2017年12月13日

(所感)ニシカキャナルシーラーBG


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赤色だったら『ウルトラマン』みたいなセンスのパッケージング


在庫が切れるAHプラスの代わりに購入(新発売セールで安くしてくれたから👈重要)。
いつもセール価格なら相当に魅力的なシーラーだ!日本製ですしね。


根充は、シーラー併用でガッタパーチャを加圧根充しておるのです
用いるシーラーによって予後の成績に有意差はでないと考えているが、もどきとはいえCWCTを意識したダウンパックを行うと、側枝や根尖部にシーラーが飛び出ることがある(X線写真上でPUFFとして認められる)から、シーラーに生体為害性がない方が良い。

垂直加圧法を採用することになって以来、シーラーにAHプラスを採用してきた。

その理由は、

・世界的にメジャーであること
・練和後の操作時間に余裕があること
・稠度が丁度よいこと(☃️)
・造影性が良いこと
である。

レジン系のシーラーということで最初は身構えていたのだが、一回、使用しただけでその使用感に虜になり、愛用し続けてきた。根尖部の清掃が良好でPatencyが確保されており根管充填材に適切な加圧が加われば、側枝や根尖部にパフが明瞭に出るのが心を鷲掴みにしたのである。これは本質的には「だから何」程度のことなのだが、根充が嫌いで上手になりたいと今も悪戦苦闘する私にはご褒美に等しいフィーチャーなのだった。

それから、MTAが40%含有されていることがウリのMTAフィラペックスも採用した。MTAの性質への漠然とした期待感があったからである。およそMTA根充の代わりになるわけがないので気休めであろうが、硬化後にわずかに膨張する性質は嬉しいところ。感染根管治療の根充にはこのMTAフィラペックスを、という漫然とした使い分けがなされるのであった。

AHプラスもMTAフィラペックスも、生体為害性は同様に有することを報告する論文がある【1】。また、硬化反応が異なることから、根充直後の封鎖性に差があると報告する論文もある【2】。

どちらも総合的に考えれば使いやすい、臨床医が求める範囲の落とし所に収まった優れたシーラーであろう。実際にどちらも使用してきた限り、致命的な欠陥は感じ取れない。MTAフィラペックスはAHプラスより操作性が悪くて造影性が低いところが気になる、ぐらいである。強いて軍配を挙げるならMTAフィラペックスだろうか。

ニシカキャナルシーラーBGは、シーラーは今後MTAフィラペックス一本に絞ろうと考えていた矢先に現われたのであった。さて、どのようなものか。



結果
・造影性はMTAフィラペックスと同程度だが操作性が良好
・そろそろシーラーを新型に変えようかなあ……と思った先生はどうぞ!
・生体為害性がないシーラーを所望する先生も、勿論、どうぞ!
・AHプラスで問題ない先生はAHプラスで
・MTAフィラペックスで問題ない先生はMTAフィラペックスで
・AHプラスかMTAフィラペックスか迷っちゃってる先生はコレで
・MTAフィラペックスを使い切ったら、コレ一本かなあ…
・冷蔵保存がちとメンドイ


卑近な根充例(要するにさしたる意味がないもの)その1
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「知覚過敏が治らんから抜髄したって」と不名誉な依頼で回ってきた#13。咬耗のToothWearが目立つ。こういうケースでは生活歯髄切断で満足のいく除痛効果と、歯根側歯髄を保存することで保存を図るのが良いと考えているが、少なからず打診痛があったので素直に全部抜髄。

SEC1-0:マニー10Kでネゴシエーションしてプログライダーでグライドパス形成して、#15Patencyを確保してから根管形成(ウェーブワンゴールド:スモール➡︎プライマリ➡︎ミディアム)を終え、ウェーブワンゴールドGPミディアムで即日根充。何も目新しいことはない。

ShinyaM先生にヤキを入れられることを覚悟の上でラバー装着をサボって、オプトラゲートを装着して口唇圧排して簡易防湿下で処置を行っている。


卑近な根充例その2
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#44の根尖性歯周炎が気になって仕方がない写真であるが、#45での食事時の違和感を主訴に来院。自発痛(±)打診痛(+)。叢生で強く舌側傾斜している。

SEC1-0:マニー10Kでネゴシエーションしてプログライダーでグライドパスを形成し、#15Patencyを確保してから根管形成(ウェーブワンゴールド:スモール➡︎プライマリ)を終え、ウェーブワンゴールドGPプライマリで根充。

ちょっとオーバー気味に見える。ウェーブワンゴールドで形成後に手用NiTiファイルでアピカルシートを付与するべきかも、とちょっと思った。



【1】Bin, Claudia V. et al. Cytotoxicity and Genotoxicity of Root Canal Sealers Based on Mineral Trioxide Aggregate.
【2】Asawaworarit W. Yachor P. Kijsamanmith K. Vongsavan N. Comparison of the Apical Sealing Ability of Calcium Silicate-Based Sealer and Resin-Based Sealer Using the Fluid-Filtration Technique.
posted by ぎゅんた at 13:47| Comment(1) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月10日

エンド今昔


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歯内療法学との出会いには明るい思い出がない。実習のたびに「こんなん俺には絶対に出来っこねぇ……」と絶望に打ちひしがれ、手は満足に動かせず、ライターには常に罵倒され椅子を蹴られ、胃を痛くしていたものであった。なぜなら「実習項目.根管の拡大」のステップが全く達成できなかったからである。手も足も出なかったという方が正しい。実習帳の余白にダルマさんのイラストを落書きしている暇はあったが、現実逃避も甚だしい。

いま思えば当時の自分の懊悩など「なあんだ」と鼻で笑ってしまうチンケなものだし、実習内容にしても高速道路の運転シミュレータよろしく、エンドの行程を最低限に理解できればいいだけのチュートリアルにすぎなかったとわかる。私を罵倒したライターにせよ、(当時の平均的なエンド治療の水準を鑑みても)取り立てて優れた治療技術を持っていたわけでないことが、申し訳ないが、分かる。それはつまり、私が大学院生時代に指導していた学生たちから、いま同じように思われていることも意味する上で赤面モノだったりする。過去を消去したいが、どうにもならない。忘れてくれていることを祈るばかりだ。

そんなことはどうでもよくて、私の世代は、エンドは手用ステンレスストールファイルで根管の拡大形成を完遂するよう教わっている(≒洗脳)のである。

よもや、NiTiファイルをこれだけバンバン使うスタイルに落ち着くとは思いもよらなかった。隔世の感である。

根管治療を前にしたとして、もしNiTiファイルがないなら、根管の形態を破壊するエンドしかできないからデキマセンと迷うことなく白旗を揚げてしまう確信すらある。根管の形態を保存できず、時間ばかりがかかり、それはひいては余計な感染リスクとエラーに繋がるからである。



輾転反側?
エンドというのはマイウェイの側面があって、先生方の数だけ手技がありそうなものだ。エンドの目的は根尖性歯周炎の予防と治療であり、その眼目は根管内の感染有機物の徹底除去にある。自分のエンドの手技が固まってくると同時に、過去の自分のエンドの経過を知ることができるようになる。それをして、自分のエンドを評価できる。

さはさりながら、性根があまり真面目でないから、こと細かく検証しているものではない。
それでも見えてくるものはある。

それは、以下のようである。

1.InitialTreatment根管のほとんどは、経過が良好
2.Retreatment根管は、やはり予後が悪い。概ね歯根破折が生じるか、根管内からの感染源除去が満足にできなかったことによる
3.オーバー根充は、予後が悪いと断定はできないが良くもない
4.アンダー根充は、X線写真の見栄えはともかく、予後に悪さに直結しない
5.シーラーパフは、良好な予後を約束しない(根尖部に適切な加圧が加わっただけで、感染源の取り残しをカバーするものではない)
6.根尖部の感染源の積極的な除去を目的に根尖部を意図的に拡大したものは、予後が悪い
7.根尖部を大きく弄らない場合の方が、予後が良い傾向にあることは確か
8.NiTiを用いるようになってから、根管の走行が保存されている
9.人工根管は予後不良を手堅く約束してくるので最悪

ここから見えてくることは、あくまで私のエンドの手技から見える特徴である。
エンピリカルな結論付けだが、NiTiファイルはこのまま使用し続ける、根尖部を意図的に拡大することは避ける、根管充填はアンダー基調で構わない、というあたりに落ち着いてこよう。

根尖部は、せいぜい15-20号の手用Kファイルが通過する程度にしておくのが安全そうだ。根管充填は、X線写真で見える根尖部のアウトラインから見て、1.5-2.0mm歯冠側であれば良さそうだ(写真でみるとやたらアンダーに見えたりするが)。根尖部ギリギリにジャストな根管充填は、格好よいのだが、実際はGPが根尖よりオーバーしている。これは、Retreatment根管で予後不良で抜歯に至った患歯の根尖部を観察することで一目瞭然である。意図的なオーバー根充で根尖病変を治癒に向かわせることはできない。根尖より出ていいのは、ネゴシエーションとリカピチュレーション時のファイル先端と少量のシーラー程度に留めた方が良い。


それにしても、歯根破折だけはどうにも嫌なものである。
「死因:交通事故」ぐらい、やるせないものがある。奸悪きわまりない。

治るエンドに加えて長持ちするエンドもまた、歯科医師が渇望するところである。

とすると、根尖部を破壊することなく根管形成を最小限に留め、根尖部のdisinfectionを達成することが求められる。この達成は、Initialtreatment根管はさておきRetreatment根管では厳しそうだ。最初からガッポリ大きく拡大されていたら天を仰ぐしかない。根尖部の洗浄を徹底するか、MTA根充に望みを託すか、浸透性の高い(と言われる)Nd-Yagレーザーで感染象牙質のバクテリアを叩いてみるべきか……
 
posted by ぎゅんた at 23:36| Comment(6) | 根治(考察) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

コメディカル向けな糖尿病の勉学の勉強会




平日夜、その地域の中核病院の会議室の一角にて研修会および勉強会が行われていたりするものです。学会のような本格的な学術研鑽の場ではありませんから、簡単な症例発表や、対象とする疾患についての医学的対応について医療従事者が知っておくべき知識の共通化を目的としたものが多いです。製薬会社が主催する製品プレゼンも含まれます。

歯科医師がこうした場に参加するのは、やはり限られたことであります。口腔外科を有する病院でもなければ、歯科医師という存在は病院の外の人にすぎませんから、え、誰?みたいな疎外感を回避することはできません。

さてそんな扱いの歯科医師ですが、総会屋よろしく場を滅茶滅茶にする役割が期待されているわけではなく、歯科的アプローチと関連ある疾患の場合に「参加して一緒に勉強せえへんか?」と招待されるにすぎません。たいてい、地域の所属する歯科医師会経由で案内がきます。もしくは、その病院に勤務されている看護師さんからお誘いがきます。看護師さんはおしなべて勉強熱心なのであります。

そんなかんだで参加してきた糖尿病協議会主催の研修会は、しかし、参加している歯科医師は誰もいませんでした。医師の姿が数人、ほとんどは看護師さんで、次いで薬剤師さんと行政の健康課職員さんらが席を埋めているのでありました。

研修会のお題目は「糖尿病性腎症の重症化予防を目指して」でした。糖尿病の恐ろしいところは、つまるところ合併症をいかにして防ぐかであり、ことに人工透析一直線となる糖尿病性腎症をいかに防ぐかは、高騰し続ける医療費問題の観点からも極めて重要であります。ちなみに糖尿病の医療費よりも人工透析患者にかかる医療費の方が大きく(糖尿病が約1.1兆円で人工透析が約1.5兆円。歯科の規模は相変わらず約2.5兆円で、保険改正があろうともこの範囲に収まるような調整になっている)、加えて透析患者の数は年々増加しています。糖尿病によって人工透析になる患者さんの数を減らすことは喫緊の課題と言えるわけです。

糖尿病は「インスリンの作用不足よる慢性高血糖を主徴とする疾患群」であり、そのインスリンの作用不足には、特に2型糖尿病において炎症性サイトカインによるインスリン抵抗性の増大が大きく関与していることは歯科医師なら誰でも知っていることです(この辺の理論は西田亙先生の『内科医から伝えたい歯科医院に知ってほしい糖尿病のこと』に詳しい)。

従って多くの歯科医師の先生方は「よっしゃ俺たちに任せろ!歯周病や根尖病変といった慢性疾患を口腔領域から取り除いて血糖値を下げるアシストをするぜ!」と俄然やる気になるわけです。歯周病の治療や予防が糖尿病を完治させたり発症を防ぐことに直結はしないにせよ、無用な炎症を口腔領域から追い出すことは全身の健康のために欠くべからざるアシストになるからです。

おおかた、話のオチが読めてきたと思いますが、この研修会で歯科についての言及は殆どありませんでした。腎症についての高度に専門的な話が主体でした。少し舟を漕ぎました。「歯周病治療を行うことによって血糖値の改善が図られるから、歯周病の有無の確認のみならず歯科医院への定期的な受診を促すよう指導が必要云々」程度の発言があるかと思っただけに意外です。

「どうして患者さんに歯周病の治療を薦めないんですか?」と空気読めない電撃発言をしてやろうと思いましたが勇気がないのでできませんでした。ぼくは鉄の心臓が欲しい。

歯周病と糖尿病の関係について、歯科医師以外はあまり明るくないのかもしれません。歯科領域と全身とは、どうも切り離されて捉えられている気がしてなりません。

コントロール不良の糖尿病患者さんの初診時の随時血糖値を簡易血糖値測定器で記録し、歯周初期治療後の随時血糖値と比較するだけの簡単なデータでも集めてみると面白いかもしれません。なんだかんだで数字のデータがモノをいうからです。HbA1cとCRP値の変化はみてないの?ときついツッコミが来るのが目に見えてますが……

posted by ぎゅんた at 16:16| Comment(2) | 勉強会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

【保険導入】下顎第一大臼歯にCAD/CAM冠【条件付】


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コメント欄で ちの先生に教えていただいたことなのですが、本日12/1より、

レジンブロックがGCのセラスマートで、
上下左右7がすべて存在し
過度な咬合圧がかからない場合の下顎第一大臼歯に限り

CAD/CAM冠が保険適応になったようです。

「保険改定を待たずジーシーから」というところが往時の支台築造-ファイバーポストの流れと同じです。つまりは、時間の経過とともに他社レジンブロックでも適応されるようになっていくと思われます。レジンブロックで儲けたくてウズウズしている業者ばかりでしょうから、仁義なき値段合戦がまた始まることになります。

算定する点数は据え置きだそうですから、補綴難易度が上がった形ですね。
クリアランス!マージン形成!印象!接着/合着操作!

なんか猛烈に悪い予感がしてきたのう…


【2017/12/5訂正】
請求点数は据え置きではなく、以下のようです。

技術料1200点+材料料523点

小臼歯CAD/CAMに比べて141点アップします。
トレーサビリティシールを診療録に貼り付けたりして保存管理する必要があります。ー
posted by ぎゅんた at 14:20| Comment(4) | 根治以外の臨床 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

結合性シーラーに『ニシカキャナルシーラーBG』ちゃん!


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出入りの歯科ディーラーに「先生、新しいシーラーです(買えやオラァ!)」と紹介されたのがニシカの「キャナルシーラーBG」である。キャナルシーラー・シリーズの最新作のようだ。"BG"はBioactiveGlassを意味するようだ。分類的にはMTAを40%含有する『MTAフィラペックス』と同じ結合性シーラーに属するようである。グラスアイオノマーなシーラーとか、フィラーを含むシーラーとか、ブルガリアとかいう意味ではないのである。11/24(Fri)から発売するらしい。

頂戴した抜粋資料より、シーラーが「密着性シーラー」「接着性シーラー」「結合性シーラー」3つに分類されると改めて知った(不勉強)。ひとまず私が使っているシーラーは『AHプラス』と『MTAフィラペックス』の2つ。どちらも普通以上に高価なので、代替品に変えるか、どちらかひとつに絞るかを考えていたところである。

代替品としては、(多分)AHプラスのライセンス品もしくはパクり品っぽい『Ci キャナルレジンシール』を、どちらかひとつに絞るなら『MTAフィラペックス』でエエかなぁ……と漠然と考えていた。そんなところのキャナルシーラーBGちゃん登場だったので、キャンペーン価格でディスカウントされるとの甘言もあって購入することにした。



MTA-Fillapex & AH-plus
MTAフィラペックスに関しては、造影性がちょい低いことと、生体親和性が低いと報告されている点が気にかかる。シーラーを根尖から押し出す意図はないにしても、ダウンパックによる根尖部GP加圧することで、シーラーが側枝に入り込んだり根尖部でパフを形成することはあり得るからである。材料に細胞毒性がない方が良いに決まっている。MTAフィラペックスの名の通り、「MTAな」シーラーを想像してしまうことから無条件に生体親和性が高いシーラーであると思いがちだが、報告を信じる限りそれは否定されている。ついでにAHプラスも生体親和性が低いシーラーであると述べられている。これは、困ったものだ。

シーラーに備わる物性によって根尖病変が治癒に導かれるとか良好な根充が約束されるわけではないことは自明であるが、操作性が良好で生体親和性が高くてコスト的に許容できるシーラーがあるなら、それに乗り換えれば良いのだろう。このキャナルシーラーBGが使いやすい満足のいくシーラーであることを願うばかりだ。




Claudia V. Bin, Marcia C. Valera, Samira E. A. Camargo, Sylvia B. Rabelo, Gleyce O. Silva, Ivan Balducci and Carlos Henrique R. Camargo : Cytotoxicity and Genotoxicity of Root Canal Sealers Based on Mineral Trioxide Aggregate.J Endod,38(4):495-500,2012

posted by ぎゅんた at 18:38| Comment(2) | 歯科材料・機器(紹介・レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする