2024年04月22日

いつの間にか当たり前になってる、伝達麻酔と抜髄即根充


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上顎前歯部からチャレンジしてみましょう


私が歯科医になりたてのころ、「習ってきた内容であるが臨床で活かされていない」例が多いことを不思議に思ったものであった。

大まかに例を挙げると、

・2級う蝕は一律にメタルインレー修復で充填処置の可能性を模索しない
・伝達麻酔を全くやらない
・抜髄即根充をしない
・ラバーダム防湿をしない
・歯肉の炎症が全く改善されていないのに補綴処置に平然と移行する

このようなものである。

そのうち、歯科臨床というのは保険診療のルールが現実に照らし合わされて行われていると気づくようになると、ラバーダム防湿が行われていない現状も、歯肉の炎症が存在しても補綴処置へ移行しているのも納得できるようになった。

もちろん、行えば確実に良いとわかっているラバーダム防湿の手間を省くとすれば、それは専門家として分かってて手を抜いている訳だから良くない姿勢であるし、それが慣行しているなら悪習だ。しかし、カエサルも述べているように「あらゆる悪しき慣例は、正当な手段として始まる」のである。理想と現実が一致することはない。流れというものは勢いがあるのだ。個人の抱える思想は修正を余儀なくされざるを得ない。社会人になると清濁合わせ飲むようになる、というのは出来合わされた模範解答でもある。


さてこのうち、私の歯科臨床で明確にルーチンになったのが伝達麻酔と抜髄即根充である。
笑うなかれ、昔の自分のレベルと比較すると考えられない進歩である。

伝麻といえば一般に下顎孔伝達麻酔を意味するし、当然それも行うが、眼窩下孔伝達麻酔や後上歯槽枝伝達麻酔も含めている。急性炎症や根尖病変を抱えている患歯を対象に麻酔効果を得ようと浸潤麻酔を行うと、局所麻酔液注入時に激痛が発生することがあるし、その激痛は苛烈で持続するので患者も歯医者もたまったものではない。このようなリスクが想定される場面で先に伝達麻酔を行うのである。一箇所の刺入で良好な麻酔効果が得られて安全な処置の遂行に寄与してくれることが多い。例えば、急化perで打診痛+++の場面で咬合痛からの解放やその後の根管治療を目的にFMCの除冠をしなくてはならない場面を想像していただきたい。下顎孔伝達麻酔を行えば、少なくとも自発痛と打診痛の軽減が計れて除冠も比較的ストレスなく達成できるだろう。応急処置としては及第点である。

眼窩下孔伝達麻酔や後上歯槽枝伝達麻酔も同様のケースで活躍するので臨床医は習熟しておくべきだと考えられる。こちらは下顎孔伝達麻酔に比べてハードルが高いように思われるかもしれないが、解剖学的知識で武装して浸潤麻酔の応用だと思えば難易度は低いことに気づくはずだ。とくに後上歯槽枝伝達麻酔は意外なほど活躍してくれることだろう。伝達麻酔のリスク面ばかりを強調して伝達麻酔を行わないのは、気持ちは理解できるが、手技に自信がないことのいいわけが多いのではないだろうか。私だって伝達麻酔が得意なプロとは自認していないが、確実な局所麻酔効果を会得できるための技術研鑽を欠かすつもりはないつもりで日々の臨床を行なっている。

もうひとつ、抜髄即根充であるが、これは前歯部と小臼歯部に限った話であって大臼歯部では行っていない。また、感根即充は一才おこなっていない。なぜかというと、算定しても査定されるからである。この辺は保険の暗黒面というか、地域ルールが影響している気もするのだが。

大臼歯の抜髄即根充は、そんな難易度の高い治療ができるなら保険ではなく自費でやられてはいかがですか?というメッセージときくし、私自信もそう思ったりするところがあるので不問。問題は感根即充で、前歯部のPuエシなど失活単根のケースなら問題なく行われてよいと考える。そもそも、C3処置歯の診断でPZに行くケースでやってもない感根即充を算定しまくった不届な歯科医師が多すぎたから査定されるようになったと伝え聞いているので、もうなんというか、身から出た錆……

下賤な話だが、巷間の歯科医院(保険医療機関)では根管治療は複数回かかるのが自然なことであるから、「ウチは根管治療は一回で終わらせますよ」を売りにした自費エンドは需要があると思われる。私のいる田舎ではそうはない(と思う)が、忙しい都会のビジネスマンやVIPは時間を金で買うので、保険診療といえども根管治療で何回も通院するのは苦行に等しい。良質な自費エンドはとても喜ばれる技術といえる。

あれ、なんだかまとまりのない記事になってしまった。平常運転



参考文献というかおすすめ図書
歯科診療で知っておきたい疼痛管理と全身管理の基本
posted by ぎゅんた at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 根治(実践的) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年04月21日

待合室にリキッドモーションを設置

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※球状のものはパープレクサスという立体型のボール迷路でこれも人気がある


歯科医院の待合室に置くものは雑誌や漫画、新聞が多いと思われる。
当院では、小児の患者も少なからず来院することから絵本も置いているがイマイチ人気がない。

これは若者の本離れではなく、小児の心理状態として、歯科医院にきて待っている間に本を開くという行為そのものに対して積極性を発露しにくいところがあるからであろう。もう少しキャッチーなアイテムでおもてなす必要がありそうだ。

そこで、絵本や漫画に加えてリキッドモーションを置くことにした。
不思議な速度でカラフルな液体が流動していく様は画一的でない不思議さがあり、眺めていて飽きない。本当かどうかわからないがストレス解消効果もあるという。だれしも、水時計や砂時計の動態に見入ってしまった経験はあるというものだ。とりあえず、子供達には喜んでもらえるのではないか。

結果として、待合室に置いてみたところ、子どもたちに大人気であった。
中年になった私は、子どもたちがアナログなおもちゃを手にして喜んでいたり遊んでいるのを見ると安寧をおぼえることが多い。電子デバイスをいじっているこどもは現代っ子だなあと思う反面、どことなく不安と寂しさを感じるからである。


とりあえず購入したのはこれ
色違いの4個セット。息子と娘に好きな色のものをプレゼントして、残りの2個を待合室に置こうと思ったら嫁に1個奪われてしまった。
程よいサイズでアクリルなので落下しても割れない(と願いたい)。オイルは30秒ほどで落下しきってしまうので、その時間を適切と考えるか短いと考えるかは微妙。もっと立派でしゃれたデザインのものを設置するほうがよいかもしれない。
 

posted by ぎゅんた at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯科医院について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月26日

日本歯科医師会雑誌は勉強になります

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今月の日本歯科医師会雑誌は、個人的に興味のあるトピックについての質の高い記事が多く、かつ「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」をわかりやすく要約してくれた資料まで付属しており欣喜雀躍した次第。神回ではなかろうか。

思うに、日本歯科医師会雑誌は毎月毎月、格式の高い学術記事を会員に提供してくれるありがたい存在である。もっと評価されるべきである。日歯会員になると当たり前のように毎月受け取ることになるからありがたみが薄いのかもしれない。商業誌の方がキャッチーで臨床家向きの情報が掲載されていると思いがちになるかもしれない。

開業医は商業誌から情報を仕入れる向きがあると思うし、かつては私もそうしていた。
しかし、ここ数年は商業誌を買うのをやめた。
日本歯科医師会雑誌を読めばかなりの勉強になると思いいたったからである。
ビニル封を解くまでもなく商業誌を机に積んだままにしている、というスタイルと袂を分かちたかった。
それでなくとも安くない年会費を収めているのだ。これは読まねば無作法というもの。

大切なのは情報の仕入れ先を手広くすることではない。
新しく得た情報を上手に頭にアップデートして自分の臨床を豊かにするよう行動することである。歯科医師は現役でいるかぎり、勉強し続けなくてはならない。勉強を通じて歯科医師としてのレベルを向上させていくことに成功させなくてはならないからである。
自分を頼って歯科医院の門をくぐってくる患者に常に最良の診療を提供できるよう尽くす気持ちを持ち続けていたいものである。
 
posted by ぎゅんた at 21:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする