私の母には少なからず「健康グッズマニア」な気質がある。大学生の頃、帰省するたびに健康サプリやグッズを薦められたものだ。親が子の健康を慮っての行為だろうが、騙されているだけなのではと言い出すこともできず複雑な心境になったものだ。健康をうたう商品はどうも胡散臭いからである。効果には個人差がありますの一言で全てOK。それでも、有る程度の効果が認められると判断された商品は「本物」として市場に残ってくる。実際に、母に薦められたものの中にも、気に入って使い続けているものもある。やめたもの(止めさせた)ものも多いのだが。
問診で患者さんに服用薬剤について尋ねたとき、健康サプリや健康食品(以下、健康アイテムとする)の名を聞くことがある。誰しもが通販番組で目にしたことのあろうアイテムからブルーベリーまで様々。意外に多くの人が健康サプリを摂取しているようだ。「服用すれば健康になる」なんて、そんなに楽なら手を出したくなるのが普通だろう。人間はとかく楽をしたがる生き物だからである。
いつも思うのだが、なぜ健康アイテムの利用を始める前に口の中を綺麗にしないのだろうか。歯周病菌とカンジダ菌まみれの不浄な口のままにして健康アイテムを摂取しても、その効果が期待できるのだろうか。悪玉菌のサーバーがそのままなのに、全身状態の改善が摂取するだけで見込めるとは思えない。これは、エンジンオイルがドロドロで状態不良のエンジンを乗せた車を速く走らせようとしたときに、ハイオクを入れたりターボやスーチャーをつけたりしても仕方がないのと似ている。
余談だが、最近母が手を出している健康アイテムが水素水である。水素が悪玉の活性酸素を除去して健康になるのだとか。うーん疑似科学っぽい。でも、飲むとなんとなく次の日の朝の目覚めが良い…過去の機能水ブームみたく、水素水を歯科治療に応用する動きが出てくるかもしれない。もうあるかもしれんが。