2013年09月23日

キシリトールを毎日の生活に採用してもらうには

FAZER Xylimax - Muumi.jpg

まとめ
・キシリトールは継続摂取で虫歯予防に効果がある
・窓口販売で、魅力的な製品を置いてみるのにこれはいかがだろう?


ご存知のとおり、キシリトールは、非う蝕原生の甘味料である。ショ糖とほぼ同じ甘さで、カロリーがある。大量の摂取で下痢を誘発する欠点はあるものの、ユニークな特性を有する。

それは、
1.ミュータンス菌はキシリトールを代謝して乳酸を産生できない
2.キシリトールの継続摂取により、キシリトールを代謝できないミュータンス菌(悪玉菌)が減少し、キシリトールを代謝できるが宿主には無害な菌(善玉菌)が増える
ことであろう。
これは、非う蝕原生の人工甘味料にはない性質である。継続摂取は、最低三ヶ月以上が必要と聞いている。

なお、キシリトールには再石灰化を促進する効果はないと考える。虫歯予防ということで再石灰化能がありそうな印象を受けるが、それは日本にキシリトールが導入されるときに「フィンランドの子供たちは食後にキシリトール入りのガムを噛む」印象が強いためである。すなわち、甘味料にキシリトールがあることで唾液の分泌が促進される刺激となりうることと、ガム咀嚼による刺激唾液の分泌である。唾液、ことに刺激唾液には再石灰化能(ならびに緩衝能)を認めるが、キシリトールにはない。再石灰化は、あくまで唾液によるものである。

ミュータンス菌が口腔内より減少することは、単純に虫歯予防に直結するだけでなく、プラークの減少にもつながる(産生されるグルカンの量も減るから)ことが期待される。プラークが減少すれば、口腔内細菌、ことに偏性嫌気性菌の増殖可能環境の減少につながることも期待できる。口腔内衛生環境が悪い患者は、まず食生活習慣チェックすることが大切である。う蝕にしろ歯周病にしろ、生活習慣病の側面が強いので、なにかしら原因が見つかるものだ。とりあえずショ糖の摂取回数を下げるだけでも大きな効果があるに違いない。キシリトールの摂取は、その上で、より口腔内衛生環境を向上させる修飾因子となる。

我々がキシリトールを摂取しようと思えば、手軽に思いつくのが、市販されているキシリトール含有ガムを摂食することであろう。ただし、キシリトールは100%含有商品の姿はほとん見かけない。代わりにアスパルテームのような人工甘味料が添加されている。キシリトールは人工甘味料ではなく、ほぼ砂糖と同等の甘さを有するので、通常のガムに用いる砂糖の代替に用いるとコストが跳ね上がる。それは商品価格に反映されるわけで、結局はキシリトール含有をうたってはいても、人工甘味料も多く含まれる商品になっている。

キシリトールの継続摂取によるユニークな効果を期待するのなら、やはりキシリトール100%の製品にしたいものである(歯科でプロが扱うものが、市販されているものと同じでは格好がつかない側面もある)。そしてこれは個人的な考えだが、私は人工甘味料の味が嫌いで、安全性に疑問を持っている。なので、キシリトールの摂取を進めるとすれば、自ずと100%キシリトール含有の商品に限られてくる。その上で、安く、興味を引くデザインで、味が良いものが望まれる。歯科医院専用のキシリトール100%ガムもよいが、同じようなものがコンビニやスーパーで買えると思っている患者さんも多く、目新しさがないのは欠点である。そんななか、「歯医者さんがつくったチョコレート」はかなりよくできた製品である。味も普通に美味しいチョコレートで、これがキシリトール100%とは信じられない。歯磨きした後に食べてもokという、常識はずれな使い方をしても大丈夫なのはインパクトがある。


キシリトールに関しての私の見解は、上記の通りであった。
そんな中、つい先日の話であるが、知人がフィンランド旅行土産に、スーパーのお菓子売り場に並んでいたというお菓子をくれた。それが、冒頭の写真にあるムーミンの描かれたとても可愛らしいお菓子である。ご存知の通り、ムーミンはフィンランド生まれで、フィンランドでは国民的キャラクターとして愛されている。

キシリトールコートされたラムネとグミともつかないお菓子だが、程よい上品な甘さ(肝油を舐めたときに感じるような甘さ)で美味しい。一粒を構成する93%がキシリトールのようだ。パッケージは小さいが、粒ぐらい入っているので、一日2粒で一ヶ月の継続的なキシリトール摂取が実現する。シンプルで飽きのこない味で、可愛らしいパッケージであるから、これを窓口にキシリトールによる虫歯予防グッズとして並べれば、患者さんに喜ばれるのではないだろうか。

調べたところ、こちらサイトから通販で入手できるようだ。一箱およそ236円である。
http://www.suomikauppa.fi/product_info.php?cPath=24_256&products_id=5659

通販というと、すっかり「いくら以上で送料無料」に慣れてしまっているが、この直輸入サイトはそうはいかないようだ。
窓口販売で最低300円ぐらいにしたいところだが、それだと売っても利益がありませんね…。
実際に窓口に並べるのなら、少し価格を引き上げるかボランティア価格でいくかが悩ましいところだ。


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posted by ぎゅんた at 22:55| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月19日

タイの歯科ってどうなんかな

ko samui_internationalhospital.jpg
タイのサムイ島にいってきました。
サムイ島はリゾート地なんで、観光というよりはバカンスになります。もちろんひとりです。ほっといてくれ。

旅行記もどきについての記事はこちらにありますが、歯科に関係するのはこちらのブログ載せます。

サムイ島に歯科がどれだけあるのか、どのような歯科事情にあるのかはよく分かりません。東南アジアの歯科事情は、以前に訊いたネパールの人の弁に拠れば「お金を持っていない庶民の大多数は虫歯=抜歯だ」ということでした。虫歯で歯がダメになった末にいよいよ抜歯する、というものです。充填も補綴もしません。「ダメになったら抜歯」が最も安くつく、という治療費事情があります。そのへんはタイも大差ないよう、とすると、サムイ島でもまた、変わらないものと思われます。

ただ、サムイ島は近年、白人(富裕層)がリタイアメント先として移住する島として有名であり、つまりは彼らが安心して任せられる病院もまたあるはずと考えられます。調べてみると、SamuiInternationalHospital(SIH)とBangkokHospitalSamui(BHS)がみつかりました。大きな総合病院で、どちらも歯科がありますから、サムイ島を代表する病院なのでしょう。少なくとも先進的な歯科治療を受けようとしたらこれらの病院になるのでしょう。

SIHだけですが、実際にみてきました。土曜日の午前中です。
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※歯科の看板があります。全世界共通ですな

ko samui_internationalhospital_Dental office.jpg
※先ほどの写真の建物の、外れの位置にデンタルオフィスがありました。ホワイトニングもやっているようだ。
入って見学を請う勇気はとてもなかった…今更ながら後悔。ぼくに勇気があって英語ができれば

仕事ではなくバカンスで行ったので、帰国した今更ながら、オフィスを見学すべきだったとか、歯科について現地の人に訊いておくべきだったとか、思うことがあります。とはいっても、タイ語も英語も満足に話せないたった一人では、なかなかそこまでの行動は起こせないものと言い訳。しかしそれでもぶつかっていけるぐらいの度胸と行動力がある者こそが、良い情報を得られるのでしょう。サムイ島は再び訪れたくなるいい島でしたから、次回こそは島のアチコチの歯医者さんを探してオフィス見学をしたいものです。あー、英語が喋れるようになってないとあかんなあ。海外の学会とか平然と行ける男になりたいぜ。
posted by ぎゅんた at 19:00| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月11日

これからの歯学部生の解剖学教科書はこれだね!?グラフィックス フェイス 臨床解剖図譜(クインテッセンス出版)

GraficsFace.JPG
※院長がポンと購入した。やるな


この本の謳い文句は「世界一美しい顔の解剖書籍」とある。
それは、確かに間違っていない。本当に美しい。お洒落で、学術的で、実用的である。

実用的、と書いたが、我々臨床医にとっては、という意味よりは、基礎医学書として実用的という意味である。学生の時分、解剖学は藤田先生の「人体解剖学」と上条先生の「口腔解剖学」で学んだものであったが、絵柄は白黒で古臭く、また、筋や神経、血管の実際的な走行は絵からは分かりづらかった(それを解剖実習で確認したものだ)。驚くべきことにこの本では、断面図解がふんだんに取り入れられていることで、なるほどこれなら組織の走行が理解しやすかろう。歯学部生が学ぶには血管や神経が細かすぎるほどの図も目立つが、学生時代の試験パスには不要でも、将来的には必ず有益となる。学生時代に用いた教科書は、歯科医師として働き始めてすぐにサヨナラするものだと思うが、もし、この書物が学生時代に解剖学の教科書として用いられていたとすれば、生涯に渡って用いられるものではなかろうか。新しい知識を習得するよりも、解剖知識の確認として、患者さんにビジュアル的に説明する効果的なツールとして。

学生時代、新入生オリエンテーションで、「君たちは将来、世界のどの人たちよりも、首から上に関して詳しいプロフェッショナルになる」と説明を受けたのを思い出す。
これも実際のところは、脳外科医や耳鼻咽喉科医にはかなわないだろうが(口腔外科医は勝っているだろうが)、しかし、彼らは少なくとも口腔内に関しては歯科医師よりも知らないだろう。仄聞だが、医者も看護師も、「口の中」が分からないので、担当する入院患者の口の中を触れることが怖くてできないものだという。
いつの日か機会があれば「汚いだけで怖くないヨ」と伝えてみたいものだが、科ごとの不可侵領域のタブーかもしれないのでやめておこう。要するに「分かってんだよバカヤロー、歯医者は口の中だけ触ってりゃいいんだよコノヤロー」と感情的になられるのを防ぐためである。専門領域の縄張り争いは意味がない。奪い合っても足りなくなる。しかし分かち合えば余るものだからである。

話が脱線してしまったが、本書は値段が張るもののクオリティの高い本なので、興味がある先生は、デンタルショーなどのブックブース等で手にとってご覧になるとよいだろう。残念なのは「歯の解剖」がなかったことである…

国家試験を控える歯学部生には、「口腔解剖学サイドリーダー」がオススメだ。大学の丸善で売られているハズ。
posted by ぎゅんた at 17:04| Comment(0) | 書籍など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月08日

(前編)残髄の予防と根管洗浄について

水難.jpg
びしょびしょだー

エンド治療において、残髄の予防と根管内の洗浄は常に臨床医の頭をよぎる懸念事項ではあるまいか。
あくまで私を含む周りの先生限った話かもしれないが、同じ術式を守っていても、残髄は起こる時は起こるし、洗浄して根管が本当に綺麗になっているかどうかは不安なのである。

抜髄処置後、止血を確認して貼薬仮封して、次エントリー時に出血や残髄によるファイル挿入時の疼痛を訴えられることは多くの先生方にご経験があろう。それは、ある程度ベテランになっても、起こるもののようだ。俺様が抜髄すれば絶対に残髄しないぜ!という胸を張れる歯科医師になりたいものである。
そして、根管を確実に殺菌できる手応えが欲しい。なぜなら、エンドの失敗(要感染根管治療化、要Ext化)は根尖部の細菌残留による側面が大きいからである。


残髄と根管洗浄
#15のファイルを根尖より出してファイルを回転させれば神経を千切って残髄を防げますよ

とか

交互洗浄は意味がないのでEDTAとヒポクロ(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)で根管内洗浄を行うとよい。それは、スメア層を除去して露わとなった象牙細管に有機質溶解が作用するからである

などといったアドバイス(?)は誰しもが耳にしたことがあるのではないか。
しかし、それらを実践しても、残髄は起こすし、根充後にperったりするものだ(私だけであって欲しいものだが…)。
腕が悪いといわれればそれまでだが、原因は何はなんであるかアレコレ考えてみよう。


残髄
残髄は、ただの歯髄の取り残しと考えられるが、なぜ起こるのだろうか。教科書には書かれていない気がする※1
ファイルを挿入して生理学的根尖孔、即ち根尖最狭窄部をファイルが通過して、その状態でファイルが回転して歯髄をプッツンと切ってしまえば残髄は生じない気がするは、それは、きっと思い込みである。それでも残髄していることがあるから。

現実は想定通りに進むものではないとはいえ、なにか見落としがあるはずだ。だいたい予想がつくが、根尖孔の形は正円ではないので、たとえファイルが通過して360°回転したところでプッツンと切断されるわけではないし、ファイルという硬い異物が根尖向かうだけで柔らかな歯髄を押しのけ、まさに「圧縮」させているわけである。そうして根尖付近の、ファイル触れにくい隠れた部分に押しやられた歯髄が、根尖との接続を保ったまま弱々しく膨らみ、次エントリー時にファイルと接触して疼痛となるのではないか(改めて述べるまでもないが、こうして除去されず残った歯髄に細菌感染が生じれば残髄炎となる)。
規格的なファイルで非規格的な根尖孔を触るわけだから、触りきれないと考える方が自然である。触りきれないところは、ファイル号数を上げることで「含めて」取っているのだろう。APEXっを#35まで拡大しても一向に止血されてこないが、#60まで拡大したらようやく止血した、という経験は誰しもおありのことと思われる。この他、止血がなされ残髄がないように見えても、それが局所麻酔に添加されたエピネフリンによる血管収縮作用による断髄面の止血であったりする。このときは、ペーパーポイントを作業長まで挿入して上下させれば、ファイルの届く範囲に止血している状態の残髄があるだろうから、そこの触れて出血するので偽止血と分かる。ヒポクロを満たすことで歯髄を溶解させて防止するか、APEXの拡大号数を上げるか、ペリオドンで失活固定してしまうか…


根管の殺菌
根管内が生体の免疫力の及ばぬ、自然治癒力期待できぬ閉鎖的な空間である以上、細菌感染を許した場合は感染源を除去し、再感染を防止せねばならない。これがエンドであり、エンド治療の目的が「perの予防と治療」と言われる所以である。

根管を機械的に拡大する以上、どうしても削片が生じる。生じた削片が根管にあるままにファイルを挿入すると、当然、根尖の先に押し出すリスクが高まる。ファイルは正回転(時計回り)させている以上は、削片は歯冠側方向に移動するが、常に正回転させるものではない。例えば、正回転させて根管壁に刃が食い込んだ状態でファイルを歯冠側方向に引き上げて拡大するのがターンアンドプルであるが、刃が食い込みすぎて歯冠側方向に引き上げられないときは逆回転させて食い込みを甘くしなくてはならないし、根管を開けるためにファイルをネチネチと根尖方向に進ませるためにウォッチアンドワインディングさせることもあるし、バランスドフォーステクニックでファイルを逆回転させることもある。根尖部は常に削片にさらされているのである。

根管が詰まってしまうのは、削片が根尖孔に押し出されてしまうからである。これは手用ファイルで拡大する以上は、常に起こりうることなので、歯内療法専門医の中には、号数を上げる前に#10のKファイルを穿通させ、根管の通行性を常に確保させている(リカピチュレーション)者もいる。また、削片による諸問題はクラウンダウン法であれば起きにくいので、ネゴシエーションまでは手用ファイルで行い、後の根管拡大と根管形成をニッケルチタンファイルで行うテクニックが盛んになっている。

いずれにせよ、根管の機械的拡大による感染源除去に伴う削片の問題は重要である。削片は、感染源ならびに有機物残渣、細菌の塊たる存在であるばかりでなく、根管壁とシーラーとの間の夾雑物となるからである。削片の存在は、細菌の取り残しと緊密な根管充填の妨げになると考えればよい。

エンド治療の成否は、細菌のコントロールにある。エックス線上でプアな根管充填であろうが、細菌感染がないか、もしくはあったとしても軽微で生体の免疫力の恩恵内にあれば臨床症状を示さない。これは誰しもが経験されている周知の事実である。細菌感染がなければ大丈夫だとプアな根充を容認しているわけではなく、最低限、細菌を限りなく少なくした環境に持ち込めるかどうかが重要である。その上で、根尖までの緊密な根充が長期安定性を実現するのである※2

では、削片の処理をどうするか。
クラシカルな方法に、ヒポクロとオキシドールによる交互洗浄がある。ヒポクロによる強力な有機質溶解作用と、オキシドールとの発泡作用にて削片を浮かび上がらせる狙いがある。ただし、この方法はスメア層を除去できないし、ヒポクロをすぐに中和してしまうために有機質溶解作用が弱いと考えられる。それで現在では、EDTAとヒポクロのコンビネーション用いられるようになった。この組み合わせでは発泡作用がないが、無機質溶解作用と有機質溶解作用で削片を溶かして除去しているものと思われる。しかし、削片の溶解除去にはそれなりの時間がかかるであろう。海外の専門医がいうような「ヒポクロを根管内に満たして40分は作用させ…」という、耳を疑うような時間をかけている事実は、それを裏付けるものではなかろうか。実際に自費のエンド治療をなさっている先生の一人は、ラバーダムをした状態の患歯にヒポクロを満たして20分待つときく。これは、保険診療のエンド治療ではなかなか難しい行為である。しかし諦めてはならない。このように時間をかけられないなら、根管内を効率よく洗浄して削片を洗い流すよう徹底するほかない。

洗浄にはこうした化学的作用の側面もあるが、物理的に洗い流す洗浄作用も含まれるはずである。とにかく大量の溶液で洗い流すのである。ここで重要なのは根管テーパーで、根管口から根尖へ洗浄針を挿入して、ベーパーロックを起こすことなく、根尖を洗い流すには最低でも6°のテーパーが必要だと言われる。
なので、根管の拡大から形成にて十分なテーパーを付与することを忘れてはならない(テーパーが不十分であるとファイルやポイントの操作がしづらいだけでなく、側方加圧もうまくいかない)。テーパーのついた根管を大量の溶液を用いて削片を洗い流すのである。溶液は水でもよい。大量であることが優先される。この考えに基づき、オキシドールやオゾン水を用いている先生方も多いだろう。私は希釈した0.5%ヒポクロを用いている。常に新鮮な溶液を根管内に作用させるように贅沢に用いている。

EDTAは用いていないが、Rc-Prepを常に併用して根管拡大形成をしているので、スメア層は除去できているものと考えている(スメアクリーンは高価)。
この方法よりも、より積極的にイリゲーションさせたいと思えば、超音波洗浄になるだろう。私はエンドチップを根管内に挿入するのが特に大臼歯部では苦手で不安で、かつ勤務先ではエンドチップがないので行っていない。まだ触れたことはないが、超音波を併用した根管内吸引洗浄が最も効果的な根管洗浄となるのではないかと思っている。とにかく根尖部の削片を洗い流さなくてはならない。根管洗浄に関しては、小林千尋先生の根管洗浄―よりよい治癒を目指してが勉強になる。UATが早く実用化されるのを祈るばかりだ。

(後編へ)


※1
除冠の方法が書かれていないように、「残髄なんて起こすわけないやろ!(一旦セットした修復物補綴物を外すことなんてないやろ!」)ということか。教科書さんは凄い。そんな失敗もやり直しもない臨床なら誰も苦労しないのである。
思い起こせば、学生時代、歯科麻酔科の講師が「この教科書に書かれていることだって実際には間違いが含まれていて…」と述べ、え?そ、そんな…と泡食ったものであるが、今にして思えば宜なるかなである。

※2

おそらく将来的に「根尖病変はないのに亀裂があるゆえにEXTするハメになる」歯となる運命になる。残念ながら失活歯の破折は避けられ得ないの現状である。特に感染根管治療後に補綴した歯は破折しやすい。「感染根管治療=難しい、保存できてもすぐダメになる」とインプラントに走る趨勢もちょっと分かる。
 
posted by ぎゅんた at 13:02| Comment(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする