2013年06月24日

"忘れがちなことを分かりやすく教えてくれる。メンテの都度、確認できる"

伝えたいことはタイトルにある。以下は妄言である。

多くの(保険診療主体の)歯科医院にとっての「メンテナンス」とは、診察・診断・P検査・スケーリング・歯清(機械的歯面清掃)を指すのではないかと思われる。3〜6ヶ月スパンが普通だろう。この期間内に口腔内にトラブルが起きても、すぐに対応が出来るので有益である。定期的なメインテナンスが個人の歯の寿命を有意に伸ばすことがエビデンスで示されている。メインテナンスは口腔内の状態を治療のように回復させることはないが、少なくともその時の口腔内の状態を維持することには有益である。従って、メインテナンスに移行する前にどこまで口腔内の状態を引き上げておくかが重要になる。

しかし「このままじゃメインテナンス移行できないよ!」という事体はしばしば起こりうる。痛いところや目立つ虫歯を治したからメインテナンスに移行するというのは、ただ数ヶ月先にまた患者に来院してもらうだけの行為に過ぎない。本来は患者の生活環境や生活習慣、口腔内の衛生環境(プラークコントロール・唾液性状・細菌叢など)を把握した上で、治療の介入の必要のない歯牙・歯周・咬合が成立していなくてなならない。だが、それは現実的には理想にすぎるところがあり、モディファイされた判断に拠ることが多くなる。担当した歯科医師の裁量が強くでるのだ。どうも歪である。保険診療主体で患者対応せざるを得ない本邦の異常な保険事情が原因であるのはいうまでもない。本来はメインテナンスは予防行為にあたるから、「保険で"メインテナンスもどき"は禁止、レセ返戻!」というお上の姿勢は間違いではない。ただし現場を知らない官僚の意見であると感じる。全てがSPTに移行できるわけではないし、国民は毎月、安くもない保険料を国に収め、医療は(歯科医療を含め)すべてホケンで受けられると理解しているからだ。自費でのメインテナンスは色々な意味で大変なのである。

愚痴もとい妄言はさておき、ここで保険診療と自由診療のメインテナンスの差異については述べない。メインテナンスで大切なことは、患者さんが定期的に来院してくれることにある。

このような経験をされた人は多いと思うが…

・歯頚部にプラークの取り残しがあるから、ブラッシング時に注意するよう言ったが、相変わらず取り残しがあるまま
・義歯はブラッシング時に一緒に洗って清潔にするよう指導しているのに汚れたまま
・モノが挟まるからとデンタルフロスや歯間ブラシの励行を指導したが、来院時に食べカスが挟まったまま

など。

「あのとき指導しただろうが…」と少しイラっとくるかれない。そして患者さんはしれっとしていたりする(笑)。

患者さんは、我々の説明を、どれほど噛み砕いて説明しても、我々が期待するほど理解出来ないし覚えていないものである。これは患者さん本人の歯科に対する意欲の欠如ではない。歯科が専門外なのだから当たり前のことなのである。我々が「いつになったら理解するのか、いい加減に理解してくれ」などと思うのは、一方的な押し付けといわざるえまい。

イラつくことはない。メンテナンスこられた患者さんに、大切なポイントを思い出してもらうようなに、再度確認してもらうように、そんな気持ちで接すればよいのである。継続したメンテナンスの回数が増えるに従って、ゆっくりと患者さんの意識も変わっていくだろうから、来院してくれことを感謝して接したいものである。

ところで、こんな小冊子をもらった。
お口の機能を育てましょう.jpg
絵が可愛いすぎて見ていると顔がほころぶ。


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posted by ぎゅんた at 23:39| Comment(0) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月21日

BioGaia Prodentis について (メモ)

はじめに
この記事は、花粉症に悩む友人のひとりに「プロデンティスについて教えてくれ」と訊かれて作成したものです。


概要
・ロイテリ菌という、乳酸菌の一種を生菌タブレットにして摂取するためのもの。
右向き三角1ロイテリ菌は元々はヒト常在の善玉菌であったが、現代人では殆ど失われている
右向き三角1善玉菌を増やすことで免疫系の改善をはかる(薬剤を用いるのではなく、自然に、安全に)

・善玉の常在菌であるが、ヒトの常在菌叢に取り込まれるには時間がかかるため、継続摂取が必要である
右向き三角1少なくとも一ヶ月の服用は必要(乳酸菌なので医薬品ではない。即効性はない)
右向き三角1摂取をやめると体内のロイテリ菌は減少すると思われるが、それが具体的にどれほどかはまだ不明な点が多い(例・一ヶ月服用してから中断して、何日後にロイテリ菌がいなくなるのか。・ロイテリ菌は体内に定着して増殖しないのか 等)
右向き三角1少なくとも一ヶ月以上の継続摂取により、口腔内の虫歯菌であるミュータンス菌の細菌叢に変化を与えられる(歯面のミュータンス菌が舌面に移動する)。また、歯肉炎をロイテリ菌の摂取だけで減少させることができる。歯垢も減少する(ミュータンス菌が減るからだと推測される)
右向き三角1ロイテ菌の摂取だけで歯周炎を治せるわけではないが、歯周炎の治療成績を底上げすることが確認されている
 
・歯磨きが困難な場合はプロデンティスを舐めるだけでもよい。実際に、歯磨きの困難な要介護者にプロデンティスが応用されている。
右向き三角1無論、歯磨きができるに越したことはないが、摂取だけでもよいというハードルの低さは有益である

・口腔内に停滞させるほど効果的であるから、タブレットは噛み砕いてはならない。ゆっくり溶かすように口腔内に、なるべく長時間とどめるようにする。

・ロイテリ菌の摂取で口腔内の細菌叢のバランスが改善すると、全身状態が良好になる(バクテリアセラピー)。
右向き三角1口腔内の細菌は全身に影響するため、まずは口腔内の細菌叢の改善が必要。従来の歯磨きから始まる歯科治療もその一助であったが、技術的、コンプライアンス的に達成が困難であったことは論を待たない。従来の歯科治療に加え、プロデンティスを摂取すればよいのである(歯科治療の加速)

・プロデンティス摂取によりアレルギー性症状の軽減が期待される。
右向き三角1花粉症の軽減に有効であったことを示す論文はないが、同じ一型アレルギーでもあるアトピー性皮膚炎の軽減に有効であったことを示す論文はある。


まとめ
・プロデンティスは花粉症治療を目的に服用するものではないが、継続摂取で口腔内のミュータンス菌を減少させられるようだ。これはミュータンス菌が原因で作られる歯垢の減少が期待できることになり、歯垢の減少は歯周病菌(偏性嫌気性菌)の増加の抑制つながると考えられる。

・虫歯菌の減少と歯周病菌の減少、歯垢の減少は、清潔な口腔内(トラブルを起こさない安定した菌叢の口腔内)の維持に有効である。

・歯周病菌の減少は、全身的疾患の予防の面で有効であると考えられる。

・口腔内だけでなく、全身的な健康の面で有効であると考えられる。

・従来通りの生活を続けながら、ただ摂取を始めるだけでよい(導入のハードルがとても低い)


ちなみにぎゅんたは二ヶ月前から服用していますが、美味しくないことを除けば不満を感じていません。全身状態が改善したとかの実感はありませんが、摂取を続けていくつもりです。心持ち口の中が爽やかな感覚が増したような気がしています。


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posted by ぎゅんた at 15:06| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月16日

献血

アルコールお注射.jpg

バイオガイア トータルヘルスアカデミーに参加した帰りに献血センターに寄った。
日曜に献血をしているところは限られるが、しかし平日にはいけない。
近くに寄ったときはチャンスを逃さず足を運ばなくてはならないのであります。

なんだかんだで献血回数も10回を超えている。
医療従事者として献血は当然であるなどとはこれっぽっちも考えていない。献血する大部分の人同様、見返りを期待しない無償の善意にすぎない。無償の善意というと硬い表現だが、その実は、血を犠牲にした体裁のよい暇つぶしであったり、フード・ドリンクを口にする機会であったり、粗品をもらうためであったり、案外にそういった即物的な気持ちが強いものではないだろうか。それは私も同様なのである。ただし、その気持ちの上に、「日々の診療で患者さんに麻酔とはいえ針を突き立てている行為に対する贖罪」の意味があったりする。書いていて恥ずかしい中二エッセンスだが、こんなウェブ上で気持ちを偽っても仕方が無い。

献血に関しては、ネット上では
巨大利権でウッハウハ!
だとか
売血おいしいです^q^
とか、色々と黒い噂が流れていたりする。
「献血したところで得られるメリットなど殆ど無いのだから、リスクをとってあんな連中の片棒を担ぐ真似はするな」という論調すらある。分かりやすいがなんとも極端である。

このような疑いをかけられてしまう赤十字側もどうかと思う(火が無いところに煙は立たない)が、たとえ真偽はどうであれ、献血が出来る身で献血をすることに抵抗が無いなら、献血すればよいだけの話だと思う。一度でも輸血を受けたりすると生涯にわたって献血できなくなるそうだから、もし、自分が輸血によって命を救われたとき、恩を返せる最も簡単な行為が禁じられることになるのだから。
勿論、そんなときがこないことを祈るばかりだ。

目指せ献血回数20!
posted by ぎゅんた at 20:01| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月01日

一歳六ヶ月児検診

the dental checkup for.jpg

久しぶりに検診のバイトに行きました。

最近の子は歯が綺麗で、虫歯もありませんね。あってCo。
もはや時代は、一歳半の時点で虫歯まみれならネグレクトを疑う時勢であります。
ランパントカリエスなんて、小児歯科の講義で聞いたっきり。
昔みたいに泣いてぐずる子の口に飴やチョコを差し込む(仄聞)親が少なくなったのでしょう。乳歯の虫歯を予防する意識が社会に根付いてきたことがわかります。

一方で、乳歯間の空隙がない子が目立ちました。虫歯はなくともこれは心配です。
顎が小さい子が多いなあ、というのは最近の小児の治療にあたっていて度々思うことです。勤務先ではやっていませんが、床矯正の必要性を強く感じます。と、偉そうに述べたところで実際に床矯正の治療に携わったことはないのですが。私の姉を含む矯正の専門医に小児の床矯正について聞くと、半数は「矯正の専門でもないやつが下手に触るな」というコメントを頂きます。小児の時点で叢生だったら永久歯も叢生になるのではないのか、骨の軟らかな小児の時期に装置で拡大しておき、口唇と舌圧でニュートラルに機能的に歯を誘導して並べるのが自然で無理がないのではないのか、とききますと若干、言葉を濁します。保守的な考え思えてなりませんが、成人矯正で綺麗に配列すればよいとの考え見え隠れすると同時に、市井の開業医の安直な適当矯正の後始末をする機会が多いことからくる不満があるようです。残り半数の先生はご自身で床矯正治療(他、誘導装置)をされているようです。

私個人としては「これだけは絶対、床矯正した方がよい!」とケースは見逃したくありませんし、地域歯科治療にあたるGPの責務だと思っております。成人矯正は「動かしにくく戻りやすい」気がしますし、何より治療期間が長くなります。綺麗に並ぶのは、成人が小児に比べてコンプライアンスが良いからだと思います。姉に聞かれたら殺されそうですが、私個人の正直な気持ち述べるとこうなるのです。私の愚かな勘違いであればと祈るばかりです。


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posted by ぎゅんた at 18:12| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする