある人が人脈を広げる、ネットを利用した自己開拓型ツールが本体です。私のようなコミュ障引きこもり気質のシャイなおっさんには持て余してしまいます。飯にこれを喰ったと画像を投稿しても、そんな情報には何ら一切の価値はありますまいし。やはり日本人には使いづらいツールなのでは…ないかと希望観測。

そんなわけで私はFacebookを使いこなせていません。
折角持っているのだから、これからはもうちょっと積極的に使ってみようと画策する一方、私がフレンド申請したい人物に限ってFacebookをやってなかったりする現実があるんですよね(教えてくれないだけかもしれない)。なんだかんだで、メールでやり取りするだけで充分満足できたりしますものね。

posted by ぎゅんた at 01:22| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月19日

続・痛くない浸麻ができれば

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最初の刺入時のシリンジの持ち方

歯科治療において、局所麻酔を効かせて無痛的に処置ができることは患者の安全のためであることは自明である。ただし、無痛的状態としての麻酔効果を得るためには注射針を粘膜に刺入しなくてはならない。これは痛みを伴う。

もしも、この最初の刺入時の痛みを限りなく小さくできればその恩恵は計り知れない。単純に、痛みの少ない麻酔を患者は望んでいるし喜んでもらえるだろう。また、痛みが少なければ、患者は「この先生は腕が良いナ」と術者を好意的に評価し安心するからである。

使うものは一般的な表面麻酔薬(ゼリー状orテープ状)と手用注射器のみ。電動注射器やバイブラジェクトやカートリッジウォーマー等は使用していない。カートリッジの液温は室温保管のそれである。針は細い方がよいが、30G以上の細さなら問題ないだろう。勤務先では30Gとゼリー状の表面麻酔薬、実家では33Gとテープ式表面麻酔薬を使用している。麻酔液はオーラ注、注射針には共にニプロ製(100本で980円のもの)を用いている。

さて、私が行っている方法を以下に記したいと思う。概ね、患者さんから「痛くない」評価を得ているので、みなさまのご参考になるところがあるのではないかと思うからである。以前に起こした記事の内容と比較して、特別に変更されたところはない。内容的にはかなりシンプルであるから、色々と応用が利くと思う。

Procedure
1.浸麻する場所は、まず齦頬移行部に設定する
2.設定した部分と周囲(次に刺入するであろう部位)の粘膜をオキシドール綿球で拭い、消毒しておく
3.その部位をエアでキンキンに乾燥させる
4.表面麻酔薬を、最初の刺入部位である齦頬移行部に置く
5.置いた表面麻酔の上からロールワッテをあてがって1分以上、圧迫し続ける
6.ロールワッテを左手の指で、粘膜を緊張させるように押しよける
7.最初の刺入部位である齦頬移行部が、6.の動作により緊張されていることを確認
8.ベベルの向きを確認した針先を、齦頬移行部に平行になるような向きでスッと刺入させる
9.薬液をごく少量、注入
10.注入してから2、3秒だけ注入動作をストップ
11.ゆっくり薬液を注入していきます。粘膜がカエルの腹様に膨れていることを確認
12.ここでいったん終了して、含嗽のためユニットを起こす
13.重力を利用して浸麻液を次の刺入部位まで移動させる(もしくは膨隆部を指で押すことで麻酔液を移動させる)
14.1分半以上待ったのち、次の刺入と注入を進める(本命の場所)



コツ、その他
・表面麻酔を塗布した粘膜は、刺入までとにかく乾燥させた状態をキープすること
→刺入までの間に粘膜が濡れてしまうと表面麻酔の効果はガタ落ちになる

・ベベルの向きを確認して刺入することを癖にすること
→ベベルが逆だと刺入が難しくなり、痛みが強くなる
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基部にべベルの向きを示すマークがあるはず

・時間がかかってしまうのが欠点
→最初から歯間乳頭部に打てば早いが、痛い

・体温付近に温めた麻酔液を用いれば、注入時の痛みを少なくできるかもしれない
→カートリッジウォーマーが不当に高いので私は使用していない

・電動注射器を用いれば、注入時の痛みを少なくできるかもしれない
→ニシカのアネジェクトUが良さそう


Let's try !!
 

posted by ぎゅんた at 20:19| Comment(6) | 局所麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

歯科医師国家試験と合格発表

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※今回は不安定な記事です。ボツにしようと思ったのですが、勿体無いので掲載します。


今日は第107回歯科医師国家試験の合格発表ですね。
合格された方には、心からおめでとうと祝福の言を送りたい気持ちです。そして、ようこそこの業界へ!と歓迎する気持ちも。

さて、合格した直後の嬉しさに溢れたいまのお気持ちからはご想像もつかないでしょうが、この業界は理想と現実に挟まれ苦悩することが多々あります。「歯医者になんてならなければよかった」と後悔する人もあとをたちません(声に出さないので目立たないだけです)。きっと、皆様が思い描く理想像としての、先生、先生と患者さんやスタッフに尊敬される名誉ある職種にするには相当な自己研鑽と努力、意思力が必要です。

私もそうでしたが、みなさんも学生時代に「歯科医師に求められる三つの要素」とかで、「人格・知識・技術を兼ね備えた人である」ことを講義で聞いたのではないでしょうか。当時は軽く聞き流していましたが、歯科医師となって一桁後半年ともなってくると、いよいよこの話が身に詰まって納得できる立場にいることに気がつきます。そして、この三要素を兼ね備えた先生は思いの他に少ないのではないかと…そう、考えたりもする。三つを兼ね備えた先生は、たいていはその地域と業界界隈における有名人で、一目おかれている人物で間違いありません。これは、歯科医師がバカばかりで努力研鑽をしない連中ばかりということではなく、三つの要素を確立させることが如何に難しいかを表しているのです。私も目指すところですが、全く及んでいません。しかし、歯科医師としてのひとつの明確な理想像でありますから、必ずや到達したいと願い、行動しているつもりです。

なぜ、難しいのか?
1.人格
25歳前後に確立されているため、そもそも人格的に未熟な人はスタート地点から脱落しがち。高い人格を有する人は、それだけで「人格者」と讃えられるほど。あなたの周りに「人格者」はどれだけいるだろうか?

2.知識
歯科医師は生涯勉強、常に知識のアップデートに努めなくてはならぬ…といわれても、日々の診療が終わってクタクタになっていたりせっかくの休日を勉強に費やすのはシンドイ。遊びたい。勉強すべき内容も、誰かに与えられるものではない。

3.技術
そもそも「高い技術」がいかなるものか分かりにくい。患者も技術を評価してくれることは少ないと気づき始める(早くて痛くなければいいのか?)。歯科医師は同業者と治療内容を比較する機会が極端に乏しいので、いよいよ治療技術の優劣が分かりにくい。手先が不器用だからと言い訳したくなる。今はできなくても、できないことを放置しておくことが恥ずかしいこと。ならば練習しなくてはならない。いつする?練習してる?自分のスキルアップのためにどれだけ時間とお金を費やしていますか?

いかがだろう。一朝一夕にいかないことことだけはご理解いただけたと思うのですが。
ひとつ、人格に関して。昔から人格は25歳前後で確立され、以後不変とされていますが、25歳を過ぎていても人格を変えることは可能です。足りない分を補強して、至らないところを修飾することができます。歳を重ねるとそれがたいへんに困難となるだけです。高い人格は良き習慣によって形成されるものなので、我々は常に自分を律しなくてはなりません。それでいて、日々、勉強に邁進しなくてはなりません。「なにを、当たり前のことを…」とお感じでしょう。しかし、これらがどれほど高いハードルであるかは、おいおい分かってくると思います。歯科医師は、出身大学で将来が決まることはありません(大学人になるなら別です)。卒業後にどれだけ自己研鑽し続けていくか、ただそこだけです。まずは一年間の研修医期間を通じて、ご自身がどのような歯科医師になりたいのか、その目標像を作り上げ、達成するためには何が必要かを考えて下さい。

国家試験合格発表といえば、私は発表数日前から不安と緊張で不眠症になったものでありました。14時過ぎの札幌の合同庁舎、自分の受験番号を確認した瞬間にくずおれて、安堵の気持ちと嬉しさと達成感の入り混じった気持ちが溢れ出して咽び泣いたことを懐かしく思い出します。いまでもときおり、国家試験を控えて勉強している時代の、ひたすら勉強し続けることで不安を打ち消さんとひた走っていた自分の姿を夢にみることがあります。もう二度と味わいたくないほどの異常な緊迫感の中を過ごしていたのでしょう。私の頃に比べていまの国家試験はより難しく意地悪になっているはずです。そんな難しい試験を見事に突破された合格者の皆様は、すべて戦友のような仲間意識を感じます。冷静さを欠いた記事を掲載することはお許し下さい。


【推薦図書】
君たち、なぜ歯科医になったの?
http://www.hyoron.co.jp/in/saikan_/book_4/tokubetu.html
posted by ぎゅんた at 19:19| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月17日

続・イメージングプレート(IP)への保護バッグについて

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Ciのカタログより。SLBを使用。400枚で1630円!

ディゴラオプティメUではIPを再利用する設定上、感染対策に保護バッグを必要としている。メーカー指示のものを使い続けることが推奨されているが、コスト的に約20-25円/枚するので頭が痛い。

以前に紹介した「フラットバッグ」は、見た目も使い勝手もよくなり、且つ12円/枚となるのが最大の魅力である。これは記事にしたとおり。勤務先では即こちらに切り替わることになった。

さてその記事をあげてから、ブログ読者のK先生より「4.075円の保護バッグがありますよ」とメールを頂いた。本当にありがとうございます。上には上があるのである。

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モノはこんな感じ

保護バッグのコストを削減したい先生は、導入をご検討されるとよいでしょう。
  
ニックス サリバッグ

posted by ぎゅんた at 21:04| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする