2013年08月27日

手っ取り早くLEDで視野を明るくしたいなら


和田精密様よりデモ機を拝借。
軽くて装着感に優れたLEDを光源にするヘッドライトで、低倍率のルーペの着脱もできる(オプション扱いで別売り)のが特徴である。

実物自体は、和田精密のラボに見学に行った時に触れていた。
軽いし、LEDライトがふたつあるので視野はかなり明るくなるのではないかと思われ、また、コードレスで頭に乗せておくだけなので、あらゆる治療にフレキシブルに対応ができるのではないかと期待させるものだったので、デモ機のレンタルを依頼していたのである。それがようやく順番が回ってきたのであった。そして一日しか借りられない。デモ機が北陸三県に一台しかないのもあって大人気である。

付属のルーペを装着すれば倍率をx1.4 にできるが、中途半端な低倍率で瞳孔間距離がイマイチ合わなかったので装着せず、ライトのみの状態で試用した。この状態であればメガネをかけたり一般的な大きさのアイガードを装着することができる。

額と後頭部とを挟み込むように固定するデザインで、軽量で、コードレスなので煩わしさが殆どないのは凄い。私の頭の形が悪いのか、ピタッとくる位置がちょっと分かりづらいが、それでも顔を傾けようがズレない程度にきちんと固定される。一時間以上、装着し続けていると所々が痛くなってくるが、それでも疲労感は少ないのでは。単純軽量な設計のためだろう。ときおり使用しているライト付き拡大鏡とは雲泥の差である。

nobody's headlamp.jpg
※倍率x2.5の拡大鏡。台湾製。キャンペーンでえらい安かったときに購入。値段以上の働きをしてくれているが、操作性に難あり。

ふたつのライトは、使用時には鼻の前あたりに顔面の正中にくるようになる。デザイン状、仕方のないことであるが、常に視野の中にライトの存在があるのだが、その点が気になった。例えていうなら、車を運転するときに、ルームミラーからぶら下がるアクセサリーがあると、その存在が落ち着かない感じ、といおうか。人によっては気にならないと思われる。

肝心の明るさは申し分ない。ライトで照らされたエリアの中心部がLEDの光軸であり、明るくみたい場所があれば顔を少し傾けるなりして光軸を誘導するとよい。明るさはツマミで調節可。明るすぎるとエナメル質でLED光がハレーションのように反射して目が疲れるかもしれない。


まとめ
・申し分ない明るさ。視野にふたつのランプの存在がある。

・軽くコードレスなので、とにかく装着が楽でストレスがない。装着しっぱなしでも不快感もなくあまり気にならない。とにかくフレンドリーである。

・ルーペは低倍率(アタッチメントで最高x2.5)なので、高倍率のルーペを求める人はライト付高倍率のルーペを求めるか、マイクロスコープを利用することになるだろう(Dr-Kimヘッドランプを装着した状態で、他社の高倍率ルーぺを装着する荒技も可能かもしれない)。



購入は和田精密さんを通してになるらしいので、ご興味のある先生は和田精密の担当者に問い合わせてみてはいかがでしょうか。韓国製か…となる人にはオススメしません。いずれCiメディカルが取り扱うようになるかもしれない(Ciの製品には韓国製が多いので)。


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posted by ぎゅんた at 20:51| Comment(0) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月16日

根治臨床快感集


エンド治療は術者の神経を消耗するものである。

その理由の背景には…

・根管治療に対する評価の低さ(点数が低いくせに時間がかかる)
・患者さんは開口状態を維持しなくてはならず、手早い処置を要求される
・焦るとすぐに事故る(器具の破折や穿孔など)
・患者さんは常に痛みに怯えている(諸外国のエンド治療のようにルーチン
に浸麻するべきか)
・機材の発展があろうとも、治療の本体は小さな器具による手作業である

およそこれらの要素がある。
初めて根管に手を付けることの責任が重大な抜髄症例(特にネゴシエーション)は、いつになっても緊張するものだ。これは、多くの先生方もそうだろうと思う。自費のエンドをされている専門医の先生方はなんと度胸があるのか、きっと鉄の心臓に違いないと信じている私はいまだ未熟者である。
心臓が鉄になったら引退しよう(宣言)。

冗談はさておき、こんなシンドイ日々の根管治療にも、心の清涼剤というか快感ポイントはあるものだ。他人のバイキンまみれの狭く湿った口の中にある歯の中の根っこの中を手作業で治療する行為に、少なからず快感がなければ、とっくに根管治療をやっていられなくなっていただろう。これもまた、多くの先生方にもあるのではないかと思う。

ぎゅんたの快感♡フレーズポイント
1.綺麗に天蓋を除去できたとき
1.う蝕象牙質を除去して健全象牙質で囲まれた白く綺麗な髄空内を用意したとき
2.根管口の明示とストレートラインアクセス形成時、ゲイツバー(#2〜4)を「ズッ」という抵抗と共に根管口に挿入・形成できたとき
3.#10Kファイルを根尖までネゴシエーションし、上下1mmファイリングをしているとき
4.破折にビクビクしながらMtwoファイルで根管にテーパーを付与し、根管内のファイル操作の抵抗が小さくなったとき
5.根管充填前に次亜塩素酸ナトリウムを根管に満たして発泡がみられないとき
7.あかない根管をプレカーブを付与した手用ファイルで攻め、ネゴシエーションに成功したとき(それまで沈黙を保っていたRootZXが「欽ちゃんの仮装大賞」の採点パネルのごとく上昇してピー!と鳴る)
8.根充確認のX線写真で、自分が形成したところまでGPが隙間なく充填されているのを確認したとき

…このようなところ。世の中にはもっと色々な意見がありそうだ。

エンドは、基本的に術者一人しかあずかり知らぬ「根管内の出来事」である。
ここに述べたことも科学的でない自己満足に近いところがあろうが、結局は自分自身が見て手を下していることなので、正しく納得の行く処置が実現できれば、第三者に知られなくとも評価されなくても、術者の心は満ち足りるのである。それは、自分自身を欺くことのない確たる手応えだからである。


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posted by ぎゅんた at 15:27| Comment(0) | 根治(考察) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月04日

普段お世話になっている和田精密さんのラボに見学へ。

give and take.jpg

歯科業界に身を置いておりますと、とかく若者の歯科技工士離れだとか、若手歯科技工士の高い離職率だのを耳にしておりますゆえ、「ラボ」は自動車絶望工場よろしく過酷な環境(昨今の流行り言葉でいう「ブラック企業」様)にあるものと非礼ながら想像していた。

しかしその勝手な予想な見事なまでに打ち砕かれる。とても広々と整然とされた、明るく清潔なラボなのであった。学生時代の補綴実習のような、一列に並んだ古い作業台で黙々と技工作業をする人の列はみられなかったし、和気藹々としていたのである。ここから、小さな人工臓器たる補綴物が生み出されているわけである。

ふとみると、タグ付(?)された作業用模型の置かれた棚が目に入った。当然だが、どこのオフィスから送られてきた模型であるかは明記されている。即ち、テクニシャンたちに形成の良し悪しを思う存分に吟味されているわけである。わかってはいたものの、実際にそうであることを知ると身が引き締まる緊張感がある。お世辞にも形成が上手とは言えない立場で技工料がアレコレ仕上がりがどうこう述べる歯科医師であってはいけない。彼らは寡黙なプロなので何も言わず仕上げてくれるだろうが、確実に軽蔑される。そして歯科業界は狭いので、そうしたツマラナイことが尾鰭を引いてて悪評となることも多いのである。あな恐ろしや。

いかに綺麗に形成しても、実際の補綴物の適合は細菌レベルでみればスカスカかもしれない。綺麗な形成も、テキトーな印象や混水比守らぬ石膏操作で台無しになるだろう。しかし仕事とは、すべからく綺麗に仕上げようとする姿勢にこそ最善への近道があり、仕事レベル向上への近道がある(これは何処かの記事で述べたとおり)。補綴と技工は作業の積み重ねであるから、どこかが疎かであると形に出てくる。初動捜査の遅れが決定的なミスになるように、初っ端の形成の時点でダメダメだったらもう逃げ道もない。少なくともテクニシャンらの間で「某先生の技工は形成があんまりだから担当したくねぇなあ」などと言われないよう、戒め、邁進しなくてはならない。


まとめ
・普段よりお世話になっている歯科技工所の見学に行くとよろしいでしょう


和田精密
posted by ぎゅんた at 16:06| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする